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第25回国会等移転審議会議議事要旨

1.日時

平成11年10月26日(火曜日)16時0分〜18時0分

2.場所

中央合同庁舎5号館別館共用第23会議室

3.出席者

(審議会委員)

森会長、石原会長代理、野崎起草委員長、新井、石井(進)、石井(威望)、石井(幹子)、下河辺、寺田、中村(桂子)、中村(英夫)、濱中、堀江、牧野、溝上、鷲尾各委員(16名)

古川内閣官房副長官(事務局長)、久保田国土事務次官、木下国土庁長官官房長、板倉国土庁大都市圏整備局長(事務局次長)、他

4.議題

東京都との比較考量に係る主要論点、社会経済の諸事情、首都機能移転に関する国民の意見について他

5.議事の要旨

(1)東京都との比較考量に係る主要論点について

東京都との比較考量に係る主要論点について事務局から説明があった。

「諸改革の促進」という観点からは、改革を進める手段として移転を位置づける考え方に対し、改革そのものに本格的に取り組むべきだという考え方がある。また、移転をすべきだという議論の背景には、多様性を重視し、活力ある社会を築くという立場の意見があるのに対し、首都機能を引き続き東京に置くという考えの背景には、効率性重視の考え方があるのではないかと考えられる。

「地方の自立性」という観点からは、移転によって東京は巨大とはいえ一地方になり、地方の自立性が高まるという考え方があり、それに対し中央集権というシステム自体が残れば、移転をしても地方の自立は進まないという考え方がある。

「政官民の新たな関係」という観点から、政経分離により、いわゆるお上依存の古い発想から脱却できるという考え方と、政官民の協調体制をプラス評価して、それが堅持されるという考え方がある。また、情報の中立性のある新都市に移転することによって、情報の公平性を確保すべきだという意見に対して、東京のように情報が集まりやすいところで政策立案することがいいという考え方がある。しかし、それに対しては政官民の不透明な関係が温存されるという懸念もある。

次に「東京一極集中の是正」という観点から、企業の立地指向が移転により変化して、地方での公平な競争を行う、あるいは活力が増すという考え方があるのに対して、現在の集中というのはある程度市場合理性に即したものでプラス評価すべきだという考え方がある。

「気持ちの規制緩和」という観点から、移転によって経済面だけではなくて情報・文化面での多元化が進むのではないかという考え方もある。

「東京の過密問題の改善」については、首都高速道路の都心環状線の交通量が3%緩和するという考え方があり、それに対し、東京の再整備こそ急がれるという考え方がある。しかし、それについては一朝一夕に進まないという懸念も示されている。210haの移転跡地で東京再生のきっかけがつかめるのではないかという議論もある。

「東京の経済的地位」については、移転によって東京の経済、文化の価値は低下しない、むしろ世界都市として発展するという考え方に対して、東京は引き続き日本の繁栄と進歩のシンボルであり続けるためには移転しない方がよいという考え方がある。

東京の過密は既に許容限界を超えているという考え方に対し、この問題については東京改造によって対応すべきだという議論がある。これに対し、多少の東京改造では今日の競争力の維持、回復は難しいという考え方がある。

「災害対応力の強化」の観点では、政治・行政と経済の中枢を分離して同時被災を避けるということに対し、展都でリスク分散する方が現実的であるという考え方がある。それに対して展都程度では大地震対応はできないという議論が対立している。

「東京における予測被害の軽減」という観点から、霞が関や永田町は比較的安全な地域なので、司令塔の機能を確保できるのではないかという考え方があり、それに対し防災性の向上という観点から、東京の対策は非常に重要であるという考え方がある。

次の「財政的・経済的観点」では、最初の10年間で国会都市を建設すると年額換算で約2,000億円の公的負担になるが、これをどう見るかである。公共事業関係費の2%程度であるから、それでむしろ環境、情報、まちづくりといった面から最先端の技術、ノウハウを呼び込むことができるというプラス側面を評価すべきだという見方に対して、東京の既存の蓄積を生かすことこそ現実的という考え方もある。移転による効果と同じだけの効果を東京改造で得ようとすると費用が移転費用を大きく上回るのではないかという見方もある。

「ランニングコスト」については、中央省庁をそのまま存置することは、本来得るべき機会収入を大幅に逸失しているという考え方が一方にあり、それに対し、霞が関、永田町、丸の内は非常に効率的であるという議論がある。

「政経分離」については、移転によりコミュニケーションのコストが掛かるのではないかという議論がある一方、情報通信技術の飛躍的発展や分権の進展によってコストが削減できるという議論もある。

「情報化」という観点から、新都市が新しい日本の情報拠点として機能するという期待や21世紀の新しい都市像というものを内外に示す展示効果は非常に大きいという議論がある一方、東京を拠点に情報拠点の再構築が現実的という考え方もある。しかし、情報通信は非常に進歩が速いことから、既存システムの変更に時間、費用の面でかえって移転する場合より多く掛かるという懸念もある。

  • 公的負担が、年2,000億円余で、国の公共事業関係費の2%程度とあるが、これは国だけの話でよろしいのか。例えば公共事業関係費に財政投融資、あるいは地方自治体等の予算を加えるとシェアはもっと小さくなるのではないか。
    →つくば研究学園都市の建設事業の際に、確かに地方負担というのはあるが、ほとんどが国の財政負担でやっている。
(2)社会経済情勢の諸事情について

社会経済情勢の諸事情について、事務局から説明が行われた。

社会経済情勢の諸情勢では、まず「国政全般の改革」という観点から、規制緩和、地方分権はそれなりの改革が着実に進められているが、数字で見ると許認可件数や国から地方への関与件数は増えている。

「東京一極集中」については、将来についての議論はわかれるが、「過密の状況」というのは基本的な構造として変わっていない。まず人口・諸機能の集中問題については、国土の3.6%に人口の4分の1が集中している。ひところ、東京圏への人口集中というのはやや緩んだが、平成8年から再び転入超過になっている。「過密の状況」では、道路交通の平均速度が都区部では一般道路で17.5km/hと全国平均の約半分である。

「災害対応力の現況」では、国土庁が以前に、マグニチュード7.9の地震が相模湾を震源地として発生した場合の3つのケースについて被害想定しており、ケース2の冬の深夜で死者数が8万3,000人、ケース3の秋の正午では、死者約15万2,000人という想定になっている。民間調査機関がこの数字を使って経済的被害は119兆円と推計したこともある。直下型地震、あるいは東京に海溝型地震が起こった場合、相当甚大な被害が生ずると言われている。

「経済情勢の動向」について。まず、「地価動向」については下落傾向が続いているが、水準はバブル期以前に戻った程度であり、東京の地価は、類似都市と比較して極めて高い水準にあることに変わりない。家賃の国際比較では、東京を100とするとベルリン88、ニューヨーク72、パリ70となる。「経済情勢」は長い停滞傾向から脱して、最近は緩やかな改善が続いている。

「財政事情」では、公債依存度という指標をみると、現在327兆円という大変高い水準にある。

続いて以下のとおり意見交換が行われた。

  • 年間の公的負担が2,000億円程度で首都移転をするのは難しいと思う。最も大事なのは、大震災時の司令塔の機能を整備することであり、安く上がることを強調しすぎるのは如何なものか。
    →2,000億円は最初の10年で国会都市をつくることを想定した数字であり、全体額についても12兆3,000億円で公的負担が4兆円となっている。20年かけて造るとすれば2,000億円であり、30年では1,500億円程度となる。年間値としては公共事業関係費の2%前後である。
    →この金額は小さく見積もられた金額とは思わない。現在の建設のコストや考えられている新都市から考えると十分だろうと思う。
  • 過密等に伴う東京のコスト高等が原因で東京の所在する大使館の数が少ない、ということを言われることがあるが、疑問に思っている。確かにワシンシンD.C.では190を超える大使館がある。しかし、ロンドンやパリは140ぐらいであり、東京よりは多いが、世界的に見て必ずしも東京の大使館が少ないということにはならないのではないか。
  • 先ほど司令塔という言葉が出たが、やはり当面はそういうところから手をつけて、将来そこを育て、あるいは自然に育って大きな都会になる可能性を期待する方が多く方々の意見ではないかという印象を持っている。
  • 費用がいくら掛かっても良いと言うわけではないが、大使館、公使館の用地を購入する金銭的な負担は小さいものではない。新都市では、大公使館の敷地ぐらいは無料で提供することを考えていいのではないか。
  • 日本では明治以来、富国強兵思想で進まざるを得なかった面があり、これが東京の一極集中なり、今の政治システムなり、そういうものを生んでいる。そういう思潮、思想といったものも触れた方が良いのではないか。
  • 殊に戦後一極集中が強くなったという話もあるが、どうなのか。
  • 戦後の問題は物理的なことであるが、明治以後、産めよ増やせよで頑張ってきた。確かに現象的には人口などが東京に集中してきたのは戦後であると思うが、思想的なものが根底にあると思う。
  • いろいろな見方があると思うが、人口面では明治23年の第1回の総選挙のときの有権者数は東京よりも新潟の方が多かった。財政面では、戦後の方が東京や大阪への集中度が高まっていると思う。全体として戦後の方が東京・大阪など大都市への集中度は高まっている。
  • 40年体制論というものがあり、昭和14〜15年の国家総動員令が1つのきっかけで、都民の数が増えた。500万人になったのがその少し後で、そこから集積が始まっている。それが戦後の戦災復興、その後の高度経済成長を通じて、日本経済の再建を行った。こういったプロセスの中で、地方自治体の長が頻繁に東京を訪れるようになった。1つの例を挙げると、戦前は東海道線の夜行の急行列車が1〜2本だったのが、戦後は30分置きになった。あらゆる情報が東京に集中して、東京で計画を立て、それで経済復興を進めていくという過程で、急激な東京の一極集中が起こった。有力な会社は戦前には大阪本社が多かったが、本社が大阪に残っていても事実上東京支店に東京駐在の役員が常駐するようになった。これが戦後の日本の基本的な統治システム、行政システムに根があることは間違いない。
(3)地域毎の主な特徴について

地域毎の主な特徴について事務局から説明があった。

宮城県南部地域は21世紀のフロンティアということで、新しいライフスタイルの実現が期待される。あるいは仙台空港に近い、水供給の安定性が良好であると言われている。国土における位置関係がやや北過ぎないかと言われている。

各論的なテーマでは、海外アクセスということになると仙台の場合も成田空港を利用しなければいけないことが多い。民地が多く集落が存在しているため、土地取得が容易でない可能性がある。

次に栃木・福島地域であるが、東京から百数十キロという比較的近い北東国土軸に属する魅力的な景観で、平坦地が多く、都市づくりが比較的容易ではないかと言われている。地震に対しても比較的安全であり、東京で巨大地震があった場合のバックアップ体制が確立しやすい。

各論としては新幹線の駅に近い。東京との密接な連携が可能で、段階的に新都市を形成していくことができ得る。ただ、初期段階では生活利便施設、供給施設など公務員等の生活の不便さという点では若干懸念が残る。この地域は成田空港経由で国際的なアクセスをしなければいけないという問題点がある。磐越自動車道を通じて日本海経由で関西圏と直結できるルートがある。

阿武隈地域については、谷戸型の平地が狭く、景観演出や都市機能の配置の問題上いろいろ難しさがあることに加え、用地の取得に困難を伴うのではないかとも言われている。

那須地域は平坦な那須野ヶ原があり、那須御用邸、旧華族農地等からの国公有地や大規模民有地が広範囲に存在している。ここで国際性のある新しいタイプの景観形成も可能ではないか。いずれの地域も、その両地域とも成熟段階では水供給の安定性に一工夫が必要である。

茨城中北部地域は、地震災害に対する安全性に非常にすぐれた地域である。また、平坦地が多くて都市設計の自由度が高い。東京に近いので東京圏に組み込まれやすい。あるいは、東京圏の拡大につながってしまうといったことが考えられる。更には首都機能都市としては景観的な魅力にやや乏しいという点がある。

各論的なテーマでは、北東地域の中では国土構造、ライフスタイルという点で他の地域(宮城地域、福島地域、栃木地域)とは少し違う位置付けになるのではないか。東京圏の影響を極力排除しつつ、自立した新都市をいかに形成していくかというのが大きな課題になってくるのではないか。成田空港にダイレクトにアクセスできるが、鉄道の全国からの交通利便性では必ずしも良くない。霞ケ浦に近い地域は軟弱地盤が広がっている。一般的に集落が連坦しており、人口密度も比較的高いために土地取得に困難を伴うのではないか。水供給の安定性にやや課題がある。

岐阜・愛知地域は、全国からのアクセスが優れている。あるいは、中部国際空港ができれば、外国とのアクセスも良好になる。加えて人口重心ということで国民の合意形成上は有利と言われている。一部に大きな震度が予想される地域がある。地形や土壌回復力の点で一部課題が残っている。

各論的なテーマでは、東京との連携に加え、名古屋を中心とした圏域の中で新都市の形成を考えていく可能性が高いので名古屋の国際政治機能の充実というのが非常に課題になる。この地域は既存の産業集積があるので、太平洋ベルト地帯のリニューアルという位置付けが可能である。東海環状自動車道、あるいは第2東名ができると、名古屋圏へのアクセス、中部国際空港へのアクセスが容易になる。ただ、東京との連携では重要な交通手段が名古屋経由になることが課題である。東濃地域は比較的広い面積の国公有地の活用が可能と言われており、地元の協力体制も比較的良いのではないか。西三河地域は、マサ土が多く、植生回復力に問題があるのではないかということが言われている。東濃地域及びその周辺には活断層が比較的多数発見されている。

静岡・愛知地域も全国からのアクセスに優れており、気候が温暖で浜名湖周辺ではウォーターフロントを生かした首都機能の景観の形成が可能である。この地域は東海地震の地震防災対策強化地域に指定されている地域がほとんどを占めている。総じて土地利用が進んだ地域であり、都市形成上課題が多いものと考えられる。太平洋ベルト地帯に位置するため、国土構造の改編や新たな文化形成という面で課題が残る。

各論的なテーマでは、浜松、豊橋の都市集積を活かせる。仮に浜名湖に国会を想定した場合、湖が間にあるため、立法、行政、司法の三権の連携に課題があるのではないか。この地域一帯には優良農地が多く、市街地も連坦し、人口密度も高いので、土地取得の困難性が予想される。加えて浜名湖の軟弱地盤、水質の問題について懸念がある。海溝型地震では震度7が予想される地域が相当ある。富士川河口や国府津−松田という活断層に伴う地震が発生すると東西を結ぶ幹線交通が寸断されるという懸念がある。

最後に三重・畿央地域であるが、近畿圏と中部圏の決節する部分に、文化的蓄積の豊かな地域を抱合、隣接している。鈴鹿地域は海上交通を想定すると比較的短時間で中部国際空港にアクセスできる。

各論的なテーマでは、関西圏の新たな形成、伝統文化を生かした新しい文化の創造という面では期待できる。四日市、鈴鹿といった既存の中小都市と連携した都市形成の展開が考えられる。畿央地域では、大阪・京都・関西学研都市に近く、この都市の機能を十分活用できる。ただ、東京との連携では、やや問題があり、東京から独立した新しい都市の形成というテーマに取り組まなければならない。東京と離れた地域であり、東京とのアクセスに2時間を超える地域が課題である。東京との連携では、重要な交通手段が名古屋経由になるという問題がある。中部国際、あるいは関西国際空港いずれも若干遠い。鈴鹿地域は市街地が連坦しており、人口密度も比較的高い。民有地も多いことから、土地取得に困難を伴う可能性がある。畿央地域では、盆地部についてはやや手狭な感じがして、用地取得になかなか難しい面がある。マサ土の地域があり、植生回復力にやや問題がある。この地域は一帯に顕著な活断層が比較的多数発見されている。水供給に関しては、鈴鹿地域は比較的良好だが、畿央地域は長期的には問題があり、淀川水系内の広域調整というテーマに取り組まなければならない。

続いて以下のとおり意見交換が行われた

  • 東京との連携にかなりウエートを置かれているようであるが、必ずしも東京との連携に軸足を置かなければならないことはないのではないか。
    →重要な論点であると思う。国土構造の面からの多様な解釈が必要であると考えており、東京との連携を重視した場合と重視しない場合との違いを議論できればと思っている。
  • 東京との連携は、プラスの面もあり、マイナスの面もある。
  • 積雪のことを考えなくていいのか。細かい丘陵間の間に新都市をつくっていくことになると、それは平地における積雪とは違っていると思うが、どういう状況なのか。
    →積雪深や積雪日数では、重大な支障がないと判断している。
(4)国土構造及び文化に関する解析について

国土構造及び文化に関する解析について事務局から説明が行われた。

国土構造及び文化の評価項目については各委員の方々に直接の評価をお願いした。各委員からいただいた回答について、2つの分析を行っている。1つは、主成分分析という数学的、統計的な処理を用い、各地域の特色を整理した。

2つ目は、それぞれの項目の回答を読み込み、その中から各地域の特色を抽出した。

主成分分析による結果では、国土構造、文化それぞれ各委員の回答された項目を整理し、数学的に処理したところ、一定の説明力を有するいくつかの軸が得られた。

国土構造の15項目については、説明力の高い軸として「東京との適切な連携の容易性」、主成分2としては、「周辺の都市の集積」が得られた。同様に文化については、「我が国の姿や方向として『地域の個性、多様性を重視する』か『環境、ゆとりを充実する』か」という軸と、「新都市のイメージとして『情報化・国際化等の先端性を重視する』か『ゆとり・環境等の精神的な豊かさを重視する』か」という軸が得られる。

これらの結果を用いて国土構造・文化について、各地域を大局的に位置づけると「栃木地域、栃木・福島地域」「岐阜・愛知地域、静岡・愛知地域」「福島地域」「三重地域、畿央地域、三重・畿央地域」の4つの顕著な特性を有するグループに分けられる。

国土構造では、栃木地域、栃木・福島地域が、東京との適切な連携が大きな特徴として認識されている。

岐阜・愛知地域、静岡・愛知地域については、国際的なアクセスの利便性や近くの大都市の集積の活用が大きな特徴として認識されている。

三重・畿央地域については、東京との連携性という観点は非常に小さく、多様な国土の実現等の東京との分担性が大きな特徴として認識されている。

福島地域については、東京との連携も良好であるが、都市機能の集積が小さいと認識されている。

茨城地域については、東京との関係において、他の地域とはかなり違った認識がされている。

具体的に各地域の特色として、地域差の大きい項目を抽出すると、北東地域では「新都市と東京との連携と分担」に関して他の2つの地域と比較して「政経分離による東京及び新都市それぞれの円滑な機能の発揮」と「移転期間中の東京との連携」などに関して期待が高い。「新時代に向けた新都市の個性と我が国の新たな姿」に関しては、「軽やか」「自然環境との調和」「ゆとりとやすらぎ」などのイメージや「精神的・文化的豊かさへの転換」という項目が期待されている。全国総合開発計画との関係では、国土軸全体の発展や多自然居住地域の創造についての評価が高い。

東海地域では、「国際政治機能の発揮と全国的な国際交流等の展開」について、全国の中央部にあり、名古屋と密接連携しながら文化・情報機能の整備、中部国際空港を始めとする都市基盤整備により、国際交流等の実現を図っていく姿が期待される。新都市と国民・全国各地とのかかわりと我が国の姿については、全国各地の国民から見て親しみのある地域ということであり、全国各地が東京に依存しないといったイメージが期待される。全総計画との関係では、交通・情報ネットワークの形成により、東京中心の国土構造の改編が促進されることや、全国各地で広域的な国際交流圏が形成されることに対する期待が高い。

三重・畿央地域では、「東京中心の国土・意識構造の改編」について、東京とは質的にも文化的に異なる新都市が形成され、東京を経由しない情報交通ネットワーク形成による国土の改編が進むことが期待される。日本を代表する文化機能の集積としては、内外の訪問者を引き付け、魅力ある文化機能、展示機能等の施設の集積が図られるとイメージされている。

北東地域での各地域の特性の違いでは、宮城地域は「自律的な国際交流圏の形成」「東京を中心とする国土構造等の変化」に対する期待が高い。福島地域は「軽やか」「自然環境との調和」「ゆとりとやすらぎ」といったイメージが強い。栃木・福島地域、栃木地域については北東地域全体の傾向、評価が強く出ている。茨城地域は東京との近接性に起因する要素についてはおおむね高く評価されており、北東地域の中では他と異なる傾向が見られる。

東海地域の岐阜・愛知地域、静岡・愛知地域は、おおむね同じ傾向にあり、「東京との連携」については静岡・愛知が優れているが、「国土構造の改編」や「多様な地域社会の実現」といったことは岐阜・愛知が優れている。

畿央地域、三重・畿央地域については、前述の三重・畿央地域の特性と同様の傾向を有している。部分的には三重地域の方が畿央地域より東京との連携に対する期待が高く、畿央地域は歴史・伝統、国際機能等に優れ、京都・大阪等との連携に対する評価が若干高い

続いて以下のとおり意見交換が行われた。

  • これはどの地域が同じ仲間であるかを示しており、例えば、茨城地域などは他とは違う傾向を有していると考えて間違いないと思う。
  • 地域の個性、多様性を重視するということと、環境やゆとりを重視するということは両立し得ないという前提に立っているということか。
    →主成分分析という統計的な処理により、それぞれの軸の説明力(寄与率)がどのくらいあるかというと、国土構造では第1軸で4割、第2軸で2割5分の説明ができ、両者で約7割説明できる。その軸を言葉で解釈して説明すると、国土構造では東京との適切な連携といった言葉で表せるのではないか。
  • 連携の容易さというのは非常に容易から非常に難しいまで軸として理解しやすい。文化などは本当に対極でお互いに相容れないものなのか。
  • 我々が評価をもとにグループに分けると、一番グループ分けに役立ったのが、東京との連携性の容易さと、地域の個性・多様性、あるいは環境との共生の重視という説明であると思う。
  • 質問の段階から「環境を重視する」と「地域の個性を重視する」とが分かれるから結果も分かれたのであり、私の気持ちとしては新都市は両方重視してほしいという気持ちがある。
  • 軸として一列に並べてしまうから違和感があるが、グループということであれば、違和感はないと思う。
  • 地域の個性・多様性と環境との共生の重視は、ここではなく重みづけのところで反映していただく。
  • 比較した場合、より重視するということであり、一方を否定に近いような形で無視するということではないと思う。
(5)首都機能移転に関する国民の意見について

首都機能移転に関する国民の意見について事務局から説明があった。

首都機能移転に関する国民の意見については、第23回審議会で説明したが、その時、御指摘いただいた点及びその後の状況等について追加説明する。

各県の調査の中で、自県内に移転することの賛否を問うたものでは、茨城県、静岡県、愛知県が若干高くなっている。

最近の新しい調査で、産経新聞では反対が多くなっている。『日経ビジネス』の11年9月号では賛成が61%となっている。NHK放送文化研究所の調査では、移転先候補地8県で自県に来てほしいと思っている方が36.1%、自県に来てほしくないと考えている方が31%となっている。東京都の調査では、賛否は若干反対が上回っている。

ホームページは平成9年4月に開設以来6万件以上のアクセスがある。アクセス数は最近、増えている。この間、電子メールでは約420件の意見が寄せられている。

平成11年8月からホームページに首都機能移転に係る意見交換スペースを設けており、寄せられた意見も90件ある。

続いて以下のとおり意見交換が行われた。

  • 移転の賛否というのはずっと賛成の方が上がってきているのか。
    →事務局首席局員それぞれ調査が違うので、その辺の比較はできないが、総理府の世論調査では、平成4年の調査に比べ9年の調査の方が賛成がやや減っている。
  • NHKの調査では、賛成だけど自分の県には来てほしくないというのも結構多い。自分の県に来てほしくない理由というのは分かるか。
    →そこまでは分からない。
  • 次回、第26回の審議会について、11月10日13時30分から行われることが、事務局から提示された。

以上
(文責 国会等移転審議会事務局)

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