国土交通省No.135
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13ト設定、仮設住宅や公共施設などの位置を踏まえたBRT駅の増設など柔軟に対応することが可能です。現在、全国17のBRT運行地域のうち、一定の都市規模がある7地域において、多くの乗客が集中して利用する区間、例えば、大学、病院と駅などの拠点間などで、通常のバスより輸送能力が高い連節バスが用いられています。公共交通の新しい選択肢に1985年のつくば科学万博では、当時の記録によれば、「万博中央駅からの2次輸送については連節バス(スーパーシャトル)162人乗り100台を導入し、観客の大量輸送に努め… 定時定速性を確保するために、科学万博会場までの全区間にわたってバス専用レーンを設置するほか」²、主要交差点の立体化が図られました³。連節バスは、後方車両の後輪が前方車両と同じ軌跡を通るよう制御され、普通のバスと同じ資格での運転が可能ですから、人材の面でも新規導入のハードルは高くなく、少数の運転手で大量輸送ができるのです。通常の運行の例を、いくつかご紹介しましょう。藤沢市では、警察の協力の下、連節バスの運行を一般車両よりも優先通行させる信号制御を実施。その結果、藤沢駅西口広場の乗客混雑が解消し、利用者の待ち時間も減ったと聞いています。岐阜市で運行されている連節バスでは、通勤通学時間の短縮が実現した他、デザイン性の高い車両を体験しようとの観光促進効果も期待されています。新潟市でも、中心部の路線を集約することで郊外部の路線を増便し、郊外部での減便の流れを断ち切る計画で、連節バスが公設民営方式により本年9月に導入されました。複数の他地域でも、中心部や拠点間を含め、連節バスによるBRTの導入が検討されています。東京都臨海副都心でも連節型を含むBRTが登場する見込み2020年の東京オリンピック・パラリンピックを契機に、東京都臨海副都心では、連節バスと燃料電池バスによるBRTが2019年度内に運行開始する見込みです。ここでは、例えば、簡易な事前改札により、乗降時の滞留が起きない円滑な運賃収受方式、隙間や段差のない乗降ができる停車、多言語化や乗継ぎ先の情報提供、高度な運転支援技術の取込みなど、さまざまな工夫が検討されています。国土交通省では、各地における連節バスの導入に関し、ガイドラインを示し、補助制度に加えて、本年度から新設した出資制度などの支援を講じるとともに、導入後も円滑な運行が定着するよう見守り、地域の事情に応じたお手伝いをしています。電車のように時間に正確で速いバスBRT(Bus Rapid Transit)とは、明確な定義はありませんが、連節バス、公共車両優先システム(PTPS)、バス専用道、バスレーンなどを組み合わせることで、速達性・定時性の確保や輸送能力の増大が可能となる高次の機能を備えたバスシステムのことを指しています。国内のBRTの成立ちを振り返ると、1948年に和歌山県の高野町で、バス専用の自動車道を使った運行が始まっています。また、1957年には、国鉄が、鉄道廃線敷であった福島県白河=磐城棚倉間に総延長24キロの専用自動車道による「白棚高速線」を開業しましたが、専用自動車道には進行に障害となるものがなく、安全かつ正確な運行が可能でした¹。鉄道と同様に定時性と速達性の高い運行を提供することができ、これは現在に続くBRTの基本的な形と言えましょう。しかも、BRTは、整備にかかる費用と時間が、一般的に鉄道よりも少なくて済むと考えられます。例えば、東日本大震災の被害を受けたJR東日本の気仙沼線では、震災後1年半余りで鉄道運休中の区間の一部を専用道化し、仮復旧としてBRTが運行されています。また、復興まちづくりの進捗に応じてのルー藤沢市で運行されている連節バス「ツインライナー」の内部。運行回数減少により、バスロータリーの混雑が解消し、円滑な運行が可能になった他、減らせた使用車両を、交通不便地域の郊外路線に投入できたという。写真提供/神奈川中央交通(株)東日本大震災の被害から仮復旧として線路上に敷設されたJR東日本の大船渡線BRTと三陸鉄道南リアス線。鉄道駅ホームにBRTが乗り入れる「盛駅」写真提供/東日本旅客鉄道(株)1 JRバス関東(株)「白棚高速線開業50周年」2007年、p5-p9を基に加工2 財団法人国際科学技術博覧会協会「国際科学技術博覧会 公式記録」1986年、p69から引用3 茨城県国際博協力室「国際科学技術博覧会 茨城県公式記録」1986年、p155を基に加工

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