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II. 新都市の持つべき機能とそれらが与える影響

(7)諸外国における事例のまとめ

[1] 首都機能都市の諸類型

これまでの検討に基づき、諸外国の首都機能都市を諸機能の集積割合の観点から、政治・行政機能を中心とした単機能型都市(ベルン、ブラジリア等)、政治・行政機能に国際交流機能、文化機能等が複合した複合機能型都市(ブリュッセル、ワシントンD.C.)、さらに情報発信機能を含めた諸機能が加わったフルセット型都市(パリ、ロンドン)という三つへの分類を試みることができるものと考えられる。
なお、現在の東京は、フルセット型都市に分類されるものと考えられる。

[2] 類型毎にみた首都機能都市の特性

【単機能型都市】
単機能型都市の場合においても様々な文化的活動が行われている。大使館ヒアリングによると、ベルンにはたくさんの小劇場がありコンサートが多く開かれており、絵画では、パウルクレーを輩出する等国内の中心でもある。ブラジリアでも文化やレジャーの機能が整いつつあり、サンパウロ、リオデジャネイロまでには届かないが、住民の満足度は高まってきている。
【複合機能型都市】
複合機能型都市の場合は、ブリュッセルやワシントンD.C.がそうであるように様々な国際機関が立地し、国際的な意思決定がなされる場である等、国際的なプレゼンスが高い都市となっている例がみられる。
美術等の文化的にも、例えばワシントンD.C.には、スミソニアン博物館群という米国の歴史・文化を体験できるような施設が立地していることに加え、それを支える様々な活動が展開される等、米国における文化拠点の一つとなっている。
ライフスタイル等については、独自のライフスタイルを持つ都市が国内に複数存在し、これらがそれぞれ多様な文化イメージを作り出すのに貢献しており、首都機能都市もそれらの都市の一つとしての役割を果たしているものと考えられる。

(注)スミソニアン協会の傘下には14の博物館、美術館等が存在し、そのほとんどがワシントンD.C.の中心に立地している。
国立航空宇宙博物館、国立自然史博物館、国立アメリカ史博物館、フーリア美術館、サックラー美術館、国立アフリカ美術館、工芸産業館、ハーシュホーン美術館、国立肖像美術館、国立アメリカ美術館、レンウィック美術館、アナコスチア美術館、国立デザイン美術館(ニューヨークに立地)、国立アメリカ・インディアン博物館
【フルセット型都市】
フルセット型都市では、パリ、ロンドンがそうであるように、国外からみた場合、首都機能都市がその国の文化を相当程度代表しているように考えられる。
国内的な観点からも、例えば、大使館ヒアリングによれば、「パリは国民全体にとって象徴となる都市であり、一生に一度はだれでも行きたい都市である」というように、首都機能都市の求心的な意味でのインパクトは国内各都市の中で最も高いものと考えられる。
しかしながら、同時に、フランスの各地方都市がパリを模倣した文化の形成を目指しているかといえばそうではなく、「地方ごとの歴史に根ざした独自の文化を形成している」というように、首都機能都市を中心としつつも国内各都市が文化的に多様性を持っているものと考えられる。

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