国土交通省No.135
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08一つ目の「空間情報」とは自動運転のシステムが参照する3次元の地図データのことです。自動運転を行うには普通の2次元の地図だけではなく、道路の段差や電柱、溝や塀など、立体的な3次元の情報を利用した方が周辺状況の認識精度も運転の安全性も高まります。また、将来的には自動運転に必要な地上の情報だけでなく、インフラ整備に必要な地下の情報を加えたり、事故・渋滞、信号などの動的な情報も統合し、自動運転の開発をきっかけに社会に役立つ膨大なデータベースをまとめようというのがこの「空間情報」作成の計画です。このため各自動車メーカー他、地方自治体や警察、地図、電力、電話会社まで、インフラ情報に係る行政機関や企業と連携し、SIPを中心に研究開発を進めています。このあらゆる情報を自動車とつ国内で協調した「空間情報」の作成各社が自動運転の開発を進める意義は、やはり第一に「安全性の向上」です。安全な自動運転の実現のため、国内の各自動車メーカーが技術開発を競い合う一方、協調して行っている取り組みもあります。現在進めている取り組みには、国内での「空間情報の作成」と、国際的な取り組みである「HSIの開発」(Human System Integration:人間と機械の協調システム)および「サイバーセキュリティ技術の協調」の三つがあります。実は、車両同士で情報交換する通信技術でも協調した取り組みが必要であり、これはすでに目標を達成し、円滑な通信が実用化されています。首都高速道路で2015年10月6日にトヨタ自動車(株)が行った自動運転車の走行実験の様子。各種のセンサーで周辺車両を検知し、高度な空間情報と人工知能を組み合わせ、合流や車線変更もすべて自動走行に成功した。世界の注目が高まる自動運転の技術開発。日本が勝ち残るには、各自動車メーカーの努力はもちろん、国や他企業との協力した取り組みも必要です。国内の自動車メーカーが協調して進める取り組みについて、トヨタ自動車(株)東富士研究所のBR高度知能化運転支援開発室主査である遠藤徳和さんに伺いました。確かな安全・安心を世界市場に届けるために

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