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第4回国会等移転審議会公聴会(福岡)の議事要旨

日時: 平成11年3月18日(木曜日)14時0分〜16時0分
場所: 博多都ホテル
審議会委員出席者: 石原信雄会長代理、濱中昭一郎委員、堀江湛委員、
黒川洸専門委員、戸所隆専門委員
一般参加者: 総計122名

1.意見発表者による意見発表(氏名(敬称略)、性別、年齢(当時))

(1) 氏名:千葉啓之助 性別:男性 年齢:63

千葉でございます。
私は、先ほど政府のほうから、また会のほうから説明いただきましたが、賛成の立場で意見を申し上げます。
賛成の理由、一言で申し上げますと、現在、日本を覆っているやはりこの閉塞感というのを払拭するためには、国民がこぞって何らかの形で参与できるプロジェクトが欲しいな、それの1つがこれではないだろうかというふうに思うからです。
そういう理由をより具体的に、短い時間ですが意見を申し上げたいと思います。
私の意見は、前提、仮説また定義もなく、一方的に私の思いを、このプロジェクトへの期待やらその賛成の理由やらをぶつけてみたいと思います。
第1番に、やはり私が賛成すると申し上げますのは、一極集中ということでございます。私の実体験から言いましても、東京圏で20年間過ごしました。家から都心まで80分かかっております。私、現在、20分で事務所まで行ける。これは、極めて端的な過密ということでございます。
この一極集中がなぜ起きたかということを皆さんに考えていただくために、一言、私の解釈を申し上げておきたいところでございます。
この集中といいますのは、やはり戦後50年余の中で、80年、バブルに--バブルを「成長」と私は申し上げません。成長の一種ではありますが、持続的発展ですが、驚異的な平均10%という'成長’をいたしました。この'成長’は、私どもの所得水準、所得効果も確かに極めて上がって、私どもの生活水準も上がりました。
その反面、生産効果、これも上がってまいります。この生産効果が主因として、集積がいろんな面で起きてきた。これを、今回、こういう国家的なプロジェクトで何らかの形で分散していくという意味で、一極集中をこういう形で分散化できるではないかというようなことで賛成でございます。
2つ目でございますが、国際的な国家を建設したい。
私、「国際」と考えた場合は、4つのジャンルでいつも考えているんですが、経済のグローバル化、2つ目は技術のグローバル化、3つ目は文化のグローバル化、4つ目は、順不同ですが政治のグローバル化。こういうグローバルを進めるためには、現状、きょうの新聞でもここ二、三日、日産・ルノーという、固有名詞を挙げて申しわけないんですが、極めて国際的な産業、経済の統合化という問題が進んでおります。
こういうもの、それとか技術のグローバル化といいますのは、こういう産業交流によって技術も移転しております。ただただ、まだ基本的な技術の交流はそんなに進んでいないというのが私の考えです。
3つ目は文化の交流。これはいろんな形で行われていますが、やはり、これももっと進めなければならない。
政治の問題ですが、いろいろこれは難しい問題があるんですが、1つ、WTOをとりましても、やはりこういうものを率先していく。
なぜこれが、首都機能移転とつながるかと言いますと、こういうものは、やはり常に海外とのそういうセクションで接触しておかないと、なかなか統合とかそういうアイデアは出てきません。
そういう場を移転に伴って、これは私の希望なんですが、そういう場を幅広く建設して、常にカッと言えばさっと、例えば今度建設する場に集まれるとか、映像で直接話できる、通信で話できる、そういう場、それがあれば、すべて今の文化交流でも技術の交流でも、率先してきっかけをつくれる、また、直接その場で行えるということで、私は極めて分散化というのは、こういう面での国際化の国家をつくるという意味で有意義だと思います。
それからもう1つは、当然、これは投資を伴うわけですが、きょうお配りいただいた本を見ますと、大体14兆、15兆ということで、数十年かかって投資するということです。投資の累積効果で、私はこれ、数字、よくわからないところがあるんですが、直接投資とこう考えた場合、大体、累積4倍ということを考えますと、60兆の生産効果が出るであろうと。60兆で数十年というと、、60年で年間1兆円。1兆円というのは、バブルでない、持続的な経済成長に極めて有効な政策ではないだろうか。
それから、内需の拡大。内需といいますのは、申し上げるまでもなく、公共投資、それから民間投資、そういう関係から来る消費ということで形成されると思うんですが、その中で、全体を含めて1兆円というのは、私は過大にならないというようなことで、こういうプロジェクトを国民こぞって進めるべしというふうに思うところでございます。
それともう1つ、私が特に申し上げたいのは、政府の説明にもありましたけれども、これを伴ってエコタウンの建設、ゼロ・エミッションといろいろ申し上げているんですが、廃棄物をできるだけミニマム、ゼロにしていく。
2つ目は、その出たものをリサイクルしていくこと。いろんなところで試みられているんですが、この建設を通して、そういうことをプロトタイプとして、モデルとして、模範として示せないだろうか。これを強力に推し進めて、今問題となっている「環境にやさしい」という、また「潤いのあるまちづくり」を行うというような方向でこの都市建設に当たったら、非常に効果が出る。
一方的な私の論点、4つ申し上げました。ただ、私は特に最後に申し上げたいのは、このことを通して、東京圏の政府的な3つの機関の移転ということでございますけれども、これは、それにつれていろんな民間の施設も移転するわけですから、あくまでも集中度というのは相対的な問題でありまして、中部圏にも近畿圏にもいろんな集積地点がございます。これのモデルということを1つにして、国全体がこういう方向で、国際的なまち、それから一極集中分散、投資、エコタウンというような方向で進んでいけば、国土が非常に立派になっていくというような意味で、私は賛成でございます。
以上でございます。ありがとうございました。

(2) 氏名:木下紀夫 性別:男性 年齢:52

国会等移転のこの法案に反対をしたただ1つの政党であります日本共産党で、私は地元の福岡県委員会の政策委員をしております木下紀夫と申します。どうぞよろしくお願いを申し上げます。
私は、今回の国会等移転の計画に強く反対を表明するものでありますし、その計画の凍結を要求する、こういう立場で意見の表明をしたいと思っております。
その理由を簡単に申し上げます。
第1に、今回の国会等機能移転の問題ですが、この国会移転の必要性について、今やこれは国民的説得力を完全に失っていると私たちたちは考えております。それは、先ほど会長代理からもお話がありましたが、この計画の問題ですが、もともとこれは60年代以降、東京の過密問題の解消策のためとして持ち出されたものと我々は聞いておりますが、その後のこの移転論議の中でのこの議論の到達でも、今、現在の審議の内容は、国会の機能や最高裁判所など一部の機能を移転させても、東京の人口は数十万人移るだけであり、今でも東京は人口が数十万人、年間増加しており、東京の過密の解消には全く役立たない、私たちはこういうふうに考えておりますし、これは審議会の一部の委員の方も認めるところとなっていると私は思います。
それからまた、その必要性について、「人心を一新する」という議論がありますが、それは単なる心理的な効果以上のものしかないのかとその正当性を逆に疑わざるを得ないような感じがいたします。
その後、引っ越しをすれば整理がされるとか、この機会に行革を促進するなどという議論が出されましたが、どれも後からつけ加えられたものという感じがしてなりません。
また、先ほど「地震対策」というお言葉がありましたけれども、地震対策と言うなら、東京自身の地震対策を強化すべきものでありまして、一千万都民を置き去りにして自分だけが移っていくということは、これはやっぱり道理のないことではないかなと私たちは思っております。
また、この国会の移転が、むしろ国会を国民から遠ざけて、国会の論議を国民の意識から離れたところで行う、国会の形骸化につながる危険性もあると私たちはこういうふうに考えまして、この危険性を強くやっぱり国民の皆様にお訴えをしなければいけない、そういうふうに思っております。
そういう意味で、今この国会等の移転問題、首都機能の移転問題について、その必要性が国民的な説得力を完全に失っているということを、私は広く審議会の委員の皆さんがお認めになるべきではないかな、そういうことを強く申し述べたいというふうに考えております。以上が第1でございます。
それから第2の問題が財源の問題です。
これは、昨日、99年度の政府予算案が成立をいたしました。これはご承知のとおりでありますが、この予算案を見ましても、日本の国家財政が世界最大の借金大国になろうとしていることはご承知のとおりであります。
この4月以降の99年度末には、約600兆円の長期債務を持つ国家になろうとしております。そして、この予算案にも出ましたように、元利払いだけでも国家予算の20%を占めるものになっておりまして、99年度は国家予算の4割近くを国債に依存するというおそるべき予算になっていると思います。
このようなときに、国の財源負担がどれだけになるのかまったくはっきりしない、そして、地方の負担もはっきりしない、ただ、先に「移転の計画ありき」とそのような計画では、国民の不安を大きくすることは明らかではないかなというふうに私は思っております。そういう意味で、この計画を即刻凍結をすることがまず大事ではないか、私たちはそのように考えております。
そして、第3番目であります。
この推進が、地方の環境の破壊につながることは明白であると私は思います。今までの国会等移転の問題の審議の中で、「新首都には2億トンの水が必要」という議論が出されておりますが、この2億トンの水や広大な用地など、これを確保しようと思えば、その地域で莫大な開発費用が必要になることはもう明らかであります。また、緑と環境が破壊されることも地域の重大な問題になると我々は考えております。
そういう意味で、今3つの理由を申し述べさせていただきましたけれども、この国会等移転の問題は、どこから見ても国民的な説得力を持たない、そして莫大な費用負担だけが予想され、また、これをやっても景気の対策に全く役立たないことはこの90年代の大型公共投資の流れを見ても明らかではないかなと私は思っております。
そういう意味で、今回の首都移転計画、国会機能移転計画の凍結を強く要求し、これを国民的議論の中で中止をされることを強く要望いたしまして、私の意見の表明とさせていただきます。どうもありがとうございました。

(3) 氏名:谷口稔郎 性別:男性 年齢:62

谷口でございます。
今から、移転の必要性につきまして、若干意見を申し述べたいと思いますが、その前に、今の私の感想を少し申し上げたいと思います。
だれに責任があるのかわかりません。私も含めまして、このことに関しまして知識とかあるいは関心のなさを、改めて周りの人はそういうものを持っていないということにつきましてかなり認識いたしました。その意味では、今度この機会を与えていただきましたので、非常にありがたく思っております。
順次申し上げていきたいと思いますが、まず東京に一極集中するということに問題ありとして、その前提で考えてまいりますと、当然、必然的に人口は集中しますし、交通混雑あるいは環境汚染、基本的な問題が解決されずに、いわゆる「集中は集中を呼ぶ」というメカニズム、このサイクルがとまらなくなってくるというのはよくわかることなんですが、特に集中の中でも、水とごみの問題、これに関しましては、私は非常に気にしております。
私は、過去、全国6つの都市で仕事をする経験をしてまいりました。例えば、その中で東京の7年間の仕事があったんですが、その生活の中では、JRの中央線、この通勤の混雑というのはそれだけで一日の仕事が終わってしまうぐらい疲れたものでございました。一方、地方都市では考えられないほど生の、新しいといいますか、我々の役に立つ情報は非常に豊かであり、密度の高い仕事ができ、一方充実感があったというのも、これも事実でございます。
このような仕事と生活のパターンというものは、本当のあり方かどうかということについては、私、今になってまだ疑問がございます。その状態が首都機能を移転させることでその集中あるいは過密を是正緩和するということにつながれば非常にメリットがあると、そういうふうには考えております。
しかしもう一方では、そのメリットの裏側の不便さというんでしょうか、あるいは特定地域とか特定の人についてのみのメリットというものが生じてくるという、逆に言えばデメリットも発生するということになりますから、したがって、かなり慎重な検討と対応が必要ではないかなというふうに考えております。決して、特定の方の利害関係のみの問題としてはならないというふうに思っております。
次に、私の経験から、災害の問題について若干申し上げたいと思いますが、政治・行政・経済の拠点を分離することによって、災害発生時における同時被災、これから免れるという、こういう問題はあろうかと思います。
首都圏は過去に大災害の経験もございますし、その予測も危惧されております。私は実は神戸に長い間生活しておりまして、また、阪神・淡路大震災も目の当たりにいたしました。私の親族も精神的に大きなショックを受け、自分をなくしたということがございますが、仕事の関係でも、復興の手助けとして数カ月間、約3ヶ月ばかり神戸に駐在勤務いたしました。
そのとき、都市の大きさゆえの問題点や怖さというものをつくづく感じました。ラーメンがあっても、水はないんです。トイレもないんです。そこらじゅう走り回っても、なかなかそれを見つけることができない。それが数カ月も続いて、道路や交通、これもまともではありませんし、既に安定した日常生活というものが完成に近い都市基盤の上に成り立っているとき、この大きな災害というものは非常に問題があるというふうに感じます。
一例で申しますと、あるところに頻繁に毎日通った。通わなければならない仕事があったわけですが、レールはもちろん不通ですし、あるいは、普通ですと車で二、三十分で往復できるところが、実は自転車とあるいは足で一日がかりで行って帰ってくる。
こういうことは、1つは橋が壊れているんです。橋がなくなって、川で道路が寸断されて、そのとき大都市の現状を今こそ真剣に考えてみないと、もし事故が起こった場合はどうするんだというふうに思いました。いわゆる大都市は、その大都市が存在するだけで大きなリスクを抱えている、こういうことをまざまざと感じたものでございました。
それから次に、規制緩和を初めとする国政改革及び政経分離の面からの必要性について考えていきたいと思いますが、現状のままでは抜本的な国政改革というものは進行しがたい。したがって、政経分離によって既存の政・官・民の関係を改善して、地方分権等の国政全般の改革を効果的に行うという考え方がありますけれども、なぜそれでは、それが東京でできないのかという考え方もまだ一方で私の疑問として残っております。
いろんな事件がございますが、物理的な政経分離の実施によって、体質の改善ができるという、そういう考え方なのであればですが、癒着体質そのものは単に物理的な距離が解決するというものではないと思っております。箱物やあるいは距離の問題ではなくて、立法府あるいは行政を加えて財界そのものの基本的なあり方に問題があるのではないかというふうに私は考えております。
次は、景気対策用の必要性から考えてみますと、新首都建設とあるいは首都機能そのものの移転によって、建設業であるとかあるいは運輸業であるとか、そういうものをあるいは支える金融機関あるいは金融保険業、そういうものも活性化されて、ひいては内需拡大によるというふうに表向きには考えられるんですが、しかし、移転は費用が非常に膨大でありますし、公的負担とかあるいは民間投資、この辺は非常に現在の状態では厳しいのではないかというふうに思っております。まさにタイミングが悪過ぎるというふうに思います。
最後になりますが、意見の最後に1つ申し上げたいんですが、この問題が提起をされてからもうかれこれいろんなことを入れますと四半世紀になるわけですね。もちろん決議が行われ、部分的には法律も制定されると思いますけれども、しかし、この国民的な大プロジェクトですから、皆さんが、国民全体がきっちりと納得するまで理解しなければいけないということはよくわかります。しかし、賛成とか反対とか言う前に、もう一度練り直して、そしてもっと若い人、若いこういうことを考える委員の方も入れて、そしてもう一度ここで考えてみるというのも、これからのこういう問題について必要なことだと思います。
したがって、お願いしたいことは、政府公報であるとかあるいはマスコミ等あらゆる情報網をさらに活用して、コンセンサスを得られるような形で進めていただきたいというふうにご提案申し上げたいというふうに思います。ありがとうございました。

(4) 氏名:田中邦穂 性別:男性 年齢:62

発表の機会を与えていただきまして、ありがとうございました。田中と申します。
首都機能移転につきましては、今日までいろいろな視点から検討されまして、その必要性が議論されておりますが、私は行政の効率化という観点から若干意見を申し上げたいと思います。
まず第1に、俗に「集中が集中を呼ぶメカニズム」と言われる東京への一極集中を是正することで、財政の投資効果を上げ、さらには行政の効率化と質の向上を図ることができると考えます。そのために、首都機能を移転することが必要であると思います。
現在の首都東京は、政治、経済、文化を初め芸術、教育そして情報などすべての分野において日本の中心地であります。私ども地方都市在住者、特に若い者にとりましては、東京へ行けば何でもそろい、何でもできるという気持ちが強く、事実、そのとおりであることは認めざるを得ません。
しかしながら、今後、国政全般における効率化を図り21世紀へ向けて新しい日本をつくるためには、現状のまま東京一極集中でよいということにはならないと思います。
今の首都東京をより機能的な都市に変えていくことができるのか、また、莫大な資金を新たに投資しても、投資しただけの十分な効果が得られるのか。
仮に同じ額を投資した場合を考えてみますと、地方都市では効果が多大であるのに対し、首都圏での限界投資、例えば土地取得に見られますように、効果が極めて少ないと思われます。首都圏に地方都市と同程度の投資効果を得るためには、本当に莫大な資金が必要になります。例えば首都圏に新たに高速道路や地下鉄等の公共交通機関の整備をするとすれば、費用的にも時間的にも、膨大な資金と労力を必要とします。そして、仮に膨大な資金等を使って整備できたといたしましても、整備したことがさらなる利便性を呼んで、さらなる一極集中を生み出していくことになります。それがまた自由主義経済の原則でもあるわけです。まさに「集中が集中を呼ぶメカニズム」に陥ることになると思います。投資効果という点から見ても、今の首都圏とは全く別の場所に、機能を重視した新しい首都を一からつくり上げていくべきであると私は思います。
第2に、地方分権の政治体制を確立し、加えて、徹底した民営化を推進するためには、既存の政・官・民の関係を改善することが必要でありますが、そのためにも、首都機能移転は絶対に実施すべきであると考えるのであります。
ここで、最近私が関係いたしました思いつくまま2つの具体例を引用させていただきます。
まず1つ目は、小・中学校の学級編成の問題であります。今、全国の多くの地域で小・中学校、特に小学校で40名以上の学級を30名学級にして、先生の目がよく行き届くようにしてほしい、そういう要請が強く上がっていると伺っております。
学級編成は、小・中学校を設置している市区町村教育委員会が行いますけれども、この編成に際しては、あらかじめ都道府県教育委員会の認可を受けなければならず、この認可は都道府県教育委員会の定める基準により定められ、さらにこの基準は国の法律による基準をもとに定められるとのことであります。
言うまでもなく、学校は子供たちの教育の場でありますから、学級編成も子供たちの教育に効果的であるように定められるべきであります。教育論、教育制度などいろいろ議論のあるところではありますが、いずれにいたしましても、もっと自由な学級編成を認めるべきであると思います。
次に、引用いたしますのは、これから重要度を増すと思われます福祉面についてであります。
福祉事務所の設置については、社会福祉事業法に基づき、主に人口規模が設置要件とされております。そのため、地理的条件や利用する側からの利便性に基づく設置にはなっておりません。都市によっては、法の規定により人口比率を基準とした設置数が既にありますけれども、地理的な問題で利用者の一部の人は往復半日もバスに乗らなければならないケースもあると聞いております。
地方分権の観点から考えますと、法による福祉事務所の設置基準を廃止し、国の役割としては、単に設置に関する目安を示すことにとどめ、地方自治体が主体となって地域の実態を十分に考慮し、利用者の立場を踏まえて設置することが適切なことであると考えます。
さて、地方分権を実現していく前提条件として、地方自治体が中央官庁の権限を十分に移譲され得るだけの組織でなければならないと思います。そのためには、地方自治体の職員1人1人が切磋琢磨し、個々人の資質を高めるとともに、組織自体を見直し、機能的で効率的なものにしなければならないことは言うまでもありません。人は責任を持たせれば、その責任に応えるべく努力をし、応えるようになるものだと私は思うわけでございます。
最後になりましたけれども、「移転先をどこにする」の問題であります。
今日までの検討の中で、先ほどもご説明ありましたように、首都移転の候補地選定のための調査対象地域として、北東地域、東海地域、三重・畿央地域の3地域が選定されております。首都機能移転に関する各界の方々の意見の中には、地方分権と徹底した民営化が確立されれば、中央政府に足を運ぶ回数も少なくなることから、首都はどこにあってもいいのではないか、こういう意見もあるようでございます。
私は、国家的一大プロジェクトをこの機会に、思い切った地方分権を実施し、首都機能は極めてコンパクトなものにすべきだと考えます。したがいまして、首都移転先につきましては、目下の調査対象地域のどの地域であってもよいのではないかと思うわけでございます。
要するに、首都機能移転とは、すなわち中央官庁の権限移転であり、そのことが行政の効率化であり、質の向上につながることであると強く申し上げたいのであります。
以上であります。ありがとうございました。

(5) 氏名:三輪俊和 性別:男性 年齢:55

私は、首都機能移転に反対し、根本的な議論をして、この計画を見直すべきだという立場から発言させていただきます。
それには3つの理由があります。
第1理由は、この首都機能移転そのものが大義名分がないということでございます。第2は、それゆえに、必ずこれは莫大なむだの投資になる。したがって、今日の財政危機を深刻化するからであります。第3点は、国民主権、民主主義という点からも問題があるからであります。
第1点の、首都機能移転は今なぜ必要なのか。きょうお配りされましたパンフレットの8ページにも書いてございますように、3つ理由が掲げられています。「今なぜ移転が必要なのですか」。それは「国政全般の改革を促進」するからだということであります。
なぜ首都移転したら、国政全般の改革が促進するのでしょうか。先ほどの石原会長代理も、「必ず促進するんじゃないか」というふうな発言でございました。私は今までいろんな文章を読んでみましたけれども、首都機能移転によって国政全体の革新が進むという説得的な論拠を見つけ出したことはありません。
確かに地方分権はすべきであります。地方分権をするためには、地方の自主財源、地方の財源自立をすべきでありますが、そのためには、地方財政を抜本的に変える必要がございます。首都移転することによって地方財政が改革されるのでしょうか。私は、この「国政全般の改革を促進する」というものの根拠をしっかりと示さなければならないと思いますが、全くこれは論拠がございません。
第2番目は、東京一極集中の是正のために必要だということであります。
第2番目の発言者の方も反対の立場から言われましたように、60万人の新首都があって、その半分の30万がたとえ移ったとしても、東京圏3,000万人のうちの30万人でございます。これによって東京の一極集中が直るどころか「集中が集中を呼ぶメカニズム」が直るはずはございません。「集中が集中を呼ぶメカニズム」が直るためには、現在の東京の開発計画、東京の臨海副都心計画を初めとする開発計画そのものを抜本的に見直すべきであって、首都が移ることによって「集中が集中を呼ぶメカニズム」が直るわけでは決してございません。そのように考えます。
いよいよ最後に残るのは、災害対応力の強化が必要だということであります。これは、読んでみると、石原会長代理の話では、危険なところから安全なところに首都機能を移すということでございます。ここには、3,000万人東京圏住民の安全という考慮は全くございません。政府の安全だけであります。
先ほども神戸被災の経験が語られましたですけれども、確かに、本当に今東京都民初め住民の災害に対する安全対策は、これこそ国家プロジェクトで私はいかなるお金を使っても進めるべきものであって、決して東京の危険をそのままにして政府だけが移転するというのは何たる発想かというふうに思わざるを得ないのであります。
以上、3点、大義名分が掲げられておりますが、全く大義名分になっておりません。したがって、効果はございません。国会移転によって東京の一極集中が是正されたり、国政全般の改革が促進したり、東京都民の災害対策が進んだりすることでは決してございません。むだなのです。効果がないから、これに対する莫大な金を使うことは膨大なむだになるというのが、私の第2番目の反対の理由であります。
1992年に国土庁が取りまとめを行いました。そこでは14兆円という試算が出ております。用地費5兆円、施設整備費9兆円でございます。これには、アクセスの交通路そのものは含まれておりません。14兆円そのものも、国会答弁では、いや、それはもっと20兆円や25兆円になるかもしれないということでございます。試算そのものがどのような根拠でなされたのかはっきりいたしません。
そもそも開発地域が9,000ヘクタール、きょうのパンフレットでは8,500ヘクタールになっておりますが、その規模というのは東京の山手線の内部の面積の1.5倍でございます。これだけの開発をしようというわけですから、全般的に見たら、素人で考えても100兆や200兆の規模にならざるを得ないのではないかというふうに思うわけでございます。
ところが、本日のパンフレットの18ページには、「移転にはどのくらいの費用がかかるのですか」と、最終的に見てみたら、驚いたことには、わずか12.3兆円だと。公的負担はわずか4.4兆円だと。しかもここには、新幹線や高速道路や航空費の費用も含まれているということでございます。私は、これは全くどんな試算をしたのかと。審議会の試算だとなっておりますので、きょう審議会の委員の皆様がおられますので、ぜひこれは聞いてみたい。絶対に答えられない、これは。候補地も決まっていないし、施設も決まっていないし、どういう移転かも決まっていないのに、なぜこれだけの試算ができたのか。細かい試算を公開すべきだし、もしこれが合理的な根拠で示せるような方は超能力者だと思わざるを得ないのであります。
このように、膨大なむだが今なされようとしていることに対して反対でありますし、それに対する財源についても、現在、財政危機が今600兆円の国債、地方債その他の債務があるというふうに発表がありましたですけれども、その中で、これだけの財政負担を強いるようなことをやるというのは、大義名分もないのに何事かと言わざるを得ないのであります。
しかも、この審議会の主要な任務は、11月ごろまでに候補地を選定するということであるらしいのですが、その調査費用もこれまでに13億6,000万円ほどかかっております。さらに、それぞれの受け皿はもちろん「首都を我が地方に」ということで、その宣伝費だけでも既に10億円以上がかかっているということらしいのでございます。この際、一切はむだになるのではないかというのが私の意見であります。
最後に、民主主義や国民主権という観点からでも問題があるのではないでしょうか。
つまり、東京にあるから、東京の首都というのは日本の首都であります。そこには、人口の4分の1が集中しております。国会をその人口の集中点から移していくということでございます。
現在、官庁の新しい建てかえやら第2庁舎の建てかえも行っております。引っ越しする前にいろいろ建てかえているものですから、いやいや引っ越すのは単に国会とか政策立案能力部門で小さい部門で、大部分の行政部分は東京に残るのだという説明でございます。そうしたら、国会というのは国民から離れるところに残すだけでなく、行政の本体までも東京に残したまま国会が移るということでありまして、これは、国民主権から見てどうなのか、大変問題があるのではないかと言わざるを得ないのであります。
以上、3つの理由から私は反対いたします。以上です。

(6) 氏名:見城正浩 性別:男性 年齢:46

見城でございます。
福岡市内の会社に勤務しておりまして、県内の地方都市に住んでおります。東京とのかかわりは、学生時代に、二十数年前でございますか住んでおりました。現在は、年間数回業務で出張をして上京しております。
首都機能移転につきまして私のスタンスでございますが、いわゆる遷都という問題につきましては、基本的には賛成でございます。ただし、少し注文がございますので、後から2点ほど述べさせていただきます。
それから、先ほどお話にもありましたように、場所という話が非常に逼迫しているということでございますが、これにつきましては、国民全体の時間と費用の総コストを考えていただきますと、余り人口と経済のバランスを崩すようなところに持っていくわけにはいかないのではないかと思っております。具体的には、東京と大阪の中間で自然災害の少ない地域というのが妥当ではないかというふうに考えております。
それでは、首都機能移転につきまして2点ほど述べさせていただきます。
まず第1に、先ほども意義をいろいろ申し上げられておりましたし、これはパンフレットにも書いてございますけれども、意義とかこのあたりになりますと、余りいろいろ言ってはいけないのではないかと思っております。私は、1つの理念として「国政改革」というものを1本旗印で上げていただきたいというふうに考えております。そのほかの件は、その次に続く基本的な方針ですとか目的とかそのあたりに入れていただきまして、基本方針、基本理念を1つにしていただきたい。
これは、いろいろ実はこのお話があったときに、私の周囲の人、特に新聞をよく読んでいる方にいろいろ取材をしてみました。そこで聞いた話で一番多かったのは、「首都移転、またですか」これが非常に多うございました。その次にありましたのが、「これは景気の悪いときに出てくる話だ」という話が次に多うございました。それから、いよいよの人は、「これは問題が山積みしているから、これを解決するため材料で出ているだけだぞ」こういう意見の方もおられました。
これは、正しい理解をなされていないと審議委員の先生方は言われるかと思いますけれども、そういうことがあるということは、世論は味方になっていない。非常にPRが足りなかったというふうに考えております。
そういう状況ですから、幾つもあれだこれだと述べるのではなく、まず1つ。後に個々の目的を付加するような進め方をぜひお願いしたい。首都の移転というものにつきましては、当然のことではありますが、景気がよくなったら消えてしまうとか、東京の過密対策の手段だけですとか、こんなふうに考えてはいけないと私は思っております。あくまで国政改革のためだ、これを旗印にお願いしたいと思っております。
その後に、中央官庁のスリム化とかいろいろございました。規制緩和、分権いろいろ。こういうのは後でつけていただきたい。
なぜこういうふうに申し上げますかというのをもう一度申し上げますと、首都の移転とか遷都というこれは、大きな問題でございます。これを実現するためには、余りに多くのことを解決する必要がございます。解決するということは、広範な理解を得ながら進めていかなきゃならないということがございます。そのときに、あれもこれもと言っていますと、あれに引っかかり、これに引っかかり、どうなりますかというと、いろんな疎外要因が出てきまして、最後には妥協の産物の移転というふうになりかねません。
ぜひとも「国政改革のための移転である」ということをぜひ述べていただきたいと思っております。
今回の首都移転が実現いたしますと、これは政治に無関心な層とか無党派層とか言われているような人々に、国家というものを考えていただく絶好な機会ではなかろうかというふうにも考えるわけでございます。それほどインパクトの大きなものでございます。あれこれ言わずに、1つでお願いしたいなと思います。
国民の総意に応えるために、その進め方としては基本をアピールし、国政改革の議論をオープンにし、多くの国民にわかりやすく説明して、世論を味方にしながら進行していくというふうにお願いしたいなというのが1点目の注文でございます。
それから第2点目でございますが、何人も申されておりますように、財政の観点からの心配をなくしていただきたいということでございます。
首都の移転だけではございませんけれども、幾ら何でも、余りの借金財政ではないかというのが一般国民の一般的な受けとめ方ではなかろうかと思っております。国の大規模な事業に関しましては、国民の相当程度のチェックを受けなければいけないというふうに考えております。
私は、党派は別にこれというのはございませんけれども、福岡県で申し上げますと、昨年の福岡市長選挙それから福岡市のお隣にあります古賀市長選挙というのが昨年ございました。この選挙では、大規模開発、地域によっては、国から見たら小さいんですけれどもその地域にとっては大規模という、そういう開発が選挙の焦点となっておりました。いずれも、福岡市も古賀市も開発を差し止め、もしくは延期というのを公約した新人候補が当選しております。しかも、破った相手は現職で2期、3期と続けてやった方でございました。
民間では長年研究してきた事業計画とか、あるいは実施に踏み切ったいろんな事業でも、時代に合わなくなったり将来的に採算がとれんという話になりましたら、縮小もしくは即座に撤退をいたします。当たり前のことでございます。これが、地方自治体にもそうなってきたということでございます。
そうしたら、国家にあっても当然そうあるべきではなかろうかという感じがしております。つまり、費用対効果が薄いとか財政再建が進みそうにないということであれば、撤退も必要じゃないかというのがございます。
私は最初に「賛成」と申し上げたんですが、やめることばかり今言っているわけなんですけれども、そのぐらいに、今、日本国の財政が悪いんじゃなかろうかという心配があるというところでございます。もう会社でありましたら、債務超過で倒産ではなかろうかとか、破産管財人がもう来ているんじゃないかとか、そういう状況ではないかという危惧がつきまとってしようがありません。
地方もそうでして、この福岡県ももう少しで財政再建団体になるという報道がなされております。ぜひともこの辺の心配をなくしてやっていただきたいなという気がしております。国家の財政の問題ですから、直接関係はないんじゃないなかというのがございますかもしれませんけれども、予算措置というのは非常に重要なことになっております。国にとってこれ以上の負担に耐えられるのかという国民の疑問にはぜひとも応えた内容にしていただきませんと、我々は賛成しようかどうかというのは非常に難しい状況になるのではないか。しかし、ぜひともやっていただきたいというのがございます。
第1点目と第2点目のお話をまとめますと、国政改革というのを実現するために、スリムな政府・官庁、規制の少ない社会を出現させるということでありましたら、費用はかかっても遷都は実施する方が望ましいと考えております。
ただし、そういうのが無視され、基本理念がなし崩しになり、費用だけがかかるということになれば、断固として取りやめるべきだというふうに考えております。
先ほど申し上げましたけれども、私、年間数回東京に出張しておりますけれども、いつ行きましても、空気がくさいんです。水がうまくない。それに加えて、学生のときに住んでおりました東京は、川がどぶでございまして、多摩川は洗剤の泡だらけでございました。最近行きますと、川はよくなっております。しかし、夕方になりますと、すぐに空が黄色くなってきております。実際夕焼けというのは真っ赤なはずでございまして、東京は黄色くなって暮れていく。どこかがおかしいのだと思っております。
東京の一極集中是正というのは入っておりますけれども、まず国政改革のために首都を移していただきまして、残った力で東京も改革していただきたいというのが意見でございます。以上でございます。

(7) 氏名:秋山勝洋 性別:男性 年齢:48

秋山と申します。
私は、福岡で企業の労務管理のコンサルティングをやっております。従業員の方の労働条件であるとか、あるいは賃金制度であるとか、そういうものについてのコンサルティング業務をやっております。したがいまして、日常の中で政治活動の場で活動しているという者ではございませんけれども、今回こういう国政に対しての意見を申し述べる機会があるということを知りまして応募させていただきました。
さらに、私はそういう日常の業務のかたわらで、政府派遣の選挙監視という業務をさせていただいております。カンボジアでありますとか、あるいはサラエボでありますとか、南アでありますとか、そういうところで過去8回ほど選挙監視の業務をさせていただきました。
その経験を通じて思いますことは、一番大事なことは、人々が自分の意見を自由に述べることができることであるというふうに感じております。今回の公聴会の開催、これにつきましては、まさにだれでも発言をしてよろしいということがありまして、政府のほうでも、国民の声をいかに反映させるかということについてご腐心されておると思いますし、私もこういう機会で話をさせていただける機会が得られたということを大変ありがたく思います。
ところで、この首都移転問題につきまして、では自分の立場はどうかと言われますと、現在の時点では直ちに「賛成」とは言えない。あえて申し上げれば、「反対」と言わざるを得ないと思います。
と申しますのが、先ほどのご説明にもありましたように、平成2年のその国会の決議で、現在までいろんな審議会あるいは現地調査、進められてきたということではありますけれども、果たしてそれが国民の中でどれほどの関心を呼んでおるのか。
私も今回公聴会に出るということで、周りの意見を聞いてみたんですが、「首都移転、何?」という声のほうが多くて、私自身も唖然とするくらいでありました。そういうところで首都移転をやろう、候補地を選ぼうとすると、それは、それが果たして国民全体の声と言えるのだろうかということを感じます。ということは、それよりも前に、国民はいろんなことを感じておるし、いろんな問題を抱えているんだなというふうに思います。
したがいまして、まずその国民の声をいかに大きく吸い上げるか、あるいはその首都移転ということに対して、もっと周知をする、意義についてあるいは概要についてお話しをいただく、そういう機会をもっと実は多くしていただく必要があるのではなかろうかとまず思います。
それと、現在の政府の重点項目の中に、行政改革がございます。では、この行政改革とこの首都移転問題とどのような関連があるか。先ほど、会長代理のご説明がありましたけれども、それでもまだはっきりと私としては納得できないところであります。
大分県の平松知事さんが、「姿なき転都」ということを言われております。すなわち、国政としては外交あるいは防衛、そういう国としてのすべきことをやり、地方においては地方分権ということを言われて「姿なき転都」ということを言われていると思いますが、私といたしましては、そういう地方分権ということと行政改革という兼ね合いで考えるほうがより一層の理解を得ることができます。果たしてその首都移転というものが、直ちにそういう行政改革の中で効果を上げることができるのかということを感じております。
先ほど申しましたように、私は企業人といたしまして、法律を遵守してそれを運用するという立場で社会生活を行っております。しかし、それにしましても、さまざまな規制というものがございます。そういう規制の解決のために、日々、右往左往しなければならないという状態でございますが、それと、行政の壁の高さというものを感じざるを得ません。そういう中において、首都移転でもって直ちにこの、いわゆる行政改革がなされるものであるだろうかということを感じるわけでございます。
それと、「地域の活性化につながる」と。先ほど、遷都することによって1つのモデル地域ができるということをお話しいただきました。実はしかし、私、資料のパンフレットを見させていただきましたが、そこで感じましたのは、実は、これはマンションの販売のパンフレットと同じだなということを感じたわけであります。
と申しますのは、マンションを探している人たちにとっては、このパンフレットというのは非常に興味があるもので熟読をしようという気が起こるのではないか。ところが、既にマンションを持っている人にとっては、これは他人事でしかないのではないか。
私は、福岡という地域に住んでおります。こういう地域に住んでおりますと、ではそれが我々の地域、あるいは日本全体の活性化というふうにどういうふうにつながっていくのかというものがはっきりと見えないわけであります。その首都移転のノウハウというものをどういうふうに今後生かされて地域の活性化を図ろうとされるのかというところを案じているわけであります。
私は、この首都移転問題というのは、単に東京の一極集中ということのみならず、日本全体の活性化ということで考えるならば、まず第1になすべきことは、行政の果たす役割の再構築といわゆる首都機能の地方への分散化というものが必要ではなかろうかというふうに感じます。
それと、パンフレットの中にもございましたが、「国際貢献を目指す」ということがうたってありましたけれども、その中に、国際会議の回数が世界の国に比べて少ないということが書いてございましたが、これは決して回数の問題ではないであろうと思います。
私は、先ほど申しましたようにいろんな国々に参りました。内戦で疲弊した都市、あるいは殺戮、差別、いろんな地域でいろんな苦しみを持っております。日本としては、もっと積極的にイニシアティブをとって世界に対するお手伝いをすることができるであろう。それと首都移転というふうに感じましたときに、やはりこれは、もっと世界を見据えた議論が必要でありまして、その中で、首都というものを考える必要があるのではなかろうかというふうに思います。
最後に、この審議会でいろいろ委員の方々はいろんなご意見をお伺いになろうかと思いますが、ぜひこれを公聴会ということで意見を吸い上げ、そして国政に反映されるということであるならば、十分にこれを審議していただいて、今後9回あるということを聞いておりますが、その中での運用というものをお考えいただいて、「まず移転ありき」ではなくして、それの妥当性というものをさらにご検討いただきたいと思います。どうもありがとうございました。

(8) 氏名:池上秀一 性別:男性 年齢:38

北九州市から来ました池上でございます。
私は、日ごろから青年会議所のメンバーとして地域のあてづくり運動に携わっている者の1人でございます。ここ数年、青年会議所といいますのは、地方分権ですとか地域主権について真剣に取り組んでいる団体でもございます。
きょうは、青年会議所内部の意見は全く聞いておりませんで、私個人的な意見、一中小企業のオーナーとしての意見ということで意見を述べさせていただきたいと考えております。
基本的には、国会等首都機能移転については賛成でございます。まずは東京の一極集中を是正するという関連から大賛成でございます。先ほどの方は何か、「国政改革」に1本ということを言われましたけれども、私としては、東京一極集中ということを是正するためのこの1本でやっていただきたいなと考えております。
といいますのは、やはり心配なのが財源の問題でございます。500兆とも600兆とも言われている赤字財政の中で、本当にそれはできるのか、その財源をどこから持ってくるのかなという本当に心配がございます。先ほどの方も言われていましたけれども、まずその心配を私たち国民から取り除いていただきたいというのが、もう一番の観点でございます。
私の友人たちとその財源についてどうするんだろうねという話をよくするんですけれども、例えば、東京から移るわけですから、あの霞が関の一帯が仮に空っぽになったならば、その霞が関を災害のためにだけ使うのではなくて、一企業とすれば、多分そこを有効利用して財源に使って、そして新しいものをつくっていくのではないかなという気がします。そういった方向性をまた打ち出されれば、また1つの財源の案になるのではないかなと、そういう私どもの素人の意見ですけれども、そういうことも言っております。
それから、この国会等の首都機能移転と、地方分権ですとか地域主権という問題がどう絡みあうのかなという気がします。別に、移転しなくても地方分権、地域主権はできるわけですから、この移転との絡み合いがどうも私はパンフレットを見てもはっきりしませんでした。
それからもう一つ、規制緩和の問題にしても全く同じでございます。何も、移転しなくても規制緩和はできるわけですから、移転との結びつきがどうしても、どのパンフレットを見てもわかりませんでした。ぜひ最後のまとめのところで、その辺のところをもう少し詳しく教えていただければと思っております。
基本的には、私も今、一企業のオーナーで不況の中で本当に苦しんでいる最中でございます。この大きなプロジェクトが本当になれば、私たち中小企業にとりましては、建設業のみならず日本国中すべての産業においての、この不況を吹き飛ばす起爆剤といいますか、そういったものになるのではないかなという意見が私の友人の中ではほとんどの意見でございました。ぜひそういった前向きの意見として、この問題に取り組んでいただきたいと思っておりますし、そういった心配事1つ1つをつぶしていただいて、ぜひ審議会の皆様にはご活躍をいただきたいと思っております。以上でございます。

2.出席した各委員の感想等

【濱中昭一郎委員】

濱中でございます。
私は、今横浜に住んでおりますが、現在の東京圏の道路1つとってみましても、合流する地点が、首都高速の場合は追い越し車線に合流するという、この世界の都市でも余りない、そういうのが至るところに首都高はございます。
では、なぜそんな危険な合流地点をつくるのか。通常の道路の常識にないものをつくっているわけですから。
ところが、我々素人が見ましても、周辺の住宅の状況、道路の面積のそういう許容状態から見ても、とても通常の合流地点を考えるという余地がない。事ほどさように東京圏の過密状態というのは、これは物理的な面でございますが、そういうふうになっているということで、ですから、ここいらの問題は、もう今は限界に来ているんじゃないかと。
といいますのは、最近つくります東京での幹線道路でもう既にそういうものをつくらざるを得ないというやつですね。昔できた道路のことを言っているのではなくて、今つくっている道路ですらもそういうことをつくらざるを得ない、そういう状況ですので、本当にこれは限界に来ているんじゃないか。
そういう意味合いの、先ほどからもいろいろ出ておりますように、政治経済や社会、情報、文化、あらゆる面の価値基準の頂点が東京にあるという現状を改めるのは、なかなか東京の改革だけではこれは難しいのではないか。そういうことで、私自身もいろいろな問題を考えたいと思っております。
きょう、いろいろお聞かせをいただいた中で、実際にどうするかということでいろいろ考えてご発言をいただいたというふうに、そういう点を非常に印象を受けました。
その中で、谷口さんが「大都市が存在するだけでリスクがある」ということ、これはやはり災害の原点であろうと思います。
それから、田中さんが発表された中で、いろいろ抽象的に地方分権を進めるとかそういうことを言われるのではなくて、学級編成のことであるとか福祉面であるとか、いろいろ地方分権について具体的に検討されているなということ、こういうのを非常に感銘を受けました。
それから見城さん、「東京も改革をせにゃいかん」。まさに、そういうことであろうと思いますので、これも大変ありがたいご意見というふうに聞きました。
それから、会場からいろいろご意見を賜って、全部時間がなくて見れなかったんですが、なぜか栃木県から女性の方がお見えになっているんですね。その方が「広報をひとつ徹底をしなさい」ということがございました。確かに、広報はまだまだこれをやらないと、なかなかみんなの理解が得られないんじゃないか。
そういう中で、「自分は今までこれについて余り関心も理解もなかったが、公聴会に出席をして理解できた」ということを書かれた方もございましたが、福岡市の方で、「公聴会とはこのようなものか」というかなり手厳しい意見もございました。で、私は、この公聴会で1億2,000万の国民の声を聞く、そんなものではなかろうと思います。ただ、私は、公聴会でいろんな方の意見が聞けると同時に、ここは報道関係の方もいろいろ見えていると思うんですが、やっぱり公聴会のことを、今度はこういう公聴会を始めまして、これが4回目ですが、相当いろんな報道、一般紙も通常のそれぞれの地方にある新聞ばかりではなくて、いろんな新聞でこの公聴会のことが報道されて、いろんな論点も紹介をされております。したがいまして、やはり公聴会を開くというのは、そういう面の意味合いも非常に強いのかなと思っております。そういうことをいろいろ我々も努力しながらやっていかないけんなと思っております。以上でございます。

【堀江湛委員】

委員の堀江でございます。
ただいま、皆様方のさまざまなご意見を承りながら、それぞれ、まことにごもっともなご議論だなというふうに大変感銘を受けながらお話を伺っておりました。
しかし、そういったご意見の中で、私、ただ1つ気になったことがございますが、実は、国会等を移転するということは、東京のすべての機能をこの新しい首府に移転するということではないわけでありまして、ご議論の中で、東京に対する社会・経済的なあるいは文化的な活動が極度に集中している、これがけしからんというお話と、それから、そういったさまざまな活動を集約しているそうした国会・政府あるいは最高裁判所によって構成されるこういった統治行政のシステム、これが東京にあることが問題なんだというご意見、これはちょっとレベルが違う話ではないのかなという気がいたしておったわけであります。
しかし、そうは言いながらも、現実の日本のこれまでの政治経済というものが、両者が深く密着していた、したがって、東京における政治・行政の権力の集中が同時に社会・経済活動や文化活動の集中とも結びついておったというところに、恐らくそういった両者を分けて、異なる働きをするものとしてとらえることの難しい点があったんだろうと思うわけであります。
私、もう10年以上前でありましょうか、東京都で当時「13号地」と言っておりましたが、今はデートスポットで有名なウォーターフロントをどういうふうに使うかという、そういった議論をし報告書を書く会に加わっていたことがございますが、そのとき、当初、あのウォーターフロント、今フジテレビが移っておりますが、あれがインテリジェント・シティの中核にしたい、もう1つは第2の金融センターをつくりたい、こういうお話でありました。
それに対して金融関係者から、それはむりだというご批判が出ました。そのときのエピソードを私、大変感銘をもって聞いたのでありますが、都市銀行の本店は兜町から近くなければいけない。それからもう1つは、大蔵省から近くなければいけない。もし、直下型地震で大災害が起こったときに、一番若い行員が紙と鉛筆を持って駆けていけるところに兜町と大蔵省がなければならぬ、こういうお話でありました。
私、勝手にいろいろ、なるほどなと思いながら計算しておりましたら、戦前から昭和30年代ごろまでは、どちらかというと、丸の内から日本橋あたり、最近の新しい都市銀行の本店は大体日比谷界隈。つまり、兜町から最近はずっと大蔵省寄りに都市銀行の本店が移っておるなと、やっぱりこういうような気がしたのでありますが、しかし、実はそれが1つの、これまでの戦後50年間、日本の経済復興を進め、あるいは高度成長を進めていくという大きな政治・行政、これが中央政府主導のこのいわば経済成長推進策というものであったと言えるのではないかと思うわけでありますね。
そうすると、ではそれで今後もいいのかというと、これはまさに皆さんご存じのとおり、今や国際化と情報化が著しく進んで、今までの行政手法というものが本当に民意を集約しながら適切、妥当な公共政策を策定するのにいいのか、どうもそうではなさそうだ、そこから今、行政改革の動きが澎湃として起こっているわけでありますし、同時にまた、地域それぞれの実情がございますので、したがって、可能な限り地方に権限を移譲することによって、地方分権を進めることによって、住民の生活や日常の活動と密着したそういった行政を進めよう、地方分権が進んでおるということになるわけであります。
したがって、もし仮にこの行政改革の結果、徹底した規制緩和が行われるならば、中央省庁の仕事、役割というものは、真に国家だけがやらなければいけない仕事に限定されるということによって、省庁はスリム化していくであろう。また、分権が進んでいくならば、そういった関連でも中央省庁の仕事が地方へ移されていく。そうすると、今よりも中央省庁が全体としてスリム化されていくはずである。
そこで、そうであるならば、今の霞が関の役所を使っていても一向に構わんのでありますが、この従来、何かといえばすぐ相談に行き、そしてあれこれとすべて面倒を見、その指示に従って活動する経済活動が一番、営業ではなくて所管官庁に通うことが実は最大の営業活動であるといったような時代のいろいろなしきたりを断ち切るためには、やはり「新しい酒は新しい革袋に」ということで、この新しいそういった限定された国家の仕事を担う、そういった場所に首都を移転するということが必要なのではないかな、かように考える次第であります。
そんなことで、この首都移転というのは、やはり21世紀の日本がアメリカやEUと、あるいは発展途上国に伍して生き抜いていくためには必要なものであろう、かように考えるわけでありますが、しかしそれはあくまでも同時に、それが大胆な規制緩和や思い切った地方分権と一体になっていなければいけない。
もし仮に、今の状況でこの国会等の機能を移転するということになりますと、今度は、今ある東京の都市銀行は毎日それぞれの担当の職員が新幹線に乗って新首都に書類かばんに資料をいっぱい詰め込んで往復するということになりまして、先ほどの我々が想定したようなそんな規模の新首都ではとても済まなくなる。第二東京が見る見るでき上がってしまう。そして、東京とその新首都の間を、物すごい数の人間が右往左往するということになってしまうわけであります。
我々、決してそんなことを想定しているわけではありませんで、つまりこれは、今日本が抱えている行財政の思い切った改革、規制緩和とそして地方分権を進めていく、そういったことを前提としながら、さてそうなったときに、今の東京にこの政治、行政あるいは裁判の中枢機能を集めていることがいいのか、いやむしろそうではなくて、これを新しい場所に移してやるということが必要なんじゃないか、こういうふうに考えるわけであります。
あと、災害等につきましてもいろいろ申し上げたいこともございますが、時間も過ぎたようでございますね。これで一応終わりたいと思います。

【黒川洸委員】

黒川でございます。実は、これ、4回目の公聴会なんですが、私自身はこれに初めて参加しました。そういう意味では、いろんなご意見いただいて、私自身は「賛成」を言われている意見の方のもそうだなと思うし、逆に「反対」と言っている人も、我々もそこはちょっと気になっていることもあるんだよなという意味では、両方の意見、私なんかは非常に興味深く聞かせていただいているところでございます。
それで、1つは、パンフレットに載っているような国政の改革でなぜ必要かというのは、今堀江委員のほうから具体的にご説明いただいて、ああいうのがなかなか、国政の改革がなぜ首都機能移転だというところがうまく伝わっていないということは、非常に私自身も印象深く思っていました。
私、さっきの中で、全体が14兆だとか12兆4,000億だというような数字がさっき事務局が言いましたけれども、実は私自身その作業の一端をお手伝いしていたので、そのときの悩みを少しお話ししたほうがいいのではないか。
要するに、我々もどこの場所に行くんだかどこも決まっていないのに、移転費幾らだって積算しろと言われて、そんなのはできないというのが最初の答えなんです。
ところが、最初の答えなんだけれども、では移転するということを決めたらば、大体幾らぐらいかかるかがわからないのでは議論ができないじゃないかということになると、無理してでも何かもっともらしい数字になるようなことをしなきゃいけないなということで、土地代っていったって、どこに行くかわからないのに、土地の値段がつくわけじゃないというと、何か平均的な何かとかそういうものを出さなきゃいけない、というようなことで、ではこういうクラスター型で開発するとすると、大体今例えば地域公団がどこかでやっているやつのヘクタール当たりの造成費が幾らだろうか、そういうのを幾つか例を持ってきて、ではそれの平均だとか、いや、これはもう少し山の中に入って行くんだから、少し安目にしたほうがいいんじゃないかとか、そういうのを幾つか想定をしていますから、あれが全く正しいということではないんですが、例えば私自身、今東京工業大学におりますが、その前、筑波大学にいて、18年ぐらい筑波にいましたけれども、実はあの筑波の計画、私どももつくったほうですが、例えばあそこは約3,000ヘクタールの土地があって、そこを整備したわけですが、大体国が投じたとか公的な関係が投じたのはオーダーとして今まで約2兆円。それで、今常磐新線をつくっていますから、常磐新線があと1兆円というと、3,000ヘクタールともう少しやると数兆円、5兆円ぐらいかかるだろうというような感じがあるから、12兆というのが今6,000ヘクタール開発するというのであれば、それほどずれてはいないんじゃないかという程度で、ではあのとおりでおさまるかというと、実は本当に決まるともっとかかるというところも出てくるでしょうし、いや、ここだったらずっと安く済むというところもあるというような数字なんですね。だから、あれで絶対の予算ではなくて、我々も今この部会に入っていますが、どこか場所が決まればもっといろんな議論ができるんだけれども、場所が決まらないから議論が進まない。だけれども、場所を決める議論をするには、何かしなきゃいけないという、いつも鶏が先か、卵が先かという議論の中で模索をしているというのが実態ではないかと思います。
きょう非常に私は感銘を受けたのは、例えば谷口さんがごみとか水というのはどうするんだというのは、これ、私、今度の首都だけでなくて、例えば福岡なんていうのは、もう水というのは1回ひどい目にさんざん遭った経験ですから、実は福岡市民の1人当たりの使用量というのは東京都民の1人当たり使用量のたしか六、七割しか使っていないですね。ここはもうそういう生活をみんなできちゃっている。東京はもっと浪費しているところですから、そうです。
だけれども、ごみなんていうのも、例えば1年間に海外から来ている製品とそれから消費されているというと、ごみは必ず10分の1ぐらい出るということで行くと、ごみの問題というのは全国の問題で、ここだけじゃなくて、我々、どんな生活を今からするのかということを考えなきゃいけないというような問題だと思っています。
それから、見城さんの言った話で、いろんなことでこれ、平成2年に法律をつくってやるということなんだけれども、そのいろんなことでやめる勇気を持てというのは、私は今後の日本ではいろんなときに必要なことで、1回決めたから、もうそれでやるんだということはないと思います。そういう意味では、この公聴会も1つの便法として国民の意見を反映させるにはどうしたらいいだろうかということをやっているわけですから、これだけで国民の意見を聞いたということでもない。
先ほど、ずっとこの会場の皆さんのアンケートの中で、「こんなことで意見を交わしたことはないのか」とか「公聴会というのはもっと違う格好にすべきじゃないか」というご意見いっぱいいただきました。私も、その工夫の仕方としてはこれだけではないと思いますけれども、こういうのも1つのやり方。
例えば、ここに1万人集まって調査部会をやっているところを見せるというやり方も、それはまた別なやり方として、我々が中でどんな議論をしているのかというのを1回デモンストレーションとして見せるというのも1つのあれだと思いますが、なかなかそういうことがうまく行かないのが、まだ日本の国の実情ではないかというふうに感じております。
そういう意味では、今後とも、こういう模索をしながら皆さんの国の大きな決定ですから、国民の民意を問うという仕方は考えなきゃいけないと思います。
ただ、事務局を少し弁護させていただくと、資料を公開しろとか何とか言ってありますが、我々の調査部会、審議会の資料は全部公開してありますから、例えばインターネットで引っぱたくと全部出てくるとか、今までどんな議論をしていたかという議事要旨も全部その中に入っていますので、アクセスする元気もできたらお願いしたいというのが、我々、決して隠れてどこかでごそごそやっているつもりはありませんので、ぜひそういうふうにお互いにコミュニケーションをとるような努力ができたらというふうに思います。以上でございます。

【戸所隆専門委員】

戸所と申します。よろしくお願いいたします。
本日皆様からいろいろお話をお聞きさせていただきまして、私自身、非常に参考になりました。
ご感想の中にも「「国家百年の大計」の重要事案である。もっと議論すべきだ」ということがありまして、まさに今日のこの公聴会というものも、その一環でありますし、そして、私自身も皆様からお教えいただいたことをこれから、反対・賛成を含めてそれを生かしていけるのではないかなというふうに思っております。
私自身、福岡を実は希望してきょう出席させていただいたんですけれども、候補地となっている地域の方々にはいろいろお話を聞く機会がございますし、自然に耳に入ってまいります。
ところが、候補地から遠く離れた地域の方々は一体どういうふうに考えておられるのだろうか、この辺がわからない点がございまして、きょう皆様方からお聞きしましたことは非常に参考になりました。同時に、ぜひお願いしたいのは、ここに集まっておられる方はある一定数でございますけれども、皆様方からまた情報発信していっていただきたいというふうに感じておるわけでございます。
首都機能移転は行わなくてもよいのではないかというようなことがご意見などにありますが、私自身、時代の転換という点から見てやはり必要じゃないかということを簡単に申し上げたいと思うわけであります。
それは、大きく見て、今まで日本の首都というのは京都を中心とした時代があり、そして今、東京を中心とした時代がある。京都を中心とした時代というのは、アルビン・トフラー的に言いますと、農業革命の時代で、農業中心の時代なんですね。私も30年ほど京都で生活しましたが、あそこで行われる文化というのは、ほとんど農業の農業神とか農業を中心として来ている。産業革命以降の首都というものが東京になってくる。その東京というものは、産業革命以降のいわゆる工業化というものを中心に高度経済成長でずっと伸びてきた。ここに至りまして、実は情報革命が出てきている。新たな時代が出てくる。ここに非常に時代的な転換があり、これに対応できない中で、今、今日のいろいろな問題が起こっているのではないかなと考えるわけであります。そういう中では、やはり1つの新しい首都機能移転都市像というものを考えていく必要があるのではないか。
そういう点で考えたときに、例えばコンピューターで言いますと、今もうダウンサイジングという言葉も古くなってまいりましたけれども、どんどんダウンサイジング化されてきている。かつての東京という大型コンピューターがあって、そこに各地がぶら下がっているというのがこれまでの産業化時代の、今の、現在の東京を中心とした日本の国土構造ではないか。
これをダウンサイジングして、福岡は福岡でアジアとどんどん結びついていく。東京経由じゃなくて行くんだ、こういうような形でそれぞれの地域が元気になろうよという、こういう形に持っていく時代が今来ているのではないか。そういう中で、新しい国家像というものも皆さんで考えていく、これは大きな機会ではないかなというふうに思っております。
個人的なことになりますけれども、私は群馬というところに生まれて、30年、京都の大学で生活しておりまして、今またふるさとに戻っている者なんですが、そういう意味では、東京というものを常に素通りしてきた人間であります。その中で、非常に東京というものがバリアになっているなということを感じるんですね。
実は関西にいるときに、関西の学生に私がいます北関東というのはどんなところ?と聞くと、さっぱり見えないんですね。それは東京都の陰に隠れて見えない。札幌が見えるぐらいなんです。ほとんど東日本がわからない。逆なこともある。
そこで私自身が感じるのは、例えば新幹線を皆さん乗られて、博多から東京まで行くのにはJR東海とJR西日本という違う会社であっても、1本の料金体系で行けるわけです。ところが、これを東京を過ぎて大宮まで行こう、あるいは私の住んでいる高崎のほうへ行こうとすると、JR東海とJR東日本というようにがちっと切れるわけであります。何が切れるかというと、電車も乗りかえなきゃならないし、料金体系も切れる。ちょっと乗るだけで、また新たに何千円という金を払わなきゃならない。これが実はバリアになっています。このことを変えてほしいというふうに幾ら言っても、なかなか変わらない。
これは実は、今の体系である限り、なかなか論理的にいろいろなことをすぱっと申し上げることは難しいんですけれども、今の体系である限りなかなか難しいんですね、変えることは。したがって、首都機能移転ということをやったときに、実はそういう波及効果というもの、これは国政改革から含めていろいろ起こってくるであろう。
このあたりを含めて、この1つの例だけを申し上げますと、またいろいろ誤解を生むかもしれませんが、そういったようなことを含めて、いろいろ皆様方の個々の生活にかかわることを考えましても、恐らくこの首都機能移転というのは、全国民にかかる問題である、こういう観点からぜひ今後お考えいただきたいと思うわけなんです。
同時に、お金の問題もあるわけでありますけれども、これは10年間とりあえず最初の第一段階、10年間で4兆円、公的負担2.3兆円、これもいかがなものかということがありますけれども、これを1つに置いたときに、約10年間で2.3兆円ということは、1年間で簡単に割れば2,300億円ということになります。この、今のいろいろな問題が起こってきて公的負担をいろいろやっていることを考えると、必ずしも高い問題ではないというふうな、これも誤解を招くかもしれませんが、そういうことも言えるのではないか。したがって、今この問題は国民の意識の問題、国民合意をどうとるかという問題かと私は個人的に思っているわけです。
そういう面で、こういう公聴会等、またいろんな点で皆様方のご意見をお伺いできればなというのが私のきょうの感想でございました。どうもありがとうございました。

【石原信雄会長代理】

ありがとうございました。
最後になりましたが、私から全般的な感想を含めて意見を申し上げ、この公聴会を終わらせていただきたいと思っております。
各委員さんからそれぞれのお立場で、きょうの公聴会におけるご意見等を踏まえたご発言がございました。
私は、二、三ちょっと補足してまいりたいと思います。
1つは、木下さんがご発言になった首都東京の防災上の見地から首都機能移転を考えていることに関連いたしまして、何か「都民を見捨てて政府だけが安全なところに逃げていくのか、けしからん」、こういうご発言がございました。実は、これは全然違うのでございまして、政府と都民が同時被災した場合には、東京の災害復旧、人命救助を初め災害救援活動あるいは災害復旧をだれがやるのか、司令塔がなくなっちゃうじゃないかという問題意識でございます。
阪神・淡路大震災大震災、あれだけの大災害を受けたのですけれども、今行ってごらんになるとわかりますように、非常に早いスピードで復興ができました。その大きな理由として、政府機能は全く離れておったものですから影響を受けなかった。ですから、直ちに政府が救援活動、復興活動に機能を発揮できたということ、それから、さらに言えば、ブロック機関としての大阪の機能もほとんど影響を受けなかった。これが阪神大震災の対応を早くできた理由である。
もし、政府機能が神戸市にあったらどうなったろうかということが非常に心配されるわけであります。実は、関東大震災のときは、まさに東京がそこの政府ともども被災をしてしまって、復興が非常に手間取ったという経験がございます。そういうことで、首都機能移転の1つの理由として、東京の直下型災害から政府機能を安全なところに移すというのは、復興そのものをよりスピーディーに行うためには、同時被災を避ける必要がある、こういう考え方に立っているということを申し上げたいと思います。
それから、この地方分権あるいは規制緩和と今回の首都機能移転との関連、必然性が明らかでないではないかというご指摘がございました。確かに説明のしぶり、その他の点で改善するべき必要があると思いますが、実は、先ほど堀江委員からもお話がございましたように、今回の首都機能移転は、その前提として、徹底した規制緩和と徹底した地方分権を行う、その上で、言うなればよりスリムになった政府機能を移転する、こういう前提に立っているわけでございます。
さらに言いますと、私自身、長い間役人をしておった人間として、この地方分権、規制緩和について各省の強い抵抗を受けて大変苦労した人間でございます。こういった大胆なというか大規模な改革をしようとすると、やはり中央の政府機能そのものを根本的に変える、よそに移すというくらいのドラスチックな改革があって初めて本当の意味の規制緩和、本当の意味の地方分権が可能になるんだ、このように考えております。そういう意味で、今回の首都機能移転の考え方と地方分権や規制緩和というのは、いわば一体的なものであるということを申し上げたいと思います。
それから、会場で提出いただいたペーパーを拝見いたしますと、地方分権に関連するご意見が非常に多かったということ、私も大変心強く思った次第でございます。本当の意味の分権を達成するためには、税制の改正が必要だという意見が幾つがありましたが、全く同感でございます。これから、地方分権推進につきましては、きょうおいでの堀江委員が地方分権推進委員会の委員として大変ご苦労いただいて、立派なご意見をまとめていただき、それが法案化されようとしています。
そして、これに続きまして、実は行政面の改革を今法案化しているわけですけれども、それに続きまして、それを裏づけするための税財政制度の改革というのがこれに続かなければならない。それがなければ、本当の意味の分権はできないわけです。その中でも、税制の改革というのは非常に重要な意味があると私自身も考えております。そういう意味で、皆さん方のご意見、全く私は同感であるということを申し上げたいと思います。
それから、本日ちょうだいしたご意見、賛成のご意見、反対の意見、その他、この問題の進め方自身に対するご意見、いろんなご意見、大変貴重なものとしてちょうだいしてまいります。そして、これらのご意見は、これから最終的に首都機能移転をどうするかというのは、先ほど申し上げましたように、私どもが候補地を選定いたしましても、それで決まるわけではございません。それをベースにしてもう一度国会の場で、そのときの経済や財政の状況とか、何よりも国民皆さんのいろんなご意見というものを総合的に検討した上で最終結論が出る。その際に、こうして各地にお伺いして皆さん方のご意見をちょうだいしているということは、大いにこれが役に立つ、反映される、このように思っております。
私どもは、ちょうだいした意見はそういったときの貴重な資料としてこれを政府にまとめて提出したい、このように考えておるところでございます。
予定の時間をかなり超過して大変恐縮でございましたが、きょうは皆さん方には円滑な議事の進行にご協力いただき、また、大変貴重なご意見を発表いただきまして、本当にありがとうございました。ただいま申しましたように、きょうのご意見は、今後の国会等移転審議会における審議等に十分活用させていただきたいと思っております。
それでは、以上をもちまして、第4回の国会等移転審議会の公聴会を終了させていただいきます。ありがとうございました。

以上

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