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第19回国会等移転審議会調査部会議事要旨

1.日時

平成11年9月6日(月曜日)10時0分〜12時0分

2.場所

中央合同庁舎5号館別館共用第23会議室

3.出席者

(審議会委員)

森会長、石原部会長、野崎部会長代理、石井(威望)、下河辺、中村(英夫)、溝上、各委員(7名)

(専門委員)

井田、鈴木、戸所各専門委員(3名)

古川内閣官房副長官(事務局長)、久保田事務次官、木下国土庁長官官房長、板倉国土庁大都市圏整備局長(事務局次長)、他

4.議題

第2タームの調査結果の総整理表、評価項目の構成案、総合評価の対象地域について

5.議事の要旨

(1)第2タームの調査結果の総整理について

第2タームの調査結果の総整理について、事務局から説明があった。

調査対象地域の概況について、おおむね府県単位として位置、地形、交通条件、今までの現地調査、ヒアリング等で各府県のアピールポイントを整理をしている。

16項目の調査については、検討の内容、検討結果の概要を整理している。今までの審議会の検討と若干整理が違っている点がある。ひとつは「交通に係る検討」ということで審議会に報告しているが、これを「交通ネットワークに係る検討」「東京との連携、国内各地域及び海外とのアクセス容易性」の2つにわけている。もうひとつは、「自然的環境等に係る検討」と「環境負荷に係る検討」として審議会、部会では2つに分けて報告されているが、これを「自然的環境等に係る検討」としてまとめている。

各調査結果の内容について少し詳細な整理も行っている。

第2タームの調査結果の総整理について、了承された。

(2)評価項目の構成案について

評価項目の構成案について中村英夫委員から次の説明があった。

これまで16項目の調査を各検討会で検討していただいた。その内容をもう少し深く検討し、構成ももう少し分かりやすく、場合によっては評価しやすい形にするという考えでまとめたので説明したい。

案1〜3まで3つの案がある。案の1は16項目の調査を2つの大項目にわけており、「首都機能移転が将来長くにわたり我が国に与える影響」という大項目の中には国土構造改編の方向、文化形成の方向などの5つの項目が入っている。「新都市立地の適性に関する即地的な条件」という項目では交通アクセス、地形、地震等の災害という残りの項目が入っている。

案2は16項目を3つの大項目に分けている。1つ目の大項目は「首都機能移転が将来にわたり我が国に与える影響」で国土構造改編の方向、文化形成の方向など4つの項目である。2つ目の大項目は「首都機能の所在地の適性に関する条件」ということで「外国とのアクセス容易性」「東京とのアクセス容易性」「全国とのアクセス容易性」「景観の魅力」「地震災害に対する安全性」「火山災害に対する安全性」といった項目が入っている。もう1つの大項目は、「新たな都市立地の適性に関する条件」で「土地の円滑に取得の可能性」「地形の良好性」「水害、土砂災害に対する安全性」「水供給の安定性」「既存都市との関係の適切性」「環境との共生」といった項目が入っている。これは、首都機能都市に関係なく都市をつくるときに重要な条件である。この3つに分けて考えるのは比較的考えやすいし、評価するときも扱いやすい。

案の3は、新しい都市の機能的な面から考え、最初の大項目は「国土のイメージ」ということで「国土構造改編の方向」「文化形成の方向「新しい情報ネットワークへの対応容易性」といった項目が入っている。2つ目の大項目は「安全性に関する項目」ということで災害関係の項目が入っている。3つ目の大項目が「利便性に関する項目」ということで、「外国とのアクセス容易性」「東京とのアクセス容易性」「全国からのアクセス容易性」となっている。4つ目の大項目が「快適性に関する項目」ということで「既存都市との関係の適切性」「景観の魅力」など4項目が入っている。最後の大項目として「都市づくりの容易性に関する項目」として「土地の円滑な取得の可能性」「地形の良好性」「水供給の安定性」といった項目になっている。

このように検討がより明快になること、評価がやりやすいことを目的として分け方を考えた。この3つの中では案の2が一番妥当ではないかと思っているが、御議論いただきたい。

16の評価項目について、どのような単位で評価するのかも大きな問題である。一番簡単なのは府県を1つの単位として、評価していくという方法がある。1つの府県の中もいくつかの地区に分かれている。いくつかの地区から1つの府県でクラスター型の都市ができる。場所によっては複数の府県にまたがっているものがある。小さな地区単位で評価していくものと、小さい単位では意味がない項目がある。例えば文化的特性は、1,000ha、2,000haの地区ごとに示しても全く差がでない。したがって、文化的特性というのは、例えば北東地域や中央地域などの大づかみな形でいいだろう。新しい情報ネットワークへの対応容易性などは府県単位ぐらいが評価しやすい。

一番小さい単位(即地性の高い評価項目に係る地域)は、二十幾つ地区が出てくるのだろうと思う。

そのような地域ごとに出てきた結果については、各評価項目の総合化を審議会で検討し得点をつける。最終的には解釈・とりまとめを審議会で検討していくことになると考えている。

この後、以下の質疑応答が行われた。

  • 各評価項目の総合化と総合得点、解釈・とりまとめについて、よく分からなかった。
    →例えば、○○県に新都市をつくり得る地区が3つあったとする。それぞれの地区は2,000haであったり3,000haであったりするが、3つの地区を合わせて9,000haぐらいの国会都市ができるとする。それをまとめてクラスターと称する。今まで混乱を招いているのは国会クラスターという言い方をしているからで、国会地区、住宅地区、商業地区などがあり、それらをまとめて1つのクラスターと考えている。
    府県もしくは府県を超えた単位が幾つかあり、その中の地区について評価するということになる。
    その二十幾つある地区に順番をつけ、その上でどのクラスターが一番いいかの判断をしなければならない。それが総合化である。
  • 首都機能移転の議論の大きな問題として北東地域を指向するのか、それとも中央地域を指向するのかということと東京との関係をどのように考えるかいうことの2つの議論がある。これは最後にはきっと国土構造改編の方向と文化形成の方向に入ってくることが考えられるので、両項目の中身をきちんと考えておかないと違った重みをつけてしまうことにもなるのではないか。
    →大変難しい問題であるが、どの項目が重要かは重みづけで行う。その際、各項目の評価を行った検討委員会の意見を聞いて重みづけをするのか。開かずにするのかは審議会で検討されるべきことと考える。
    →国土構造改編の方向、文化形成の方向という問題については、各項目の中でも、全体の方向づけに大きく影響する。この2つの項目については、それぞれの検討会において、どのように評価していくのかを整理させていただいて、それが整った段階で審議会に諮ることを考えている。この2つの項目については検討会に委ねず、審議会で直接評価自体をやっていただいたらどうかということも考えている。
  • 1点目として候補地の選定として、国土構造改編の方向、文化形成の方向でどちらの地域がいいと言ってしまえるのか、どの程度まで言えるかということを伺いたい。
    第2点は、評価項目の構成について、案の2が比較的いいということであるが、この中で交通アクセスの良好性については将来アクセスの方法も変わるかもしれない。例えば、かつては福岡や札幌は東京から最もアクセスの悪いところであったが、今は東京に近いところでも新幹線や空港がないところは福岡や札幌に比べてアクセスが悪い。したがって、これらの項目は、交通アクセスを容易ならしめる可能性という項目になるのではないか。
    第3点は案の2では地震災害や火山災害に対する安全性が「首都機能の所在地の適性に関する条件」に入っており、水害・土砂災害に対する安全性が「新たな都市立地の適性に関する条件」入っている。この2つの大項目は必ずしも明確に区別できないのではないか。
    →案の2の交通アクセスの容易性については、基本的には検討会で評価していただくことであると思うが、アクセスの方法が変わっても地理的な状況は全く同じである。利便というのは時間だけではなく、例えば、費用という面もある。トラブルなどがあった場合、離れたところというのは大変大きな不利益を持っている。
    災害については、地震は極めて広域的に及ぶ災害で、しかも致命的な影響を及ぼす災害である。しかし水害・土砂災害は広域的な被害を及ぼさないし、防ぐための手段というものも幾らでもある。少々機能が麻痺するかもしれないが、全国的、世界的に波及するような影響のものでは全くない。
  • 案の2がいいと思う。ただ、3分類は必要ないのではないかという気がする。総合評価の作業に入るときの項目が16であると決めて、審議会に報告する。総合評価の項目を決めることが大前提ではないか。
    →3つの大項目にわけるのは、余り必要ではないとも思うが、場合によっては審議会で一対比較でなく直接重みをつけていただくこともあり得る。その場合、大項目は3つあって、その下に16項目ある方が良い。
  • 3つの大項目の重みづけも行うのか。
    →必要になることがあり得る。国土構造などという非常に大きな意味を持っているものが出てきたとき、一対比較だけでははっきり出てこない可能性がある。階層的というか段階的にまとめておいた方がやりやすい。
  • 大学では、数学や理科、物理などの科目があるが、文科系、社会科学系、数学・物理系、あるいは生物・医学系という分け方もある。それに匹敵するのが大項目である。人文科学の中に外国文学もあれば、哲学、美学もある。それが中項目である。
  • 案2の場合、災害が2つに分かれている。地震や火山というのは極めて重要であるが、地形は全部絡んでいる。地形というのは内外の力でできているから、全部反映している。活断層、火山というのは地形の一部である。地形に係る水害や土砂災害、火山、地震といったものは土地条件、自然条件として総合的に考えるべきだと思う。
  • 実際の作業としてはこのような手続を踏むしか方法がない。最後に独立性の検定を行い、そこで従属関係があったときはまとめるという作業を行う。
  • 案の2がよろしいのではないか。「将来にわたり我が国に与える影響」はどのような形の国をつくっていくかを外に見せるための理念である。次の「首都としての適性」は地域の特性をかなりはっきりさせる。3番目は、都市をつくるときの一般論である。「首都機能の所在地の適性に関する条件」「新たな都市立地の適性に関する条件」はある面では技術論になると思う。技術論的なところというのは、相互の関連性を考えて整理することもできるだろう。理念と技術と分けて考えていくことに賛成である。
    その次に問題は、理念の重みづけをどのようにするのか。例えば、現実に重みづけの評価の方法というのがどのように行われるのか。
    →評価の方法は、審議会で考えていただきたい。
  • 例えば東京の過密の緩和という項目であるが、これは首都機能移転の目的の1つであると思うが、これは評価項目になるのか。
    →「我が国に将来にわたり与える影響」は理念を再掲しているということである。それより大事なのは、この項目にどのくらいの重要性を持たせて考えているのかを表現する場所だと思う。そこで最後に解釈・とりまとめのところににかかってくるのだろうと思う。
  • 部会としては案の2で審議会に提出して作業を急がなければならないと思う。項目を明確にして責任者を決めれば、今後の予定も決まってくるのではないか。
    →これについては、各検討会ごとの審議会への報告を9月下旬から10月初旬に掛けて、報告させていただき、了解が得られれば正式に作業をスタートしたいと考えている。全体としては、10月の下旬ぐらいには第1回目の作業は終えられるように組んでいきたいと考えている。

評価項目の構成については案の2を中心に次回審議会に報告することが了承された。

(3)総合評価の対象地域について

評価の対象となる地域の案について事務局から説明があった。

地域については今の広い地域から少し区域を特定して、絞り込んで作業を行っていくということであったが、具体的な考え方について説明する。

今後、重みづけ手法に基づいて総合評価を行う場合に、国会都市を念頭に置きつつ新都市の構想がイメージし得る一体の地域を総合評価作業の地域単位として作業を進めていくことが基本である。

その際、先ほど議論あった国土構造改編の方向、文化形成の方向についてはもっと広い区域で評価することになろう。反対に地形や土地取得、環境といったメッシュを用いながら具体的に分析していく作業については、もう少し絞り込んだ区域、一団の土地を対象にして評価していくことが必要である。項目により細かい具体的な地域で評価するもの、逆に非常に大きな範囲で評価するものの2つで構成することになる。

基本的な区域となる地域の考え方は、関係する府県の意向や空港、道路、鉄道の交通体系といったものを念頭に置きつつ、新しい都市のイメージができるような一体的地域を想定する。基本的には府県を単位とするが、場合によっては府県にまたがる地域も総合評価の地域単位として設定する。余りにも広い地域は新都市の概念から外れるので、圏域内を鉄道で概ね30分で行けるような区域が1つの目安になるのではないかと思う。具体的には、福島県・栃木県では、栃木県は空港として福島空港を使う。福島県の方では東京との連携軸上に栃木県があるといったことで、この2つの地域については、両地域を1つの地域として扱うことも考える。愛知県の区域については、静岡県に隣接している地区、岐阜県に隣接している地区の2つに分かれており、それぞれ中部国際空港等への交通軸などを考え、一体的に考えた方がいいだろうということである。

畿央地域については、名古屋と京阪神の真ん中にある地域ということで、三重県の区域と畿央地域を名古屋・京阪神地区の上に一体的に取扱うという案もあり得る。これを整理すると基本パターンとして宮城県(南部)地域、福島県(阿武隈)地域、栃木県(那須)地域、茨城県(中北部)地域、静岡県(西部)・愛知県(東三河南部)地域、岐阜県(東濃)・愛知県(西三河北部)地域、三重(鈴鹿山麓)地域、畿央地域の8つの地域と福島県・栃木県地域(阿武隈・那須)、三重・畿央地域を追加パターンとする10の「総合評価の地域単位」で今後の総合評価を行いたいと考えている。

次に即地性の高い評価項目について、もう少し具体的な地域を設定して評価を行いたい。そこでこれまで検討をした中で特に急峻な地形や火山地帯といった条件の非常に悪いところを除いた地域を対象に国会都市2,000haを含み得る一団の土地を抽出する作業を行っている。更にこの一団の土地について、その区域の中に集落の存在や交通条件といった検討を加え、各地域で2〜4の区域に絞り込んでいる。この区域を「即地性の高い評価項目に係る地域」として設定する。区域の設定に当たっては、府県とも十分調整をしている。

評価項目の構成案との関係では、原則として総合評価の地域単位で評価を行っていくが、国土構造改編の方向、文化形成の方向などはもう少し広い範囲、地形の良好性、景観の魅力などの即地的な項目については、先ほどの絞り込んだ地域(即地性の高い評価項目に係る地域)を前提に作業評価をしていただくということである。

評価項目ごとに異なる区域で作業を行い総合化を行う。なお即地性の高い評価項目に係る地域をまとめ、総合評価の地域単位で総合評価していく。その場合、項目によっては国会都市として想定し得るような即地性の高い評価項目に係る地域を用いて総合評価していくことも考えられる。

円滑な土地取得の可能性や地形の良好性については、即地的評価項目に係る地域全体を検討していく。

それぞれの項目の性格に従って整理し、最終的に総合評価の地域単位で作業をして、候補地域の選定の最終的な議論に結びつけていただきたい。

  • この作業はどの地区を国会都市に指定するということにはつながらないと考えてよいか。
    →どこに国会が立地するかという具体的な場所は後の議論であるが、評価の作業に当たっては、ある程度国会都市を前提として、作業はしていくのがいいのではないかと思っている。ただ、そこを国会都市として決めてしまうということではない。
  • 総合評価の地域単位の中に評価の高いクラスターと低いクラスターがあった場合、総合評価の地域単位としては高い評価であるという結論になるのか。
    →「総合評価の地域単位」の中でどの「即地性の高い評価項目に係る地域」の評価を使って評価を行っていくのかは今後決めていかなければならないと思っている。項目によっては複数の地区のうち、点数の良い地区を使うべき項目もあるし、項目によっては、平均を使うものもあろうかと思う。
    →クラスターという言葉の定義が混乱している。ある府県に3つの「即地性の高い評価項目に係る地域」があった場合、この3つを合わせて1つのクラスターという。
    →最終目標は候補地を政府に答申するわけであるが、候補地は必ずしも都道府県というわけではない。便宜的に府県単位のデータ集めなりをしているが、最終目標は国会等都市としてどこが一番いいかということであると思う。
    →例えばシンガポールという都市は三百何十万人の人口を持っているが、日本で言うと横浜クラスの都市である。けれどもシンガポールというのは横浜とは違い、人口20万人とか30万人の小都市があって、全体が1つのクラスターを成している。
    →クラスターが議論になった最初は、巨大化する都市を否定しようという裏返しの提案であった。アメリカなどは最近2万人ぐらいの都市が一番いいと言い出している。クラスター型とは小都市のネットワークと言った方が分かりやすいと思う。
    クラスターは1本のラインに点線でつながる方が合理的ではないかということで北東地域の場合には大きなテーマになる。愛知、静岡、岐阜では、どういうクラスターになるかは余り議論されていないと思う。畿央地域になると、どういうクラスターをイメージするかは余り読めていないという感じがある。クラスター論も3地域全部違ったビジョンとして議論しなければいけなくなっていると思ったりする。
    審議会の前身の調査会で、小都市ネットワークのクラスター型というビジョンにしたのは、将来に向けて言っただけであり、それが一番いいかどうかというのはよく分からない。少し議論しないといけないテーマかもしれない。
  • 即地性の高い評価項目に係る地域がある府県に3つある場合、全体がクラスターであるということであるが、これ全体として1つの都市と考えるのか。それとも「即地性の高い評価項目に係る地域」の中でクラスターをつくり、これを1つと考えるのか。これによって考え方は変わってくるのではないか。
    →総合評価の地域単位として設定したものは、これを一体として評価していくということである。3つの地区があった場合、即地性の高い評価項目はそれぞれ評価するが、評価は一体としてしていただきたい。これは2県にまたがる場合は、その2県にまたがるものを一体として評価していただきたい。
  • 総合評価の地域単位での作業がはっきりしてきたときに、関係する府県が争いになってしまって困るということが起こらないか心配している。
    →各府県に示して、評価のために便宜的にに設定したものであると明確に説明している。

評価地域の設定案については、各委員から提出いただいた意見等を踏まえて、必要な修正等を行った上で次回審議会に報告することが了承された。

以上
(文責 国会等移転審議会事務局)

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