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第3回国会等移転審議会議事要旨

1.日時

平成9年2月24日(月曜日)15時0分〜17時5分

2.場所

総理府講堂

3.出席者

(審議会委員)

平岩会長、有馬会長代理、新井、石井(進)、石井(幹子)、石原、宇野、海老沢、下河辺、中村(桂子)、中村(英夫)、牧野、宮島、鷲尾各委員(14名)

伊藤国土庁長官、井奥国土政務次官、田波内閣内政審議室長、竹内国土事務次官、近藤国土庁長官官房長、塩谷国土庁計画・調整局長他

4.議題

今後の進め方、首都機能移転の意義・効果、東京一極集中、海外における首都機能移転事例、意見交換等

5.議事の要旨

今回は、まず、審議会の今後の調査審議の進め方について議論を行った。その後首都機能移転の意義と効果、東京一極集中についての資料説明と質疑があり、さらに事務局からキャンベラとブラジリアの海外事例についての説明を行った。

(1)今後の調査審議の進め方について

事務局より今後の調査審議について、審議会での検討内容、審議会の指示等を受けて行う調査部会での検討内容等の説明があった後、各委員から意見が述べられた。

  • 進め方については事務当局からの説明で大体いいと思うが、調査会では2年数ヶ月かけて意義と効果を含め検討し、答申されている。意義と効果とかをまたやり直していては、いたずらに時間ばかり掛かって進まない。
    地震その他の9つの項目について調査に入って、基本的に適地がどこであるかということについて部会で相当精密な検討をしてもらうことが先決ではないか。
    前回審議会で別の委員から意見のあった、場合分けなどによる検討を行うことは別に悪いわけではないが、議論が紛糾するだけではないかと思う。
    やはり、現状の9つの選定基準というものを基礎にした、適地の有無についての調査が先行すべきである。
  • 費用のモデル試算を行うとのことだが、調査対象地域を抽出して調査対象地域ごとに費用の試算を行うのか、それとも地域ごとの属性を捨象した試算を行うのか。また、従来の費用の試算では交通アクセスは含めていないが、そこまで含めると地域により異なるのでモデルとはならないのではないか。

この意見に対し、事務局から以下の通り補足説明が行われた。

  • 候補地ごとの費用については、第2ターム以降第3タームにかけてまた検討することになると考えているが、とりあえず一つの試算を行うことを考えている。
  • 交通アクセスの費用試算については、例えば新幹線の支線の延長距離を何キロと設定することにより試算することを考えている。
  • 新しい都市の圏域は、「国会都市を中心に、人口3万〜10万人程度の小都市が配置された数万ヘクタールの圏域」と調査会報告にあるが、この圏域が東京23区のように将来的には一つの行政区画となるのではないか。
    調査会報告では、移転先地の地方行政制度については、移転先地が選定される段階以降に検討を行うこととされているが、移転先の候補地選定作業が開始される前に、その地域に適用される地方行政制度について、国民、住民の前に明らかにする必要があると考えている。
    新しい都市について、国の直轄とするのか、あるいは現在の県から分離した一層性の地方制度を設けるのか。また、二層性としながらも特別市として事務配分等で特例を設けるのか、一般市とするのか等、都市の行政制度について様々な選択が考えられる。その場合に、関係市町村は合併を義務づけられるのか、直轄となった場合周辺地域との格差をどう是正するのか、将来的に地元住民や関連自治体の負担はどうなるかなどの点が示されるならば、地元の判断も違ってくるのではないか。自治体の意向をヒアリングする場合にこういう点を反映していく必要があるのではないか。調査部会の構成メンバーの分野として「地方行政制度」を入れるべきではないか。
    また、「環境影響評価」を選定基準として入れてはどうか。事業が環境に及ぼす影響を事前に調査、予測を行うことが必要で、計画段階からアセスを行い、面的な広がりを持つ事業の環境への影響を配慮すべきである。

以上の意見に対し、事務局から以下の通り補足説明が行われた。

  • 地方行政制度については、地方制度調査会の場で議論が行われることになるのではないか。また、具体的な地方自治制度について地元に示すとしても最終的な姿を示すこともできないため、逆に混乱を来す恐れがあるのではないか。
  • 環境影響評価については、制度そのものが今国会で結論が出されるものと思われるので、この一般ルールを前提にして首都機能移転について議論することになるのではないか。
  • 前回の説明では、調査部会で意義と効果を含め、首都機能移転論全部を議論するように受け取れたので心配であった。審議会で調査部会で検討する専門的事項を明確にして、部会に下ろしていくことがいいのではないか。
    「基本的な進め方」については了承を得られたことから、平岩会長より
    調査部会では当面、調査対象地域の抽出とその問題点について調査審議する。
    部会に所属する委員及び専門委員は、国会等移転審議会令第1条第2項により会長に一任し、決定次第各委員に連絡する。
    旨の発言があった。
(2)「首都機能移転の意義と効果」及び「東京一極集中について」

首都機能移転の意義と効果、東京一極集中について事務局より資料説明が行われ、引き続き各委員から意見が述べられた。

  • 東京一極集中について説明を受けたが、地震によって生じかねない大混乱の問題、これの回避といった点について是非検討してもらいたい。地震発生の可能性は、我が国では地域によって大きな差はないと思うが、地震が起こった時の被害や混乱は、過去の建造物、住宅その他がスプロール的に密集している地域と新しい技術で計画的に作られた地域では全く違う。
    たとえば神戸で起こったような大規模な地震が、今の状況の東京あるいは既存都市に起こった場合と、新都市に起こった場合の状況を比較する。さらに、首都機能移転に併せて、東京も含めて強化すべきものを示すことによって首都機能移転の効果を極めて明確にすることとなる。
  • この審議会は候補地の選定作業を行うものであるが、移転の意義と効果をもう一度おさらいをする時間が相当あるのではないかと思う。このため、審議会と調査部会との連絡を十分に取らないと、調査部会は専門的にどんどん調査していく、審議会は意義と効果を議論しているということになる。
    また、ワシントン市とアメリカの連邦政府との間でも自治権の制約や財政的な問題があるようで、地方制度調査会でも今後、移転先の自治体制度、中央政府との関係など検討する必要があるのではないかと考えている。
    さらに、首都機能が出す政治、文化、経済の情報は経済界にとって非常に役に立つということがあるので、政経分離をどのようにするのか専門的な検討を行ってもらいたい。
  • 政府として東京を中心にマンションの容積等を倍増することが検討されているようだが、それにより混雑率はどうなるのか。
    また、交通渋滞とかゴミ処理とかのデータは東京都のデータと違うようにも思うので、整理をしてもらいたい。
    移転跡地の活用より、災害対応力の強化、東京の過密の軽減に大きな効果があるという説明であるが、210haのうち100ha強は霞ヶ関地区であり、最新の耐震建築地区で、幾つかの官庁の建て替え工事も進行中である。また残りの部分は公務員宿舎の跡地で、移転規模が減少されるならばその面積も減り、また、その跡地は偏在していて世田谷、杉並、目黒等の地域に宿舎跡地が発生するが、墨田、荒川、江東といった老朽木造住宅の密集地域ではほとんどなく、地震対策として効果はあまり高くないと思う。
    なお、筑波の移転跡地の例では4割が公園として利用されているなど効果は認められるが、その跡地は東京教育大学、林業試験場など広くて緑の多いものが中心であり、今回とは様相が異なる。
  • 神戸の震災の経験からは、国会と官邸と中央政府が健全であったことが神戸にとって非常によかった。また95年は経済的に補正予算が必要とされ、予算措置ができたことも大変よかった。東京が大型地震を被災したとき官邸も都庁も行政も機能しないことが心配である。いかなる事態でも対応できる拠点づくりを急ぐことは1時間でも遅らすことはできないことだと思っている。
    行政だけが災害から逃れて、残った都民は死んでしまうといった新聞記事があるが、神戸の時には被災しなかった東京で国会が頻繁に開かれ、法律を十何本もつくり、予算措置もできた。政府も遅い、頼りないと言われてもよく対応したのではないか。
(3)キャンベラとブラジリアの海外事例

最後に事務局よりキャンベラ及びブラジリアの首都機能移転の事例について説明を行った。

次回第4回審議会については4月3日(木曜日)14時0分から行われることが会長より提示された。

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