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岐阜県現地調査意見聴取議事要旨

1.日時

平成10年9月16日(水曜日)17時20分〜19時20分

2.場所

多治見文化会館2階

3.出席者

(審議会委員)

石原会長代理・部会長、野崎部会長代理、石井(進)、石井(幹子)、宇野、寺田、中村(英夫)、濱中、牧野各委員(9名)

(専門委員)

池淵、鈴木、森地各専門委員(3名)

板倉大都市圏整備局長(事務局次長)他

4.議題

地域の概況について、首都機能移転に関する対応方針について、事前質問事項に対する回答について、意見交換等

5.議事の要旨

今回は、岐阜県内の首都機能移転先候補地の現地調査を行った後、地域の概況、首都機能移転に関する対応方針、事前質問事項に対する回答について岐阜県より説明が行われ、引き続き意見交換が行われた。

(1)地域の概況について

岐阜県の知事より以下の説明が行われた。

「新首都<地球家族村>東濃」と仮に称しているが、地球環境村というコンセプトで新首都機能を配置して、人間性復興の村づくりという考え方を提案している。

県内の方々からは、さまざまな意見をいただいているが、地域的な考え方と同時に、個々人の生活も大切だというマクロとミクロが混在しており、それらを調和させて地球家族村というものがいいのではないか。人間性、触れ合いという点から、家族といういうようなコンセプトを持ち出している。

この地の特徴の第1は、たくさんのゴルフ場があることで、岐阜県で100あるが、そのうちの半分、面積にして約7,400haのゴルフ場がある。これを活用して、ゴルフ場に国会議事堂等の国会村、あるいは官庁村、大使館村として配置したらどうか。現在の霞ヶ関、永田町を64haとすると、十分施設を収容できるスペースがある。ゴルフ場の方も、ゴルフ連盟を初め、大変協力的に考えている。そのゴルフ場にヘリポートやコミューター基地を配置し、大いに活用してお互いの親善を図る日本中央交流村をつくってはどうか。

2番目の特徴は、広大な森林緑地があり、市町村有地だけで1万4千haぐらいある。できれば現状の森林緑地を維持保存し、緑あふれる自然村としていく。開発にあたっても、自然共生型の建築方式を採用していく。岐阜県では既に建設中の例がある。各務原市のVRテクノジャパンは山腹開発型でリチャード・ロジャース氏が設計し、近く完成する。多治見市、土岐市の国際陶磁器テーマパークは、磯崎新先生の設計で、谷筋を浮上してつくる清水型とでもいうものである。芦原義信先生は、飛騨の高山で世界民族文化センターの設計を行った。これはトンネルで入ってエレベーターであがるということで、山を削らない進入路トンネル型のモデルである。

人工林は間伐をしないので、大変危機的な状況である。間伐をしないために真っ暗な状況で、雨が降ると山が抜けるという大変な状況である。間伐材をどうするか大きな課題であり、新しい都市をつくる場合、全国の間伐材を総動員すれば、一挙にこの問題が解決する。

岐阜県の特徴として、「花の都ぎふ」運動を行っており、花いっぱいになったが、これを発展させて、世界一花いっぱいの首都、花いっぱいの村にする。

周辺には、中小の特徴のある都市群があるので、公務員住宅を分散配置するとか、あるいは陶磁器文化を楽しめるゆとりの生活村にしていく。名古屋も近く、大都市機能はそこで享受できる。飛行場も便利な場所にある。過疎町村もあがるが、セカンドハウスを間伐材でつくれば、1,000万円程度でできるので、緑の健康住宅構想も進めている。飛騨地域では人情の迎賓館村構想がある。岐阜西濃地域も、生活、文化、スポーツ、教育、産業、経済、いろんな機能を分担する意向がある。

東濃研究学園都市というハイテクの拠点があり、核融合科学研究所をはじめ、世界のトップレベルの研究開発施設がある。世界から学者、研究生が来ており、学者村、留学生村をつくる。岐阜県では国際ネットワーク構想を進めており、世界直結の拠点をつくっていきたい。

この地域には、歌舞伎、文楽など豊かな伝統文化があり、それを活かした村づくりができる。

テーマパーク回廊ということで、今建設中である東海環状自動車道の沿線上に、国際陶磁器テーマパーク、世界一のバラ園ができる予定の花フェスタ記念公園、日本村というテーマパーク、航空宇宙博物館、和紙会館、世界淡水魚園、それから長良川のウ飼いという伝統があるし、養老天命反転地という前衛作家のテーマパークもある。隣の瀬戸市では2005年に万博がある。さらに飛騨地域は世界遺産白川郷、高山のまち、下呂温泉は大変人気があり、これに加え、世界民俗文化センター、国際健康保養地づくりを進めている。

このあたりが日本で一番古いところで、40億年前の岩石がある世界最古街道、人口という人間中心の発想による日本真ん中街道というものがある。これを発展させ、世界にも例のないテーマパーク街道をつくると、どんどん外国からも人が来る。奈良、京都にも近い魅力のある首都になるのではないか。これが「新都市〈地球家族村〉構想」であり、一つの提案としたい。

続いて多治見市長より説明が行われた。

岐阜県東濃地域の首都機能移転の取組ということであるが、平成5年6月にJR中央線、あるいは国道19号線が貫いている5つの市、それから南北にある2郡で岐阜東濃地域首都機能誘致促進期成同盟会を発足させた。その後、この範囲を広げて、平成8年4月に2市2郡、美濃加茂市、可児市、加茂郡、可児郡が加わり、28市町村で構成している。この同盟会を通じて、一致して運動しており、議会においても、28市町村すべてにおいて決議して、運動を進めているところである。

この地域は盆地内に既存の都市があり、それを取り囲む丘陵が非常になだらかで、手つかず、あるいはゴルフ場という形で残っている。同盟会の中の具体化研究会で2,000haの土地が確保できるということを研究した。その結果、候補地5ヶ所を選定した。土岐市北部・可児市東部地域から中津川西部・恵那市東部地域に至るまで、公有地が多く、それに基づいて、どんな配置をしたら首都としての機能を果たせるか、具体化研究会は研究してきた。

この地域の住民の意識については、期成同盟会を立ち上げてから、毎年、講演会、シンポジウム等を開催し、PR活動を続けてきたが、地域の方々、企業の方々、あるいはいろいろな団体の方々もいろいろなやり方でPR等に努めており、地域のほとんどの方に認知されている。この地域の日本青年会議所等においても毎年どこかでシンポジウムを行い、たくさんの人を集めている状況である。同盟会が行った住民意識調査では、誘致問題について、ほとんどの人が知っており、期待できる効果として雇用の機会の創出、交通網、あるいは都市サービスの充実があり、留意点として、急速な都市化への不安があげられている。特に自然保護等について目立った反対もなく、我々も自然環境を傷つけない、あるいは環境を保全していくか、あるいは造り出していくといったことを考慮しつつ運動を展開しなければならないと思っている。

今後とも、全県的な組織である推進協議会とも連携しながら、岐阜県全体の問題として取り組んでいきたいと考えている。もちろん地域の住民の方々が、自らの問題として取り組んでいく必要があるので、さまざまな疑問、不安等にも対応しなければいけないと思っている。

最近、愛知県との交流ということで、東濃尾三地域と呼んでいるが、東濃、尾張、三河ということで都市間の交流がはじまる。豊田市や瀬戸市とも一体となって取り組み始めており、三河の方々とも連携を深めたいと考えている。

次に中部経済連合会副会長より説明が行われた。

3つの点について説明したい。最初は首都機能移転について、若干心配しているのは、議論されはじめてから日がたつので、凍結論、あるいは止めるという議論がここ2、3年あったことである。着工が延期されたのは事実であり、行財政改革の一環として首都機能移転が行われると、その起爆剤となり、そのための基盤であると理解をしていたが、財政が不如意だから延びるとか、財政上は難しいからできないという議論があり、凍結になっている気がする。もう一回考え方の整理が必要ではないかと思っている。移転の前に、民間と政府との役割分担、あるいは国と地方の役割分担、こういったものが整理をされつつ、首都機能移転問題を進めるということが必要である。原点に立ち返った推進の議論がされることを願っている。

その関連であるが、東京問題は一刻の猶予がない。東京の首都機能を維持するための交通のインフラの整備ないしは補充、改良等に数千億の資金が入っているとの試算がある。それが適切かどうか。そこに緊急性があるように思う。もう一度原点に立ち返った議論が必要で、緊急性にかんがみ、速やかに実現の方向に向かうことを願っている。

2点目であるが、中部が最適な理由について4点ほど申し上げたい。まず第1として、この付近は日本の人口重心であり、全国からアクセスしやすい。全国民から等しくアクセスしやすいところに新都市をおくべきことは明らかであると思う。先頃発表された国土のグランドデザインを見ると4本の国土軸がすべてこの中部地区で交差している。この地区は国土のロータリーのような役割を果たすべきところと理解するが、そこに首都機能の移転が行われることは非常に自然なことと考える。次に首都機能移転は経済的かつ効率的なものでなければならない。この地域の既存のインフラというものが活用されることによって、新たな投資が少なくて済むというメリットがある。この地域は既に交通通信網が発達しており、第2東名・名神や、中部国際空港、中央新幹線等のインフラ整備というものが首都機能移転の有無に関わらず国土計画として必要であると思う。そのようなものがそのまま使えるということは、効率的な移転のためにも適切な場所だと思う。言い方を変えると、中部地方は東京、大阪に並んだ拠点であり、その機能をそのまま使える、これが大きな着眼点ではないかと考えている。
3番目として、適度な集積が利用できる。ブラジリアのように、何もないところに造るのは現実的でない。既存の都市集積を活用し、新しい首都と一体となった新都市を形づくる。中部というと、三大都市圏の一つで過密だと誤解を受けているおそれがあるが、決してそうではない。むしろ適度な都市集積がある。1平方キロメートルの人口密度は全国平均で332人であるが、中部5県では390人でほとんど平均である。東京圏は2,403人で近畿圏では1,130人というデータがある。従って全国平均的な地域である。名古屋市もそれほど過密ではないと思う。都市と都市とが連携して適切な役割分担をしている数少ない都市圏であるため、最もふさわしいと確信している。

4番目であるが東京は経済首都としての機能を残すのが適当だろう。その場合、国会首都との連携が重要である。その関係に必要なものは、つかず離れずの関係と思う。中央地区、中部地区は、まさに東京から適切な距離、適切な分担関係でないかと思う。

最後に、岐阜県、その他中部圏の各調査対象地は非常に熱心な取り組みが行われており、県議会、市町村においても、決議や議論が進んでいる。我々も経済団体が幹事役をつとめ、4県の知事、経済団体の首脳が一堂に会し、中央地区に首都機能移転を実現する会を5月に発足させた。今後も官民一体となって情報発信をしていきたいと考えている。

なお、この問題には国民的議論の盛り上がりが必要と思われるが、現在、若干無関心層が全国的に多いように感じる。国民的議論が起こるような仕掛けをし、努力をしていきたいと思っている。

次に岐阜県副知事より、事前質問事項に対する回答について、説明が行われた。

まず、中央部にあることのメリットについてであるが、4つの国土軸がリンクする中央交流センターが形成されるだけでなく、アジア・太平洋地域ということを考えた場合、西日本の経済圏を意識した位置を考えなければならないと思っている。日本海と太平洋を最短で結ぶ意味からもこの土地は最適のポジションにある。文化の創造、危機管理といった面からも中央部にあるメリットは大きい。国民的コンセンサスを得る上でも抵抗感が少ないと考えている。

2つ目の国土軸との関係で、どのような影響があると考えているかとのことであるが、4つの国土軸の基軸になっていることから、いろいろな文化が融合し、新しい文化を形成、あるいは新しい文化の発信をしていくという意味で文化・経済の活性化に貢献できる。また各国土軸の国際交流を一層促進する役割を担っていくと考えている。

東日本・九州・四国等の他の地域への影響であるが、九州・四国については物理的メリットに加え、東日本との交流が増大するのではないか。北海道・東北については、東京より遠くなるが、西日本との交流が活発になる。また高速交通体系の整備により、距離の問題は最小限にとどめることが出来るのではないかと考えている。

交通体系としてどのようなものが形成されると考えているか、という点であるが、東京、大阪とのアクセスが大きく向上することによって、東京から大阪まで一体となった交通ネットワークが形成されるのではないか。あるいはこの地域に国際的な空港、港湾等が多数あるが、それらが一体となったネットワークが形成され、全国、海外と直結していくと考えている。

次に新しい都市づくりとして、どのような都市像を展開、イメージしているのかとのことであるが、岐阜県としては、21世紀の首都の役割として3つの貢献を提唱している。地球への貢献、人類への貢献、地域への貢献である。具体的には、人間環境都市として、景観都市、環境共生都市、安全都市という提言をしている。ライフスタイルもこの地域の条件を活かし、アウトドアレジャーや高いレベルの教育、豊かな食生活、あるいはさまざまなイベント等への参加、草の根の国際交流も進むということを考えている。この地域は歴史的にも西と東の文化の交流が融合して新しい文化をつくってきているが、これからも重要な役割を果たしていくと考えている。

交通アクセスについては、リニア新幹線の他にどのような改善策を考えているかとのことであるが、現在貨物線であるJR城北線を活用することにより、東京・東濃間の時間距離を大幅に短縮できる。また岡崎周辺から新幹線を引き込むことにより、東京・東濃間が82分程度に短縮出来ると考えている。

中部空港へのアクセスであるが、計画決定されている西名古屋港線を空港まで延伸することにより、40分でアクセス可能と考えている。道路についても計画段階にあるものを結び合わせることにより、50分で新空港にアクセス可能と考えている。

災害に対する安全性であるが、地震については、岐阜東濃地域の地震災害に対する安全調査を委員会で検討してきた。内陸型の地震は3回記録されているが、過去最大の被害を出した濃尾地震において、震度6の揺れが記録されたが、死者は2名にとどまっている。海溝型地震も4回記録されているが、いずれも大きな被害は記録されていない。阿寺断層地震の被害想定についても、規模、あるいは震源からの距離を考えると被害の程度は小さい範囲にとどまると推定される。東海地震については、この地域では中津川市が地震防災対策強化地域の指定を受けている。これも被害調査をしたところ、被害の範囲は限られており、1キロメートルメッシュで2,500程ある中で、約10メッシュ程度で全半壊が生じ、全壊家屋は75棟程度という非常に局地的なものに限定されるという推定結果となっている。

東海地震等が起こったときの東京とのネットワークの確保であるが、空港、鉄道、道路、いずれも複数のアクセスルートの設定が可能であり、十分対応可能と考えている。

東京が被災した場合の機能として、どのような役割を担っていくかという点については、サポートする機能、あるいはバックアップする機能が必要と思う。サポートする機能としては、危機管理センターを設置し、普段からサポート体制をというものを整えておくことが必要ではないか。緊急時には、災害救助、復興支援センター的な機能と体制の整備が重要と考えている。東京被災の場合はは大規模になるので、名古屋、大阪を中心としたサポートスタッフ隊を総動員すると考えている。

水供給の安定性であるが、この地域は牧尾ダム、岩屋ダム、阿木川ダム、味噌川ダムの4ヶ所のダムがあり、毎秒9トンの水利用を確保している。このうち、現在使っているのは3トン程度で、6トンが未利用の状態である。これは最終段階60万人でも対応可能であるが、渇水対策が必要であり、この点は、新丸山ダムの早期完成、土砂の堆積した牧尾ダムの再開発、あるいは建設中の徳山ダムの不特定用水の有効活用ということで対応したい。下流に対する影響は、既存の開発水量で十分可能であり、下流域に対する悪影響は直接及ばないと考えている。水質等については、全県下水道整備を図っていきたいと考えている。

循環型都市づくりとして具体的にどのような取り組みを考えているかとのことであるが、新都市で発生する環境負荷量については、東京都の事例を参考にしながら、県で試算しており、ゴミについては最終処分量を9.6%まで縮減、生活用水についても中水道として再利用することにより42%程度の節水、上下水汚泥についても最終処分を重量で2%、容積で4%に縮減するという努力が必要だと考えている。ソフト面についても多治見市では循環型社会システム構想を今年度策定することになっている。

環境面での地域の合意に関しては、今後、メリット・デメリットを具体的に示す、住民参加のシステムを設ける、環境面での影響を考慮の上、予定地を決定するというようなことが必要と考えている。

首都機能移転と自治体との関係については、新都市の形態が具体化していない段階での検討は難しいが、新しい都市の形態が明らかになるのと並行して、地方自治制度のあり方を考えていきたい。

次に岐阜県商工会議所連合会副会長より、補足説明があった。

平成7年12月に、岐阜県下経済団体6団体で、東濃地域への首都機能移転に関する要望書を国土庁長官に提出した。また全県的な議論の盛り上げを図るため、岐阜県多治見市文化会館ホールで「岐阜県ルネッサンス・21世紀の日本を拓く岐阜東濃」と題し、1,500人の人に集まっていただいた。

経済界は一致団結して取り組んでおり、県商工会議所連合会では、東濃首都機能移転誘致協議会を設立した。一方、経済同友会では首都機能誘致委員会を設置して各種のアンケートの実施、提案書の作成、国などへの要望書、提案、シンポジウム、懇談会の開催など、県民議論の盛上げを図っている。商工会議所連合会の取り組みの一つとして、平成8年7月に首都機能移転の特別決議を採決するとともに、西日本の経済界に対して、首都機能移転の必要性と岐阜東濃地域の優位性のアピールを行った。

新聞には暗い話題がたくさんあるが、首都機能の移転によって人心の一新を図って21世紀の日本を築き上げなければならないと思う。リニア新幹線が開通すれば東京から30分、大阪から30分となり、これほど候補地にふさわしいところはない思う。

次に岐阜県芸術文化会議常任理事より、以下の説明が行われた。

9月11日に「女性が考える私と首都機能移転」というシンポジウムを開催し、800人以上の女性が集まり、首都機能の移転について、認識と理解を深め、夢をかけることができるのか、ということを話し合った。昨今の政治の在り方は国民の常識から離れている。個人の家でも引っ越しの時に、これは本当にいるのかどうか、物と生き方の点検を迫られる。意識の改革は首都機能の移転を行わないと変わらないのではないかということになり、それなら東濃に来ていただくということになった。そのためには、私たちがどういう生き方をすべきか、何を幸福と考えるのか、もっと考えて、それを形にして全世界に対して発信できたらいいということを話し合った。地域エゴではなく、もっと大きな立場から、岐阜県の女性はその気になっているということを報告したい。

次に岐阜県ゴルフ場連盟会長より、以下のとおり説明が行われた。

岐阜県には、ゴルフ場が80ヶ所を超えている。そのうち8割、60ヶ所がこの東濃地域に集中している。そのため土地の取得という点ではでは比較的集中しているので容易である。ゴルフ連盟としては、十分検討しており、総会でも個々のゴルフ場でも大賛成であるという決議をしている。

岐阜県ゴルフ連盟は、県内のゴルフ場のほとんどが加盟しているが、こういう都道府県は少ない。協調精神が非常に旺盛である。農薬の問題が起きたときも、1年間で半分に以下に抑えたことがあり、これも協力し合って実現した例である。

東濃地区のゴルフ場の半分近くが、名古屋市あるいは愛知県の方が理事を務めている。これは交通のアクセスも良く、平坦地であるからだと思う。

首都機能移転のときは、ゴルフ連盟が結束して協力できる。

次に岐阜大学名誉教授より、以下のとおり、説明が行われた。

この地域の自然環境について申し上げたい。

この地域は、東部から北部かけて苗木藩、南部に岩村藩という2つの藩が領有していた。どちらも国学の本拠地として藩主が民府論を展開した。明治維新以後、その教えを受けた方々が町村の施策者となり、市長村有林の植林を非常に熱心に進めていった。それが戦後、日本で唯一銘柄化し、東濃檜柱材というものを生産した。これは木であれば何でも売れた時代に、四角でなければいけない、清涼でなければいけない、美しくなければいけないという商品づくりをした結果と考えられている。

南部の方は美濃焼の産地で、古くから陶器を製造しており、森林を燃料として使ってしまったため、日本の三大はげ山地帯の一つを形成した。明治維新以後、国、県が多大な費用や労力をかけ植林をして、今見られるアカマツ、クロマツ林が形成された。

もう一つは、地域の農民たちが、薪炭、農機具の材料として広葉樹林を残し、それを永続的に伝えてきている。

この3つが永続的にモザイク状に分布しているのが、この地域の森林の姿であるが、自然資源として豊かであり、人々が自然と非常に密接に関わって、この地域を歴史的につくりあげてきた。

この地域は豊かな自然資源に囲まれ、豊かな人間が住んでいる。こういう場所は子供を育てるために最も適しており、首都移転という観点から、非常に恵まれていると感じている。

この地域の植生的な特性は、周伊勢湾要素、あるいは東海丘陵要素と呼ばれているものである。この地形、地質によって規定された特殊な植物が生育している。一つは谷底に生育する植物、もう一つは山腹斜面に湧水によりつくられる湿地、この2つがこの地域の特徴である。湿地には、ナンジャモンジャノキと呼ばれるヒトツバタゴの木やシデコブシ、ハナノキ、サギソウあるいは食虫植物のモウセンゴケなどの遺存種、貴重種がある。

過去にゴルフ場、工業団地、宅地開発によって失われたものが多いが、それを上手にコントロールしながら保存して開発が進められている。ゴルフ場が候補地としてあがっているが、ゴルフ場というのは、そういう貴重なものを上手にコントロールしながら開発を進めた場所であるため、ゴルフ場には貴重なものがなく、適地であると思われる。

まだ貴重なものの分布が的確に把握されていないので、事前に総合的な調査が必要であると思う

次に名古屋大学名誉教授より説明があった。

岐阜県は活断層が多く、地震に対して安全かというのが、皆さんの率直な疑問だと思う。中部地方の地震活動を調べると、岐阜県には地震の多い地方と少ない地方がある。少ない地区が東濃地区、多いのは東部、西部である。

過去1,200年の地震を調べると、東濃地域は直下型の内陸地震が非常に少ない。地震が切迫している活断層もない。これらの調査結果は、大地震の発生確率が小さいということで、地震が起きないということではない。我が国で大地震が起きないと断言できる地域はない。

海溝型の地震については、東濃は太平洋岸から少し北の方にずれており、過去1,200年ぐらいの間に10数回起きている。被害の起こった可能性のある地震は過去3回あり、最近では1944年の東南海地震であるが、この地域は死者3人であった。であるから東南海地震あるいは東海地震なら大きな被害にならないだろうと思う。非常に長い目で見ると、何百年かに1度は、東南海地震と東海地震を合わせたような安政東海地震のようなものが起こる可能性がある。そのときはマグニチュード8.4、震度は6になると思う。この地域の地盤は非常に良好なので6では危険でないと思う。基盤が直接露出している地域なので安全であると思われる。

私の考えでは、地震がどこに起こるか、はっきり決まらない以上、震災の原因は第1に軟弱地盤、第2に都市の過密である。東濃地域というのは、非常に広く、設計によって十分地震に対処できると思う。

(2)質疑応答

・平成9年1月に住民意識調査を行ったと聞いたが、同じような時期にNHKの放送文化研究所の世論調査部が首都機能移転に関係する9つの県について、住民の意識調査の結果を発表している。岐阜県については、首都機能移転に賛成で岐阜県に来て欲しいという人は35%、首都機能移転に賛成だけど岐阜県に来て欲しくないという人が33.5%、首都機能移転に反対という人11.6%となっており、35%の方は賛成だが、45%の方は岐阜県に来て欲しくない、という結果がでている。総理府の調査でも、同じようなデータがでていたと思うが、住民の方の理解はどうなのか。環境負荷量について説明があったが、ゴミの発生量の9.6%の縮減とあるが、これは東京都に問い合わせのところ、ずっと将来になって可能な数字かもしれないと回答があった。下水道の汚泥処理の最終処分量を重量で2%、容積で4%縮減というのも、まず不可能に近いと聞いている。生活用水を42%節水するということについて、東京都では10%の節水ができるかどうかが実態であった。どういう試算を行ったか質問したい。
最後に首都機能を移転をするなかで、現在の地方自治体を見直していく可能性はあるが、その辺については、ある程度決まってきてから、検討するという回答であった。国会等移転審議会の前に国会等移転調査会というのがあり、そこでは現在の道府県とは離れた自治体をつくるということ、あるいは直轄市ということも議論された。自治省の中でも同じ時期、研究会の中で同じような選択肢を示していた。それは公表されているので、住民にも、そういうことがあり得るということを示した上で、意識を聞くということが必要なのではないか。

→アンケート調査であるが、そういう結果が出ていることは十分承知している。住民の方々が十分理解し、真剣に考えていく積み重ねが大事でないかと思っている。首都機能移転の議論はされているが、住民の方にイメージとして描きやすい形の具体像がはっきりしていない。この点は努力を積み重ねていきたい。環境負荷量であるが、県なりの試算であり、指摘された点を踏まえ、さらに詳細に技術的、経済的にどこまで可能か勉強していきたい。
地方自治体のあり方について、自治省の検討会では、大筋では特別の地方自治体を設けることが果たして適当かどうかということで、国としての結論が出たわけではなく、1つの案としてそういう意見もあるということで承知している。県としては幅広く議論し、検討していくことを考えている。

・新都市と地方行政の関係は随分研究されていると思うが、アメリカのワシントンDCの市民は、周囲の州民より不利になっており、特別の州をつくってくれという要望が出ている。日本も同じようなことが起きる可能性があるかも知れないと思う。むしろ積極的に意見を出していもらいたい。
ブラジリアへ行ったが、緑があり、生活がしやすいと市民は言っているがが、ブラジリアとキャンベラでは、市民はずっと住んでいきたいとは言っていない。岐阜県に首都機能を移転するとすれば、どうやって潤いを持たすか、どんな文化を持たすかが非常なポイントではないかと感じる。

→新都市の形態によって変わってくると思う。例えば国会都市という国の機関でほとんど埋め尽くされ、一般の生活がほとんど付属的にしか行われないという地域が出来た場合、そこが独立の自治体として運営が可能かという問題がある。できるだけ既存の都市と融合した形で不自然な形態の都市にならないような都市づくりが望ましいと考えている。地方自治体も基本的に特殊なものでない方が、生活者の立場からも望ましいのではないかと考えている。まだ県全体としても議論を深めているわけではないので、これから議論をしていきたい。

・環境に関する話があったが、この地域には貴重種が多いとのことだった。それはどんなものなのか。開発に対して、支障となり得る可能性を持つものなのか、聞かせていただきたい。

→この地域の固有の植物社会として、木本ではハナノキ、シデコブシ、ヒトツバタゴ、草本では数十種類の植物が群落をなしている湿地が非常に多く、谷底の部分と山腹斜面に形成されている。これが今まで開発の中で失われてきた。それが最近10数年の間は、開発に当たって調査を厳密に行い、保存できるものは全て保存していくという取り組みを行っている。国際的に認知された遺存種であり貴重種であるので、厳重に保全していかないといけないと考える。分布について少しづつ調査がされてきたが、総合的な調査がされていないわけで十分とは言えない。開発のときに植物社会をいかに保全していくということを大前提に考えなければならないが、既に開発が済んでしまったところ、その象徴的なところがゴルフ場ではないかと思うが、そういうところを開発をするというのは名案ではないかと思う。山腹斜面の湧水による湿地は規模が小さいものが多い。規模の大きなものは谷底に出てくる。山腹斜面も含めて、今後どのように保全していくか検討していく必要がある。

→多治見市、土岐市で国際陶磁器テーマパークを建設中であるが、一部シデコブシの自生地があったので、保存する工法をとった。最近、施設を造るときは必ずこういう考え方を前提で行っている。できれば、既に開発済みのゴルフ場をなるべく使いたいと考えている。

・美濃焼は日本の焼き物の半分以上を生産していると聞いた。陶器というのは高い文化として非常評価されているが、物理的なことばかりではなく、文化もPRはされた方が良いのではないか。交通手段のリダンダンシーについて説明があったが、陸・海・空の輸送手段で複数化であるということと、陸なら陸の中での複数化ということの2つがある。方向性では、主要な交通手段が名古屋に向かっている。名古屋が被災すると全部途絶えてしまう。そういう面での複数性の考えを聞かせて欲しい。

→美濃地域の都市を結ぶルートは複数を考えており、一つは高速道路の東海環状線、もう一つは都市を直接結ぶ南部横断ハイウェーという立体交差型の国道をつくっていく。それ以外にも県道、市町村道等をつくって、複々ルートを整備している。焼き物については、大和朝廷のいろいろな遺跡から「美濃焼」の刻印をうった焼き物が出ており、当時からここが主流であったということである。PRがあまり良くないので知られていないが、これを機会に宣伝していきたい。

・本日、視察したところは素晴らしいところであった。そこに環状道路が入っており、既に名古屋へ通勤する人たちのものと思われる宅地が広がっている。恵那で総合庁舎から見た土地をどう判断するかであるが、どうしてあのように虫食いの使い方をしてしまったのかというのが率直な感想である。虫食いの開発が今まで止められなかったことを考えると、本当に土地利用のコントロールができるか疑問である。現行の土地利用規制、あるいは都市制度では不十分だろうと私自身は考えている。今、規制を考えなくてはならないのではないかという確信をもっている。

・新都市のアクセスは、鉄道をいかに使うかが大きな問題ではないかと思っている。
東海道新幹線が名古屋で乗り換えをせずに直接新都市にアクセスできる可能性はあるのか。リニア中央新幹線は、本当に実現するのか。技術的に問題があるのではないかという話も取りざたされており、考えを聞かせて欲しい。

→東海道新幹線から支線を出して東濃地区と結ぶのは不可能ではない。問題はミニ新幹線にするのか、新幹線規格のものにするのかということと、もう一つは東海道新幹線は非常に過密状態で、どういう輸送をするのか考えてみなければならない。むしろリニアによるよらないに関わらず、中央新幹線というのはどうしても必要である。そうなるとこの地域は必ず通過駅、途中駅ができる予定である。既に地質調査をはじめており、第一歩は踏み出した恰好になっている。
リニアは、山梨で実験をしているが、順調に進んでいる。時速500kmも達成し、何も問題を起こさず進んでいる。今、運輸省に評価委員会をつくって来年度末に評価委員会に実験経過を報告し、実用になるかどうかの確認をすることになっている。最大の問題は建設経費をどうやって出すかである。これは国家百年の大計でどうしても整備するべきものであるし、現実的な議論になってきたと思っている。バックアップ手段であるが、中央線は在来線では規格の高い路線であるので名古屋から多治見まで20分である。これを使うと鉄道アクセスとしては非常に便利な地域であると言える。

→都市のスプロール化の話であるが、名古屋との関係では、山があるから連担しないと説明したが、指摘の点は非常に重要で戦後の人口膨張、あるいは都市の膨張圧力、それから今の都市計画法施行以前にかなり既成事実が出来てしまった。宅地の需給もずいぶん緩和されたが、首都機能移転となると予想外のこともあり得るので勉強していきたいと思っている。

・都市の立地するような地域があるということと、静かできれいなところであるという感想をもった。行く先々で首都機能移転のキャンペーンがあり、中央とこの地域との温度差というのがよくわかった。

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