国土交通省No.135
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054国際競争力の強化3渋滞の解消・緩和2高齢者などの移動支援1自動で危険な状況を回避し、交通事故を減らします。交通事故の削減Level2システムの複合化2015年~自動の追従・追尾システム衝突回避のための自動ステアリング2017年複数レーンでの自動走行などLevel3システムの高度化2020年代前半自動合流に必要な加速・操舵・制御を全て自動で行えるLevel4完全自動運転2020年代後半~ドライバーの関与なく走行できる完全自動運転の試用を開始「日本再興戦略」に基づき自動運転の計画を定めた「官民ITS構想・ロードマップ2015」の内容※※年数は市場化の期待時期。計画は海外の動向を踏まえて今後も見直しを行う世界の技術競争で勝ち残るために自動運転技術の発展が交通事故の削減につながるとの認識は他国も同じで、自動運転には今、世界中の関心が向いています。ビジネスの市場としても、将来性の高い重要分野と言えるでしょう。自動車の国際的な安全基準を検討する国連の自動車基準調和世界フォーラム(WP29)においても自動運転に関する議論が始まっています。具体的には、日本の提案で国連に設置された「自動運転分科会」では、日本はイギリスと共同議長国になり、完全自動運転を含めた自動運転の国際定義づくりや一般的なサイバーセキュリティの考え方などを検討しています。また、現行の国際的な基準では10 ㎞ /h以上でシステムが自動的にハンドル操作を行うことが禁じられており、この基準の見直しも検討されています。日本はドイツとともに共同議長を務め、この会議体の中心となっており、国際的なルールづくりの中でも高いプレゼンスを維持しています。他方、欧米などの先進国では、日本と同様に次世代自動車の開発が極めて活発です。これまで世界の自動車産業をリードしてきた国内の各自動車メーカーも楽観視できない状況にあります。欧米の企業は宣伝に長け、一般の方には自動運転の技術に関して欧米が先行していると思っていらっしゃる方も多いのではないでしょうか。しかし実際には日欧米とも横一線で技術開発にしのぎを削っている状況です。そこで、国土交通省自動車局と経済産業省製造産業局が共同し、国際競争力の確保および世界の交通事故削減などに貢献するため、各自動車・部品メーカー、研究機関、外部有識者を交えた「自動走行ビジネス検討会」を設置し、今年の2月から検討を開始しました。検討を続けている具体的な将来像自動走行ビジネス検討会では、欧米に先じて日本の技術を世界に広めていくために、2030年をターゲット自動運転によるさまざまな恩恵高度な運転支援を含めた自動運転の技術が発展・普及すると、交通安全の向上だけではなく、福祉や経済においてもさまざまな効果が期待できる。自動運転の実現としたビジネスモデルの検討も行っています。例えば、輸送車両の運行を高度な運転支援システムによって効率化していけば、物流コストとCO2排出量の削減につながる可能性があります。物流の効率化は産業全体の底上げとなりますから、その車両と環境整備ノウハウなどをパッケージ化し、国際的に展開できる商品にするといった視点も重要です。また、少子高齢化が進む日本を含む先進国では、高齢者や障がい者が安全に乗降・運転できる環境づくりも重要になるでしょう。どんな自動運転をつくるのか、それに必要な技術や制度は何かなど、現在はSIPと連携しながら課題を洗い出し、具体的な検討を進めています。近年の自動車に搭載されたシステムは、とても高度で驚いている方も多いと思います。しかしそれも実は約10年前から検討が繰り返され出てきた技術です。現在検討されている自動運転の技術が描く未来も、そう遠くないかもしれません。それだけの技術が日本にはあります。技術の安全性確保や社会の需要、サイバーセキュリティの問題など、課題を一つずつクリアし、人や物が安全・快適に移動することのできる社会を目指して、これからも自動運転の推進に努めてまいります。特集自動運転とビッグデータの活用

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