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第2編 - 4章 東京都との比較考量に関する主要論点

本資料は、首都機能移転に関する主要な論点のうち、首都機能を新都市へ移転する場合の得失と、そのまま東京に存置する場合の得失に関するものについて、委員間で共通の理解を持つ観点から整理したものであって、審議会としての意見を整理したものではない。
なお、純粋に移転の賛否に係る意見や移転に代わるべき施策の提案等については整理の対象外としている。

1. 国政全般の改革
首都機能を移転する場合の得失 首都機能を東京に存置する場合の得失

< 諸改革の促進 >

○移転と改革を「車の両輪」として進めることにより、制度的に疲労した現行システムの改革を加速・定着させ、政府のスリム化や分権を進める手段となる。

●移転により改革が進むとの保証はないのではないかとの意見もある。

○多様性(diversity)の重視に基づく活力ある社会を築く契機となる。

< 諸改革の促進 >

○移転にかける手間と時間を国政全般の改革等に充てることができる。

●地方分権・規制緩和は重要だが、実効性となると過去の例を見て疑問であり、百年河清を待つようなものとの意見もある。

○効率性(efficiency)重視の社会経済システムを維持できる。

< 地方の自立性 >

○東京が「巨大」とはいえ「一地方」となれば、国と地方の力関係が変わり、地方の自立性が高まる。

< 地方の自立性 >

●中央集権型の行政システムが抜本的に改革されず、地方の自立が進まないおそれがある。

< 政官民の新たな関係 >

○政経分離によって政官民の絡み合った社会システムを解きほぐし、「お上」依存の古い発想から脱却できる。

○情報中立性のある所に移転すれば、経済の中心地にあって経済効率や大都市的感覚を重視しがちな政治・行政の情報の公平性を確保できる。

●政府が経済・社会の動きに鈍感になり、機敏な政策対応に遅れをとるおそれがある。

< 政官民の新たな関係 >

○これまでの発展の原動力たる政官民の協調体制が堅持される。

○全国からの情報が集まりやすい地域で幅広い情報をもとに政策を立案することができる。

●政官民の絡み合った、公平性や透明性に欠ける政治・行政に陥りやすい仕組みが温存されかねない。

●国民や企業の政治や中央政府に対する過度の依存心を温存し、自立性を損なわせる。

2. 東京一極集中の是正
首都機能を移転する場合の得失 首都機能を東京に存置する場合の得失

< 諸機能の集中の是正、東京中心の社会構造の変革 >

○企業の立地指向が変化し地方の活性化になる。東京圏も一地方圏となり、地方圏の間で公平な競争が生まれ、日本全体の活力が増す。

●規制緩和や地方分権を徹底しないままに移転すれば、移転先で新たな集中を招くおそれがある。

○「気持ちの規制緩和」が進み、東京中心の意識構造が是正され、情報・文化面での多元化が進む。東京のフィルターを経由しない地域情報の発信が可能となり、地域が活性化する。

< 諸機能の集中の是正、東京中心の社会構造の変革 >

○市場合理性による集中のメリットを享受できる。

●東京中心の序列意識が温存され、東京一極集中志向が持続し、国土利用のアンバランスや文化面での画一化が一層進む。

< 東京の過密問題の改善 >

○東京の過密の弊害の緩和効果がある。(首都高都心環状線の交通量が3%程度緩和、ごみ処理費用38億円減少)

●60万人減程度では過密解消効果は小さいとの意見もある。

○東京改造のために最大210haの移転跡地を有効に活用できる。

●移転跡地は小規模なものが多く、再開発に適した1ha以上のものは千代田区、港区に集中しているため、東京のまちづくり全体としては使いにくいとの意見もある。

< 東京の過密問題の改善 >

○移転を行わなければその費用を東京の再整備その他の社会資本整備に充てることができる。

●移転のような大きな変化がないため、都民の生活環境の改善が一朝一夕には進まないおそれがある。

< 東京の経済的地位等 >

○長年にわたり築かれた東京の経済的地位や文化的価値は低下せず、むしろ、世界都市として発展する可能性や、東京が生活の場としてゆとりと潤いを回復するチャンスを手にする。

●東京の活力が低下し、世界都市東京が国際競争力を失うとの意見もある。

< 東京の経済的地位等 >

○東京が繁栄と進歩のシンボルであり続け、東京を中心とする国民の求心力を維持できる。

●東京の過密は、既に許容限界を超えており、多少の改良を加えた程度では、過密に伴う生活・業務コストの上昇など非効率は改善されず、経済的な競争力の維持・回復は難しい。

3. 災害対応力の強化
首都機能を移転する場合の得失 首都機能を東京に存置する場合の得失

< 国の危機管理能力の向上 >

○政治・行政と経済の中枢機能を分離することによりリスク分散が図られ、同時被災による世界的規模での悪影響を大幅にくい止められる。

●絶対に安全と言える場所はないとの意見もある。

< 国の危機管理能力の向上 >

○首都機能を東京に存置したままで、展都によるリスク分散、情報バックアップ体制の整備など機能の二元化を図ることができる。

●大規模地震に対しては展都等による対応では限界があるとの意見もある。

< 東京における予想被害の軽減 >

○最大210haの移転跡地の活用により東京の防災性の向上が期待できる。

○東京圏が被災した場合にも、交通・情報の途絶を避けられ、また、職員の参集も容易であるため、新都市が危機管理や早期復旧の司令塔として機能し、被害を最小限にくい止められる。

< 東京における予想被害の軽減 >

○霞が関・永田町という比較的安全な地域で危機管理の司令塔の機能を確保することができる。

●東京直下型地震や南関東地震が起これば甚大なる人的・物的被害が生じる一方、東京の防災性の向上は多額の費用と長い年月を要し一朝一夕には進まない。

4. 財政的・経済的観点
首都機能を移転する場合の得失 首都機能を東京に存置する場合の得失

< 移転コスト >

○公的負担の集中する第一段階でも年2000億円余、国の公共事業関係費の2%程度の投資で、環境、情報、国際交流等の分野で内外から最先端の技術・ノウハウを呼び込むことができ、新たな発展基盤を築くことができる。

●厳しい財政事情の下で移転を行うことは、財政状況をさらに悪化させるおそれがある。

< 移転コスト >

○新都市建設のために新たな投資を行わなくても、東京の既存インフラや歴史的文化的蓄積を活用して首都機能を発揮できる。

●国の危機管理機能が充実し、かつ、情報や環境等の新技術を取り込んだ都市を東京改造でつくろうとするなど、移転による効果と同じだけの効果を東京改造等によって得ようとすれば、移転費用を大きく上回るコストが必要となる。

< ランニングコスト >

○東京に中央省庁をそのまま存置することは、本来得るべき機会収入を大幅に逸失しているとの見方もでき、また、移転により東京に居続けるためのランニングコストを大きく縮減できる。

●政経分離に伴い、交通費、人件費、通信費などのコミュニケーション・コストが余分にかかる。

< ランニングコスト >

○霞が関・永田町・丸の内が一箇所にまとまっている現状の姿こそ効率的で、移転のための余分なコストをかけるべきでないとの意見もある。

●過密に伴う高コストを引き続き負担しなければならない。

5. 情報化等
首都機能を移転する場合の得失 首都機能を東京に存置する場合の得失

○移転により、最先端の情報通信技術を駆使した機能的な都市を計画的に整備することができ、また、デジタルアーカイブ産業の新たな展開により、国内外からの様々な情報が交流する結節点としての拠点をつくることができる。
また、その結果、新都市と他圏域を結ぶ新たなネットワークが構築され、重層的・複合的な情報ネットワークの形成が促進される。

○高度情報化都市、環境共生型の都市など21世紀の新しい都市づくりの在り方を国内外に示すことができる展示効果は大きい。

●様々な情報が発信される都市集積を持たない地域は情報拠点になりにくく、また、環境共生型の都市にしても、既存都市を活用するより非効率になるとの考えもある。

○既存のインフラや情報産業の集積、交流活動の容易性など情報拠点となるために必要な豊富な要素を活用した都市づくりが可能。また、東京は、内外から強い注目を集めており、情報拠点づくりに適している。

●既存の都市では、従来からのシステムや文化による束縛を受け、情報化や環境共生に関する新たなコンセプトの徹底、それに基づくインフラ整備、文化・ライフスタイルの創造等を図る上で支障が生じるおそれがある。
また、情報通信技術の進歩に対応して既存システムを最新のものに改良するには、時間・費用の両面で新規に整備する場合よりも多くかかる。

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