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第2回国会等移転審議会議事要旨

1.日時

平成9年1月14日(火曜日)15時0分〜17時10分

2.場所

東條会館橘の間

3.出席者

(審議会委員)

平岩会長、有馬会長代理、石井(進)、石井(威望)、石原、堺屋、下河辺、寺田、中村(英夫)、野崎、堀江、牧野、溝上、鷲尾各委員(14名)

伊藤国土庁長官、井奥国土政務次官、田波内閣内政審議室長、竹内国土事務次官、近藤国土庁長官官房長、塩谷国土庁計画・調整局長他

4.議題

前回欠席委員紹介、意見交換、資料説明、今後の進め方等

5.議事の要旨

今回は、本国会等移転審議会の第2回会合で、前回時間切れ等で発言できなかった各委員を中心にフリートーキングが行われた後、事務局から国会等移転調査会報告の「首都機能移転の意義と効果」のポイントの説明があり、審議会の今後の進め方について議論が行われた。

(1)国土庁長官挨拶要旨

第1回の審議会において長年ご経験のある先生方のご意見を伺い、非常に参考になりましたし、同時に生の委員の声が出来るだけ国民の皆様にそのまま伝わることが、首都機能移転という大事業に国民のコンセンサスを得る上で、大変大事だと痛感いたしました。可能な限り皆さんのご意見ができるだけ生の形で伝わるよう、情報公開の御努力を頂きたいし、私どもも、活字にする場合にも、できるだけ差し支えない範囲で、そのままのご意見を多くの皆さんにご理解いただけるように伝えてまいりたいと思っております。
2年前、私たちはかつて無い直下型の阪神・神戸の震災を経験いたしまして、文字どおり復旧から復興へ様々な努力が続いている途中でございますが、日本の首都、東京をどうするか、また地方と都市をどのようにバランスをとっていくか、歴代の総理がその都度国土行政に取り組んできたところでございますが、この橋本内閣といたしましても国土行政に新たな歴史の1ページを加えられるように、多くの課題を背景にもちながらも首都機能移転という大事業が大きな成果を納めることができますように委員先生方の一層のご協力をお願いする次第です。

(2)フリートーキング

各委員からのコメントは以下のとおり。

  • 2年前の阪神・淡路大震災では想像を絶する被害を被ったが、神戸は日本の大都市の中では一番被害が少なくて済む都市であるのに対し、東京は面的に大変な広がりを持ち、また高速道路など一部の構造物の補強を行なわれているが、脆さは減っても都市機能が麻痺することは何ら変わらず、東京で同様に地震が行った場合の国内外、政治、経済への影響は計りしれない。
    近代の首都で壊滅的な被害を受けたのはベルリンと東京だけだろうが、戦争によるものであったため、心構えも対策も取れた。しかし、日本の現状を考えると、中枢機能はこれを確保するため二重にしておかねばならない。我々の意志で動かし得る政治、行政機能を動かし、経済、文化等の集積と少なくとも分かれていることが是非必要。
    政治・行政機能の分離を契機として、地震の脆弱性に対して東京をもっと本格的に都市改造し、より安全な都市としていくことが必要。そのためには、非常に大きな資金が必要となるが、年間1兆円の支出も国民総生産からすると数百分の1であり、国民一人の月あたりの出費は数百円である。未来永劫の安心のためにこの費用が出せないとは、外国にも後世にも到底言える話ではない。
    現在の日本の閉塞感は、経済政治情勢が悪いという以上に超長期的な不安によるものであり、国民が明るい未来をみれるように首都機能移転のような事業を進めることが必要な時期である。
  • 仮に首都が移転しても実質的な機能は東京に残って形式的な移転であったり、また新たな一極集中が始まり、限りなく膨張することとなっても、移転は失敗といわれる。移転先の新都市で行われる立法、司法、行政の中身とボリュームを常に念頭に置いて議論することが必要。この中身、ボリュームは、規制緩和、地方の権限委譲と深く関わり、権限委譲等は当審議会でタッチするものではないが、折りに触れ最新の情報を示してもらいたい。
    移転により人口2千万の第2の東京をつくらないようにするためには、移転と同時に経済、政治、行政の改革を平行して行う必要があるが、日本の経済等のシステムは、古くは昭和の金融恐慌あたりからつくられてきた体制であり、戦争や革命によるのではなく一挙に変えるのは難しく、漸進的に改革を進めながら移転を行う必要がある。こうした中、政・官・民の意識の改革を第一の目的として誤りのない首都機能移転を考えていきたい。
    60km〜300km以内で、東京圏に連担しないという条件だが、60km程度では東京圏の反対側の地域の地価を下げるなどのマイナスの経済効果が生じるのではないか。狭い国土で首都圏に人が集中して、ある意味で集積の効果で効率がよいという点もあり、移転先の選定は難しい問題をはらんでいるのではないか。
  • この審議会は首都機能移転の是非を論ずる場ではないが、移転は日本の将来にとって重要な問題であるにもかかわらず、今でも国民的議論が必ずしも十分ではなく、性急に移転をすべきではないと考える。
    東京の一極集中の各種指標は変化しており、経済、人口の動向から東京中心の構造は崩れてきている。移転は全国の活性化につながるという根拠にも説得力があるとは言えない。14兆円を投資してまで行う必要を具体的に広く議論することが大切。
    移転調査会報告の内容や移転の具体的影響が国民に十分知らされていないように思う。また国民各層の意見をくみ上げてフィードバックする必要があり、特に移転先の選定にあたり、いろいろな立場の住民の意向を十分把握する必要がある。
    移転先を絞り込む前提条件を議論しておく必要。移転の対象となる行政機能は具体的に各省のうちどの部署を指すのか。行政機能の規模が縮小するとすれば、移転人口の60万人も縮小されるだろうし、受入先の条件も異なってくるのではないか。
    調査会報告で示された移転先地の9つの選定基準に加えて、地域環境への影響評価を選定基準の重要な柱とすべきではないか。
    14兆円の移転費用の試算には空港や新幹線の費用が含まれていない。移転費用は直接、間接合わせていくらかかるのか。そのうち国費、民間負担、地方自治体負担はどの程度になるのか明確に示す必要。
  • 都民の、特に若い世代の人がどのように考えているのか非常に興味がある。
    また、東京都選出の国会議員や移転先の自治体でも、県、市町村それぞれの思惑があって意見は必ずしもまとまっていない。国民的合意とまでは行かないまでも、移転問題の一番重要なポイントはどこにあるのかという共通認識だけは、お互い余り差のないような形で持ち合いたい。特に、構造物など器の問題だけでなく、中身がどうなるのかという問題の認識を共通にしないと立場によっていろいろな意見が飛び交ってなかなか照準が定まっていかないと思う。
    地震が起きる状況についての知識は非常に限られており、新しい測定装置を使うと我々の理解を超えたひずみ、断層が潜んでいたりする。
    日本の国土は地雷源であってそのタイマーや、薬量を知って立地を考える必要。地下の自然条件についても十分に目配りすることが必要である。
  • 国民が移転問題をどれだけ理解しているかということもあるとは思うが、これまでの議論を元へ戻すということは非常に無駄である。今まで国民の関心が低かったのは自分に直接関係がなさそうだと思ったからであり、これから具体的に場所が絞られてくれば、自分たちはどうなるのかと思って突然国民の関心は高くなるものではないか。だから今現在関心が低いからと言って心配はいらないのではないか。
    東京の問題についても、全部ビルがなくなって公園ができるという夢物語的なイメージでなく、移転後の東京の具体的イメージを示すことが必要。
    適正な規模の街ということからは、一極集中の速度が多少遅くなったり、マイナスになって、一割か二割くらい小さくなっても、日本の基本的な構造問題の解決にはなっていないと思う。都民に快適な生活を保障するには今の半分ぐらいに縮小することが必要と思っており、こうした議論をしていく必要。
    専門家と素人の間をつなぐには、専門家の部会をつくって報告を聞くのではなく、専門家を審議会に招いて素人なりの質問に答えてもらうなり、現地調査などの場合は素人の目と専門家の目を結合させるなどの工夫が必要。
    後年度の負担を考えると、整備新幹線と同じようなやり方で首都機能移転の予算を別枠で作るというのは問題がある。トータルの行財政の枠組みの中で全体としてできるかどうかを考えることが必要。
    候補地が決まると、今まで推進派だった他の候補地の人が反対に回る可能性もある。
    東京都と移転先の地元それから落選した地域とのギャップをどう埋めるかや、世論をどう見極めるかなど大事な問題であり、今後率直な議論をしながら考えていく必要。
  • 海外の移転事例のブラジリアやキャンベラの状況や、またそれらが有効であったかなど聞かせてもらいたい。筑波も研究都市として成功したが、ならば行政を移転した場合うまくいくのか議論したい。
    14兆円の費用や財政の問題についても専門家から伺っていきたい。また、行革と移転との関連も議論して明確にしていきたい。
  • 移転をすると今後何百年も使うことが想定されるので、つくりやすさと同時に使いやすさについても考慮する必要がある。
    次のような調査研究、特にコンピューターシミュレーションを行う必要がある。
    • 調査会においては行政、立法、司法を一括全部移転することになっているが、例えば国会、行政と司法を分離した場合など分割した場合どの程度不便になるのかシミュレーションする。
    • 移転の規模と機能と仕事のやり方について、仕事のやり方については対面型かどうか、情報機関を通じて行うかどうかなど、マトリックスをつくってシミュレーションを行う。
    • 移転先候補の問題や利点について、移転先地だけでなく他の地域の機能がどう変わっていくか、例えば他の地域に空港が必要となるといった全国の地域構造問題のシミュレーションを行う。
    • 費用と経済効率について、建設中、建設後の経済効果、一極集中より効率的となる効果をシミュレーションする。
    • 東京が将来どうなるか、移転先が連担しそうなところ又は、離れたところで、あるいは移転規模により東京はどうなるのかシミュレーションを行う。
    これらの研究は、想定に想定を積むことになるので、民間や外国を含めた複数の団体に発注することが考えられる。この発注をするための専門部会の設置や予算措置を考えてもらいたい。これにより日本のソフトウェアの開発に大いに貢献し、このノウハウの蓄積は他の諸国で都市爆発の事態が起こったときに役立つと思う。
  • 調査会でも移転の是非のいろいろな議論は行われているので、いずれにしても移転先の議論に入ったほうがよいのではないか。
    選定については専門家の部会で調査、評価をしてもらって、評価の中で優劣をつけがたい、評価しにくい部分について審議会で議論すればよいのではないか。
    9つの選定基準は主にハードなものが基準となっているが、人が住むという人の香りの感じられる都市とするためには、地域の風土や歴史にも配慮する必要。そのための専門家を入れて、部会で調査してほしい。
    移転先の地域住民が本当に受け入れができるかというコンセンサスも重要。誘致されるというだけでなく、いろいろな都市に一般公募をしてもいいと思う。
(3)国会等移転調査会報告の「首都機能移転の意義と効果」に関する質疑

「首都機能移転の意義と効果」について事務局より説明を行い、議論については次回行うこととなった。

(4)審議会の今後の進め方について

移転先候補地の選定については、以下のとおり、次の三つのタームに分けて段階的に進めていくこと及び部会を設置することが提案され、次回引き続き議論することとなった。

第1タームは、全国から選定基準に照らして調査対象地域を抽出する。

第2タームは、調査対象地域について、関係地方公共団体の協力も得ながら詳細な調査を実施する。また、この際、必要に応じ現地調査を行う。

第3タームは、調査対象地域の相互比較を実施し、さらに、総合評価により移転先候補地を選定する。

各委員からのコメントは以下のとおり。

  • 本日の議論で、審議会では素人集団が和気あいあいと議論することに意味があると感じたが、専門部会の方に重要な話題が一時移った場合、部会に審議会委員が全員入るのか、2〜3人入るのか等で部会の意味付けが随分違うことになる。部会は下手をすると審議会と二重構造になるのではないか。
  • 審議会メンバー全員が部会に入ることは時間的に非常に難しいから、2〜3人が幹事役として部会に入り、途中段階でも報告を行うようにしてもらったらよい。次回までにどのような部会をつくるのか事務局からも案を示してほしい。
  • 何らかの段階で部会を作る必要性が出てきたら作ればよく、当面は専門家を審議会に呼んで聞く形にして、専門家だけで積み上げたということではなく、言わば皆で分かりやすい話をしていかなければならない。現在は何の部会を作るのか、といったところまで議論が煮詰まっていないのではないか。
  • 部会の設置は審議会がどの程度の頻度で開催されるかということと深く関係していて、頻繁に審議会を開催できないならば、並行的に部会で審議会が議論する材料を採用してもらうようなことがないと、締切りに間に合わないのではないか。事務局の方から審議会開催の見通しを示してもらうと判断ができる。
  • 自然科学の分野などはやはり専門家でないとわからない部分があり、部会設置の必要性は感じる。しかし、部会を閉じた部会にしないように、審議会のメンバーが自由に部会に参加できるようにすればよい。
    全員が頻繁に集まれない以上、積極的に部会を開催して専門的な事項を短期間に決めていくことが必要。
  • 例えば選定基準についてどのように細かく整理するのかということを事務局から示してもらうと議論がしやすい。
  • 部会の設置については早急に設置していく方向で出来るだけ早い時期に次回審議会を開催し議論をすることとしたい。
(5)政務次官挨拶要旨

本日は国会等移転審議会第二回目ですが、平岩会長を始め先生方にご参会を頂き大変闊達な、有意義な御意見を頂戴しまして心から感謝と御礼を申し上げる次第です。
まさにこの審議会は、開かれた審議会で、国民の皆さんによりご理解をいただけることを基軸に致しまして、各先生方を御任命、お力添えを頂いている次第です。これからも更に事務局を督励を致しまして、この委員会が闊達に運営されますよう私ども力を一つにして頑張らせていただきたいと思っておりますので、より一層ご指導ご鞭撻を承りますよう心からお願いを申し上げます。

6.次回以降の会議の開催予定

次回3回目の本審議会の日程については現時点では未定です。

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