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第6回国会等移転審議会公聴会(広島)の議事要旨

日時: 平成11年4月26日(月曜日)14時0分〜16時0分
場所: 広島ガーデンパレス
審議会委員出席者: 野崎幸雄部会長代理、片山恒雄専門委員
一般参加者: 総計140名

1.意見発表者による意見発表(氏名(敬称略)、性別、年齢(当時))

(1) 氏名:松井正也 性別:男性 年齢:33

私、松井と申します。
本日は、公聴会に当たり発言の機会をいただきまして、大変ありがとうございます。
私は、現在、都市銀行の広島支店に勤務しておりまして、政治や行政については全くの素人でございます。首都機能の移転につきまして、一市民として日ごろ感じておりますことを発言させていただきたいと思います。
初めに、今なぜ首都機能の移転をしなければならないのかということでありますが、ご承知のとおり、日本の政治・行政、経済のシステムは、今やすっかり制度疲労を起こし、あらゆるところにそのひずみが生じております。東京を頂点とした中央集権的なシステムは、経済成長を最大の目標としてきた時代には、大変効率的で有効なシステムであったと思います。「政官財の癒着」と揶揄される構造にしても、そうしたキャッチアップの段階においては、ある種の合理性を含んでいたものであったと思います。
しかし、その結果、東京は過密状態になり、サラリーマンが一生かかっても十分な住宅も買うことができず、画一的で個性を損なわせるような教育がなされ、テレビや新聞もほとんど東京からの情報に偏り、文化まで東京に独占されてしまっているような状況であります。
私は、これまで広島以外に、東京、大阪、名古屋などでも勤務し、生活をした経験がございますが、特に東京での生活環境は、ほかの都市に比べて大変ストレスを感じるものでありました。
一方で、広島や名古屋では、生活環境がすばらしい反面、情報量の少なさ、生活における刺激といった点では、多少の物足りなさを感じるのも事実です。
しかし、私がそう感じること自体、東京を中心とする価値観が我々日本人の心に広く浸透してしまっている証拠であると思います。地域がそれぞれの特徴を生かし、多様な価値観を認められるような社会にしなければならないと思います。
21世紀の新しい日本をつくり上げていくためには、行政改革と地方分権を進めなければなりませんが、首都機能移転は、その起爆剤となるものと考えます。
首都機能移転より地方分権の推進が先だ、とか地方分権が進めば首都機能移転は必要ないのでは、と言われる方もいらっしゃいますが、しかし、これまでの経過を見れば、今までどおりのやり方では改革が進まないことは明らかです。首都機能を移転し、人心を一新することが今の日本には求められていると思います。
また、国の財政状況が厳しいため、首都機能移転をやっている場合ではないとおっしゃられる方も大勢いらっしゃいますが、しかし、現在の東京を維持していくためには一体幾らのコストがかかっているのでしょうか。
首都としての東京は、これまでにも莫大な額の国費が投入されています。これから先、地価が高く過密状態の東京を防災に強い都市に改造し、さまざまなインフラ・設備を維持していくためには、移転するよりかえって多くの経費がかかるのではないでしょうか。
私は、これまで銀行員として多くの企業を見てまいりましたが、民間企業に例えて言えば、業績が悪く、赤字続きで借金経営を続けているような会社が、なぜ地価の高い霞が関の一等地に悠然と事務所を構え、多数の従業員を抱えていられるのでしょうか。業績が厳しいからこそ、事務所を移転し、大胆なリストラを進めることが必要なのではないでしょうか。
首都機能が移転しても、東京はビジネスの拠点として、引き続きその役割を十分に果たしていかなければなりません。しかしながら、かえって首都機能を分離させることにより、東京は21世紀にふさわしい国際経済都市として新たに生まれかわることができると思います。
次に、具体的な移転先の候補地についてですが、私は、中央地域が最適だと思います。首都機能移転先は、国民すべてに使いやすく、国民の大多数が望む場所であることがいいと思います。また、国民の移動コストを最少に抑えるという点で、人口重心地に近いなど、そのような条件も重要であると思います。
中央地域は日本列島の真ん中に位置し、人口重心地であるとともに、全国各地域、各都市からのアクセスにもすぐれています。これまで関西以西の人々が東京まで移動していたときのさまざまなコストを考えれば、中央地域への移転は、その大幅なコスト削減につながると思います。
さらに、中央地域は道路や鉄道などのインフラの整備も進んでおり、名古屋や京都、大阪にも近く、既存の都市機能を活用できるために、新しい都市を一からつくり出すという地域開発型よりはるかに経済合理性にすぐれています。
また、日本の新しい首都の場合には、日本だけのことではなく、アジア、世界のことも考えていくべきだと思います。中央地域には、成田、関空に続く三つ目の国際ハブ空港が建築中だと聞いております。また、2005年には、愛知県で万博も開かれ、世界的にも知名度がアップすることと思います。
最後になりますが、首都機能移転は21世紀の新しい日本を創造するための歴史的大事業であり、新しい時代の幕あけとなるものであります。新しい首都は、我々が後世に引き継ぐ大きな財産であり、目先の都合にとらわれず長期的な視野に立って考え、ぜひとも決定してほしいと思います。
以上、簡単でございますが、ありがとうございました。

(2) 氏名:佐藤俊雄 性別:男性 年齢:44

佐藤です。私は、この地域の計画に携わってきた立場から、首都機能移転問題について発言させていただきたいと思います。
率直に申し上げまして、首都機能の移転問題というのは、この広島や中国地方でほとんど話題になっていないのではないかというふうに感じております。我が国にとっては数百年に一度という大問題でありながら、移転候補地及び東京を除けば、地方における関心が極めて低いというのは一体なぜかということです。
その原因の一つとしまして、首都機能移転問題が東京問題にしか見えないという事実があるのではないかというふうに感じています。資料によりますと、新首都は東京から60キロ及び300キロの範囲で候補地を選定していくという考え方が示されておりますけれども、こういった範囲であれば、私は大東京圏の再編、新たな広域首都圏の形成、新たな集中形態を生み出しかねない危険性を持っているのではないかというふうに感じています。
なぜならば、中央省庁と政治機能の移転した跡地には、新たな経済管理機能の集積が進むでありましょうし、また、片や政治に特化した新首都と高度情報通信網と高速交通体系で一体的なネットワークを組むことによって、ほとんど不便を感じない強力な管理機能の集積というものが予想されるからです。
確かに東京の過密問題の解消につながり、日本全体のリスク管理は達成されるというメリットはあるかもしれませんけれども、私は広域首都圏の形成という新たな、マクロな意味での中央集中が進むことになるのではないかといったようなことを懸念しています。
私は、今日本において必要なことは、地方の自立化とその連合による新たな国家像の構築でないかというふうに感じています。先ほどの方もおっしゃいましたように、過去50年の東京のコントロールセンターとしての役割、これは評価すべき点も大いにあったかと思います。その50年間、地方は、ひたすら人材を中央に送り出し、そして生産機能という現場機能を受け持つという役割だったかと思いますが、それはそれで日本の成長にとって非常に効果があったわけですし、地方もそれなりの果実を得ることができる、効率的な仕組みだったかと思います。
しかし今、地方は、世界的な大競争の中に放り出されております。その中で勝負をしなければならない時代を迎えています。
例えば、この中国地方は、四国地方と合わせまして人口が1,200万人の規模です。そして、域内総生産は3,000億ドルといったようなことで、韓国やオランダに匹敵する一国の経済規模を持っている地方です。その中でも、例えば瀬戸内海沿岸地域では、国際的に見て産業シェアのかなり高いものを持っている中小企業、あるいは国内の製品で高いシェアを持っている中小企業も、数え上げますと100社を超えるほどあります。
このような高い技術力を持つ企業がこの成長の中で蓄積されていること、そして地方にあるといったようなことが日本の底力であると思いますし、この地方の産業がこれからの国際的な市場の中で競争して生き抜いていくことが、より活力ある日本をつくり上げていくのではないかというふうに考えています。
ローカル・ツー・グローバルの時代に、地方が、地方の持っている歴史とか文化、自然を生かしながら、世界的な大競争に参入していくような自立性を高めていくといったようなことが日本の課題ではないかと思っています。
私は、経済・文化的には、六つから七つ程度の自立性を持ったブロックの連合体で国づくりをしていくことが必要だろうと思っています。そして、日本のこの間のインフラ整備は、国土構造的に見てこういったことを可能にする条件を整えてきつつあると思っています。
おくれておりますのは、地方分権及びそれに伴う行財政改革ではないかというふうに感じております。機関委任事務の廃止でありますとか省庁数の削減、こういったことは明示されておりますけれども、地方分権を支える組織改革が最もおくれているのではなかろうか。特に中央省庁のスリム化と地方における受け皿体制としての組織体、これが一体どういうことになるのかといったようなことについて、まだ我々は、明らかになっているとは思っていません。
そういった基本的な考え方のもとに、私は首都機能移転について二つの点を述べさせていただきたいと思います。
一つは、地方分権の強力な推進を図るために、行政と国会の組織改革、中央省庁と政治のスリム化及び権限の改革を同時に進めていくということです。これを行い得るのであれば、首都機能移転は我が国にとって歴史に残る事業になるのではないかというふうに思っています。それだけ私は、日本の組織改革が一番おくれているというふうに思っています。
ただ、現状は、首都機能をスリム化していくというベクトルがまだ見えておりません。むしろ、首都機能の移転問題だけが先行しているといったような印象を受けております。そうであれば、私は、これは拡大首都圏計画に過ぎないのではないかというふうに思います。中央組織のスリム化を伴う地方分権化を目に見えるように同時に推進していただきたいというふうに思います。
二つ目は、過密都市東京のリニューアルにあわせて、新首都建設のための公共投資が進んでいくといったことが考えられます。これが、広い意味での中央投資が拡大していくということを懸念しておりまして、それを払拭していただきたいというふうに考えております。
具体的に申しますと、新首都建設におきましては、東京の過密型投資を回すべきではなかろうかというふうに考えています。過密化している首都機能を維持するという東京の防災対策のため、多大な社会資本整備が進められていくというふうに聞いております。このような防災対策費を新首都建設に回すという原則を堅持すれば、私どもは、地方においても首都機能移転問題を理解しやすいのではないかというふうに考えています。すなわち、東京と新首都との社会資本整備を一体のフレームでコントロールしていくといったようなことでございます。
繰り返しますけれども、私の意見としましては、首都機能移転に対応したときに、同時に地方分権というものを動かしてもらいたい、そのためには、具体的には組織のスリム化という組織改革を動かしていただきたいといったようなことでございます。
以上で私の発表を終わらせていただきます。

(3) 氏名:北川建次 性別:男性 年齢:64

私は、長らく都市問題、あるいは私の専攻は地理でございまして、都市地理学という都市問題にかかわってまいりまして、このたび首都機能移転問題につきましてご意見を申し上げたところ、意見を申し述べよということでございましたので、私の意見を述べさせていただきます。
既にもう触れられておることでございますけれども、一国の首都機能が余りに東京のみに集中し過ぎることは、ナショナル・セキュリティー(国家安全保障)という観点から見まして非常に危険なことではないかということであります。
これも既に述べられましたけれども、日本のように地震等自然災害の多い国では、関東大震災、阪神大震災の例を見るまでもなく、機能の分散は不可欠なことと存じます。
資本の論理、効率の論理のみからの首都機能の集中というものは、ある程度他国に対抗するために、これまでの日本というものでは必要であったかもしれませんけれども、現代の日本の政治・経済・社会的水準から見て、そういった機能の集中はもはや必要ないのではないかというふうに思います。
これは、アメリカがニューヨークからワシントン、あるいはオーストラリアにいたしましてもキャンベラというふうに移転をいたしましたし、発展途上国におきましても、そういった例もございます。こういう観点からも、機能の分散というのは必要ではないかというふうに思います。
また、古来中国では、「正副の論理」というものがございまして、長安と洛陽というのがその典型的な例であります。これは、後、中国では、余り「正副の論理」というものが出ておるようでおらないようでありますけれども、日本ではかえって、そういう「正副の論理」がいろいろな面で出てきておったのではないか。
これが政治的な面でも、例えば明治維新の際に、インドや中国が非常に欧米列強の従属下というか植民地体制化が強くなりましたけれども、日本がかろうじてそういう植民地体制下に至らず独立を維持できたというのも、やはりそういう「正副の論理」によって皇室と徳川幕府、あるいは薩長土肥というふうな「正副の論理」に諸列強がまどわされたのではないかというのも一つの原因でありまして、したがいまして、そういうふうな観点から、首都機能の移転ということは非常に大切なことと存じます。
また、既に候補地は絞られておりますけれども、先ほどの佐藤さんも申されましたが、これほどの多くの首都機能というものが一つの新しい首都に集中するということは考えなくてもいいのではないかということを申し上げたいと思います。
例えば、広島は過去2回にわたりまして、日清戦争時に臨時首都、あるいは太平洋戦争当時、第二総軍の司令部がありまして、第二の副首都と考えられたこともあります。今日も、広島は世界最初の原爆の被災地として、21世紀にかけての原水爆禁止、あるいはノーモアヒロシマというものが世界都市の機能としても非常に重要な一つと存じます。
そういう観点から、21世紀のそういう世界のあり方、アイデンティティーやフィロソフィーというふうな観点から考えましても、こういった首都機能の一部が広島にあってもよいのではないかということも提案したいと存じます。
また、日本は、これからアジア圏の中心的な国家として存立していきたいということになれば、日本はまた海国である。海国の日本として、瀬戸内海は日本唯一の内海でありまして、そういった海洋国家日本の首都にふさわしいという観点もあります。したがって、先ほどのノーモアヒロシマのような社会都市機能の一部としての機能を瀬戸内メガロポリス、あるいはエコメガロポリスとしての中核としての広島にそういう機能を分担するのも一つの考えではないかと思います。
非常に簡単に述べましたけれども、以上で私の意見を終わりたいと思います。

(4) 氏名:近藤義博 性別:男性 年齢:23

広島大学の近藤です。本日は、建築・都市を学ぶ学生として意見を言わせていただきたいと思います。
まず、私のこの国会等移転に関する意見ですが、非常に漠然とした言葉にはなりますが、21世紀の新しい都市としての可能性、あるいは新しいライフスタイルの創造といった観点から、私は賛成したいと思います。
ただ、条件と言いますか、それにはさまざまな現状で問題がございまして、例えば、今回の国会等移転に関しまして、その意義としてさまざまなことが挙げられていますが、その中でも、例えば地方分権あるいは東京の防災対策といったことが挙げられております。しかし、地方分権に関しましては、国政全般の改革等、必ずしも新都建設とは切り離して考えるべきことではないか。新しい都市をつくるからといって、このような地方分権が進むとは限らない、といったことが言えるのではないかと思います。
また、防災対策に関しましては、その首都機能が移転することによって、確かに災害時の危機管理機能というものは担保されるかもしれませんが、現在、現状に東京には木造住宅密集市街地等さまざまな災害に対する問題を抱えております。こうした問題を解決せずして、この国会等の移転のみでその防災対策を図るというのは問題があるのではいかと思います。
さらに、現在の国会移転に関する現状と申しますか、それにかかわる情勢ですが、まず、都のほうでは現在、その関係省庁の再建・建て直しや都道府県会館といったものの建て直しが行われております。こうしたことから、もし本来、予定ですと今週に候補地決定、16年度以降新都建設開始となっておりますが、もしこのようなプロセスでありますなら、こうした事態は確かに、さまざまな意味からの国会移転という建前と、実際はそうすぐには進まないだろうといったような本音がちらほら見えるのではないかと思います。
さらに、この移転候補地決定等に向けさまざまな調査やそれに関する予算も組まれているようですが、それに対する情報公開や現状の国会等移転に関する問題の情報に関しましては、必ずしも十分な公開がなされていない。こうしたことは、国民レベルでの関心の欠如といったものにもつながっているのではないかと考えられます。
また、新都知事が先日決まりましたが、新聞報道等によりますと、新都知事のほうでも、この件に関しましては否定的な意見が出されているようです。東京では、都市博の事例もありますし、こういった事業が進んでから途中で白紙撤回をされるようなことのないように十分な議論がなされるべきではないかと思っております。
今まで少し否定的な見解を述べてまいりましたが、私は最初にも述べましたように、この事業には新しい日本をつくっていく、今ボーダーレス社会ですとか情報社会とか言われておりますが、そうした社会における新しい都市のイメージ、新しいライフスタイルを提案していくことができるのではないかと思います。
しかし、現状の国民的な意識の欠如というものに対しましては、どういったことが原因に挙げられますかと申しますと、一つに、漠然とした都市イメージ・プランがないことが、その議論が盛り上がらない一つの原因ではないかと考えられます。
こうした漠然とした都市イメージに対して、都市計画マスタープラン等に落とせるレベルでの明確なマスタープラン・コンポジション、そしてその形をつくっていくような段階にそろそろ差しかかってきているのではないかと思います。
そうしたときにおきまして、まず大きく二つのことが考えられるのではないかと思います。
一つは、国が今、九つの選定基準というのが出されておりますが、それに基づくような形で、ひとつアイデアコンペのような形で実施する、そしてマスタープランをつくっていくという一つの方法。もう一つは、現在、候補自治体がございますが、そのような自治体自身がマスタープラン・コンペティションを行っていく。そうした方法が可能ではないかと思います。
こうすることによって、都市のイメージがはっきりあらわれてくるのではないか。そうすると、おのずと問題点等議論していくことも多く生まれてくるのではないかと考えられます。
その際のコンペティションですが、新しい都市をつくっていくということで、現在九つの選定基準というものが設けられております。これは、防災対策ですとか都心からの距離ですとか、科学的なデータが中心となった条件になっているかと思います。
先ほどの話にもありましたが、こうしたときに、これからの、産業革命以来の20世紀の都市システムでない新しい都市システムを構築していくと考えれば、このような条件としては、跡づけといいますか、先に来るべきものではないのではないか。もっと、柔軟な発想から意見を出し合い、そうした後で、もちろん災害等に関する検討、経済に関する問題等を検討していく、そういう手順も必要なのではないかと思います。
以上、現状では残念ながら、この国会等移転の問題に関しましては、十分な議論の盛り上がりに欠けている部分はあろうかと思います。こういった問題に関して、私の提案といたしましては、ひとつアイデア・コンペティションのようなものを実施することにより一つの形をつくり、それをたたき台としてまた議論を盛り上げ、その機が熟したと判断した状況で、できるだけ多くの国民の方が合意する形でこの事業を実行していっていただきたいと考えております。
以上のようなところで私の意見の発表を終わらせていただきたいと思います。ありがとうございました。

(5) 氏名:西本守 性別:男性 年齢:50

ただいまご紹介いただきました西本でございます。
私は、現在、NTTファシリティーズというところに勤めておりますが、勤めながら、地域のお祭りであるとか広島のまちづくりであるとか、そういう市民団体に属していまして、この三、四年間は、そういうことに力を入れてやっております。
基本的に私の考えとしては、国会等移転については賛成です。
二つ目。首都が移転した後の、その機能が移転した後のそのまちが、第二の東京になることは反対です。
それともう一つ、首都機能が充実したにもかかわらず日本が変わらないということ、これは二つ目の大反対です。
つまり、日本は今なぜこういう閉塞状態にあるかといえば、例えば東京と言えば、東京は一極集中、つまり政治と経済、文化が混在化している、そういう現状があると思いますが、例えばアメリカのニューヨークとワシントン、中国の北京と上海、いずれを行ってみましても、非常に政治のまちはスリム化しています。そして、先ほど、今回の首都機能移転については60万人と言われましたけれども、ワシントンD.C.も60万人です。しかも、非常に緑が多いし、そして、そういう政治の舞台としては、非常に迅速にそういう政策が決定をされてきております。そういう中でニューヨークというまちへ行きますと、1,200万人以上、たくさんの人がいて、非常に経済的に活性化している。
私も、せんだって東京へ出張で行きましたが、東京がなぜ閉塞状態かなと言えば、確かにいろんな意味でにぎやかで物があり、いろんな情報もあり、大変いいんですけれども、先ほど言いましたように、何もかも全部混在化している。交通整理ができていない。つまり、迅速化ができていないということだろうと思います。
私は、そういう意味で、政治と経済は車の両輪という考え方を持っておりまして、つまり、政策決定の遅延もしくは失敗は経済に非常に混乱をもたらす。そのことによって税収が大変冷たくなっておりますね。税収減とつながっている。それはまたどうなるかと言えば、国民生活に非常にいろんな、生活に密着しているものについての混乱を来すという悪循環につながる、そういうことだと思います。そういう意味から言うと、政治と経済というまちは、必ず分離する必要があるだろうという考え方を持っております。
ただ、私は先ほど言いましたように、第二の東京は嫌だということ、首都機能が変わっても、今と現状変わらないのは嫌だというのはなぜかと言えば、先ほどから言っておられますように、この中には、やはり地方分権の問題があります。行政改革の問題があります。それから規制緩和の問題があります。
もちろん、そういう意味では、東京にある政治機能、その中の一極集中、権限集中、そして例えば許認可権の一極集中という問題が変わらない限りは、いわゆる地方の力、地方自治の独自性というのは出ないと思っております。
そういう意味から言いますと、地方分権がいかに大事かと言えば、今ご存じのように、地方都市には、各省庁の天下りがたくさん来ております。そして、予算編成時には、必ず地方の首長さんが、首をそろえて東京へ行きます。そして、地方の議員団が首をそろえて国会議員のところへ行きます。
一番大事なのは、そういう権限集中が行政だけでなく、立法府においても同じだということなんですね。つまり、同時並行にすることが大事だということは、そういうことだと思います。
そういう意味では、「今から地方自治の時代」と言いながら、今から何が変わるんだろうかと思ったときには、地方の独自性、地方の人材が地方の政治をつかさどる、そして地方の経済もつかさどる、そういう時代でなければならない。そして、文化も同じく東京から流れてくるのではなく、情報はすべて東京からでなく、地方から発信するものだということに変わなければならない。
そういう立場から言って、首都機能の移転については大賛成でありますけれども、同じように大事なことは、そのようなもろもろの問題も解消できるのかなという問題であります。
そういう意味から言いますと、確かに先ほど行政のスリム化の話もありましたが、私は今衆議院、国会、500人おられます。私は250人でもいいと思っております。そして、行政改革。各省庁が何とか省・何とか省を一緒にくっつけた省にし、名前も一緒になってやっている、非常に陳腐化したそういう現状がございます。
私は、そうではなくて、なぜオーストラリアがあの小さな政府を成功させたかというと、いかに切り詰めるかということですね。つまり、行政を含めて、一般会社を含めて一番大事なのは何かというと、労務費が一番高いということなんですね。つまりその中で、行政がいかに民間に落とせるかということを真剣に考えるかということが大事であって、そういうプロセスを経て首都機能を移転することを考えるならばいいですけれども、そっくりそのまま持っていって首都機能を移転するということは、第二の東京になるのではないかと考えているわけです。
つまり、徹底したコスト削減のために、そういう民間でできるものはどんどん積極的に取り入れて、そして、行政のそういう形をもう少し少なくしよう、しかも効率を上げていこう、そして、地方の優秀な人材の方々が能力を発揮するためには、地方分権という、許認可も含めたそういう権限の分散化と、それからもう一つは、そういう中での地方自治の独自性が出るようなそういう力、つまり予算も地方に持っていくということの構図がない限りは、この首都機能移転については、同じく一極集中につながるのではないかと考えているわけです。
私も、昨年おととしと、アメリカそれからイギリス、中国と行ってまいりましたが、中国は今、建国50年で、非常に建設ラッシュらしいです。そして、特にびっくりしましたのは、上海というのはニューヨーク以上にすごいまちになっています。しかも、今もずっと建設をやっております。
と言いながら北京に行きますと、北京は非常に静かなまちで、上海で非常に電力事情がよくてすごいまちだなと思ったところが、北京のまちを夜歩いていますと、人家に電気がついていない。メーン道路はついているけれども、一般の家には電気がついていないんですね。そのように、非常に電力事情が悪いというのは感じましたけれども、極端に言うと、政治は政治の部、そして経済でたくさんもうけてきている都市については、お金を投資しているというのが中国なんですね。もちろんシンセンもそうなんですけれども、南京も行きましたけれども、南京も非常に今建設ラッシュで大変まちが変わっています。つまり、経済は経済、政治は政治ということの分離をきちっとしているということが大事であって、混在をしないことが大事だということなんですね。
それともう一つは、人も物も全部一つの一極集中をすることが非常に弊害があるということなんです。地方にも有能な方々がたくさんおられますけれども、これは、何でもかんでも東京へ集中するから、全部人が東京へ集まってくる。物も集まってくる、本社機能も集まってくる、そういう状態です。
ですから、地方分権と規制緩和そして行政改革は、これはセットだと私は思っていますから、そういう意味から言うと、国会等移転については大賛成ですけれども、このことについて、ぜひとも同時並行で行けるかということ。
そしてもう一つ言えるのは、私は今営業をやっていますけれども、非常に営業がしにくい。なかなか商売がしにくいんですけれども、やはりバブルがはじけて、非常に皆さんの会社のひもが固い。なかなかお金を出さないということなんですけれども、もう一つ懸念していること。
国の税収が随分下がってきて、赤字国債を随分乱発して小渕首相はやっておられますけれども、必ずツケが来ます。それと同時にもう一つは、この首都機能が10年スパンでやっていかれるんでしたら、その予算という中で、この首都機能のいわゆるプロセスどおりに果たして首都機能が移転できるかなという心配を持っております。予算がつくと言いながらも、非常に経済におんぶに抱っこされた政治ですから、そういうことを懸念しながら、ぜひとも税収が高く行くための経済政策の発展のための政策迅速化というために、もう少し力を入れていただいて、そのことを起点として首都機能の移転をしていただきたいと思っております。
以上でございます。ありがとうございました。

(6) 氏名:西廣一明 性別:男性 年齢:65

私は、広島で小さな設計事務所を経営しております。
今までの意見発表の方と同じように、私も首都機能の移転というのは賛成でございます。そして、今までのお話の中に、政治と経済の分離とか、あるいは防災の問題とか、一極集中、このようなことをいろいろと聞かせていただきました。私はこの中で、ひとつ視点を変えて発表させてもらいます。
首都というものを考えるときに、これは、繁栄した局面を考えるときと、今世紀、我々日本は敗戦がありましたけれども、終局的な局面を想定したときの首都、このように、首都というのは、国家あるいは民族ということを中心に考えてみました。
国の中には、やはりそのように、時にはどういうことかと言いますと、やはり中枢機能をちゃんと備えておかなくてはならない。そこに、一つは司法、立法あるいは議会、行政、そして裁判所あるいは銀行、そして防衛、このような中枢の部門があると思います。
もう一つは、教育、福祉、医療、産業、交通あるいは文化、そのように国民寄りのサービス、要するに生活に基づいた、生活のほうに寄った問題を中枢で考えなくてはならない、このような部門があると思います。このような二つの部門を、高性能あるいはコンパクトにそれをまとめ上げたものを首都に備えなくてはならないのではないか。
そのときに、考え方、そういう首都を構築するときの概念の中に、決して他国の属国にはならない、そのようなことを根底に考えるべきだと思います。
そこには、やはり、先ほど一番冒頭に言いましたが、繁栄局面というときには、我が日本あるいは我が民族は、永久に繁栄、継続するということが大前提で、この問題につきましては、意見を発表された人にいろいろな局面についてのお話がございまして、そこはもう省いてしまいます。そういうときにどういうことを考えるかというと、終局的な局面を考えたときに、万が一、我々民族が侵略があっても、あるいはどんな状態におきましても、分断とか離散あるいは滅亡、そのようなことに絶対にならないようなことを考える機能が首都になくてはならないのではないかな、このように考えます。
そのような問題について、今世紀、我々、ここにいらっしゃる人もみんなご経験のあられると思うんですが、この第二次世界大戦におきましては、沖縄の玉砕、あるいは広島・長崎の原爆投下、あるいはシベリアの抑留、千島樺太領地のロシアによる分捕り、このようなことが起きました。
このようなことはやはり、首都機能の中に、どのようなときに対応しても、それをきっちりと考え、民族が悲惨な形にならないようにしなくてはならない。近くを見れば、朝鮮半島の南北の問題、地球上ではいろいろなところでそんな問題が起きております。こういうことを、今までの、ここで政府からいただいたこの資料の中には、そのようなことが余りあらわれておりません。それでも、あえて私がここで申し上げるわけでございます。
それとやはり、先ほどのお話のように、国家機能というものは、行政機能あるいは民間機能、このようなものがもう東京で随分大きくなっております。これらはやはり、政治と離れておらなくてはいけない。これが一緒におるから政治の腐敗を生んだのではないかと、このように考えております。
そこで、首都機能を集約してみますと、現在の東京都には、意見発表者の方もいろいろ申されましたけれども、国家機能が非常に集中しております。ここで私の考え方は、施策・企画・立案、要するに、財政的な面、内政的な面、このようなことを首都の中の部門の中に設けなければならない。これを一応、中核・中枢機能と申します。
このようなものはもう絶対に首都の中に囲い込んでおいて、その他の、国民のほうに寄ったような部門、教育とか福祉、医療、産業、商業、文化、芸術、このようなものには、やはり首都以外のところで、どうか各特色を生かして発展させるべきだと思っております。
首都というのは、やはり私のここで言いたいのは、どんなことがあっても、日本という国がこれからも栄え、どんなときがあっても北と南の問題のお隣の国のような状態にはならんということを考えた首都をやってもらいたいと。
そして、今日のように電子情報工学的なシステムがもうずっとずっと進んでこれからもいくと思います。そのようなときには、もう他の都市との連絡というものは何ら必要ないのではないかと思っております。
我が国は島国で、地勢的に見たときに非常に海岸線も多く、日本列島に北から南につながっております。太平洋岸側には非常に商工業が発達して、人口も密集しております。太平洋側は気候が温暖でございます。
このような地勢的な見地から考えてみると、この中国地方、この広島もいいのではないかなと自分は思っております。瀬戸内海沿岸のどこかの部分を首都にしてもいいのではないかな、このように考えています。
そこで、やはり選定するときの問題は、きょうのこの中には、防衛というものが考えてはございませんけれども、隣国には、中国、ロシアという大国がございまして、侵略やら攻撃、そのようなことを防ぐときには、やはり中国山脈というものが防護壁になり、あるいは中国・山陽の自動車道、瀬戸内海の交通の利便、そのようなことを考えておると、非常に中国地方はいいのではないか。山岳部には、情報の基地のシェルターを設けて、どんなことがあっても首都が今後に生き延びたい。
そこで、自分も、きょうのこの資料を見させていただきますと、どの都道府県の資料にも、防災あるいはアクセスというようなことは考えてはいらっしゃいますんですが、何か防衛ということは憲法9条にかかわることで、言ってはいけんよ、このように発表されたかどうかは知りませんのですが、防衛という観点はどこにも載っておらんように思っております。ここのところはどうか、政府にいらっしゃる先生の方々もよく考慮して、我々民族が最後まで残るような首都を考えてもらいたい。
これで私の発表を終わらせていただきます。

(7) 氏名:白井隆康 性別:男性 年齢:61

白井と申します。私は、現在、広島市内に在住して会社の役員を務めるほか、公職として、経済団体の役員につき、広島を中心とする地域の経済発展を促進するための仕事をしております。
この公聴会が開催されるに当たりまして、発言の機会をいただきまして、まことにありがとうございました。首都機能移転につきまして、日ごろ私が考えておりますことを発言させていただきたいと思います。
まず第一に、首都機能の移転についてでありますが、私は賛成であります。
戦後50年が経過して、これまで我が国の復興・発展を支えてまいりました中央主導・地方追随型の政治行政並びに経済システムが、至るところで制度疲労を起こしています。このため、長期的展望のもとに抜本的な構造改革をしなければならないところに我が国は差しかかっていると思っております。
国の主導のもとで、地方は横並びの平等意識を持って、同じように発展しなければならないと思ってきた時代から、地方がそれぞれの特徴を発揮して、個性を持った地域づくりをベースに、自主的に発展していく時代になろうとしております。国と地方の役割は大きく変わろうとしております。
今後は、地方分権や規制緩和など、行政改革を徹底して、国と地方及び官と民の役割分担を明確にするとともに、国においては小さく効率的な政府を目指し、地方においては政策立案能力等を高めるとともに、持てる独自性を発揮していかなければならないと思っております。
しかしながら、現在の行政システムのままでは、過去の既得権や権益、あるいは、それを温存しようとする官僚や族議員の抵抗などに阻まれて、なかなか思い切った改革ができない状況にあるのも事実であります。
現在我が国を覆っている閉塞状況を打破し、21世紀の新しい魅力ある日本をつくるために、首都機能を移転することは、地方分権、行政改革、規制緩和の推進と相まって大きな原動力になると思いますし、日本の社会構造を変革する歴史的な事業だと考えます。
今の東京は、過密の限度を超えていると私は思っております。仮に東京で直下型大地震が起こりましたら、先の阪神・淡路大震災での災害を上回る大参事になることは容易に想像ができます。政治的・経済的なパニックが、日本国内はもとより全世界に波及するおそれも十分ございます。
ちょうどインターネットが防衛上の危機管理のためにつくられて発達したように、都市においても、中枢機能の一点集中からネットワーク型の都市形成が防災上の面からも求められていると考えている次第です。
なお、申し添えますと、首都機能は移転しましても、東京には引き続き国際経済都市として世界から大きな役割を求められており、ビジネスの拠点としての地位はいささかも揺るぐことはないと思います。
第二に、具体的な移転先候補地はどこかということでありますが、私は、個人的な思いとしては当地広島にお願いしたいところでございますが、残念ながら、このたびの調査対象地域に指定されておりませんので、国民のコンセンサスが得られ、多くの国民にとってできるだけ利便性の高いところとして、中央地域が望ましいと考えております。
また、国の厳しい財政状況を考えますと、新しい土地を一からつくり出す地域開発型より、公共インフラ整備がある程度整い、既存の都市機能が活用でき、開発投資も抑えることのできる地域が効率的でよいと考えております。日本列島の中央に位置し、全国的な交通の要衝の地である中央地域が望ましく思うわけであります。
この中央地域は、7府県にまたがる広い地域であります。この地域に移転した場合、一つの都市に首都機能が集中することはなく、県境を越えて複数の都市がネットワークを結んで分担する分散型ネットワーク型の首都機能を形成することができ、地方分権に進む、新しい時代の方向によりふさわしいものと考えております。
政府機関の地方移転の数少ない事例として、広島の東部に位置する東広島市に、国税庁醸造研究所があります。東京都北区滝野川より平成7年に移転されまして、酒類醸造に関する科学的研究を行うとともに、全国の酒造技術者を養成し、我が国の酒類醸造技術の向上・発展に努めておられます。同時に、酒どころ西条の重要な拠点施設として、現在ではなくてはならない存在になって、地域発展の大きな役割を担っています。
地方が独自の特色を出すためにも、首都機能の移転とともに、こうした中央行政機関の研究所や付属機関をどしどし地方へ転出させていくことも配慮していただきたいと要望する次第です。
いずれにいたしましても、首都機能の移転は国家の大事業であり、国の統治機構の変革とともに、21世紀の日本を創造する理念が問われていると考えています。目先の都合にとらわれず長期的視野に立って、国民の納得の得られる形で議論を進めていただくようお願いいたします。
以上で私の発言を終わらせていただきます。ありがとうございました。

(8) 氏名:阿南晶子 性別:女性 年齢:23

ほかの皆さんのように知識も余りなく、勉強不足で恐縮ですけれども、首都機能移転について、単純ではありますが意見を述べさせていただきます。現在、首都機能移転として挙げられている国政改革促進、東京一極集中の是正、国土の災害対応力の強化ということを中心に述べさせていただきます。
まず、このうち、災害への対応力は、先の阪神・淡路大震災以後、より重要視されていると思います。万が一に備えて首都機能を代行できる基盤づくりも含めての移転と考えます。
しかし、機能の移転とは言っても、移転そのものに関しては、建物はもちろん、新しい都市の建設ということで莫大な費用がかかるでしょう。
そう考えると、最初に移転の話が持ち上がったころはともかく、現在のこの状況下では、移転することそのものが本当に正しいのかどうか疑問を感じる部分もあります。費用だけで考えれば、耐震・免震的な機能を現在の建物に補強していくほうが経済的かもしれませんし、新しい技術開発を促すことにもなるかもしれません。
次に、東京一極集中に関しては、田舎で生まれ育った私には余り実感がわきませんけれども、東京出身の友人いわく、なぜ東京に人が集まってくるのかわからない、確かに物はたくさんあるけれども、ごみごみしていて、住むための場所じゃない、ということです。東京出身でなくても、同じような意見を持つ人も多くいるにもかかわらず、実際には、若者を中心に、人は東京に集まっていきます。
そこで、その理由を考えてみると、直接的にではありませんが、首都機能とやはりかかわりがあるのではないかと思いました。首都機能があることで企業などが集まり、そこに物や情報も集まり、そして、それを求めて人が集まってくる。すなわち、それが東京圏における活気であり、一極集中そのものであると感じます。
現在の情報社会では、確かに、より新しい情報を手に入れるということは重要です。しかし、このネットが発達してきた社会では、一極集中型である必要はありません。つまり、うまく分散していくことで、全国的に均一した発展を促すこともできるのではないかと思います。また、機能を移転したからといって、集中が分散に変わるかどうかわかりませんが、逆に言えば、うまく分散できれば、移転する必要もないように感じます。
また、ひとつ疑問を感じたのは、国政改革促進のために首都機能を移転するということです。というのも、国政を形成しているのは、物や機能ではなく、それ以前にある人だと考えるからです。改革がどうしても必要だと言うのならば、教育も含めた人づくりが重要だと考えますし、国政を形成しているそのものの中身、すなわち人から変えていくほうが先決のように感じています。そうではないとしたら、この移転というのは、飽和状態から抜け出す安易な方法でしかなく、長期的に見れば、同じことの繰り返しになるのではないでしょうか。
また、首都機能移転に当たって、官公庁の移転も考えられますが、そうなった場合にも浮かんでくる疑問があります。それらに頼っていた地元産業はどうなるのかということです。これは、非常に些細なことかもしれませんが、例えば、職員らがつくっているランチタイムのにぎわいも一緒に移転することになります。かといって、付近の食堂も一緒に移転するというわけにはいかないと思います。確かに小さなことではありますが、最も重要なことのようにも思えます。食堂だけでなく、中小企業なども含めて、移転がこの経済不況を悪化させる可能性が全くないというわけではないように思えるのです。
そう考えると、首都機能の移転とは言っても、どの都市においても考えられることではないでしょうか。広島で言えば、県庁移転もそうですし、広大移転でもそうだというふうに思います。移転と言えば非常に大きなことのように思えますが、実はどんな規模でも起こり得る身近な問題であって、だれしもが考えなければならないことのように感じています。
これまでの全体的な流れから言えば、私は移転に反対しているように思われるかもしれませんが、移転には、賛成でも反対でもありません。
なぜなら、今の状況でどちらが社会情勢にとってふさわしいのかは判断できる材料がはっきりと明示されていないように思うからです。また、国民の合意形成以前に、移転の背景などを把握できるための基盤もできていないと思います。
こうした審議には、もちろん移転に関してだけではありませんが、長い目で計画していく必要があります。今移転が完了したとしても、あすとは言わずとも、来年、再来年からうまく機能していくわけではないと思います。変動しやすい社会情勢ということもありますが、より先のことも予測して計画しなければ同じことの繰り返しになりかねないと感じます。
移転の目的とともに考えるべきものとして、その結果も重要であると考えます。現在挙げられている目的が、直接そのまま結果になることはもちろんですが、私としては、それに加えて、均一的な発展がなければならないと思います。
地域格差是正が戦後の大きなテーマの一つであるとは言われてきましたが、実際には、一極集中の裏で過疎化の進行もあり、格差が広がっていると言わざるを得ません。すなわち、移転するに当たっては、その後の発展も国全体に行きわたることが不可欠であるように思います。移転の目的としているものがすべて達成されたとしても、過疎化に歯どめをかけられなければ、移転は失敗になると思います。
最後に、蛇足ではありますが、私はすべての人にやさしいまちづくりやタウンモビリティーなどに非常に興味・関心を持っています。実際、これらのことは、今後の社会に必要不可欠なものだと感じています。移転に関して、新しい都市が建設されるとしたら、ただ機能が移転されるわけではなく、各都市の見本になるような、本当にすべての人にやさしい、住みよいまちであってほしいと思いますし、それが、これから先、母親となっていくべき私みたいな人間にとっては必要なまちだと思います。
以上で終わります。ありがとうございました。

2.出席した各委員の感想等

【片山恒雄専門委員】

ただいまご紹介にあずかりました片山でございます。
きょうのご意見を伺わせていただいて、私なりの感想を述べさせていただきたいというふうに思います。
私が申し上げますことは、この会で触れられた回数が多いというわけではなくて、むしろ私が印象に残っているということのほうが多いと思うんですが、私が一番やはり印象に残っておりますのは、この問題が広島ではほとんど話題になっていないという発言をされた方のことでございます。
皆様からいただいたまとめの紙の中にも、「移転のメリット・デメリットが明らかにされていない」とか「移転の必要性が明示されていない」「移転の必要性の議論の盛り上がりが、全国的に見たときに小さいのではないか」というような意見がございました。
これは、私はやはりある意味では、国会等移転審議会そのものの問題ではないかというふうにある程度考えます。
といいますのは、きょう皆様持っておられると思いますが、「首都機能移転」というところ、8ページをあけますと、「今なぜ移転が必要なのですか」ということが書いてあって、3点が3ページにわたって書いてあります。
それは、1番目が8ページ目で「国政全般の改革を促進します」、2番目が「東京一極集中の是正が必要です」、3番目が「災害対応力の強化が必要です」というふうになっておりますが、きょうの部会長代理のご説明は、実はこれが逆になっておりまして、「災害対応力の強化」からスタートして、「国政全般の改革の促進」が3番目の理由になっておりました。
私は、この辺のところはやはり、国民に対して必要性というのをきちんと訴えるのであれば、この順番はやはりある意味では意味があるのではないかという気がしながら私は読んでおりましたけれども、「国政全般の改革を促進する」というのはちょっとわかりにくい言葉なものですから、きょうは3番目に入っておりましたけれども、この辺のところがやはり理解を十分されていないのではないかという気がいたしました。
きょうの公聴会は、反対意見というのがほとんど出なかったわけでありますが、賛成というのは、ほとんどが「総論賛成」というところでありまして、しかし同時に「地方の分権とか中央のリストラというようなことが進まなければ意味がない」ということをほとんどの方がおっしゃっておりまして、こういうのは、もう言い方次第では、賛成ととるか反対ととるかは非常に難しいところであろうという気がいたしております。
特に、「非常に大きな首都圏をもう一度つくってしまうというようなことになるのであれば反対である」というのは、かなりの方がおっしゃっておりまして、今の条件で選んでいったところが、新しい首都というのがきちんと独立した、今想像しているような地域にならずに、結果的に、拡大した首都圏になるというようなことなら反対だというご意見であって、これは、これからこういうことを進めていくに当たっては十分気をつけなければいけないことであろうというふうに思います。
「広島ではほとんど話題になっていない」「メリット・デメリットが明らかにされていない」「必要性が明示されていない」というようなことは、どういうところからきているのかというふうに考えてみますと、この首都移転の中身がわかっていないからか、もしかすると、だんだんわかってきたからか、このどっちかがちょっと私にはわかりかねる気がいたします。
というのは、総論賛成だけれども各論でいろいろな問題があるとおっしゃっていること自体、移転の必要性とか移転の理由とかというのが具体的におわかりになっているのかなという気もいたしますし、また逆に、意見を発表された方の話しぶりによると、広島ではほとんど問題になっていないということをおっしゃっておりますところによれば、全く中身がわかっていないでもしかするとこの必要性の問題なんていうのは触れられているのかなという気もいたします。
私は、何人かの方のご意見を伺いまして、その意見が非常に成熟しているかどうかは別にして、やはりこういう問題については、若い方の意見がきちんと反映されなければ成功はないというふうに思っております。やはり若い方が夢を語ってくださっているわけですが、そういう若い人のその夢が熱い思いで語られるかどうかに、国会等移転ということはかかっているという気がいたします。
私は、専門は土木工学、しかも災害といったようなことをやっております。この国会等移転審議会には専門委員として参加して、そういう部門でいろいろな調査をしたりしておりますが、やはり、どなたかご意見を休み時間にいただいたものの中には、「きょうの公聴会、こんな利益誘導型のものをやるのだったら、客観的なデータをもっと示して場所を決めるのがいいのではないか」というふうに書いておられる方がおられましたけれども、もちろん、そういう客観的なデータの積み重ねというのは今やっているところでございます。私も、災害とか地震、地震も災害のうちですが、そういうものを含めて、どういう地域にどういう違いがあるかというようなことを今調査にも参加させていただいておりますが、そういう意味では、客観的なデータの積み重ねというのは、我々、できる範囲で専門委員のいろいろな人間がその専門に従ってやっているところでございます。
もう一度最初のところに戻りますけれども、やはりこういうものを成功させるには、国民的な話題になる、その重要性・必要性が議論として盛り上がるということが非常に大切でございます。ここは、その移転の場所として来てほしいという表明地域というのがあるわけですが、表明地域として、今いろいろ、そういう客観的なデータを比べているというところではない外部の地域でありまして、そういうところでこそ議論の盛り上がりがなければ、こういう問題は二歩には進まないわけでして、表明しているところは当然議論の盛り上がりがある程度出るのは、これは当たり前のことでございますので、そうでないところで議論の盛り上がりが出てくるというのが非常に大切であって、きょうの意見はそういう意味で、私にとっては、やはり参考になるところが非常に多かったというふうに思っています。
それは、主に賛成という総論に対して、同時に、地方分権とか中央のリストラというようなものが伴わなければ21世紀の新しい日本のあり方にかかわって移転問題を議論できないんだということがほとんど皆様から言われたことでございまして、その点については、今後も参考にさせていただきたいと思いますし、こういう公聴会のみならず、たくさんの客観的なデータを専門家が今検討しながら、どういうところにどういう利点があり、どういうところにどういう欠点があるというようなことを科学的に詰めているところでございますので、今後もよろしくご協力をお願いしたいというふうに思います。どうもありがとうございました。

【野崎幸雄部会長代理】

本日はご熱心にご討議をいただきまして、ありがとうございました。
ただいま片山委員からもお話がございましたように、首都が移転することになりますと、広島の方々にもいろんな影響が出てくることが考えられます。これは、どの地域に住んでおられる方にとっても、非常に大切なことであります。
そういった大切なことを、余り皆さんの関心がないままに決めてしまうということは非常に遺憾なことでありまして、そのためにも、何とか首都移転問題に対する国民的関心を高めなければならないということを痛感いたしております。
ひとつ、本日ご出席を機に、この問題について大いに関心を示していただきまして、もし他の方々への啓発にも一役買っていただくことができますれば、私どもは非常に幸せに存じます。どうぞよろしくお願いしたいと思います。
それから、きょうご意見を述べられた方の中で、新首都が60キロ以上300キロ以内の地点に設けられようとしていることについて触れられた方がおられました。これは、60キロ以内ですと、東京と同時被災ということが非常に考えられるわけでありまして、少なくともそれ以上は離れていないといけないだろうというのがその考え方の基本であります。
では、なぜ300キロ以内か。
これは、約300キロ以内なんですけれども、これは、首都の移転というものは一挙にできるものではないのでありまして、だんだん段階を経て移っていくことになります。そうなりますと、相当の期間、二重首都といいますか、東京と新首都というものに首都機能というものが分散して存在するという期間が出てくるわけであります。
そうなりますと、その両者の間の交通・連携ということがうまくいかないといけないわけでありまして、これがまあ、一応300キロぐらいではないかということ、そして交通機関で2時間前後で通えるならば、そこが望ましいということになった所以でございます。
次に、行財政改革・地方分権それから規制緩和等の問題との絡みであります。
戦後50年というものを経まして、先ほど来ご意見を述べられた方も申されましたように、日本の制度というものは、現在の制度はある意味で制度的疲労を来しおるのではないかということがよく指摘されております。
それを抜本的に解消しようとすれば、当然のことながら行財政改革、地方分権、規制緩和ということが必要になるわけであります。過去のように、国や行政側がいろんなことに介入していくような時代ではなくなりつつあります。これは、財政的に見てもそうなのでありまして、どうしても、こういう機能というものは変革されていかなければならないという時代に来ております。その中身をどうするかということは非常に大切な問題でありまして、今現在、いろんな委員会で審議されておるところでもあり、またこれから活発に議論されるところでありますけれども、私どもは、首都機能の移転がこの問題に対する大きな導火線になるということを信じておりますし、それを期待しておるのであります。したがいまして、その点を皆様にぜひご理解をいただきたいと思います。
もし、そういう時代になりますと、恐らく日本は、アメリカなどのように各都市がそれぞれの存在意義を主張できるような、大・中・小の都市が各地に併存して、それぞれがその存在意義を見出せるような都市になっていくと思います。
先ほど来、一極集中ということが話題になりましたけれども、これは、戦後の現象であります。経済が非常に破壊されて、国というものがあらゆるものに介入していかなければならない時代が相当続きました。そのために、例えば地方に本店を持っていた企業も、争って東京に集中していったわけであります。
私は、小学校時代は大阪で過ごしたんですけれども、そのころの教科書によりますと、東京は政治の中心である、大阪は商工業の中心であると、こう言っておりました。例えば中国地方を例にとりましても、決して広島が絶対的優位にあるわけではないわけでありまして、岡山は岡山で、山口は山口でそれぞれの存在理由を持ち、対抗力を持っておるわけであります。それが、21世紀のあるべき姿ではないかというふうに考えます。
そのためには、やはり一極集中が是正されないといけない。そして、スリム化された統治機構というものが新しい都市に移っていくということが必要であろうということであります。私どもは、首都機能の移転がその契機となるものであることをかたく信じております。
それからもう一つ、いろいろなご意見、これはアンケートにもございましたけれども、今なぜ首都機能の移転なのか、こんな財政状態が逼迫しているときに、どうして首都機能を移転しなければならないのかという意見がございます。
確かに、現在の財政状態はまことに厳しいものがございます。しかし、先ほど来申し上げましたように、もし首都機能の移転に大きなメリットがあるのであれば、つまり、一極集中を排除する、あるいは災害等の観点からぜひ必要であるといった機能が肯定されるのであれば、我々は、現在の財政状態を考えても、やはりそれはしなければならないというふうに思います。
現在、公共投資というものがすべて何か悪いかのような議論がありますけれども、公共投資というものを見ていったときに、必要で、有益で、非常に役に立つ公共投資もあれば、そうでもないというものがあって、もっぱら後者のほうに焦点が当てられて議論がされていると思います。
新しい都市は、今よく言う言葉に「インテリジェント・ビル」というのがありますけれども、例えばコンピューター社会になりますと、ビルそのものにちゃんとした機能がないと情報化社会に対応できない。
東京で霞が関ビルという高層ビルがありますけれども、それをインテリジェント・ビル化するために、最近、大改造を行ったんですけれども、そのときの改造費用は、新築と同じぐらいかかっているんですね。もし、新しい都市がつくられることになりますれば、恐らく世界に冠たる情報化都市になると思います。そして、それに対する公共投資というものは非常に質がいい、効率のいい投資になるに違いないと思うわけであります。
したがいまして、そういった点もぜひお考えいただいて、私どもは、その苦しい財政の中でもやり繰りして実行するに足るものだと考えておりますので、ひとつ今後この問題についていろいろ新聞等や雑誌等でお読みになる機会がありましたら、そういった点も頭に入れて、首都を移転すべきかどうかということを検討していただきたいと思います。
ぜひこれを機会に、この問題に大いなる関心を持っていただくことを切にお願いをいたしまして、簡単ではございますがごあいさつといたしたいと思います。本日はどうもありがとうございました。

以上

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