ホーム >> 政策・仕事 >> 国土計画 >> 国会等の移転ホームページ >> 今までの取組 >> 国会等移転審議会 >> 審議会・調査部会議事要旨 >> 第2回国会等移転審議会調査部会議事要旨

国会等の移転ホームページ

第2回国会等移転審議会調査部会議事要旨

1.日時

平成9年5月7日(水曜日)17時30分〜19時30分

2.場所

東條会館橘の間

3.出席者

(審議会委員)

有馬部会長、石原部会長代理、石井(威望)、堺屋、下河辺、中村(英夫)、溝上、野崎各委員(8名)

(専門委員)

井田、井手、金本、片山、黒川、鈴木、戸所、森地各委員(8名)

伊藤国土庁長官、井奥国土政務次官、田波内閣内政審議室長、近藤国土庁長官官房長、五十嵐大都市圏整備局長(事務局次長)他

4.議題

フリートーキング、新都市のイメージ、移転費用のモデル的試算等

5.議事の要旨

今回は、まず、前回欠席した2専門委員のフリートーキングが行われた。次に新都市のイメージ、候補地選定基準と移転費用のモデル的試算について説明と質疑・意見交換が行われた。

(1)フリートーキング

・新都市では、既存の都市ではできなかった都市インフラの整備を初めから重要視すべきである。出来上がった都市では、電力や道路などは後から手をつけられない。その点を重視した都市づくりが行われるべきだ。例えば、日本では飲料水と防火用水が同じなのは当たり前となっているが、そのようなところから見直しを行う必要がある。また、防災上の観点からは、電力と情報が途絶えないことが重要である。また被害想定に関して、候補地の地盤の状況を十分把握しておくべきである。地盤の状況によって地震の際にどの程度揺れるかがわかる。よく地域を見て安全な地域開発を行うことが重要である。

・全ての自治体にとって新都市が近い方が良いという誤解があるので、これを解く必要がある。かつて、1県1空港と言われたときも、必ずしも最適な空港の配置というわけではなかった。
日本人にとって重要なのは、100年たっても風格があり、誇りをもてる都市が造れるかということだ。その点では既存のニュータウンや副都心、ウォーターフロントの大機規模開発を見ていると心配だ。その反面、割合小さな集落を、日本人は割とうまくつくってきた。望ましい都市のデザインには微地形も重要な要素となる。このような都市をつくりたいので、こういう地形が良い、という観点も重要である。
新都市は、短期的には機能の一部を近くの母都市に依存することになる。したがって、母都市との関係についてもよく議論しておく必要がある。

(2)新都市のイメージ、候補地選定基準

・緑豊かな都市をイメージしたときに、ただ緑を残すだけではなくて、緑を形成していく、生物的な自然をつくりやすいという条件も重要である。例えば、木を植えても育たないところでは、緑の形成に時間がかかりすぎる。土壌的な条件や現在の生物的条件も資料として考えてもらいたい。

・候補地選定に当たり、現状で判断するのか、それとも将来の計画を考慮するのかという問題がある。将来の鉄道のスピードアップや停車駅を考慮すると、東京からの所要時間の分布が相当変わってくるはずである。渇水についても同様で、水源開発の投資をすれば渇水は防ぐことができる。
新都市の面積の9,000haについても、それだけ面積が必要なのか、母都市との関係も含めて考慮すべきである。
地震に関しては、東京が過密なことが問題であって、小都市であれば地震に非常に強い都市をつくることも可能である。地震に対してどのような条件を設定するかが問題だ。
今後は省エネルギー都市が大切である。このような面から、他にも選定基準として必要なものがあれば入れるべきである。また、災害や渇水はどれくらいの費用に換算すべきなのか、といったことも考えておくべきである。
交通地図では確かに東京は便利で、これを見ると東京から動かないという答えになるかもしれないが、国土計画全体を何年かかけて変えていくことを考慮して、ある程度幅を持って考えても良いのではないか。

(3)移転費用のモデル試算について

・これからの国会が、自らの立法能力なり、研究能力をどのように持つか興味がある。中央官庁に依存しない国会というイメージがあると、新都市に国会のための相当な調査・研究機関を持つ必要があるという議論が必要ではないか。

・特に危機管理の時の情報収集能力を持っていないとならないとか、アメリカのように国会が相当の調査能力を持っていなければならないとかいう議論はあるが、それは1〜2年の議論では片づかない。いろいろな議論はあるが、ここでは、短期間で検討可能な範囲を前提条件としておきたい。国会は現行のものがそのまま移転するとして、行政をどの程度移転するかの仮説を議論する必要がある。その仮説に基づいてモデル試算を行い、候補地が出たあとで審議会からモデルを詳細にせよという依頼があれば再検討したらよいのではないか。

・試算の単価については、既存の都市で建設する単価で計算しているが、交通渋滞、埋設物、近隣住民もない新都市では、単価を2〜3割は下げられるのではないか。また、公共事業の単価が高いという批判もある。単価を下げる一方、新しい施設に対応するための新施設予備費として1〜2割程度を計上するとか、21世紀向きの新技術のため、例えば掛ける1.2というような係数を入れるとか、新味のある都市をつくるということを考える必要があるのではないか。
また、新しい施設の費用は、市債や地方債を発行して、新都市に住む人が後から払うのか。いま我々が払っている税金で負担するのかという議論がある。

・八郎潟(大潟村)は何もないところにつくられたが、住民税は前の年の1月1日現在の所得や資産に課税されるため、住民が入植した年には税収がない。そのため、例えば水道である期間でペイするような補助率の特例など、様々な特例措置が講じられた。新都市も、純粋に独立の地方自治体となると、スタートの時点でいろいろな特例措置が必要であろう。

・新都市をどこに持っていくか、どういう開発手法で行うのか、それをどういう順序で進めていくかによって費用が変わってくる。最初から完成した都市をつくるかによって費用が変わってくるだろう。最初の基盤整備をどのようにするかや、地域によって異なる防災対策をどのように進めるかによっても議論が異なる。

・今の段階では、全体的な試算はこの程度で十分だと思う。仮定が変われば修正すればよい。ただ、これから何百年間か機能を果たすものを造ろうというのだから、技術なり、文化なりが新たな余地を十分残しておいて費用を試算することも考える必要があるだろう。都市の造り方にもよるという意見はもっともだが、それを言い出すと際限がない。

・空間整備の費用計算として、自然環境の保全についてはあまり考慮されていない。大規模な自然環境でも放置してはかえって環境に対して悪い。ボストンの例でも、日常的に計画された身近な自然的環境によって資産価値及び環境価値が高まり、スラム化を防止している。放置された大規模な自然的環境があっても環境形成にはならない。自然的環境部分を最初にインフラとして整備することが大切で、公園緑地を試算項目に入れるべきである。

・他の都市の例では、10万人では公共交通が成り立たない。60万人になれば地下鉄が成り立つかもしれないが、それまでの間のことも考える必要がある。

・官と民の分け方だが、官というと、国が全部責任を持つというイメージがあり、誤ったシグナルを与える恐れがある。誘致をしている自治体から見ると、この分を国が全部面倒見てくれるという印象をもたれかねない。民の区分に入っているものでも、住民が自治体を通じて負担する分もある。
また、公務員住宅について、全て国が負担するというのはいかがなものか。これも含めて官と民の整理が必要。

・単価を実績からはじいているが、新都市は従来よりもレベルが高いものをイメージしているので、試算している数字については注釈が必要である。先ほどの話のように予備費を計上するのも一案であろう。
公務員宿舎も、東京にあるような貧相な宿舎ではなく、レベルアップを考えるべきだが、それをどういう金で支出するかは議論が必要だ。
新都市のイメージ図を見ると、クラスターであるのは良いが、自動車主体の交通体系を持つ都市に見える。それでは、省エネルギーの面で問題ではないか。公共交通事業は独立採算ではなく、全部税金で負担するということも議論する必要がある。

・試算については今の段階で細かいことまで議論する必要はない。それらは場所によっても大きく異なる。どの場所に造るかによって、自然保護の意味も異なってくるし、造成費用も大きく異なる。今は考えるべき項目を漏れなく列挙することが必要である。

・将来、数字が一人歩きして後の計画を縛ることのないようにする注意が必要である。

・これまで、都市は自然破壊をしてきたが、新都市ではそうならないようにしてもらいたい。

・この試算は、前提条件の変動により、結果がどのくらい変動するものなのか。

・例えば、リニア新幹線を造る場合、ルートや地質によって費用が大きく変わる。全部一つ一つ積み上げて試算すると、調査費の方が建設費より高くなってしまう。通常、最初はラフに試算しておいて、徐々に精度を上げていく。値段の原単位が過去どういう分布をしているかをみて、その範囲で原価を設定すれば試算ができる。その後ブレークダウンしていった時に精査してチェックしていくのがよい。今回の試算については、それほどずれるものではないだろう。

・イメージ図を作成すると、みんな丸の内みたいになってしまう。だから、自然と共生した新都市の姿を描いてみせる必要がある。
なぜ費用の試算を急ぐのか、議論する必要があるのではないか。

・今の段階では最終的な都市の姿をイメージするのは難しく、試算はこの程度の割り切りが必要である。
それから、今回の試算は、財政難の中で多額の費用がかかるプロジェクトが必要かという議論に対して、こういう試算があると示すことに意味があると受け止めている。

・流動する人口(旅行者、見学者)のことを考える必要がある。モノレールについても、そこに住む人だけが乗るのではないということが大切な点だ。

・都市整備にかかる費用、広域交通インフラ等については、それぞれ詳しい委員がおられるので、中身について検討していただきたい。

ページの先頭へ