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第27回国会等移転審議会議議事要旨

1.日時

平成11年11月25日(木曜日)10時0分〜16時30分

2.場所

東条会館6階かすみの間

3.出席者

(審議会委員)

森会長、石原会長代理、野崎部会長代理(起草委員長)、新井、石井(進)、石井(威望)、石井(幹子)、海老沢、中村(桂子)、中村(英夫)、濱中、堀江、牧野、溝上、宮島各委員(15名)

古川内閣官房副長官(事務局長)、久保田国土事務次官、木下国土庁長官官房長、板倉国土庁大都市圏整備局長(事務局次長)他

4.議題

国会都市建設段階の課題、新都市のイメージと課題、広域的な視点からの地域比較、重みづけ手法による総合評価について

5.議事の要旨

国会都市建設段階の課題、新都市のイメージと課題、広域的な視点からの地域比較、重みづけ手法による総合評価について事務局からの説明が行われるとともに、移転先の候補地について各委員から意見交換が行われた。

(1)国会都市建設段階の課題について

国会都市建設段階の課題について事務局から説明があった。

国会等移転調査会報告では、第1段階(建設から約10年)で人口規模は約10万人程度、面積は約1,800haの国会都市を建設することになっている。そこで、10の総合評価の対象地域ごとに国会都市を置く地域を想定し、国会都市建設段階の課題を比較、検討した。検討のポイントとしては、土地の確保、環境・水供給・防災対策等に係る計画面の配慮、新しい都市の生活支援サービス・業務支援機能の確保、広域的な交通アクセスという4点から整理を行った。
宮城地域については、宮城−2に国会都市を置くことを想定している。この地域は、新幹線の白石蔵王駅に近く、東北自動車道も近くを通っている。国公有地は少ないが、地域内には法律の規制のかかっている土地は比較的少ない。全般に民有林が多く土地を取得する際には地権者との調整が課題になる。仙台市に近く、仙台市の機能を活用していけば初期段階においても生活面、業務面での対応が可能である。国際政治都市としては、仙台市の機能だけではやや不足であり、東京との連携を図っていかなければならない。
栃木・福島地域については、東北新幹線の那須塩原駅の近くの栃木−2に国会都市を置くことを想定している。約400haの国公有地があり、そのすぐ横に大規模な民有地が連続している。土地を確保する際には国公有地、大規模民有地を活用することが考えられる。環境面での配慮、火山災害に配慮した施設の配置、水供給の関係では水利権の調整が課題になる。また付近の都市は規模が小さいので、既存都市の機能の活用の面でも課題がある。
福島地域については、福島空港の近くの福島−2に国会都市を置くことを想定している。この地域にはまとまった国公有地は存在せず、土地の取得という面では地権者との調整が課題になる。また水利権の調整も課題である。尾根幅が狭く起伏の細かい地形になっており、環境に配慮し、かなり分散的に施設を配置しなければならない。近くに大都市がなく郡山市の機能に依存することになるが、少し離れていることも課題となる。
栃木地域単独では、栃木・福島地域と同じく栃木−2に国会都市を置くことを想定している。
茨城地域については茨城−2に国会都市を置くことを想定している。常磐線・北関東自動車道が近くを通っており、交通の接点である。全体として国公有地がかなりあるが、やや分散的に分布している。このため土地を取得しやすい面があるが、国公有地の間の民有地の地権者との調整が必要になる。新幹線から離れており、常磐線の輸送力の増強等の課題がある。
岐阜・愛知地域については、現在、整備が進められている東海環状自動車道と中央自動車道の2つの高速道路が交差する岐阜−1に国会都市を置くことを想定している。約1,700haの国公有地があり、国公有地の活用がほかの地域に比べて十分考えられる地域である。在来線としては中央本線が通っているが、東京とのアクセス時間の短縮が課題となる。
静岡・愛知地域については、浜名湖の周辺の静岡−2、愛知−2に国会都市を置くことを想定している。東名高速道、東海道新幹線が通っており、東京と名古屋、大阪とを結ぶ軸上にある地域である。大規模な国公有地は少なく、周辺の市街化が進んでいるので、土地の確保には大きな課題がある。浜名湖の景観を生かし、保全しながら、各種の施設を配置することになるので、分散的な配置になる可能性がある。大規模地震を考慮した都市の配置、都市づくりを行わなければならない。国際アクセスの面では中部国際空港へのアクセスが課題になる。
畿央地域は、4府県にまたがっており、地域の北側のびわこ空港に近い畿央−1に国会都市を置くことを想定している。東西方向に第2名神高速道路の整備が進められており、南北方向にびわこ空港を通って地域高規格道路の整備が計画されている。畿央−1は両者の交差部に近いところである。国公有地はほとんどなく、民有地が中心になるため、土地の取得に当たっては地権者との調整等が課題となる。交通の面では、東京とのアクセスが既存の在来線による名古屋乗り換え、または草津線利用の乗り換えになるので、その改善が課題となる。
三重地域では、三重−2に国会都市を置くことを想定している。三重−2は名阪高速道路が北西を、伊勢自動車道が西側を通っている地域である。国公有地の大規模なものは少なく、土地の取得の面では地権者との調整が課題になる。初期段階では四日市、鈴鹿、津など人口20〜30万人の都市の機能を活用していくことになる。交通の面では東京との連絡は名古屋乗り換えとなる。
三重・畿央地域では、畿央地域と同じ畿央−1に国会都市を置くことを想定している。

(2)新都市のイメージと課題について

新都市のイメージと課題について事務局から説明があった。

基本的には前回の内容を再度整理し直した。総論として、北東地域、中央地域(東海地域と三重・畿央地域)で見た場合の新都市の姿を整理した。
北東地域は、東北新幹線、東北自動車道などの高速交通機関に近く、これらを活用して東京と密接な連携をしていく都市、東京の機能を活用しながら新しい都市を運営していくことになる。国際的な交流活動の面でも、東京の限界も克服しながら東京と連携して都市を運営していく。
中央地域と比較して広い区域に自然環境が良好に広がっているので、自然とかかわりを重視するライフスタイルが期待される。周辺の都市の機能集積が少ないので、都市的サービスを充実していく都市づくりが課題になる。
中央地域では、人口重心に近く全国からの参集性にすぐれている。名古屋圏、関西圏といった大都市圏域の近くにあるので、大都市の機能を生かした新都市づくりを進めていくことが可能である。
背後には自然の豊かな地域が広がっており、大都市の魅力と自然環境の両方を享受することができる生活様式が期待できる。
北東地域に比べて都市的な土地利用が進んでおり、環境負荷の少ないまちづくりを進めていくことが課題である。

(3)広域的な視点からの地域比較について

広域的な視点からの地域比較について事務局から説明があった。

東京との関係では、北東地域は東京との連携が特徴であり、移転期間中に予想される重都状態、あるいは段階的移転への対応が容易な地域である。逆に東京への依存が高まるために、その影響の克服が課題になる。中央地域は、逆に東京との連携がやや難しく、重都段階、あるいは段階的な移転に相当な工夫が必要である。一方利点として、東京から自立性の高い都市が形成されるという側面がある。
全国各地との関係では、北東地域への移転は太平洋ベルト地帯から分離して新しいフロンティアに展開する。新しい国土軸の形成に対する期待があるが、全国からの参集容易性には課題を残す。中央地域への移転は太平洋ベルト地帯、あるいは西日本国土軸のリニューアルに資する。各国土軸がこの地域で交わり合っているので相互補完を促進する。人口重心に近く全国からの参集が容易である。
海外との関係では、北東地域は成田空港、東京に依存するという側面があり、東京の国際政治機能を活用する。空港は成田空港を使うことのメリット・デメリットがある。中央地域では、名古屋、あるいは大阪、京都を意識した連携になる。特に名古屋の場合は国際政治機能が不足しており、その充実が課題になる。また、ほとんどの地域が中部国際空港が比較的近いので、直接グローバルアクセスを確保できるという利点があるが、畿央地域の場合は関西国際空港への距離がややあるので課題になる。

各地域と東京との関係での評価は、例えば首都機能の円滑な発揮及び重都状態への対応という観点では栃木・福島地域がよく、逆に岐阜・愛知地域、三重・畿央地域が不利である。逆に自立性では、三重・畿央地域や岐阜・愛知地域がよく、栃木・福島地域は課題がある。
全国との関係では、在来鉄道により3時間で到達できる地域のカバレッジ、あるいは4時間で到達できる地域のカバレッジを示すと、栃木・福島地域、宮城地域が低くなり、岐阜・愛知地域、静岡・愛知地域は高くなる。
国土構造、あるいは文化での評価は、北東地域は「国土軸の形成」「多自然居住地域の形成」への寄与が評価になっており、東海地域は「全国的な地域の文化あるいは情報の交流促進」ということが評価されている。三重・畿央地域は東京から離れるので「国土構造の改編」が進む、あるいは伝統文化を踏まえた「新しい文化の形成」、「地域の自立促進」を評価されている。
海外との関係では、調査対象地域ごとの国際機能の集積度合いで、ホテルの客数など顕著な違いがある。
海外とのアクセスでは、三重・畿央地域は中部国際空港に海上ルートでアクセスできるということで高く評価されており、逆に宮城地域や福島地域などは定期便がないということで低い評価になっている。
国際ネットワークの現状では、東京も成田空港から60kmであるが、大阪も関西国際空港から概ね50km、名古屋が中部国際空港から概ね30kmという距離になっている。時間では東京は成田空港から60分、大阪から関西国際空港は45分、名古屋は中部国際空港から30分であった。

現時点での各地域の特徴及び課題を仮に整理すると、宮城地域は新しいフロンティアに新しいライフスタイルを想定する。仙台空港に近い。やや北にあるということをどう理解するか。海外のアクセスは成田空港に依存せざるを得ない。
栃木・福島地域は、東京から比較的近く、魅力的な景観がある。平坦な地域が多く都市づくりは比較的容易である。東京の巨大地震への応急態勢がとりやすい。福島空港には近いが、海外へのアクセスは成田空港に依存せざるを得ない。日常的な都市サービス、都市集積にやや欠ける。
茨城地域であるが、地震災害に対して最も安全性が高い。地形的にも平坦地が多くて都市設計の自由度が高い。巨大地震が発生した場合応急態勢をとりやすい。一方で東京に近いために東京の影響圏に組み込まれ、あるいは、東京一極集中の是正効果に課題がある。国会を想定した場合に景観的な魅力にやや課題がある。
岐阜・愛知地域は、人口重心に近く、全国からのアクセスにすぐれている。外国からのアクセスも今後空港ができることにより確保できる。総じて交通利便性が比較的高い。東濃地域について言えば国公有地も比較的多く、都市が比較的つくりやすい。ただ、東京とのアクセスに課題がある。大規模地震の懸念が一部にある。
静岡・愛知地域は、東西を結ぶ交通の要衝にあり、全国からのアクセスにすぐれている。総じて交通利便性の高い地域である。浜名湖周辺はウォーターフロントを生かした魅力的な景観が演出できる。この地域の大きな問題は地震災害の安全性に大きな課題がある。また土地利用が進んでおり、土地の円滑な取得に課題がある。
三重・畿央地域は近畿圏、中部圏の交差部に位置している。歴史的、文化的蓄積の豊かな地域で、伝統文化を生かした新しい文化の創造という可能性がある。全国からも比較的集まりやすい。鈴鹿地域を想定すると、海外のアクセスも海上ルートですぐれている。ただ、東京とのアクセスにやや時間を要するという点、あるいは大規模地震の懸念が一部にある。水供給も成熟段階では課題である。都市的なサービスもやや不足している。

以上の説明についていて意見交換が行われた。

  • 北東地域は非常に細長く、それぞれが独立している地域全体を北東地域と呼んでいる。中央地域は北東地域よりまとまって存在しており、一体化している。
  • 北東地域を一括して東京と連携が容易であるとしているが、混乱しないか。各地域を大ぐくりな共通性でまとめていくのは良いと思うが、選定を行う際の基本はあくまで10地域である
(4)重みづけ評価手法による総合評価について

重みづけ評価手法による各地域の評価結果が事務局から説明され、それについて意見交換が行われた。

各地域について、評価するに当たって評価対象とする地域及び国会都市の場所を想定した。国会都市は検討地域の中で交通アクセス、景観、土地取得などの点で評価の高い地域を想定している。
各評価項目は5段階を基本とする評価を行っているが、国土構造改編の方向、文化形成の方向は委員の方々に評価していただいた。
評価結果は、16項目を1〜5点の間で評価した。3回目の重みづけの結果を整理し、1回目、2回目と比較できるようにしている。3回目と2回目を比較すると「大規模震災時の新都市・主要都市間の情報・交通の確保」「景観の魅力」「地震災害に対する安全性」の重みが少し減っている。「土地の円滑な取得の可能性」「地形の良好性」が少し増えている。各項目の評価と重みづけの結果を、評価項目毎の評価結果を合計した場合、第1〜3回重みづけ作業の結果を反映させた場合、重みの最大値及び最小値を除いて重みを反映させた場合などの様々な形で整理を行っている。また各地域について評価項目ごとに極めて評価が高い項目、極めて評価が低い項目を整理した。

  • 各候補地でもっと差がつくと思っていたが、あまりついていない。
  • 統計学的にみて、有意な差が確実にあると言うには、もう少し大きな数字でなければと思うが、それなりの意味を持っている数字の差である。
  • 非常によく考えられた手法であり、この評価は厳正に受けとめたい。
  • 多くのメンバーが可能な限り公正に、かつ各評価項目を評価する人と各評価項目間の重みをつける人を分離する形で厳密に行った例はないので、この審議会としては自信を持っていい。
  • 評価項目によっては随分差が出てくるが、総合すると相殺される傾向があるのではないか。東京と近いほど東京との連携がうまくいくが、反対に東京に従属してしまう可能性が高い。
  • 出てきた結果について、プロセスを明らかにすることによって何を重視したのかがはっきりしてくる。そういう意味からも、最終的に資料は公表すべきではないか。
(5)各委員の意見交換について

各委員から次のような意見が述べられた。

(主に移転全般に係る意見)

  • 首都機能移転の最大の目的は中央集権、東京一極集中のシステムの改革を促進し、小さな中央政府、民主導、活力ある地方自治体で構成された地方分権国家を形成することである。
  • 大量生産型、一極集中型の社会は行き詰まってきており、全体として転換しなければならない時期に来ている。自然と共生し、リサイクル型の技術を持った新しい都市ができたらすばらしいと思う。既存のものを変えるのは難しい。新しい都市をつくることがきっかけになるという意味で期待を持っている。
  • 東京にいる人々は、東京ではすべてができる、情報が集中していると思って行動している。「東京ですべてが分かっている」という意識が、東京だけでなく日本にとってよい状況ではないと思う。
  • 年内に答申する段階に来ていると思う。
  • 分都、展都などは非能率である。中枢的の機能とは別な機関については、新都市とは別の地域にあってもいいが、外務省、大蔵省、防衛庁など中枢機能は全部一緒になければならない。
  • 首都機能移転の目的は国政改革の一環である。地方分権では、国の権力的関与は減ったが、財政構造はそのまま残っている。都道府県間でも市町村間でも財政力の格差が非常に大きく、財政調整に依存している面が非常に多い。
  • 段階的な移転の間は新都市と東京との連携が非常に重要である。その間に、東京が大規模災害に見舞われた場合、東京側の情報ネットワークを整備しない限りはどこに移転しても同じになるだろうと思う。連携は、情報だけでなく人間も移動しなければいけないため、交通インフラを整備しなければならない。移転と同時に東京の社会的基盤の整備を行わないと、いざというときに新都市も機能しなくなるのではないか。
  • 現時点では候補地の選定を行うことは適切ではないと考える。候補地の選定作業は急がないで時間を掛けて国民に周知を図ると同時に十分な議論を尽くしていくことが必要なのではないか。今急ぐべきことは、首都機能の移転ではなくて災害などに備えた国家の危機管理機能の簡素なバックアップシステムを、既存都市の中に早急に整備することである。
  • 国会・政府がコントロールできるのは政治や行政であって、経済をコントロールすることはできない。国会等が移転すれば、文化や歴史、経済機能は後からついてくることがあるにしても、国会・政府が決定するものではない。
  • 最近、情報公開と説明責任、事後評価が要求される。我々は審議経過について情報公開することと説明責任を負うことになる。
  • 候補地の選定が審議会の任務であり、審議会としては一定の結論を出して、年内には答申を出すべきだろう。

(主に重み付け手法による総合評価に係る意見)

  • 総合評価の結果はあくまで最終的な判断の大きな材料とするものの、得点が高い順番がたちまち候補地になるのは反対である。候補地選定の念頭に置くべきポイントは、東京一極集中の是正、地方分権の推進、災害への対応の3つの課題の実現にあると考える。この3点の課題を実現するということを訴えないと国民的な納得はとても得られない。
  • 重みづけ手法による総合評価の結果は率直に受けとめるべきではないかと考える。点数差が大きなものでなかった場合、審議会において議論を行うべきである。その結果、委員の意見が集約できない場合は複数答申という選択があり得ると考える。
  • 土地の取得は大変難しい問題。土地の円滑な取得の可能性と、地震災害の安全性を重要視すべきではないか。
  • 一部の評価項目には足切りを設けるかどうかという問題があると思う。これらの項目についてはもう一回専門家の方々の意見を聞くべきではないか。
  • 候補地の選定作業で使った、重みづけ手法というアプローチを本格的に適用したのは、この審議会が初めてであり、それだけに大変意味があることだと思う。その結果は最終答申をまとめる場合に重視していいのではないか。
  • 数値の差が非常に小さかったということをどう判断するのか。多くの調査結果を全部重ね合わせていくと差が相殺されるなどで、結果として最終的な点数の差が小さく出たのではないか。一番高いところ1つだけの答申というのは手法としてかなり無理があるのではないか。そういう意味では、候補地の答申は複数にならざるを得ないのではないかと思う。
  • 候補地について地震や火山の面で決定的な問題を抱えていないかどうか、是非とも専門家の意見を伺いたい。
  • 総合評価の数値は尊重しないといけないと思うが、絶対性を置くかどうかを議論をしながら決めていきたい。
  • 地震は、西の方が大きなものが起きる可能性がある。しかし、首都機能移転は同時災害を避けるという意味があり、それなりの対応の仕方はあり得るという考えは成り立つ。そうすると、地震災害の問題は、どちらの地域がプラスになるという問題ではないと考えられる。
  • 非常に重要な項目は別途審議会としても議論して、答申の中に書き入れていくということが必要ではないか。
  • 重みづけ手法による総合評価の点数は最大限に重視すべきだと思う。評価の重みがそれぞれ違っても、出てきた順位は同じである。だから意味がある。可能な限り候補地は1つにしてほしい。
  • 重みづけの結果に余り差は出ていないが、重みづけの項目以外に、移転する先の住民の同意を考えなければならないのではないか。環境問題も含めて、住民の広い意味での同意が構築されているかどうかが非常に重要だと思う。
  • 東海地域ではいわゆる東海地震の観測強化対策を行っており、東南海、南海地震も40年ぐらい経つとやってくるだろう。これらの地震は、広域地震であり、震度7の揺れの地域が阪神・淡路大震災時の神戸よりも数倍以上広くなる。地震の揺れについても、まだよく分からないことがあり、しかも大きな地震になると、揺れが長く続き、余震も次々と起きてくる。震度6強以上の地域に何かつくる場合には、技術力でかさ上げをする必要がある。
  • 重みづけに当たっては、首都機能移転の理念が非常に強く出た方が良いと思い、例えば国土構造、情報ネットワーク、環境をメッセージ色が強い項目を高く評価している。大規模災害の対応力、地形の良好性、土地の円滑な取得の可能性については地権者の調整などを含めて時間の問題が入るので、制約条件と考えている。東京とのアクセスについては、東京との連携というのは常に求められるので、交通機関や距離を制約条件としてある程度考えざるを得ないのではないか。

(主に候補地の数、各地域に係る意見)

  • 幅広い国民的議論を巻き起こすためにも審議会は予定どおり速やかに答申を行い、議論を国会の場に移すべきである。移転先候補地は国会の決定権を尊重するために複数答申すべきである。但し審議会として順位付けはあっても良い。
    北関東への移転は大東京圏への一極集中を更に進めるおそれがある。北東地域は北に偏りすぎている。三重・畿央地域は分権国家の建設に適しているが、国際空港等のアクセスの面で懸念がある。地方分権との適合性、国民合意の得やすさ、都市づくりの諸条件を勘案すると岐阜・愛知地域が有力ではないか。
    最大のポイントは日本全国から見た新都市の地理的立地である。岐阜・愛知地域は国民的納得を得られやすい地理的立地である。東京より東の地域は東京への依存体質が結果的に残ってしまい、真の意味で一極集中是正、分権の推進へつながらないおそれがある。
    北東、東海、三重・畿央の3地域ごとの特性に応じて、それぞれ特徴をもつ国会等の移転が進められていくと考えられる。候補地を特徴の異なる3つの地域から選択することは価値観の違いにかかわるもので、行政的、専門的な判断を超えるものである。したがって最終的な選択は国民世論に基づく政治の決断によるべきである。
    3つの地域について、それぞれいいところであると思った。複数の答申があってもいいと思う。
    東京となるべく独立して、なおかつ東京と連携がある程度とれる中央地域が良いと思う。中央地域での重みづけから岐阜・愛知地域が中心になると思う。ただ、複数答申というのは少しも構わない。
    中央地域は、東京で地震災害が起こったときに、新都市で陣頭指揮ができるかという問題がある。情報手段が高度化しても、やはり現場に行かなければならない。比較的東京に近接している栃木地域以外にないと思う。できれば1つに絞って答申してもらいたいが、両論併記もありうる。
    重みづけ手法による総合評価の結果は、かなり点数が接近しているという印象が強い。単数ではなく複数答申が常識的ではないか。
    岐阜・愛知地域、静岡・愛知地域は情報ネットワークへの対応容易性が高く、交通利便性でも高い。情報アクティビティーで考えると、現在の評価が低くても、将来高く評価されるところがあるのではないか。総合評価の高い栃木・福島地域でも将来、情報が高く評価されるかもしれない。
    総合評価の数値は非常に接近しており、ここが絶対と言えるほどでないということがわかった。1位、2位を東と西が占めていることを考えると、複数答申で東西を1つずつ挙げていくことになるのではないか。
    国土軸という問題はどうしても考えなければならない。太平洋ベルト地帯に対する大きな反省があったと思う。北東国土軸に移転することが、国土構造の改編という観点からも、必要ではないか。
    栃木・福島地域と岐阜・愛知地域は順番に上位に来ているが、東京から距離が近いと移転がスムーズに行くが、いつまでも東京に依存した状態が続くということも考えられる。逆に遠いところでは、早い段階から独立した都市になるが、早く移転を完了しないと、かなりの労力、エネルギーが必要である。
    複数、3つぐらいの地域を答申しても良いのではないか。
    現実的には複数答申だが、その場合順位をつけると、国会の審議に混乱をもたらす。したがって、複数答申では順番を付けないで答申せざるを得ないと思う。
    容易に首都機能移転ができるのは栃木地域であり、東京の社会基盤の整備との同時進行も現実的であると思う。
    候補地は、是非国の在り方や危機管理、国の姿といったことを議論してその中から選んでいきたい。国会において、国の在り方に根ざした議論を集中して行っていただけるなら、むしろ複数の候補地を挙げて本質論をやってもらいたい。
    まず上位3つぐらいを公表するのが良いと思う。3地域に新都市が描かれ、そのとき東京との併存がどのようになっていくのかという予測をビジュアルなもので示せば、国民の関心事になると思う。
    できれば候補地は1つに絞るべきだろう。地震に強いかどうか、東京都とのアクセスの容易性、成田空港へのアクセス、環境問題の配慮に重きをおいて地形を大きく変えない平坦な土地の多い地域ということから茨城地域が適当ではないか。
(6)答申の構成について

答申の構成について、野崎起草委員長から説明があった。

今月15日に第1回の委員会を開き、答申をどのようなものにするかについて議論した。御承知のように国会等移転調査会の報告は非常に格調の高い、100ページにも及ぼうとするものである。審議会では候補地の選定を委ねられているわけであり、調査会報告のような大部なものはつくるべきではない。諮問事項について簡潔に答えていくべきであろうということになった。
答申案の内容についてであるが、まず順序として最初に平成2年の国会決議がなされて以降、今回の答申に至った経緯、審議会に与えられた任務について述べた上で、首都機能移転の歴史的な位置付けを述べる。そして、当審議会は以下のところを候補地として挙げるということを述べ、なぜそこになるかという理由を簡潔に述べていきたい。その次に今度は移転先となる新都市の在り方について審議会の意見を述べていきたい。そして、次に首都機能の移転が持つ意義、それが今後の日本、特に21世紀の我が国にとってどのような効果を持つものであるかということを簡潔に述べたい。最後に、候補地として特定の土地を挙げるわけであるから、その土地については、いろんな動きが出てくることも予想される。そういうことを踏まえ、土地の投機対策に対する必要性、その他選定された候補地において配慮していただきたい事項について述べ、最後にこの審議会からこれからの問題を担当される国会をはじめ各方面に対する要望を述べるという形が考えられるという結論になった。
いろいろ議論いただいたことを踏まえて、中身に肉付けしていきたい。

次回、第28回の審議会について、11月30日9時30分から行われることが、事務局から提示された。以上

(文責 国会等移転審議会事務局)

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