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第3回国会等移転審議会調査部会議事要旨

1.日時

平成9年7月8日(水曜日)16時0分〜18時0分

2.場所

中央合同庁舎5号館共用第6会議室

3.出席者

(審議会委員)

有馬部会長、石原部会長代理、石井(威望)、石井(幹子)、堺屋、下河辺、中村(英夫)、溝上、野崎各委員(9名)

(専門委員)

池淵、井田、井手、片山、金本、鈴木、戸所、森地各専門委員(8名)

伊藤国土庁長官、井奥国土政務次官、古川内閣官房副長官(事務局長)、田波内閣内政審議室長、近藤国土庁事務次官、久保田国土庁長官官房長、林大都市圏整備局長(事務局次長)他

4.議題

移転費用のモデル的試算について、調査対象地域の抽出について等

5.議事の要旨

今回は、まず、第6回審議会で検討が行われた、国会等移転審議会の今後の運営方針について有馬部会長から報告が行われた。次に、移転費用のモデル的試算について事務局説明が行われ、意見交換が行われた。最後に調査対象地域の抽出について事務局説明が行われ、意見交換が行われた。

(1)有馬部会長からの、今後の審議会の運営方針に関する説明

先般の財政構造改革の推進に関する閣議決定を踏まえ、6月6日の閣議において国土庁長官から「1998年から2003年の財政構造改革期間は、原則として新都市の建設事業に対する財政資金の投入は行わないこととし、今後とも、移転先候補地の選定等必要な検討を引き続き進める」旨が報告された。これを受けて、6月20日の審議会において、今後の審議会の運営について議論が行われた結果、審議会では来年秋頃を目途に答申をまとめることを目安として審議を行ってきたが、必ずしも来秋にこだわることなく、様々な検討課題について十分な審議を行うこととなった。なお、答申や第1タームのとりまとめの時期については、審議会や調査部会における進捗状況を勘案しつつ、今後改めて相談することとなった。

(2)移転費用のモデル的試算について

事務局からの資料説明の後、以下の意見交換が行われた。

・この試算はどれくらいの精度と考えたらよいのか。

→例えば、施設等に要する費用は、現在の事例の平均値であるが、ゆとりを持って算定している。誤差がどれくらいかは明確に言えないが、ゆとりをもった試算であるといえる。

・新都市づくりなどでは予算より実際の費用が多くかかるということがよくあり、2.5倍くらいになるケースが多い。費用増の原因としては、既存の規格や基準を新しいところに持ち込むためで、二重三重の投資が行われるようになる。道路の人から見ると二重投資ではなく、水道の人から見ると二重投資ではないといったように、それぞれの立場で完結したものとすると費用が非常に高くなるので、総合的なコントロールをうまく行えば、非常に安くでき上がる。
また、技術者の完璧主義により、どうしてもやりたいことがたくさん出てくる。したがって、センターコントロール、プロデュースコントロールをうまく行えば費用を抑えることができ、この試算額は信頼性があるものになる。
また、物価や移転先地域の人々の要求などが変化し、特に地域の人々があれもこれもしてくれという要求をしてくることがよくある。そのようなことを考慮して、地域競争的な考え方を導入し、例えば2〜3地区で設計図を描いて競わせてて費用を抑えるという方法もある。
費用を予算内に押さえ込むにはいろいろな摩擦があるが、従来の規格、基準をはずして考え、新しい発想をすることが重要である。

・情報通信関係で、光ファイバー網を整備するということだが、それは新都市だけではなく、新都市と東京や大阪の間の方がむしろ大きいと思う。光ファイバーを重視するのは、新都市の内部だけか、それとも東京との間などはどうなるのか。

→ここでの考え方は、大容量通信が可能なように光ファイバーを敷設していこうということで、東京からそのような通信が可能となるような光ファイバー網などを整備することも当然含まれている。また、PHSや携帯電話といったものの中継基地なども整備をしていくことで整理している。
その他にも、情報に関するいろいろな需要が出てくることが想定されるが、現在考えられるもので試算し、その上でいろいろな要請に対応することも考慮している。

・先ほど、既存の規格や基準を適用することの問題点や、費用を抑えるために新しい発想が必要であることが指摘されたが、そういうことは情報分野で一番多くなるだろう。極端に言うと、今回試算の対象となったようなものは将来無くなっているかもしれない。例えば、有線の電話回線はどんどん減少している。それに対して携帯電話等の移動体通信は急速に増加している。また、インターネットのユーザーは1年で2.7倍に急増している。このように将来予測は難しい。最近では、OCN(Open Computer Network)などが入ってきて、市内通話料金で国際通信が可能である。このようにコストダウンが非常に進んでいる。試算以上にニーズが増加してもコストダウンで相殺されるかもしれない。
首都機能移転が実現したら、21世紀初めての高度情報化都市となる。新しい情報通信が飛躍的に発展する大きなチャンスとなる。モバイルの無線関係などを取り入れた都市整備を目指すと、小型化は日本の得意分野なので、大変なチャンスでもある。したがって、未知な要素も多いが、チャンスの裏返しであると考えている。

・新都市は日本を世界にアピールするという観点も重要であり、また、環境や暮らしの豊かさという面を考えると、技術的・経済的にそれが可能となる初めての都市となる。そのようなことをモデル試算の中に入れても良いのではないか。費用の試算により新都市のイメージをつくることが大切であり、試算の中にこういったものを入れるべきである。例えば、自然になじむということをどのように反映させるのか。地形にあわせた街をつくることによって造成費用が安くなるとか、エネルギー源として太陽光発電等を導入するなど、試算に取り入れても良いのではないか。文化のために費用の何%かを計上するとか、環境のための何%かを計上するということも考えられる。
建設費については、トータルの金額として出されているが、年間の額を提示できないか。我が国の建設投資の総額の中でどの程度の割合かということも国民に示す必要があるのではないか。
また、ランニングコストを見込んでいないが、後になってランニングコストで苦しむことがあるので、十分考えておくべきである。

・費用のうち、将来でも変わらないもの、変わるものがあると思うが、それを試算の中でどのように考えているのか。

・技術革新によって費用が大きく変化するものとそうでないものもあるが、環境に関わる緑の部分については、大きくは変わらないと考えられる。むしろ、新都市の具体的な場所の条件、すなわちそこにどのような自然環境があるかによっては、環境関係の整備費は変わる。また、整備費用が余れば、それはランニングコストに回す必要がある。環境は、ハードなものとは違って、造っただけではダメである。それを育成するための費用は建設費の一部であると考えるべきである。また、自然環境関係の施設では、造ったものが予想以上に大きな効果を上げることもあるということもよく認識しておく必要がある。

・例えば住宅のコストは移転先によって変わることはないだろうが、新幹線などのネットワーク系のものは移転先によって距離が変わり、コストが大きく変わってしまう。現在の前提でコストがいくらになるかをまず押さえておいて、それからいろいろなパターンを考えるべきである。この段階の試算は、現在の状況をもとに淡々と積み上げるものであり、実際の新都市の場所によってはネットワーク系の延長が変わることがあるため、費用は変り得る。
試算額は、場所や地形条件に大きく影響されるので、具体的な場所が決まってから精査すべきものであることを強調すべきである。

・試算により新都市像が見えてこない。先ほども話があったように、近未来的に情報ネットワークが変わってくるのであれば、新都市像というものはかなり違ったものが考えられるのではないか。そうしたときに、どのような試算になるのか、ケーススタディをしてみたらどうか。
最終的には民間投資が公的投資の2倍になるということになっているが、本当にそうなるのかという素朴な疑問を感じる。

→移転の当初にはどうしても公的な投資が多くなる。その後サービス人口等が集中してくると考えられる。そういう意味では最初は公的投資が多く、後から民間投資が多くなると考えている。

・このようなプロジェクトを行う場合、財政当局などから、場所を決める前に金額を出せと必ず言われる。さらに新都市のイメージとなると甲論乙駁になってしまう。現時点ではこのくらいの試算でやむを得ないのではないか。私のイメージでは、この試算は過小であるという印象はない。むしろ過大なくらいだ。問題は運営費で、場所によって運営費が変わり得る。場合によっては建設費を節約して運営費に金をかけるということがある。テーマパークや劇場、美術館などがそうである。移転先場所を決めるときには運営費を考えることが大切だ。
移転によって、東京に対して投資している金がいくら減るのか、それにより国全体としての費用はどうなるのかということも重要である。
公共事業では誘発効果が期待できる。税収が増え、財政状況が変わることも考えられ、それについても計算してみてはどうか。新都市の外まで広げて民間の設備投資等を考えるとかなりの誘発効果が見込まれ、日本全体の運営コストが下がるということがあるかもしれない。

・各試算項目の費用は平均値を用いているようだが、水に関してもそれでやむを得ないと思う。
防災調整池についてはエコロジカルポンド(調整池+森林公園)として整備することによっていろいろなものが生まれてくる。また、環境への配慮、親水といったことも、エコロジカルポンドに水と緑をネットワークとして組み合わせることによって実現できるだろう。
また、エコロジカルポンドと雨水浸透施設を組み合わせることによって、洪水流出量が減少するため、調整池容量に余裕が生じ、安全度が向上するだろう。

・首都機能移転に対する反対の大きな理由は費用の問題であるが、東京にかかる費用がどれだけ安くなるのかが問題だ。首都機能を移転するいうことは、国土構造を変えるということであり、それによってどのくらいの費用を抑えられるか。例えば、国賓の来日の交通規制などにより経済活動がストップすることが解消されるなど、移転費用の支出面のみではなく、国全体の費用が安くなるということも示す必要がある。

(3)調査対象地域の抽出について

事務局からの資料説明の後、以下の意見交換が行われた。

・300km圏外の地域をどう取り扱うかについては、新都市と東京とのつながりを考えて、東京の飛び地と考えるのか、全く新しい独立した都市と考えるのかがポイントである。国会等移転調査会の報告では、この点については不明瞭であり、飛び地論に基づくもののようではあるが、先々のことを考えると独立したものとなるのかもしれない。
300km圏外については、そこに決めたときに日本全体の文化なり国政なりにどういう影響を与えるかということも検討が必要となる。調査対象地域を選ぶには、幾つか異質なところを比較することが必要だろう。

・調査会報告では、300km以内ということが一つの基準であり、それが原則的な位置づけになっていると読める。それ以外の地域についても一定の条件の下に検討対象にするということを書いてあるが、これは東京との関係をかなり重視する立場に立っているのだと思うが、300km圏内というのを原則的な検討対象としていると理解している。
審議スケジュールを考えると、まずは300km圏内について、調査会報告の9つの基準をもとにメッシュ情報を活用しながら議論していき、その次の段階で、この原則の例外として300km圏外について非常に優れた条件がある場所が具体的にどこかという議論に移るという進め方をしてはいかがか。

・300km圏内・圏外と2段階方式で検討するということだが、300km圏内の調査の次にどうなるのかが見えない。300km圏外も一応調査の対象とするなら、基本的にははじめから検討対象とするということにしておかないと、第1段階が終わった後で対応ができないのではないか。

・全国を検討するのは可能だが、データが膨大な量になるだろう。

・調査会で、300kmを尺度にしたのはなぜか、もう一度考えてみる必要がある。地理的な意味での300kmではなく、もっと複雑な意味があるのではないか。300km圏外の議論は幾つかのポイントをもって、例えば、関西に首都を戻さなくても良いかという議論や、日本列島の人口重心にもっていく意味はないのかという議論などをもう一度総ざらえした方がよいのではないか。10カ所程度の候補をあげて、そういった議論をしてからメッシュデータに取り組まなくては、出口のない作業に入り込んで、結論が出なくなるのではないか。

・幾つかの候補地を抽出できる範囲というものを考えると、ある程度の広さを考える必要がある。そういう意味で、300kmくらいに決め、その中で地形、河川、緑地などいろいろな条件で、幾つかの複数の候補が抽出できるということかと理解している。東京を中心に何百kmというのは、東京が全体に影を落としているということだ。そういう意味では、300kmという非常に限定されたものではなくて、その広さの範囲からどのくらいのものを拾い出せるかということで受け止めれば、際限なく北の端から西の端までということにはならないと思う。

・調査会報告の基準により調査対象地域を抽出すると、300km圏内でどれくらい出てくるのか、はっきりわからないが、それほど多くは出てこないのではないか。300km圏外ではさらに少ないだろう。まずは、300km圏内で具体的な選考基準を設けて、どれくらいの数が出てくるのか検討してみてはどうか。

・首都機能の一部しか移転しないとすると、300km圏内で候補地を考えないといけないということになるのではないか。しかし、300km圏内でどこが良いかという調査が、敷地調査から始まるのはおかしいのではないか。都市をつくる場合には、最後には一筆の土地の買収が問題となるが、最初から地主の意見を聞くということはあり得ない。まずは全国と同様に300km圏内についても具体的な移転論、適地論を議論しなければならないのではないか。

・審議会では限られた時間内で答えを出さなくてはならないので、メッシュデータによる作業と、理念に基づく適地選定とでどちらが早く結論が出るかによって判断してはどうか。

・概ね300kmという基準は、新幹線で2時間ということがもとになっている。十数年間の進歩も考慮して、「概ね」300kmとなっている。文化的な面から考えると、地域ごとに多様な文化形態が考えられるので、300km以遠だからといってすぐに切り捨てるべきではないと思う。したがって、300km以遠も含めて理念的な面を検討して、メッシュを使うかどうか判断してはどうか。

・メッシュデータを用いる方法は、粗々に適地を探すためには十分使える。最後までメッシュデータに基づいて適地選定をすることはあり得ないと思うが、メッシュデータをどの段階まで用いることができるのかという議論をして、メッシュデータの適用について決めるべきではないか。
また、メッシュデータによる適地選定においては、抽出条件をどう設定するかが重要である。条件をゆるめにして、明らかに落ちるところだけを落とすというやり方や、逆に条件をきつめにするという方法もある。まずは、メッシュデータによる場合、どのようになるかをモデル的に示してもらいたい。

・メッシュデータによる分析をそれほど大げさに考えなくても良いのではないか。今ではコンピュータで瞬時に出てくる。ただし、それは第1回目のフィルターをかけるだけで、メッシュデータを用いて、住民がどう考えているかといったことを判断するわけではない。最初の大まかな選び方としては、手っ取り早いし、大いに意味があると思って良いだろう。

・次回は、メッシュデータをもとに調査するのと、理念的な面からどういう候補地があり得るかということについて議論をしていきたい。

次回第4回審議会調査部会については10月2日(木曜日)9時30分から行われることが事務局より提示された。

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