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自然的環境に係る検討について

4.野生生物の生息の観点から見た緩衝機能

自然林を中心とした山地の森林に生息する野生生物にとって、自然林の周囲に存在する二次林や植林地は、中心となる生息地(ハビタット)の生態系を安定的に守り、これらの生物の生息と人間活動とが相互に与える悪影響を避ける意味でも重要である。すなわち、自然林と都市部の間に位置する二次林、植林地は、山地の森林等の自然地域に生息する生物にとって、緩衝帯として機能しているという意味がある。
特に、広域的観点から生物多様性の保全を考慮する際、このような緩衝帯機能を有する地域を把握することが重要と考えられる。

5.野生生物の生息地の連続性

野生生物の生息環境保全に配慮する上で、生息地(ハビタット)のまとまりや連続性を確保することは重要である。森林性の猛禽類や中・大型哺乳類の個体群を健全に維持し、人間社会との共生をはかるためには、広がりのある生息地を確保するとともに、鉄道や道路、市街地等で森林環境の連続性を断ち切らない工夫が必要である。特に、広がりのある複数の生息地を繋いでいる回廊状の森林(緑の回廊・コリドー)は、それほど自然度が高くなくても重要であり、保全とともに積極的な創出等も進めるべきである。このような観点から、生息地(ここでは森林)の連続性について適切に評価することが重要である。
森林の連続性をみることにより、生物多様性の保全上、連続性を保つことが重要な地域や積極的に連続性を創出すべき地域を、広域的観点から把握することができる。
また、連続性が保持・創出される地域は、豊かな野生生物の生息を確保し、良好な環境の形成に有利な地域ともいえる。

[参考]
本検討においては、前述した視点から5つの分野について検討を行ったが、参考までに、環境影響評価法に基づき、環境影響評価を行う場合の環境要素の区分と本調査での検討項目の対応を整理した。

環境影響評価を行う場合の環境要素の区分と本調査での検討項目の対応
環境要素の区分 区分の詳細 本調査で扱った範囲
1.環境の自然的構成要素の良好な状態の保持 大気汚染 →環境負荷の検討分野において取扱について検討
1.環境の自然的構成要素の良好な状態の保持 水環境 →環境負荷の検討分野において取扱について検討
1.環境の自然的構成要素の良好な状態の保持 土壌環境・その他の環境 →土壌からみた植生復元のしやすさ等に着目
2.生物の多様性の確保及び自然環境の体系的保全 植物 →現存植生を把握
2.生物の多様性の確保及び自然環境の体系的保全 動物 →生物多様性等に着目しているが、個々の動物種の具体的な分布等に関しては、今後の検討が必要
2.生物の多様性の確保及び自然環境の体系的保全 生態系 →生物多様性、野生生物の生息の観点から見た緩衝機能、生息地の連続性に着目して重点的に検討
3.人と自然との豊かなふれあい 景観 →景観の検討分野において特性を把握
植生データ等については把握
3.人と自然との豊かなふれあい ふれあい活動の場 →ふれあい資源として自然公園・森林公園等を把握
4.環境への負荷 廃棄物等 →環境負荷の検討分野において取扱について検討
4.環境への負荷 温室効果ガス等 →環境負荷の検討分野において取扱について検討

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