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環境負荷に係る検討について

4−3 環境負荷に関する地域差の検討結果のまとめ

(1) 環境負荷発生量の地域差(タイプ I )
同一の構造の都市・建物が立地すると仮定して、調査対象地域の気温の差と、水道水温の差から冷暖房および給湯による環境負荷発生量の差を求めた結果、一次エネルギー消費量、CO2排出量、広域NOx排出量は、最小地域と最大地域で4.6%,3.3%,1.7%の範囲内の差があると試算された。
冷暖房にのみ着目すると一次エネルギー消費量等の負荷量は最小地域と最大地域で29%の範囲内の差、給湯にのみ着目すると同様に10%の範囲内の差があると試算された。
なお、交通による各種負荷の地域差は不確定要素が大きいため試算していないが、地形や既存の広域交通体系により、地域によって差があると考えられる。
また、現実の都市では、一人あたりの環境負荷発生量の地域差が比較的大きな場合もあるが、これは、都市の産業形態や都市構造、地域住民のライフスタイルの違いによるものと考えられる。

(2) 立地地域に対する環境負荷の影響の地域差(タイプ II )
1)排水の水系への影響の地域差について
新都市からの排水が地域によらず同量であると仮定し、各地域に新都市が立地した場合の排水地点を設定したうえで、地域の水系の河川の水量・水質(BOD)の変化を把握し、また下流域の閉鎖性水域の状況等から各地域の特性を把握した。
河川水質の環境基準達成のためには高度処理等の方策が必要であるが、その必要なレベルは各地域によって異なってくると評価された。
また、下流で閉鎖性水域に流入する可能性のある地域(具体的な都市の立地場所や放流地点による)として、茨城県(霞ケ浦)、岐阜県(伊勢湾)、愛知県(三河湾)、静岡県(浜名湖)、三重県(伊勢湾)、幾央地域(琵琶湖)があり、これらではBOD等で示される有機汚濁負荷に加えて、窒素、リン等の栄養塩の除去及び雨水流出に伴う面源負荷対策も含めて、閉鎖性水域への影響を考慮した方策を導入する必要がある。
なお、放流先として閉鎖性水域である琵琶湖水系、河川水質への影響の大きい木津川のいずれかへの放流の可能性の高い幾央地域は、排水による水系への影響は比較的大きいといえる。逆に、閉鎖性水域でない海に近い静岡県(浜名湖に放流しない場合)及び豊富な流量を持つ木曽川水系を有する岐阜県は、排水による水系への環境影響は比較的少ないといえる。

2)大気汚染物質の大気環境への影響の地域差について
「放射性逆転層の生成」という面から見た冬季における相対的脆弱性は宮城県が高く、その他茨城県、岐阜県がやや高かった。
「光化学オキシダントの生成」という面からみた春夏季における相対的脆弱性は愛知県が高く、岐阜県がやや高かった。
「地形性逆転層の生成」という面からみた地形からの相対的脆弱性は宮城県、福島県、岐阜県、畿央地域が脆弱性が高かった。

(3) 環境負荷削減方策の導入適性の地域差(タイプ III )
1)太陽光発電の有効性
日照時間が長く、太陽光発電設備の設置により得られる発電量が相対的に大きい地域は愛知県、岐阜県、静岡県(2,000〜2,050時間/年)、平均的地域は福島県、茨城県(1,900〜1,950時間/年)、相対的に日照時間の短い地域は幾央地域、宮城県、三重県であった。
その地域差は、最小地域と最大地域で日照時間にして17%程度である。なお、各地域内の局地的な地形の影響等でも変動しうる要因といえる。

2)風力発電の活用適性
幾央地域、静岡県等で一部高い年平均風速(6〜8m/秒以上)の地区がある他は、年平均風速5m/秒未満の風力発電の適地に該当しないところがほとんどである。なお、電力供給は広域ネットワークとなっていることから、新都市から離れた地域の風力エネルギーの活用も考えられる。

3)自転車交通の導入適性
自転車利用に容易と思われる3%未満の傾斜の地区は、栃木県中央部、茨城県南部、静岡県南部海外沿い、畿央地域琵琶湖付近等でまとまってみられる他、調査対象地域内の多くは自転車利用の観点からは比較的傾斜の大きい地区となっている。都市内交通として自転車利用を推進することは、いずれの地域に立地した場合でも必要な取り組み課題の一つであるといえる。

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