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環境負荷に係る検討について

本章では、特別な環境負荷削減方策を導入しない標準ケースを想定し、新都市と同様の規模の都市から生じる主要な環境負荷量の推計を行うことにより、負荷の概ねの規模を把握・認識する。

2−1 新都市と環境負荷及び検討対象とした環境負荷

(1)新都市と環境負荷
我々は、これまで都市活動に伴う様々な環境問題を経験し、対策も行ってきた。さらに、地球温暖化やダイオキシン類に代表される新たな化学物質の影響等が問題となるなど環境問題は様々に広がりつつある。新都市では、既存の知見で得られている環境影響に加えて、今後の研究等により明らかとなるであろう未知の問題も視野に入れた対応が求められるといえる。
本検討では、直接あるいは種々連鎖反応で人体や生態系に対して影響を及ぼすもの及び人類や生物の将来の生存環境に影響を与えうるものとして、都市活動に伴い生じるものを環境負荷として認識する。
本検討では様々な環境負荷のうち、具体的な負荷量の把握が可能なものについて、定量的な負荷発生量の推計を行った。

(2)定量的な負荷量の推計の対象とした環境負荷
本検討では、以下に示す環境負荷を対象として定量的な推計を行った。なお、その影響の範囲から、地域レベルと広域レベルに分けて示す。

1)地域レベルの環境負荷
新都市を含む周辺地域のレベルでの影響が懸念される主な環境負荷として、次のものを定量的検討の対象とした。

表2.1 地域レベルの環境負荷
環境負荷の種類 概要
排水負荷 地域から日常的に排出される排水の量(下水処理場からの放流量)を示す。放流先の河川の水量を増加させる。
水質汚濁負荷
(BOD(注1))
排水に含まれる有機汚濁物質の排出量を示す。放流先の河川の水質を悪化させる。
地域NOx(注2)排出 地域内での建物内のボイラ、ごみ焼却場、および交通の自動車等から排出されるNOxの量を示す。都市内及び周辺地域の大気環境を悪化させる。
廃棄物埋立処分負荷 発生する廃棄物の焼却処理等を行った後に、埋立処分される廃棄物の発生量を示す。処分場の新増設を要し、自然環境を改変する。

2)広域レベルの環境負荷
国あるいは地球レベルでの影響が懸念される主な環境負荷として、次のものを定量的検討の対象とした。

表2.2 広域レベルの環境負荷
環境負荷の種類 概要
CO2排出 都市活動に起因する電力、ガス、ガソリン等の使用及び廃棄物焼却に伴い排出されるCO2を示す。地球温暖化を促進させる。
広域NOx(注2)排出 地域内でのNOxの排出に加えて、都市での電力使用に伴う発電所(必ずしも都市内に立地していない)から排出されるNOxを加えた量を示す。酸性雨を促進させる。
一次エネルギー消費
(都市外依存分)(注)
都市活動に伴う電力、ガス、ガソリン等の使用量を石油等の元のエネルギー資源の大きさに換算した量を示す。貴重な有限資源(石油等)の消費を増大させ、我々の子孫の生活環境に影響を与える。

注. 一次エネルギーとは、加工されない状態で供給されるエネルギーのことを示し、石油、石炭、水力等をいい、通常、供給元は都市内外を区別されない(なお、二次エネルギーとは一次エネルギーを転換・加工して得られる電力等をいう)。本調査では新都市の建設による外部への影響を評価する目的から、新都市外部からの供給に依存する一次エネルギー量として評価に用いた。

(注1) BOD(Biochemical Oxygen Demand:生物化学的酸素要求量)
有機物による水の汚濁の程度を示す指標。河川の汚濁の程度を示す代表的な指標。
(注2) NOx
窒素酸化物のことで、主にNO2として存在する。地域レベルでは地域内の大気環境に影響を与え、広域レベルでは、酸性雨の原因物質となることが懸念される。

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