ホーム >> 政策・仕事 >> 国土計画 >> 国会等の移転ホームページ >> 今までの取組 >> 国会等移転審議会 >> 審議会・調査部会議事要旨 >> 第4回国会等移転審議会調査部会議事要旨

国会等の移転ホームページ

第4回国会等移転審議会調査部会議事要旨

1.日時

平成9年10月2日(木曜日)9時30分〜11時30分

2.場所

中央合同庁舎5号館別館共用第23会議室

3.出席者

(審議会委員)

有馬部会長、石原部会長代理、石井(威望)、石井(幹子)、堺屋、下河辺、中村(英夫)、溝上、野崎各委員(9名)

(専門委員)

池淵、井田、片山、金本、鈴木、戸所、森地各専門委員(7名)

亀井国土庁長官、古川内閣官房副長官(事務局長)、近藤国土事務次官、久保田国土庁長官官房長、林大都市圏整備局長(事務局次長)他

4.議題

国土庁長官挨拶、調査対象地域の設定について、新都市像の検討について、移転費用のモデル的試算について等

5.議事の要旨

今回は、まず、国土庁長官の挨拶が行われ、引き続き、調査対象地域の設定、新都市像の検討、移転費用のモデル的試算について事務局からの説明と意見交換が行われた。

(1)国土庁長官挨拶

首都機能移転は、まさに「国家百年の大計」と言っても良い大きなプロジェクトであります。国の災害対応力の強化、一極集中の是正といった観点からも重要な課題であると認識いたしております。私自身も、先般阪神淡路大震災の被災地域を訪れた経験から、仮に首都圏に直下型の大地震が発生した場合を考えますと、これは大変な課題であるという思いを強くいたしております。
本年3月に国会等移転審議会のもとに当部会が設置されて以来、積極的なご議論をいただいているところですが、私としても事務局を督励しながら審議会のご審議に積極的にご協力申し上げる所存です。

(2)調査対象地域の設定について

事務局からの資料説明の後、以下の意見交換が行われた。

・たくさんの活火山があるが、過去の噴火の際に大量の噴出物を発生させた富士山、浅間山については広域に影響が及ぶという可能性を考えるべきである。その他の火山についても、噴火に伴って山体崩壊が発生した例が国内にあり、その直接的な影響は多分周囲10kmくらいに及んだとみられる。セントヘレンズ火山の場合は、1980年に噴火して山体崩壊を起こしたが、そのときに爆風が10〜20kmの範囲に発生し、岩屑流が20kmくらいの範囲に達し、それが泥流となって帯状に数10km流下して大洪水などを引き起こした。このような例から考えて、適地選定の際には、活動する可能性のある火山からは一定距離以上離し、そのような火山地域から流れ出ている川の下流域は避けたい。

・東京から300km圏内という条件については、現在で300kmとしているが、将来の計画などを加味して、柔軟性を持って考えるべきではないか。
また、農用地や保安林などの土地規制については、規制のないところばかりを選んでいては本当に良い場所に新都市を立地させることが困難となる恐れがあるのではないか。

300km圏内という基準については、将来の交通計画も含めて柔軟に考え、従来は鉄道で2時間程度とされていたものを2時間30分という範囲で整理している。
土地規制については、規制がかかっている土地が2000haのうちの半分以内ということで整理している。農用地については、首都機能移転という公益上の理由があるので、転用も考えなくてはならないが、広大な優良農地を転用するのはいかがかと考えている。

・優良農地が広がっているような広大な農振地域は、沖積地やそれに類するところが多い。このようなところは通常、地質・地盤が良くないのが通例なので、そのようなことも考慮する必要がある。

調査対象地域の設定については、次回第8回審議会に審議内容を報告した上、次回部会において引き続き議論することとなった。

(3)新都市像の検討について

新都市像の検討について、検討の趣旨、当面の検討事項、検討の進め方等の案が事務局から説明され、今後部会において検討することとするが、タタキ台の整理のため石井幹子委員を座長とするワーキンググループを設けて検討を行うことが了承された。その後、以下の意見交換が行われた。

・イメージ図では大きさの感覚がわかりにくいので、その街に何人くらいの人が住んでいるのかがわかるような、具体的なイメージを図の中に含めていただきたい。

・このようなイメージ図は、ワーキンググループだけでなく国民各層から広く募集することも考えられるのではないか。

・新都市像の検討の中にライフスタイルの検討も含まれているが、ライフスタイルには物理的なものもあればそれ以外に時間的なものがあり、例えば出張がどれくらい多くなるのかとか、通勤時間がどうなるのか、あるいは老後をここで暮らすことになるのかなど、いろいろと議論があるだろう。視覚的に表現できない、時間的なライフスタイルの面の検討も必要ではないか。

・来年の春か夏までに結論を出すということだが、情報関連はそれ以降もものすごく変化を続けるだろう。例えば、新都市でどれくらい情報活動、ネットワークがあるかによって、交通からライフスタイルに至るまで予想と変わってしまうだろう。例えば携帯電話はいずれ働く人の全てが持つことになるだろう。現在は固定式のデスクトップを中心にした動きであるが、最近ではネフィットワークと言われているように、移動体通信と一緒になっている。このようになったときに新都市がどうなるのか、21世紀まで見通すのは非常に難しいので、新しいものを取り込んでいくことができるようなフレキシブルな検討を行うことが重要である。
また、イメージ図はホームページで公開して広く国民が見られるようにすべきである。国民が自ら関心を持ってイメージ図を見て、参加意識を持つことも非常に意味があるのではないか。
移動体通信について付け加えると、災害時に移動体通信がないと大打撃を受けることになる。今のモバイルも通常時は問題がないが、災害時には麻痺する恐れがあり、災害時にも備えておく必要がある。

・国会関係だけでなく都市機能を支援する産業の人口構成について、他の国の首都の事例などでどういう仕事をする人が何人くらい住むというデータはないのだろうか。それによって新都市のイメージも変わってくるだろう。

・新都市に国際都市としての機能を確保するなら、リゾート型やエコシティー型といったようなイメージも描けないだろうか。

・クラスターの配置を考えるときに、トンネルを造ることを厭わないでいただきたい。トンネル以外のルートも別途確保することも必要であるが、トンネルによってクラスター配置の自由度が圧倒的に高くなる。クラスターは1000haクラスの大きなものばかりではなく、100haや200haくらいの集落的なものも大変大事だと思う。トンネルは、埋蔵文化財や環境面、用地問題などのリスクが少なく、今では最も確実な工事である。

・どんなに慎重に適地を選んでも、日本では災害から完全に逃れることはできない。したがって、広い意味でのセキュリティーを考えなくてはならない。例えば、東京消防庁は巨大な機構と非常に熟練したスタッフをそろえているが、それでも東京都を守り抜くにはいろいろな協力関係が必要である。このような災害に備えたネットワーク、社会機構の構築が必要である。
また、新都市でも国会ばかりでなく一般の人が住み、日常生活がある。歴史を積むにしたがって本当に定着した都市としての活きた姿があるはずである。その中では、産業も生まれてくるかもしれない。そのような、今後成長していく首都機能以外のもう一つの顔も描ければ良いと思う。

・新しい都市について、基本的な考え方はあるが、具体的な話になるといろいろと異なった考え方がでてくるだろう。検討結果を一つだけに絞るのではなく、複数提示して国民がいろいろと選択できる余地を残しておくのも良いだろう。

・キャンベラでは1926年に首都を移すことが決定されているが、現在でもまだ手直しを繰り返しながら都市づくりを行っている。都市づくりには50年、100年といった長い年月がかかるものであるということを前提としてイメージを創り上げていきたい。

・出来上がった都市の最終図だけではなく、途中段階も含めて描く必要がある。

・イメージ図で表現できることとできないことが必ずあるということを認識する必要がある。

・視覚的想像図(イメージ図)の中に全てのものが入り込むことはあり得ないが、そこにいろいろなものが重なってくるような想像図ができたらよいと思う。
また、このようなイメージ図を作成するためにはよい描き手を見つけることが大切である。
新都市のイメージをうまく視覚化するためには、建築、都市関係の専門家や、グラフィックデザイナーらの意見も有効であると思うので、いろいろな方々のご協力をいただきながら検討をしていきたい。

(4)移転費用のモデル的試算について

移転費用のモデル的試算について、事務局から説明が行われた後、とりまとめを指導された金本専門委員からの補足説明等が行われた。

・移転により縮減する財政支出については、細かく算出するための情報がないので、ざっくりと硬めに試算を行ってもらっている。
移転跡地の資産価値については、跡地を売却するよりもそれを公園等として活用した方が社会的に見て便益があると判断されるから、公園等として利用されているのであり、たとえ売却されない場合にもそれだけの社会的価値は当然あると考える必要がある。その前提でこの試算結果を見る必要がある。

・防災のために要する首都圏の経費はまだ不足しているため、首都機能を移転したからといってそれを減らして良いということにはならないのではないか。

・防災に必要な経費については、試算の中では計上していない。住宅地等の開発に伴い、一般的に必要とされる公共施設等の費用を試算しており、東京圏の人口が今の状況と同じでも、いろいろな形で住み替えがあって、現時点でもいろいろな施設が建て替えられたり、新たに造られたりしている。東京圏の人口が減るということは、こうして造られる施設が減るだろうということで限定した計算をしている。

次回第5回審議会調査部会については11月11日(火曜日)14時0分から行われることが事務局より提示された。

ページの先頭へ