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II. 新都市の持つべき機能とそれらが与える影響

(2)新都市における交流を促進する機能

[1] 国際交流・外交機能

一国の首都機能所在地は、国内的な政治行政の中心としてだけではなく、国際的な拠点としての役割を果たすことが必要である。グローバル化が一層進展する21世紀において、国際交流・外交機能は、日本自体が経済力に比した国際的な役割を果たし、新都市を高い付加価値を備えた新しい国際中核拠点としての機能を果たす都市とするためにも、極めて重要であると考える。
新都市における国際交流機能を高めるためには、日本が国際社会で得意とする分野での国際的な情報拠点を形成することが必要であろう。そのためには、例えば、アジア太平洋の安定につながるようなエネルギー、食料、安全保障に関する国際機関や国際関係の情報センター等を立地させ、その情報の拠点を育てていくことが考えられよう。
こうした機関が立地することによって、新都市に立地するであろう各国の大使館と居住する外交官の存在もあいまって、情報の密度が質・量ともに高く蓄積され、世界中から多様な分野の専門家やジャーナリストが集まる国際的なプレゼンスの高い都市として、新たな日本の姿が世界に認知されていくことだろう。

[2] 文化機能

文化機能は新都市における居住者のみならず、新都市を訪れる国内外の人々を楽しませ、意思の疎通を図る基盤をつくるだけでなく、新都市、ひいては日本の文化を体験する場を提供するためにも重要な機能である。これは、グローバル化が進展し、世界の都市間競争が激しくなる時代において、成熟社会における日本自らが楽しむ文化だけでなく、世界に発信しうる文化を育てていくためにも重要である。
都市文化が人の諸活動等を通して蓄積されて形成されていくものであるとするならば、新都市の文化は、基本的に「新たにつくる」文化となる。その際、これまで国内各地域にある文化と同一の文化を目指すのではなく、新時代に向けて我が国が新たに創り出していく文化とする視点が重要になる。そのため新都市においては、文化を創り出すための仕掛け(例えば、最先端のメディア環境等の整備と徹底した情報公開、文化の担い手となる人の交流を促進する場の創設等)や、つくりだされた文化を支える仕組み(NPOの参画等)を持つことが重要になるであろう。
また、大量動員力のある文化拠点・東京とは異なる性格をもたせることについても十分に配慮が必要とされるのはもちろんのこと、文化を地域的、国家的、地球的な関係の拡がりで区分した場合、地域的なもの、国家的なものに加え、地球レベルで通用し得るものについて、積極的な取組が望まれる。
具体的には、それぞれの文化が多元的に同居する「多文化主義」的な混成文化を指向し、円滑な異文化交流を図ることで新たな文化を育成するよう、例えば、世界の文化の展示場として世界の文化が一同に介するような仕掛けの構築等をすすめていく必要がある。
加えて、地域の個性を反映する魅力的な都市文化創出のモデルとして育成することや先導的な呼び水的な文化、例えば情報技術基盤を基にした次世代文化を創り出す機能等を備えるものとすることについても積極的な検討が望まれる。
また、文化機能の一つとしての学術機能は、若い人を中心に様々な人材を集め、育成し、それを社会に還元する「人材の循環システム」として重要な機能であると考える。
具体的には、必ずしも従来的な発想での「総合大学」が必要というわけではなく、より世界から人を集めるような仕掛けが求められる。
例えば、国連大学のようなタイプの大学(プロジェクト研究型)や、世界の研究者と日本の研究者や学生が集うことができるような世界に開かれた学術サロン、外交政策において日本が得意とする分野の研究機関の設置を検討することが必要であろう。
ただし、この際、学術機能の導入が新都市を全体として官的色彩の強い都市にしてしまうことのないような配慮が必要である。

[3] 観光機能

国際交流・外交機能、文化機能の面で新都市に集まる人々は、基本的に何らかの目的を明確に持って新都市を訪れる人々である。新都市の個性を形成していくにあたって、これらの人々の存在や、そこで生まれる交流は、重要な役割を持つものと考えられる。
一方、新都市では、21世紀型の新しいまちづくりの在り方、ライフスタイルや価値観を創造していくことになるが、実際にそれを体験する人がいなければ、その文化は、全国、世界へと普及していかない。何よりも、国民に愛され、一生に一度は訪れるべき、誇りに思われるような都市となるためには、実際に多くの国民に体験してもらうことが極めて重要な課題となる。
同時に新しい日本の姿を世界にアピールする場として国内外からの観光を積極的に促進していくという視点も必要である。
また、これらを支えるコンベンション施設、宿泊施設、交通アクセスの整備をはじめ、新都市に集まる人々を支援する機能を充実し、新都市の姿を伝えるソフト面でのサービスを充実させることが求められる。

[4] 情報通信機能

情報通信機能は、新都市が、21世紀における世界的な知的活動の拠点の一つとして、多くの交流人口を惹きつけるためにも極めて重要な機能である。
インターネット、携帯端末に代表されるような移動性の高い通信機能については、ネットワーク基盤を充実させ、フットワークのよい利用形態を推進する等、国際的にも最先端の情報基盤の整った都市とすることで、国内のみならず、国際的な情報ネットワークの一つの核とすることが可能であろう。
特に21世紀にむけて、情報通信分野の技術革新が社会・経済、さらには政治・行政のあり方を劇的に変革させていくことが想定されている時代にあっては、これにみあう情報基盤を新都市に整備することが求められる。
新都市は、世界でも最先端の情報基盤をもつ都市とすることで、そのポテンシャルをいかした情報発信の拠点とすることが求められる。例えば、政策分野のデジタルアーカイブ等を整備することで、国内外の人々に対し、新都市の情報を積極的に発信していくとともに、政策情報を公開し、国政情報を伝達していくことが求められる。新都市がつくりだす情報としては、高度情報基盤のもとに集まる世界中の研究者、クリエーターによる次世紀混成文化や次世代基盤的情報技術等が考えられるであろう。
なお、国会等移転審議会で報告された「情報ネットワークに係る検討(平成11年1月)」において指摘されているように、一国の内政をつかさどり本格的な国際政治都市となる新都市には、高度な情報セキュリティも併せて必要になる。また、侵入や物理的な破壊等を未然に防止する分野だけでなく、これらを全て防止することは不可能であるという前提に立って、早期に検知、対処できる仕組みを導入していくことが求められる。

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