フランスの国土は、本土及び海外の領土からなる(カリブ海のグアドループ、マルティニーク、ギュイエンヌ及びインド洋のレユニオン、マヨットの5つの海外県、及び6つの海外準県等)。面積は欧州連合で最も広く、我が国の1.5倍、欧州最高峰のモンブラン(4,810m)を擁する。人口は約6,500万人と欧州連合ではドイツについで2番目であり、近年、出生率の上昇も注目されている(合計特殊出生率 2.00(2009年)、1.74(1995年))。
表国勢概要
国名 | フランス共和国République française |
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国土面積 | 54万4,000km² (仏本土、仏国立統計経済研究所) |
人口 | 約6,633万人 (2016年1月1日:仏国立統計経済研究所) |
人口密度 | 122人/km²(2017年) |
都市人口比率 | 79.5%(2015年) |
GDP (単位:十億ドル) |
2,865(2011年)、2,683(2012年) 2,811(2013年)、2,834(2014年) 2,421(2015年)(IMF) |
一人当たりGDP (単位:ドル) |
45,430(2011年)、42,333(2012年) 44,132(2013年)、44,291(2014年) 37,675(2015年)(IMF) |
産業別 就業人口比率 |
第一次産業1.7% 第二次産業19.4% 第三次産業78.8% (2016年推計) |
経済成長率 | 2.08%(2011年)、0.18%(2012年) 0.66%(2013年)、0.18%(2014年) 1.14%(2015年)(IMF) |
(情報更新:2017年3月)
図フランスの地図
地方団体 | 数 | 備 考 |
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州(レジオン) | 27団体 | 本土 22、海外 5 |
県(デパルトマン) | 101団体 | 本土 96、海外 5 |
コミューン | 36,680団体 | 本土 36,568、海外 112 |
州(レジオン、région)、県(デパルトマン、département)、市町村(コミューン、communeなお、市・町・村の区別はない。)の3層からなる。コミューンの数が多く小規模であることが特徴的である。
地方分権の進展により、今日では、国土整備においては、国とともに州の役割が大きい。すなわち、1982年地方分権法により、州は公選議会を有する地方自治体となり、県と州の執行権は国の定める知事から、各々県及び州議会議長に移譲された。2003年の憲法改正法により、州は憲法上も県及びコミューンと同様に地方団体と位置づけられた。
フランスではコミューンの数が多く小規模であることから、コミューンを超えた広域行政の、多様な制度が発達してきた。
広域行政組織には組合型と連合型があり、ほとんどが連合型である。組合型は、コミューンの分担金によりコミューンから移譲された単一又は複数の事務を執行する。連合型は、独自財源、課税権を有し、人口規模等に応じて主に4種類(コミューン共同体、都市圏共同体、大都市共同体、メトロポール)がある。2011年1月1日現在、2,599団体、コミューンの95%、人口の91%を占める。これらの組織は、地域総合計画SCOTの策定や経済開発などの分野で権限を有する。
オランド政権下の分権改革では、リヨン・メトロポール(リヨン大都市共同体とローヌ県の一部を統合、2015年1月1日設置)、エックス・マルセイユ・プロヴァンス・メトロポール(マルセイユの6つの広域行政組織を統合、2016年1月1日設置予定)、グラン・パリ・メトロポール(主にパリ市とセーヌ・サン・ドゥニ県、オー・ド・セーヌ県、ヴァル・ド・マルヌ県の地域、2016年1月1日設置予定)が新たに設置されることとなった。
また、複層的な地方制度の改革のため、州の合併、コミューン間広域行政組織の生活圏単位での再編、県の存廃についても議論がなされている。
政策分野 | 機関名 | ホームページ |
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国土政策 | 住宅・地域均衡・農村政策省 Ministére du Logement, de l'Égalité des territoires et de la Ruralité |
https://www.territoires.gouv.fr/?s= |
その他 (旧計画庁の後継機関) |
戦略分析センター Centre d' analyse stratégique |
http://www.strategie.gouv.fr/ |
首都圏 | グラン・パリ公社 Société du Grand Paris |
http://www.societedugrandparis.fr/ |
イルドフランス州 L'Île-de-France |
http://www.iledefrance.fr/ |
フランスにおいては、1950年代からパリ集中を是正し、産業を地方に分散する施策が進められてきた。1963年には国土整備庁(DATAR、現国土整備・地方の魅力省庁間庁(DATAR))が設立され、インフラ整備や多様な支援策が、五ヵ年の経済計画の枠組みの中で進められてきた。1980年代以降、地方分権が進展し、今日では州の役割は強化され、国及び州、地方自治体や広域連合と多層的な次元の連携により、EUの理念も踏まえた国土整備が進められている。経済計画は90年代に第十一次計画が承認されずに終わり、以降は策定されていない。
表国土・地域整備に関わる主な計画
計 画 | 策定主体 | |
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広域的な 空間計画 |
総合サービス計画 (SSC) |
国 |
州整備開発計画 (SRADDT、SRADT) |
州 | |
地域整備指針 (DTADD、DTA) |
国が、国又は州のイニシアティブにより策定 | |
都市計画 | 地域総合計画 (SCOT) |
広域連合等公共主体の協力により策定 |
地域都市計画 (PLU) |
コミューン、広域連合 | |
その他 | 州経済発展計画 (SRDE) |
州 |
1990年代に国土政策に関する議論が活発に行われ、1995年に国土整備開発法(通称パスカ法)、1999年にこれを改正する国土整備及び持続的開発法(通称ヴォアネ法)が制定され、今日の国土政策の枠組みはこれらに拠っている。さらに、2010年にグルネル第2法が制定され、持続可能な開発の側面が盛り込まれた。
図イル・ド・フランス州広域空間プロジェクト
資料:Conseil régional d'Île-de-France (2013) "Schéma directeur de la région Île-de-France"
これまで、1994年に策定されたパリを含む「イルドフランス州基本計画(SDRIF)」に基づき、イルドフランス州が国と連携しつつ首都圏の空間計画を担ってきた。イルドフランス州は2008年に新たなSDRIFを策定したが、国務院からの承認を得ることができなかった。一方、国は2010年に、グラン・パリ公社及びパリ・サクレ公社を通じて国が開発整備を主導する内容を盛り込んだグラン・パリ法を制定した。
グラン・パリ法は、計画契約制度を活用して、公共交通網整備を中心に住宅、科学技術拠点を整備することをうたっており、10の地域開発拠点の整備とそのネットワーク化が計画されている。イル・ド・フランス州では、2008年に策定したSDRIFに基づき公共交通網整備を中心とした計画を進めており、大統領と州知事との合意に基づき修正作業が行われた。
新しいSDRIFは2013年10月に州議会で、同年12月に国務院によって承認された。
(情報更新:2014年3月)