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第4章 首都機能移転の意義、効果等

1.首都機能移転の意義、効果

審議会は、移転先候補地の選定と併行して、首都機能移転の意義、効果について、調査会報告を基本としながら、更に調査審議を行った。首都機能移転の将来にわたっての意義、効果について改めて整理すれば、以下のとおりである。

(1)国政全般の改革

国政全般にわたる諸改革は、まだ緒についたばかりであり、更に強力に推進するためには、大きな契機となるものが必要である。首都機能移転は、国政全般を根源にさかのぼって見直すための極めて重要な転機となる。首都機能移転と諸改革を「車の両輪」として一体的に推進することによって、現行制度の改革を加速し、定着させ、行政組織の効率化や地方分権を一層本格的に進めることが期待される。また、政治と経済の中枢を分離することによって、政、官、民の新たな関係が始まり、国、地方に及ぶ横断的情報ネットワークが構築されて、真に国民と密着した政策の立案が可能となる。

(2)東京一極集中の是正

東京圏への人口集中は、近年の景気後退局面において一時的には緩和したが、機能面や情報面での集中は依然として高い水準にある。東京への一極集中の構造や東京の過密状況は基本的に変わっておらず、通勤混雑、交通渋滞だけをとってみても、その弊害は、既に許容限界をはるかに超えている。首都機能の移転を契機に、国政全般にわたる改革を進めることにより、東京を頂点とする序列意識が変化し、各地域の自立性が高まって、文化面での多様性を取り戻し、企業の東京への立地指向にも変化をもたらすと考えられる。首都機能を分離することにより、東京はゆとりと活力ある経済、文化都市として生まれ変わり、現在にも増して光彩を放つ世界都市であり続けるであろう。

(3)災害対応力の強化

現在のような一極集中の状態で、もし東京が大地震に襲われると、日本の中枢機能が停止し、我が国のみならず国際的な規模で深刻な危機を招来することになりかねない。しかしながら、現状の東京では緊急時の職員の参集に支障が生じるなど、災害時の司令塔としての危機管理面での十分な対応は必ずしも容易ではない。首都機能移転によって、政治、行政、経済、文化等、すべての中枢が同時に被災することを回避するとともに、大規模な災害に対して安全性の高い地域に災害時の司令塔機能を構築することで、我が国の災害対応力を飛躍的に強化することが可能となる。また、移転跡地の活用により、東京の防災性は向上し、仮に被災した場合でも被害を緩和することが期待できる。

(4)その他

審議会では、国民的論議等が十分でない現時点において、移転先候補地の選定を行うことは時期尚早ではないかとの意見もあったが、移転法に基づく任務にかんがみ、この答申によって、今後、国民の間で広範囲にわたる論議が一層進むことを期待して、今回の答申を行うこととした。

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