2030年の日本のあり方を検討するシナリオ作成に関する調査概要

Aグループ: 環境・農業を重視するシナリオ



全体のイメージ


2030年、日本人の価値観は大きく変わり、可処分所得ではなく、可処分時間を重視するようになっている。人口も大都市圏ばかりに集中するのではなく、適度に分散されている。その核になるのが、適度な大きさのコンパクトシティで、その郊外には豊かで元気な農村と山村が広がる。食料自給率は約70%に達しており、林産物は100%が自給されている。こうした農地や山林は、農業や林業生産に使われるだけでなく、多面的な機能を発揮している。日本全体としては依然工業立国であることに変わりはないが、環境技術で世界のリーダーシップをとるようになっている。このように環境と農業を重視することにより、持続性が高く、また資源的にもほぼ自立した国となっている。さらに、付加価値の高い農産物は、海外でも人気が高まっている。


Aグループの未来社会のイメージ
Aグループの未来社会のイメージ



側面ごとにみた内容


エネルギー

  • 現在の総エネルギー消費の1/2になる
  • エネルギーを環境政策の中に含める(外部経済の内部化)
  • 化石エネルギーの使用は例外的に認める
  • 地域分散型エネルギー、独占ではなく開かれたエネルギー市場へ

国際社会

  • アジア各国の原風景を取り戻す
  • 日本が歩んできた規範的姿勢を模範として示す
  • 日米、東アジアの関係を再整理する

経済側面

  • 会社はモノを売るのではなく、サービスの提供へ
  • 農産物など市場の信頼性を確保する(例:フランスのワイン、チーズの格付け体制など)
  • Uターン等を有効利用し、資源の保全管理をしっかり行う担い手を育てる
  • 環境の良さ、景観を利用した観光業を発展させる

政策

  • 適度に分散された人口配置(賑わいのある質感の高い街づくり。例えば、ニセコや湯布院など)
  • 地方分権を進める
  • 都市のコンパクト化と分散型を併存させる(インフラは同一レベルでなくても良い)

科学技術

  • ユーザー価値が高い価値をどう開発していくか
  • "自然に学ぶ"技術を進展させる(植物の光合成をまねた色素増感型太陽電池など)

環境

  • 生物多様性を回復させる
  • 自給自足を高める
  • 食生活のスタイルを変える
  • 無駄をなくす
  • 森林を天然林、生産林、バッファー林などに明確に分けて使う(ゾーニング)

目標


このシナリオにおける2030年の具体的な目標は以下の2つである。

  • 食品と木材の完全自給
  • 土地本位主義を改める

課題


このシナリオにおける最重点課題3つは以下の通り。

  1. 諸外国との関係向上
  2. 新たな価値の創生
  3. 環境利用のシステム転換

これらの課題を達成するために、さらに以下のことが必要になる。

  1. 環境・農業を重視した社会を作る
    • 環境資源エネルギーのシステム転換
    • 地域のシステムエネルギー、"自然に学ぶ"技術などの開発
  2. 経済と社会の再活性化
    • 地方都市の重層的ネットワークを作る
    • 新しい国際関係(日米関係、アジアとの関係の見直し)
    • 女性、若者が直接意思決定に参加
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