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第9回国会等移転審議会議事要旨

1.日時

平成10年1月16日(金曜日)14時0分〜16時0分

2.場所

中央合同庁舎5号館別館共用第23会議室

3.出席者

(審議会委員)

平岩会長、有馬会長代理、新井、石井(進)、石井(威望)、石原、宇野、堺屋、下河辺、寺田、中村(桂子)、野崎、牧野、溝上各委員(14名)

亀井国土庁長官、坪井国土政務次官、古川内閣官房副長官(事務局長)、田波内閣内政審議室長、近藤国土事務次官、生田土地局長、林大都市圏整備局長(事務局次長)他

4.議題

調査対象地域の設定について、当面の地価対策について、第2タームの進め方について、国土庁長官挨拶等

5.議事の要旨

今回は、調査対象地域の設定について審議会として結論がとりまとめられるとともに、当面の地価対策、第2タームの進め方について事務局説明と意見交換が行われ、最後に国土庁長官から挨拶があった。

(1)調査対象地域の設定について

調査部会で検討された調査対象地域の設定案について、有馬部会長より報告があり、詳細については事務局から補足説明した後、以下の意見交換が行われた。

  • 東三河、西三河地域については、東京から300km圏内に位置しているが、資料ではこれらの地域がなぜ、300kmの周辺地域のグループになっているのか。
    →西三河地域、東三河地域は、位置的には東京から300km圏内ではあるが、開発可能性のある土地は比較的少ないため300km圏内の調査対象地域候補案としてははずれている。しかし、地方公共団体が具体的な地域を表明していることから、「東京から300km圏の周辺における地域及び地方公共団体等が移転先候補地として表明している地域」という位置づけにして検討したものである。
  • 中央地域に関する記述で、「日本の中央に位置し、名古屋又は京阪神と連携が容易な地域」となっているが、静岡県については、どちらかというと東京との関係が深く、「京阪神との連携」という記述に必ずしも当てはまらないのではないか。
    →非常に広い地域に関する記述なので、一部に必ずしも記述に当てはまらない部分があるが、地域全体についての記述ということでこのような表現をしている。

このあと、調査部会から報告された調査対象地域の設定案を、審議会としての結論とすることが承認された。

(2)当面の地価対策について

事務局からの資料説明の後、以下の意見交換が行われた。

  • 国土利用計画法に基づく土地取引の届出の内容は、取引価格と土地利用目的であるが、土地利用に関しては届出どおりの土地利用が行われず、結果的に未利用の土地については、今後の用地探しの際の重要な要素になるかもしれないので、調査対象地域についてその実態をチェックすることを検討してもらえないか。
    →調査できるかどうか検討していきたい。
  • 調査対象地域が複数府県にまたがっているが、地価対策についても各府県間の足並みが揃うことが重要であると思う。
    →関係機関の密接な連携確保についても通知指導することとしている。
  • 調査対象地域は、同一府県の中でも該当するところと該当しないところがあったり、また広大な範囲にも及ぶが、地価対策に当たり事務的には問題はないのか。
    →各県との連携を図りつつ、段階的、機動的に対応することで適切に対応していきたい。
(3)第2タームの進め方について

事務局からの資料説明の後、以下の意見交換が行われた。

  • 第2タームの調査の進め方については、調査部会で具体的に議論してはどうか。地域ごとに調査の方法・考え方が異なるのではないかと思う。
  • 首都機能移転先の都市というのは、長い期間使うことになるので、調査に当たっては、短期的な現状の問題と、将来国土がどう変わっていくのかという長期的な問題の両面から調査を行う必要がある。例えば、土地利用に関する法規制や農地の土地性状などは短期的な問題であり、これらが今後10年、15年の間にどう変わっていくかということも考慮する必要があるだろう。
    また、調査対象となる3地域のどこかに首都機能を置いたとき、それぞれの地域で理想的な国土を描いたらどのような違いが出てくるのか、ということについてシミュレーションを行うと幅広い複数の結果が得られると思う。調査項目においては、特に東京との連携が重視されているが、90年代に入ってから、東京への集中がまた進んできている。このようなことを考えると、北海道や九州、日本海側との連携も無視できない。このため、交通やその他主要な項目について将来のあるべき姿を考えてみる必要があるのではないか。
    さらに、調査対象となる3地域の範囲が広いため、同一地域内でも東京との連携が相当違うという問題もあり、これらの地域をどの段階で細かく分けるのかという問題もある。このような問題を調査部会で検討すべきではないか。
  • 首都機能というものを考えると、100年くらいのタームで議論しなくてはならない。そう考えると、地方公共団体からヒアリングを行う段階の前に、なぜ首都機能移転を行うのかという議論をしなくては、進みにくいのではないか。今なぜ移転を行うのかという説明が、候補地の方々に伝わることが必要だと思う。そのためには、審議会でもう一度その議論を整理する必要があるのではないか。
    規制緩和と地方分権と首都機能移転というのは、新しい日本の姿を描くものであると思うので、あるべき新都市の姿と、なぜそれが必要かということを多くの人にわかってもらえるようにして、ヒアリングを行うことが必要ではないか。
    オタワやワシントン、キャンベラなど、これらの都市の立地は大きな都市の中間をとって妥協の上で決まっているが、それにしても、何かの理想、理念というものがあって立地したのだと思う。そのようなことが十分理解されないまま誘致をしているという状況は避けるべきである。
  • 3点ほど提案したい。第1に、東京と新都市の間で政治、行政のシステムをはじめとして国政全般がどのように運営されるのかシミュレーションする必要があるのではないか。例えば、移転する中央省庁の政策立案部門と東京に残る執行部門との関係はどうなるのか。また、政治機能と経済機能を分離することに伴って意思決定システムにどのような影響があるのか、あるいは国事行為や皇室行事との関係はどうなるのか。このような現実的な問題についても考えていくべきであると思う。
    また、移転の規模や移転が段階的に行われることも大きく影響することから、これらをシミュレーションしてみる必要があるのではないか。このようなことを第2タームの調査の中で行わなければ、第3タームでの候補地の相互比較や東京都との比較考量の検討はできないのではないか。
    第2に、審議の透明性を確保して国民各層の意見を審議にフィードバックする仕組みを用意すべきであると思う。この審議会は議事要旨が公開されているが、審議そのものは非公開となっているので、国民に議論の状況が見えにくくなっている。今後、現地調査などの具体的な検討が進んで、国民の関心も高くなると思うので、国民の間で広範な議論をしていただくために、国民に首都機能移転に対して直接意見を述べてもらい、審議会の検討にフィードバックする仕組みをこの段階で導入すべきではないか。また、今後公聴会が開催されるが、国民各層の意見を汲み上げるために、移転と直接関係のない地域を含めて、全国各地で公聴会を開催すべきであると考えている。
    第3に、環境の問題であるが、計画段階でのいわゆる総合アセスメントを国が将来先駆的に実施することを想定し、審議会としても、候補地の選定段階から各候補地について周辺地域も含めた広域的な視点から環境の概要を把握するための検討を行うべきではないか。
  • 第2タームでの調査は、新都市像の検討と並行して行う必要があるのではないか。
    例えば、自然環境への影響ということを考えてみると、今までの都市というのは、自然をただ破壊してコンクリート的なものをつくるというイメージになっているが、普通の生活の中では、本当の天然の自然と人間が直接関係することはあまりなく、里山や水田など、人間の生活と関わり合って生活の周りの中で自然環境がつくられている。新都市は、今までのようにただ自然を破壊するだけというものではなく、むしろ人間がうまく生活していく自然を一緒につくっていくような都市となるのだろう。
    したがって、自然環境への影響について調査するときにはこのような考え方で調査を行わないと、都市をつくると自然が壊れてしまうという結果になってしまい、そうなっては本当の調査にはならないと思うので、新都市像と常に関連させながら調査を行う必要がある。
  • 環境の問題については非常に重要なテーマであるので、井手専門委員を中心に検討を行っていただくのがよいのではないか。
  • 情報ネットワークについては、新都市の立地とあまり結びつかないのではないかという印象を持たれるかもしれないので、検討の必要性を説明したい。
    情報技術分野は大きな技術革新の時期にあり、新都市が動き出す頃には全員がインターネットを使うような時代になっているだろう。このような状況になると、首都機能も当然それに対応したものになる必要がある。
    また、通信分野でも携帯電話やPHSのような移動体通信が中心になっていくということも新都市のインフラとして組み込まなくてはならない。かつてのメインフレームを中心としたシステムから、全員が移動しながら情報発信をするということになると、従来我々が抱いていたイメージの都市生活とは抜本的に変わってくる。
    さらに、技術革新が猛烈な勢いで進んでいる状況の中で、新都市はその面で一番濃密で最新かつ最強力な集積部分になるだろうと思う。すなわち、情報ネットワークの最大の拠点が新都市にでき、遠くにいる人達もインターネットを通じてそれを全て活用することになり、また国際的にも活用されることになる。その影響が全国にどのように波及していくかが問題である。例えば、北の方に新都市が立地したときに、どのような影響を与えるのか、あるいは西に立地した場合はどうなるかを予測することは重要であろう。
  • 今後調査部会で検討を行うに当たり、文化面の専門家は調査部会ではあまり選ばれていない。このため、文化面については以前文化的側面の検討を行ったときに設けた懇談会のようなものを設置して、調査部会での検討を補足する必要があるのではないか。

この後、今後のスケジュールについて、平岩会長より答申の時期は来年の秋頃を一応の目途として考えていきたい旨の発言がなされた。

(4)国土庁長官あいさつ

本日は第1タームのとりまとめの審議会が開催されたところでありますが、一昨年の12月に本審議会が発足して以来、委員の先生方には大変ご熱心なご審議をいただき、心から御礼を申し上げる次第です。先生方の大変なご努力により、本日調査対象地域の設定が行われ、第1タームが終了するという節目を迎えましたこと、重ねて厚く御礼申し上げます。
これからいよいよ第2タームに入るところでありますが、首都機能の移転というテーマは、なんと申しましても大変大きな政治課題です。今さら申し上げるまでもなく、もともとは国会主導ではじまったのですが、調査対象地域に関連した国会議員の皆様方は声を大にしています。一方関係しない地域の国会議員の方々からは、首都機能移転など本気でやるのかというような声が現実に聞かれるわけで、これだけの大事業を成し遂げるためには国民の合意の形成とそのバックアップがなければとてもできないと思っております。今回、調査対象地域が設定されたことにより、その関連する地域はもとより、国民の中で大きな議論がまき起こってくることは、この推進のためには大変結構なことであろうと思っております。
ちょうど、明日は阪神・淡路大震災が起こりまして3年目を迎えますが、こうした大震災のことを振り返ってみましても、私はこの首都機能移転という課題は決してなおざりにされるべきものではなくて、財政的な制約はあろうかと思いますけど、一極集中の是正や災害対応力の強化という観点からも、むしろ急いで実施すべき課題であると受け止めております。
これから第2タームに入る訳ですが、現在の経済情勢もとかく暗い話が多い中で、こうした将来に向かって国民に夢と希望を持っていただけるような明るいテーマを声を大にして叫ぶということも必要なことではなかろうかと思っております。
ただ今、先生方からいろいろなご意見がございましたけれども、第2タームの作業も決して平坦なものではないと思っておりますが、これからまた委員の先生方の積極的な御尽力を心からお願いを申し上げる次第です。

当面のスケジュールとして、4〜5月頃に関係府県からのヒアリングを調査部会と合同で行い、夏〜秋頃に現地調査を行うことが事務局より提示された。

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