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第2章 移転先候補地の選定

(4)多面的、多角的検討

審議会は、重みづけ手法による総合評価によって、各対象地域を数値で評価した貴重な参考資料を得ることができた。しかしながら、最終的に候補地を選定するためには、さらに、その地域が有する広域的な特徴や、新都市と他の地域との連携、地震等自然災害に対する対応、将来の交通機能の充実、新都市づくりに当たっての課題等について、多面的、多角的検討を行うことが必要である。
以上の観点から、まず、総合評価において高い評価を得た栃木・福島地域及び岐阜・愛知地域につき検討し、あわせて他に適当な移転先候補地があるかについても検討した。

(1)栃木・福島地域
新都市は、北東地域の主軸である東北軸上にあり、東京及び仙台との連携が容易で、宇都宮、郡山等による生活と業務の両面での支援や連携も期待できる。また、日本海側との連携も可能である。常磐軸上にある茨城地域と円滑な連携を図ることにより、この地域は更に輝きを増すことになるであろう。多面的、多角的な検討の結果によっても、栃木・福島地域の優位は動かない。
東北軸上にある宮城地域は、仙台とともに新都市に対する支援と連携の拠点となることが期待される。
那須岳が噴火すれば、那須地域の那珂川沿いに大きな被害の生じることも懸念されるため、新都市の立地に当たっては、都市機能の配置に留意し、防災対策を講じる必要がある。
(2)岐阜・愛知地域
新都市は、東京及び名古屋との連携が容易な中京圏にあり、首都機能を支援する機能は、東名軸に加えて、中部国際空港と連絡する軸上への形成が想定される。東海北陸自動車道により、日本海側との連携も飛躍的に強化されることになろう。多面的、多角的な検討の結果によっても、岐阜・愛知地域の優位は動かない。
また、中部国際空港が開港し、将来新たな高速交通網がこの地域を通過することとなれば、一層、東京、大阪等と短時間で連絡することが可能になり、新都市及び名古屋は、国際面を含め、大幅に飛躍することが期待される。
静岡・愛知地域は、交通の利便性を生かした支援と連携の拠点となることが期待される。
海溝型の大規模地震のおそれがあり、一部に大きな震度が予想されるため、都市機能の配置、防災対策、大規模災害時の交通や情報の確保等について、早急な検討が必要である。
(3)茨城地域
茨城地域は、東京からつくば、水戸を経て仙台に至る常磐軸上に位置し、海上交通の拠点となる常陸那珂港に近く、東関東自動車道を通じて、新東京国際空港と直結する。地形は良好で、自然災害に対する安全性にも優れている。
しかし、高速交通網の状況を考慮するとき、北東地域における東北軸の優位は動かない。このため、茨城地域は、その利点を生かしつつ、国際機能の面等で栃木・福島地域と連携し、これを支援、補完していくことが求められる。
(4)三重・畿央地域
三重・畿央地域に対する総合評価の結果は、決して高くはない。
しかし、同地域は、関西圏と中京圏にまたがり、長く我が国の伝統文化の創造と継承に中心的役割を担ってきた畿内に近く、古い歴史を有する。日本列島の狭あい部にあることから、日本海側との連携も容易である。京都、奈良、大阪等の諸機能や文化の集積、また、国立国会図書館関西館、京都和風迎賓施設等の効果的活用も見込まれ、他の地域にはない特徴を有している。
この地域の中央部を通過する新たな高速交通網が整備されれば、東京、名古屋、大阪等と短時間で連絡することが可能となる。これによって、中部国際空港及び関西国際空港の利用が大幅に改善されるのみならず、中京圏と関西圏双方の大都市との連携が一層容易となり、関西圏の再構築と合わせて、この地域の立地条件は大きな飛躍を遂げ、移転先候補地となる可能性を秘めている。
しかし、海溝型の大規模地震のおそれがあり、一部に大きな震度が予想されるため、都市機能の配置、防災対策、大規模災害時の交通や情報の確保等についての早急な検討が必要である。

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