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静岡県現地調査意見聴取議事要旨

1.日時

平成10年10月19日(月曜日)14時45分〜16時45分

2.場所

浜松名鉄ホテル4階 芙蓉の間

3.出席者

(審議会委員)

石原会長代理・部会長、野崎部会長代理、新井、石井(威望)、石井(幹子)、濱中、牧野(7名)

(専門委員)

池淵、井手、戸所(3名)

板倉大都市圏整備局長(事務局次長)他

4.議題

地域の概況について、首都機能移転に関する対応方針について、事前質問事項に対する回答について、意見交換等

5.議事の要旨

今回は、静岡県内の首都機能移転先候補地の現地調査を行った後、地域の概況、首都機能移転に関する対応方針、事前質問事項に対する回答について静岡県より説明が行われ、引き続き意見交換が行われた。

(1)地域の概況について

静岡県知事より以下の説明が行われた。

首都機能移転は、昭和30年代からさまざまな議論がなされ、そのたびに各方面の著名な方々は、浜名湖周辺を中心とする静岡県西部地域が移転先としてふさわしい地域であると提案をされてきた。また、各調査機関において実施された最近のアンケート調査でも常に上位を占めるという状態であり、地理的条件や交通の利便性、恵まれた自然環境などのすぐれた面が支持されている結果と考えている。

本県の西部地域は気候が温暖で、積雪もほとんどなく、3,000m級の山々を連ねた南アルプス、諏訪湖から太平洋に注ぐ天竜川、美しい湖岸を有する浜名湖、広大な砂丘が広がる遠州灘など、変化に富んだ豊かな自然環境も大きな要素である。また、交通の利便性については、東海道新幹線や東名高速道路等により、東京、大阪を初め、全国からのアクセスが容易な地域となっている。浜松には「ひかり」号も到着しており、東京からも大阪からも90分という時間距離である。さらに既存の交通基盤に加え、第二東名自動車道、三遠南信自動車道や静岡空港の建設が進められ、利便性はますます高まっていくと考えられる。一方で、当地域には大学、医療施設、文化施設等も相当程度整備されていて、西暦2000年には、浜松市の中心部に静岡文化芸術大学を開設し、この地域の学術教育の中心の1つを担わせようと考えている。こうした都市的基盤の活用により、新都市の建設を経済的かつ効果的に進めることが可能であるとともに、新都市が成熟していく過程においては、浜松、豊橋の両市が母都市として十分活用できると考えている。

さらに、すぐれた文化活動や研究活動が行われる学術文化県を目指して多彩なプロジェクトやイベントを推進しており、浜松を中心とした地域において、1999年には第2回国際オペラコンクール、2002年には小笠山総合公園「エコパ」においてサッカーのワールドカップ、2003年には国体、さらに2004年には浜名湖庄内半島で国際園芸博覧会を開催する予定である。

当地域には、東海地震の発生の懸念があるが、静岡県は駿河湾から県中部を震源地とするマグニチュード8クラスの海溝型地震が想定されている。万一東海地震が発生したとしても、本県が候補地としている地区は地盤のしっかりした台地や丘陵地に存在しているため、地震の被害は最小限に食いとめ得ると考えている。また防災対策においては、日ごろから防災体制の確立をしておくこと、あるいは住民意識がその面で大変徹底していることが重要であると考え、本県では東海地震発生の警告が出されてから20年以上にわたり、さまざまな取り組みをしてきた。それらを通じて得られたノウハウは新都市設計にも生かしていただけると考えている。

本県西部地域は、丘陵や台地が広がる自然が豊かな地域であり、さまざまなインフラが整備され、交通要路に沿って中小の都市が散在している地域である。こうした地域に首都機能が移転されれば、自然と調和した温暖で快適な都市、本県の防災対策を生かした防災モデル都市、既存の、あるいは建設中の都市基盤を活用した経済的、合理的な都市が建設できると考えている。特に浜名湖や遠州灘のウォーターフロントのすぐれたロケーションを生かし、他の候補地ではなし得ない新都市像を描くことができると考えている。静岡県は、長い間アンケート調査結果などを通じて住んでみたい県、ナンバーワン県という結果が出ている。都市は、人がそこに住みついてこそ初めて都市と呼べるものになると考えている。

(2)首都機能移転に関する対応方針について

最初に、静岡県議会の議長より以下の発言がなされた。

静岡県西部地域を含む静岡県は、国土のほぼ中央に位置し、交通の利便性にすぐれ、温暖な気候、豊かな自然を有するなど、地理的、自然的条件にも恵まれており、また、アンケート調査でも常に上位を占め、国民的合意を形成するという観点からも首都機能移転先に最もふさわしい地域であると考えている。

本県議会では、昭和63年に全国に先駆けて首都機能移転問題等調査研究特別委員会を設置して、平成4年まで調査に取り組んだ経緯がある。その後、国や県民の首都機能移転に対する関心の高まりなどを背景として、平成7年6月に首都機能移転対策特別委員会を改めて設置した。平成7年10月には、当該特別委員会の総意として首都機能誘致の決意表明がされ、議長名で、静岡県が首都機能移転先にふさわしい地域であるとして、国土庁等へ要望活動を展開した。

また、平成9年3月には静岡県、愛知県、岐阜県、三重県の4県議会の首都機能移転に関する特別委員会の正副委員長で構成される首都機能移転東海4県議会連絡協議会を設立し、東海4県を含む中央地域への首都機能移転の実現に向けて連携を図っているところである。平成10年1月の調査対象地域の決定を受け、同年1月26日には、東海北陸7県議会議長会で、中央地域が候補地して選定されるよう全力で取り組んでいくことを決議し、積極的に取り組んでいる。

続いて、静岡県議会首都機能移転地方分権推進対策特別委員会委員長より以下の発言がなされた。

首都機能移転対策特別委員会は平成7年6月に設置され、国の動向や県の対応等について調査を行うとともに、県内外の視察を通じて候補地の選定や他県の取り組み状況などの調査に努めてきた。同年10月には委員会として、本県は首都機能移転先にふさわしい地域であると判断し、首都機能の誘致に全力を尽くす旨の決意表明を採択し、平成9年9月には、首都機能移転と地方分権は密接な関係にあり、あわせて推進する必要があるため、委員会の名称を首都機能移転地方分権推進対策特別委員会に変更した。

また、平成9年3月には、国土の中央部に当たる東海地域が首都機能の移転先として最もふさわしく、移転の意義、効果を最大限に発揮する地域であるという共通認識のもと、本地域への首都機能移転の早期実現を図ることを目的として、静岡県、愛知県、岐阜県、三重県の4県議会の特別委員会の正副委員長で構成する首都機能移転東海4県議会連絡協議会を設立し、各県の情報交換や国への要望活動など行い連絡を図っているところである。同年4月には、東海地域は移転先として最適の地域であるとして、首都機能を東海地域に移転されるよう国土庁等へ要望書を提出し、7月には、2003年までは原則として新都市の建設事業に対する財政資金の投入は行わないとの国の慎重な姿勢に対し、首都機能移転の機運が薄れることのないよう国土庁等へ要望書を提出している。

また、平成10年1月に調査対象地域が設定されたことを受けて、同年8月には、東海地域のいずれの県が候補地に選定されても協力することを確認し、首都機能を東海4県を含む中央地域に移転されるよう、国土庁等へ要望書を提出するなど、積極的に取り組んでいるところである。

続いて、袋井市長より以下の発言がなされた。

袋井市は、東京から195キロ、日本列島のほぼ真ん中に位置する東経138度の地点にあり、古くは東海道五十三次の真ん中の宿場であった。小笠山丘陵は、掛川市、袋井市、浅羽町、大須賀町、大東町の2市3町にまたがる丘陵地帯で中東遠地域のほぼ中央に位置し、未開発地の面積が約8,300ha、豊富な自然空間を有する丘陵地帯である。また、国有林は750haあり、移転を必要とする人家が極めて少ない。昭和30年代から国際貨物空港構想、あるいは首都機能移転も再々話題になるところである。

交通アクセスは、東名高速道路袋井インターチェンジ、新幹線掛川駅、さらには静岡空港の整備、第二東名高速道路掛川・森インターチェンジの設置や周辺道路網の拡充などにより非常に便利であると考えている。

また、地震の問題については、洪積層の中でも古く安定した大井段丘堆積物、つまり礫層であり、地震に極めて強い地盤であると考えてられている。温暖な気候であり、年間平均気温は16度、年間日照時間も約二千時間、さらには雪はほとんど降らないところである。

続いて、湖西市長より以下の発言がなされた。

湖西市は、文化的には東西文化の接点でもあり、地理的には東京と大阪の2大都市圏のちょうど真ん中に位置している。一例として、昨年、電気自動車のバッテリーの開発と生産拠点として松下電器とトヨタ自動車の合弁会社ができたが、本市に出来た理由の1つが、日本の中央であるからであった。

また、浜名湖や遠州灘に面し、背後には湖西連峰を初めとする緑の豊かな自然に恵まれ、鉄道、空港、港湾、高規格道路等々の整備により、さらに人的、物的交流の拠点となると考えている。

この地域においては、3つの重層的な都市づくりを進めており、1つは西部の浜名湖湖岸で西部9市町村による浜名湖を中心とした環浜名湖都市圏づくり。2つ目は、この遠州地域22市町村からなる西部地域拠点都市地域の整備。3つ目は、静岡県、愛知県、長野県の3県にそれぞれ接する地域で、静岡県を中心とする遠州地域、豊橋を中心とする三河地域、飯田市を中心とする南信地域がそれぞれ合流連携をして、三遠南信地域の一体的な地域づくりを進めていることである。

このような背景から、首都機能移転については、愛知県東三河地域等を含めた広域的な見地に立って現実的な議論を展開させる段階に来ていると考えており、関係する市町村と一体となって積極的に取り組んでいきたい。

続いて、細江町長より以下の発言がなされた。

細江町は浜名湖の北東岸に位置し、大草山から約5キロのところに立地している。

首都機能移転については、東京一極集中の是正のみならず、地方分権や規制緩和など、我が国が直面するさまざまな課題を解決する契機となるものと考え、町としても、国や審議会が行う調査に対して、県同様に最大限の協力をする考えである。

浜名湖に隣接する2市5町の首長で、浜名湖に関する諸問題やその時々の話題をフリートーキングする浜名湖会議をつくっているが、本日はその議長としても出席させていただいている。

浜名湖はその湖岸線が大変変化に富み、生息する漁種も豊富で、古くから漁業の場としてはもとより、海水浴、潮干狩、魚釣りなどレクリエーションの場として全国的親しまれており、地理的にも東京、大阪の中間に位置し、東海道新幹線、東名高速道路等の主要幹線網の整備の進展、また、浜名湖をめぐる道路網の制度と相まって、近年訪れる方々が年々増加している。このような自然的環境と社会的条件に恵まれている浜名湖は、自然と触れ合い、人間性の回復が強く求められている今日、その果たす役割は今後もますます高まるものと予想され、浜名湖の自然環境の保全を優先した首都機能移転の取り組みが、この地に住む人たちの願いであり、また与えられた使命と思っている。浜名湖を臨む景観は世界に負けないウォーターフロントとして、すぐれた都市になり得るものと考えている。

続いて、静岡県企画課長から、事前質問事項に対する回答が以下のとおり説明された。

最初は、首都機能移転の意義と効果に関する御質問のうち、機能集中の助長と国土構造改編への効果についてである。西日本国土軸の中でも中央地域は個性ある中小都市がゆとりある空間に配置され、適度の機能集中を有しているため、東京のような一極集中が問題となっているとは考えていない。このような地域に首都機能が移転すれば、東京と新都市との二極構造、さらには関西を含む三極構造が構成され、多極分散型の国土構造への改変が期待されると考えている。

2番目の質問は、他の地域への影響についてであるが、4つの国土軸が結節する中央地域への移転は、国土軸の形成や連携を促進し、全国各地における立体的な地域づくりに寄与するものと考えている。特に静岡県西部地域は西日本国土軸の中間で、太平洋新国土軸の東のゲートウェイに位置し、西日本国土軸や太平洋新国土軸の形成に寄与するものと考えている。

3番目の質問は、交通ネットワークの形成についてであるが、経済首都としての東京を中心とした交通ネットワークに加え、新都市を中心としたネットワーク、さらには関西を中心とするネットワークなど重層的な交通ネットワークが形成され、分散型、多軸型国土や地域連携軸の展開に寄与するものと考えている。

4番目の質問は、新都市の都市づくり及び都市づくりのイメージについてであるが、新都市は身近な自然環境やゆったりとした都市空間の形成により、ゆとりある生活を展開するステージとなることが期待される。現段階では首都機能移転の具体的内容が明らかにされていないため、現地に即した新都市構想は作成していないが、例えば浜名湖周辺は、世界に誇るウォーターフロントとして、景観にすぐれた都市、水辺の地形や周辺の自然を生かし、施設を湖畔に散開した首都がイメージされると考えている。また小笠山周辺には国有林や開発可能な山林が十分に残されており、太平洋を臨む丘としての立地を生かし、自然環境と一体化した新都市として、クラスター配置型の都市圏づくりが可能な地域と考えている。

5番目の質問は、交通アクセスに関する質問のうち静岡空港についてであるが、静岡空港は2,500mの滑走路を有する地方空港として、2006年の春の開港を目指し、鋭意整備を進めていいるところであり、東南アジア諸国への就航の実現を目指している。また、中部国際空港へは第二東名自動車道や、これに接続する地域高規格道路を利用して1時間程度でアクセスが可能になると考えている。

6番目の質問は、土地の取得についてであるが、本県の適地調査においては、地形の良好性などの開発可能性に主眼を置いて地域を選定した。都市的な土地利用が行われている地域を避け、比較的土地取得が容易と考える山林を多く含むよう区域設定を行っている。

7番目の質問は、東海地震による影響についてであるが、東海地震の規模はマグニチュード8程度で、静岡県が行った地震被害想定では、必ずしも県下全域が多大な被害を受けるものではない。地盤が良好な丘陵地、台地等では震度6強から震度5強となっており、本県の調査対象地域の大半はこのような地域だと考えている。また、新都市建設においては、最新の耐震・免震設計を駆使することはもとより、広場や緑地帯の適正配置、区画街路の十分な幅員確保など被害の軽減や、円滑な復旧が図られるよう十分な配慮をすることがさらに重要と考えている。

8番目の質問は、地震の場合のネットワーク上の被災に関わる対応についてであるが、静岡県では東海地震を想定した緊急輸送路として、1,980kmに及びます道路改良が進められている。さらに現在建設中の第二東名自動車道は、阪神・淡路大震災を契機として耐震基準を見直しており、東海地震に遭遇しても、これらの交通網が完全に孤立する可能性はないものと考えている。

9番目の質問は、東京の大地震と緊急災害対策の司令塔としての機能についてであるが、東京の被災規模を想定すると、全国規模での広域的な支援体制が必要と考えられ、新都市にはこの広域的支援体制を迅速に動かす情報処理機能を十分に備える必要がある。このような機能の確立に当たっては、静岡県が培ってきた地震対策のノウハウを活用でき、また災害復旧機能のみならず、地域を主体とした日常からの防災対策を広く全国に普及できると考えている。

10番目の質問は、水供給の安定性についてであるが、本県の場合、首都機能移転に必要な水資源については、既存水利の中での再編、転換により確保できる見通しである。下流域の水量に大きな影響を及ぼす可能性は少なく、新都市の排水については下水道整備等により水質保全が図られるものと考えている。

11番目の質問は、既存都市との関係についてであるが、浜松市や豊橋市は相当程度の都市機能を有しているため、母都市として十分に機能、活用できるものと考えている。また、東京とは新幹線を利用して約1時間半で行けるため、日常的な連携をとりつつ、円滑に政治首都と経済首都としての機能を分担していけるものと考えている。

12番目の質問は、自然環境と共生した都市づくりについてであるが、自然との共生については、水源涵養林の保全と適切な維持、都市内水面や湿地の保全、地下浸透面の確保、下水道の整備、水資源の有効活用、自然生態系に配慮した河川、湖沼、湖周、公園緑地の整備、既存の自然条件を生かした緑地の整備保全、さらには公共用地、人工地盤や屋上の緑化等々の取り組みによって自然環境と共生した都市づくりの実現を図っていきたいと考えている。

13番目の質問は、循環型都市づくりについてであるが、環境負荷量については、新都市の具体的な規模、施設内容等とともに提示されるものと考えている。また、循環型都市づくりには環境負荷を最小限にするために太陽光発電や風力発電等、新エネルギー設備の活用、コジェネレーションシステムの活用、ごみの燃料化、下水汚泥の堆肥化、建設資材の再利用、さらには下水処理水、雨水の活用等々の取り組みが必要であると考えている。

14番目の質問は、環境面での地域の合意についてであるが、移転される施設や規模、移転時期をできるだけ早く地域に示すとともに、環境アセスメントの実施に当たっても、早い段階から地域の意見を取り入れる機会を設けることが必要と考えている。

15番目の質問は、当該地域の計画上の位置づけであるが、静岡県環境基本計画は環境政策の基本的な方向や具体的な施策を明らかにしたもので、地域ごとには計画を定めていない。また、静岡県の総合計画である静岡県新世紀創造計画においても、地域ごとの環境上の位置づけは定めていないが、地域の主要施策としては、磐田市にある桶ケ谷沼等の自然環境の保全と活用、浜名湖総合環境整備の推進、さらには遠州灘海浜の自然保護対策の推進等々を掲げている。

16番目の質問は、隣接県との連携についてであるが、静岡県西部地域は愛知県東三河南部地域に接し地形的にも一体となった地域であり、機能分担による連携も可能と考えている。

17番目の質問は、首都機能移転と地方自治体との関係に関する質問のうち、地方自治体の見直しについてであるが、新都市はクラスター配置の形態や既存都市との位置関係によりさまざまなケースが想定され、首都機能の効果的な発揮や、新都市住民への適正なサービスの執行に十分配慮した検討が必要と考えている。

18番目の質問は、地元住民の方の受け取り方についてであるが、平成8年7月にNHKが行った県民意識調査では、首都機能移転に賛成が60%、反対が16%という結果であった。また、県西部地域の方々の意向については、新都市の具体像が明らかになるのを待ってアンケート調査等を実施し、把握していくこととしている。また、首都機能移転を推進する組織としては、三遠地域新首都推進協議会を初め、小笠山の明日を考える会、静岡経済同友会浜松協議会等の団体がある。

19番目の質問は、新都市の立地コストについてであるが、都市の運営コストはできる限り小さくなるよう、設計段階から十分配慮する必要があると考えている。そのコストは、行政サービスを初め、原則的には新都市が所在する新しい自治体が負担すべきものと考えるが、新都市の主要な機能である首都機能を維持するための費用は、国が負担をすべきものと考えている。

(3)質疑応答

県側の説明のあと、以下のとおり質疑応答が行われた。

・この地域が非常に国民が住みたい地域とか、あるいはすばらしい地域だということは、認識したが、首都機能移転という国家的なレベルで考えたとき、幾つか問題点があると思う。

1つは、国土構造の問題であるが、日本を北海道、本州、九州、四国の4ブロックで見たときの人口重心は岐阜のあたりにある。しかし地理的な中心は、東京よりやや北の方にあるわけで、先ほどの御説明はやや旧来型の国土構造の場合に適していると思う。そこで、日本海国土軸や北東国土軸との関連性をどう考えるか。

2つ目は、土地取得の問題について、地域の約7割が農地で、その農地が施設園芸、茶畑等で非常に生産性が高く、地価も高いという形態になっている。私の経験では、このような地域は個々の農家の方の経済的観念等が高い地域であって、そのようなところでは土地取得が難しいのではないか。

3つ目は、小笠山等で都市開発を行った場合、静岡都市圏と浜松都市圏が都市的土地利用で一体化してくる恐れはないか。仮にこうなったときに、この地域が持つポテンシャルを考えると、首都機能移転に伴う新都市のイメージや理念とは違った、別な形での集中現象が起こりかねないという懸念を感じるがどう考えているか。

→日本海国土軸との関係を考えた場合、1つは三遠南信自動車道が建設されているので、中央道路を通じて富山、立山、飯田等と連結すると考えている。さらに東名高速道路を通じて清水から甲府、日本海側の上越市までの中部横断自動車道の計画があり、今後10年以内にその整備が進むことにより北関東、あるいは日本海国土軸と連結をしていくことになると思う。

土地取得の容易性については、容易性の判断基準をどこに設けるかということであるが、例えば、浜名湖の庄内半島の先の方で園芸博の会場の取得をしているが、計画を立ててから、1、2年のうちに全必要用地取得を始めて4年たっているが、95%くらいまでしか言っていない。用地が取得できるという状態ではない。どこの地域に行っても強硬に反対する人がいるのは通例ではないかと思う。容易性を何で判断するかであり、容易でないと即断するのはどうかと思う。

静岡、浜松の中間に位置する小笠山地域では、都市整備に当たり機能集中等の問題が起こらないかについては、この小笠山地域は浜松に近く、地域の住民感情からすると浜松圏に引っ張られている地域であることから、都市的な機能相当分は浜松が担うこともあり得ると考えている。

・1点目は、新都市づくりにおいて、地域の自然条件、社会経済的な特殊性等が大いに反映すると思う。これを含め、インフラ整備にも順番があると思うが、最初に整備することはどういうことであると考えるか。後から整備するのでは間に合わない問題が必ず新都市の整備にあり、何度も繰り返してきた歴史がある。例えば安全性、利便性や環境問題等があるが、どのような点を重視して整備すべきと考えているか。

2点目は、対象地域の大部分は2次的な自然であるが、最近では里山、雑木林、あるいは茶畑、樹園地を含めた2次的な自然が、環境保全上どのような価値を持つかということが見直されてきている。これを踏まえ、2次的自然全体に対して環境保全上の価値をどう考えているか。また、それに対する保全対策はどのように考えているか。

→インフラ整備の順序としては、この地域は第2東名自動車道、三遠南信自動車道という高速道路が進行中であるが、全国の高速交通ネットワークの利便性があるかが最初の決め手だと思う。その点では、当地域は、既に東海道新幹線は現在1時間あたり最高で11本走っているが、これを15、6本にする構想がある。また中部国際空港、静岡空港等の既存計画が進行中であり、交通ネットワークは既存計画で対応できる。あとは、具体的に都市を建設するに当たっての都市内の交通網の整備、下水道等のインフラ整備、機能配置の問題であり、それほどの難問題に直面するとは想定できない。新首都の人口10万人台の規模であれば既存のニュータウンでの事例もある。また、分散立地であれば、地域の改造負荷はなお小さくなるので、さほど難しいことではない。

2次的自然の再評価については、県として環境保全対策をどう考えているかと言えば、現在、里山については管理が放棄されたり、人が入らないことで非常に荒れているので、各地域、里山を中心として、人と自然とが共生する接点として管理し、緑を中心とした自然力の回復を図る「しずおか悠久の森構想」に着手している。また、山間地である天竜水系では、浸水対策もあって見事な人工林が整備されているが、この管理が問題となっている。間伐、あるいは伐採した後の濶葉樹林帯への変更等も考えて取りかかっている。農地については、本県の主要産物である茶園についてできるだけ化学肥料の投入を減らすべく指針を立て取り組んでいる。農薬の散布も減らし、食べて安全なお茶という基準で取り組んでいる。今後さらに水稲、水田にもこのような方法を拡大するよう取り組み始めたところである。

・1点目は、首都機能移転と自治体の関係について、首都機能の移転圏域において地方行政組織の変更が考えられる。国会等移転審議会の前の国会等移転調査会の中でもいろいろと議論があり、その中で直轄市という議論あるいは圏域に府県と同格の地方公共団体をつくるという議論があった。この点に関しては有力な可能性があると思っているが、このような現在の自治体の中に県と同格の自治体ができることについて住民の意向はどうか。

2点目は、都市整備を行うに当たり、その周辺や、圏域に含まれる市町村、住民の負担がかなり大きくなると考えられる。小笠山地区は公共下水道の普及率は低い。クラスター内は完全に下水道を整備するが、当然周辺の住民の方々も公共下水道の整備をして欲しいということになるのではないか。3,000ha弱のあるニュータウン建設でも周辺市町村に大きな負担があり、かなり助成をした実例がある。こういう点についても住民の方々の御理解を頂いておくべきではないか。

3点目は、地元住民の受け取り方について、NHKの世論調査によると、首都機能移転に賛成で静岡県への移転を希望する方が、28%強、他県への移転を希望する方が、32%強。移転に反対という方が、16%であり、静岡県に首都機能が来てほしくないという人の方が半分近くになる。平成4年に行われた総理府の調査でも東海地域に賛成34%強、希望しない53%強このような調査結果も踏まえて、住民の方々の御理解、あるいは市町村の方々の考えを出して頂きたい。

→本県が想定している分散立地、例えば、オフィス部分と住居部分が離れて別の行政区域に立地する場合など、都市の形態によって議論があって良いと思う。その場合、国家機能が立地するところは直轄市、もしくは特別な制度にすべきだと思う。

負担の問題については、都市の形態によって周辺地域の負担の割合も変わってくるのと、人口急増市町村に対する財政援助措置等も絡めて地方財政措置を講じることにより対応できると考えている。

また、アンケートについては、対象地域だけのアンケートを出していれば、違った結果になったかもしれない。本県の場合東西に長く分布しているため、首都機能移転先候補地から遠い県中部地域や東京に近い沼津、三島等では、移転に対する関心が極端に低くなっているので、このような結果になったのではないかと想像している。

・交通アクセスに関して、新しい首都機能を持った地域では、空港はむしろ専属的な空港を持つぐらいの考え方でもいいと思っている。その点、静岡空港の現計画の2,500メートル滑走路は中途半端な気がするが、県としての考えはどうなのか。

2点目は、湖西地域について、隣接する愛知県では、浜名湖周辺地域を静岡県と一緒に考えているという話も伺っているが、静岡県ではどう考えているか。

→静岡空港の現計画は、首都機能を念頭にしたものではないので、現状で2,500mで考えている。

また、湖西地域と豊橋とは地域経済的にもかなり双方濃密な関係がある。通勤人口などを考えても日常的に一体化している部分もあり、歴史的な関係もある。当然首都機能移転に当たっては、隣接する愛知県との連携も十分念頭においている。

・県が適地としている浜名湖周辺と、小笠山、さらには静岡空港周辺地域はクラスター型で配置するにしても、適地が分散しているため全体を一つにすることは無理があると思われる。県としては、浜名湖周辺、小笠山等、どのあたりを中心に考えているのか。

→県としては、当初から誘致をするという考えに立っていない。国家政策として首都機能移転をやる以上、全面的に地元として御協力申し上げるのは当然のことと考えている。

小笠山と浜松の関係は、在来線では、小笠山の中心部につくる新駅と浜松駅間で20分、また、新幹線では、掛川駅と浜松駅間で14〜15分程度、自動車では30分弱の距離である。現状での評価よりも、どの機能をどこに配置するかによって、小笠山と浜松地域を一緒にして機能配置を考えていくことも不可能ではないと思う。

(4)首都機能移転に関する対応方針(続き)

引き続き、三遠地域新首都推進協議会代表幹事より以下の説明が行われた。

三遠地域新首都推進協議会は、静岡県西部地域と愛知県東三河地域の商工会、商工会議所の66団体からなる経済団体である。また、愛知県の新首都中部推進協議会と連携をとりながら、静岡県西部地域から愛知県東三河地域を含めて、東海地域をエリアとする浜名湖新首都構想を提唱している。

この構想では、第1に、当地域には国会を中心とした国会首都を目指し、中央政府の企画立案部門のみを移転させることにより、小さな政府、小さな首都の実現に最もふさわしい地域であると考えている。第2に、東に偏った首都機能を東京より西に移動させて、東西のバランス回復と社会文化的側面の融合化を促進させて、東西日本融合型首都を実現させるということである。第3に、産業や生活面での廃棄物の抑制化を目指し、また浜名湖のレジャー施設等を整備することにより、観光と環境の首都を目指す。第4に、浜名湖環状新交通の整備により山、川、海などの多様な自然を生活に取り入れた、21世紀型の新しいライフスタイルをリードするライフスタイル創造首都を目指す。このような4つのコンセプトを提言している。

浜名湖新首都の機能配置は、新首都中心部を浜名湖周辺に置き、それを支える小笠山地域、引佐地域、愛知県新城・鳳来地域、それから豊橋・渥美地域をクラスター状に配置している。面積は、当面の人口10万人に対応する2,000haを想定し、国会等機能の中心は村櫛半島に置き、そこに立法、行政、司法や大使館、コンベンション施設等を配置する。また、東海道新幹線、東名高速道路、三河港、御前崎港等の社会資本投資が有効に活用でき、浜松、豊橋両市が左右に存在することで、いろいろな構想が実現できると確信を持っている。

首都機能移転ついては、三遠南信地域経済界の総意でもあり、去る7月には掛川、袋井、磐田、浜松の商工会議所正副会頭会議において、三遠地域への首都機能移転を決議し、今月8日には飯田市で三遠南信サミット・アンド・シンポジウムが開催された折に、各商工会議所、商工会の代表者から浜名湖への首都機能移転についての理解を頂き、提言を発表したところである。

続いて、小笠山の明日を考える会の会長から、以下の説明が行われた。

小笠山の明日を考える会は、平成4年に、小笠山周辺2市6町の商工会議所、商工会が経済団体として集結して、小笠山の明日を考えようということで始まった。平成6年にビジョン委員会をつくり、東遠地域経済研究会、中遠地域産業振興会、小笠山の土地改良区の方々を交え、東京200キロ圏の整備活用調査委員会を設けて、本格的に調査研究を実施をし、平成7年5月に調査票が完成している。

小笠山は、土地取得の容易性が非常に高い。国有林が747ha、開拓事業が950ha、ゴルフ場が100ha、笠原地区が640ha、浅羽高台が100ha、まとまった土地が合計約2,500ha存在する。開拓はみかん造園を行ったが、現在荒れている場所もある。笠原地区、浅羽高台は茶園であるが、後継者難で厳しい時代に来ている。現在は、地域の老人クラブ連合会、自治会の方からも、首都機能移転の勉強会等を通じて、首都機能の受け入れに御理解を頂いているところである。

続いて、静岡経済同友会浜松協議会代表幹事より、以下の説明が行われた。

静岡経済同友会浜松協議会では、首都機能移転が新しい政治行政システムの確立にあることに着目し、地方分権と権限移譲による小さな政府、小さな行政を実現するための千載一遇の機会として、その実現に期待を寄せている。当協議会としては、首都機能の移転先候補地として浜名湖の庄内半島南端に位置する村櫛地域を挙げている。

浜名湖村櫛地域が首都機能の移転先としてすぐれている点を3点挙げると、その1つは、温暖で水と緑に恵まれた自然景観がすばらしい地域であり、例えばオーストラリアの首都キャンベラを髣髴させる、まさに日本の首都してふさわしい世界に開かれた美しい水辺の国会都市の実現が可能である。

2つ目は、用地確保が容易で、広大な土地を必要としないという点。浜名湖村櫛地域には静岡国際園芸博覧会及び県立音楽公園用地とあわせて首都機能と施設用地に必要とする用地確保が可能である。また、周辺の遊休の養鰻池の再活用により、新たな用地の確保も可能である。さらには、当協議会が移転候補地として挙げている浜名湖村櫛地域には、それを中心とした半径15キロ圏内に生活基盤が整った中堅市町村並びに豊橋市、浜松市が東西に位置しているため、それら既存の都市機能を活用することにより首都機能と施設用地以外の土地、都市生活機能用地としての8,800ha余りは必要としない。すなわち、首都機能移転にかかわるトータル費用が最も安く済む候補地である。

3つ目に、空港及び交通の至便性という点である。東京からおよそ250キロ圏内、日本の中心に位置し、また東海道新幹線、第一、第二東名、三遠南信道など東西南北交通の要衝であり、道路、鉄道等の利便性は最も優れていると思っている。とりわけ空港については中部国際空港、静岡空港だけでなく、海外の元首等々専用機は、航空自衛隊浜松基地の利用が可能と考えている。

引き続き、静岡大学名誉教授より以下の説明が行われた。

静岡県の西部地域は、非常に広々とした、1つのまとまった地域である。地盤でいうと、洪積台地、あるいは第三紀、中古生代のような古い単独層であり、標高は約200から300m以下である。いずれの場合にしても、地震災害についての問題は少ない。

気象条件では、東京、名古屋と同じ気候帯に属するが平均気温は1度高い。これは冬の気候が関係していると思う。雪はほとんど降らない。これは北西側と北側に3,000m近くの高い山があることが影響している。ただし若狭湾から名古屋にかけて乾燥した偏西風が吹く。これがいわゆる空っ風というもので、風速3〜8m程度である。雨量は、1,900mmで、1,600mmの東京、名古屋より少し多く、静岡よりはかなり少ない。

川については、大井川、天竜川が流れており、ともに水量豊富である。これは、北側の高い山の3,000ミリに近い年降雨量が一番大きな原因である。また、浜名湖は日本の代表的な汽水湖であり、海水の流入が多い。全体として湾の奥の方が細く深くなる傾向がある。深さは12m程度で、地殻変動により少しずつ北側の方が沈む傾向にある。現在では都市化に伴う湖水の汚染対策が積極的に進められている。

遠州灘は、外洋、つまり太平洋に直接面した波の荒い平な遠浅の海岸であり、県立海岸公園として、砂浜と砂丘の保全、海亀の産卵等がなされているところである。

私なりに首都機能移転について一言申し述べると、この候補地一帯は真っ平なところではない。よって、平坦化するのではなく、高低差があっても構わない。そういう自然を逆に利用する。また、そういうところで自然を残していく。このような都市づくりを進められるならばよろしいのではないかと思っている。

引き続き、浜松大学教授より以下の説明が行われた。

第1点は、移転の目的についてであるが、国政改革、政経分離とは心の問題であり、移転そのものの問題ではない。真の目的は過密過疎の解消問題である。しかし、今回の新首都が形成される2014、5年、それ以降の段階においても、果たして現在のような過密が現存しているだろうか。日本の人口は、西暦2004、5年あたりにピークを迎え、実はかなり厳しくなる。定低位推計で見ても、2100年には5,000万、中位で見ても6,700万人ぐらいの人口になる。この中で、首都機能の移転を考える必要があると考える。

第2点目は、日本の強さの根幹とは、私は東京の強さと考える。東京の強さの根幹とは、その規模と圧倒的な集積である。そこで生み出された商品が国際的比較優位な商品として世界市場に貢献をしている。しかもこれから右肩下がりとか世界大競争と言われている中で、この強さを解体、分散させようということは、よほど慎重であるべきではないか。

第3点目は、一極集中と言うが、東京23区のピークは昭和40年代に既に終わっており、東京都の集中も平成2年あたりをピークに、ほとんどの機能が東京圏に行っている。しかもその東京圏の機能も、今や広域首都圏、あるいは拡大首都圏のようにどんどん外延化している。集中と見るよりはむしろ外延化をしているわけで、この中でいかに首都機能の移転を考えるか。このような角度からの検討も必要ではないかと思う。

もう1つは、移転先についてであるが、今回の候補先を見てみると、実は県レベル、地域レベルで見れば、他の地域と比べてかなりの集積と活力がある地域である。過密過疎の解消ということで考えるならば、もっと広い範囲の中で、どこにつくることが最も全国の均衡ある発展に寄与するか、さらにはアジアの発展、日本の持続的成長に寄与するか、という視点からも検討されてはいかがかと思う。

引き続き、川口建築都市設計事務所取締役より以下の説明が行われた。

地域住民にとっての町のあり方、地域のあり方というものを、住民とともに考える立場から仕事をしていく中で思うことは、国家政策としてここに首都が来るという必然性について、わかりやすい形で説明なり情報が与えられれば喜んで受け入れるが、明確な説明が与えられない場合には、素直に受け入れられるかどうか心配の面があるということである。

静岡県内では、各地でさまざまな地域活動、まちづくり活動が盛んに行われており、行政側の仕掛けや工夫により、住民自らが町について考える機会も数多く設けられている。また、住民側からも自らが町を考えていくといった動きが見られるようになってきている。そのような流れの中で、国家政策として静岡県が新首都としてふさわしい場所であると定められた場合には、それを積極的に取り入れて、これからの自分たちの生活を考えていくための土壌はできている県であると感じている。

静岡県の県民全体が、やがて来るであろう変化を積極的に取り入れ、主体的にこれからの自分たちの生活を豊かにするためのきっかけとして、新首都も取り入れていく県民であると考えているので、そのような見地から静岡県を考えていただければと思う。

(5)質疑応答

県側の説明のあと、以下のとおり質疑応答が行われた。

・クラスター方式の開発では、広い範囲で見れば開発適地はいろいろなところに存在するが、3権の中心をつくることを考えた場合、地方自治との絡みもあって、どの地域にどの程度つくるのかという問題が生じる。これは、画期的なものをつくろうとすればするほど、国の直轄都市でなければできないという気がしている。特に静岡県の場合は、浜松から豊橋へ広がりがみられるので、収拾が困難ではないか。浜松、豊橋、南信地域の商工会議所、経済界がお互いに協力すると言われているが、このような問題が生じるのではないか。私の懸念は、そもそもの新首都というか、政治都市としての都市、首都、そういうものをつくる場合にどうであるか、といった原点の問題が残っているような気がするということである。

→クラスター開発を提唱している理由は、首都機能移転は、9,000haや4,000haの一まとまりの用地がなくても十分考えられるということである。9,000haの用地を考えた場合、三権も含めた行政、オフィス機能が立地する場所と住む場所とは当然分離されていると思われ、既存の都市の実体を見れば、一般職員は離れた場所に住むということも考えられる。このような点でいくと、クラスター開発は十分考えられ、ならば本県にも適地は沢山あるということである。

・この地域は、茶畑、ミカン、花卉の栽培を含めて、水の確保に相当な努力をされて発展を来したということであった。工業用水や農業用水の既得の水利、権利量は十分あり、この再変、転換には、歴史なり努力といったエネルギーのかけ方が大きいがゆえ、一方では難しいテーマを掲げる可能性もあると思われる。

また、この地域では、自然流下の形で水供給の輸送系が構成されるのか、それとも、ポンプアップ等の揚程を含めた供給系を考えているのか。後者の場合、危機管理等において難しい面が出てくる可能性もあると思われるがどうか。

→水源の問題については、例えば工業用水で考えると、企業は節水型に転換しているために、実際は水利権の中には相当の余力がある。また、生活用水でも、かつて想定されたほどの利用増はなく、逼迫している状態ではない。農業用水については、今後の農業の動向を考えても余力が見込まれる。そうすると、規制緩和も含めて水利権の与え方、仕組みの変更を行えば、ポテンシャルは非常に高い。

また、自然流下方式についてであるが、この地域は平坦地も相当あるため、ポンプアップして高いとこから流すというように、人工的な力を加える場所がでてくると考えている。

以上

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