(3)身近な自然の状況
ここでは、「生物多様性保全の観点」と「自然とのふれあい・アメニティ形成の資源」という観点から特性把握を行った
(3−1)生物多様性の把握
平成7年に「生物多様性国家戦略」が閣議決定され、生態系や野生生物の生息地の保護の推進等が体系的に位置づけられているように、近年、希少な種や自然性の高い地域に限らずに国土全体として生物の多様性を保全することは重要な課題になっている。
特に、身近な自然における生物多様性の保全に十分な配慮を行い、かつ自然とのふれあいが可能な新都市形成を目指すにあたって、あらかじめ地域の生物多様性の状況を把握しておくことが必要である。
・森林性動物からみた生物多様性
森林は様々な生物にとって重要な生息環境を形成しており、特に自然度の高い森林は生物多様性の保全上重要な地域となっていることが多い。ここでは、森林を好む生物の多様性が高くなる傾向の強さに着目して地域の特性把握を行う。
・里山型動物からみた生物多様性
森林と比べて人間が比較的多く居住する地域、いわゆる里山における生物多様性の保全は、住民が豊かな自然環境の中で生活するという意味でも非常に重要である。
このため、このような環境に典型的にみられる種を複数抽出し、これらに共通して好適な環境の性質に着目して、地域の特性把握を行う。
(注) 個々の生物はそれぞれの種ごとに様々な要素に生息を規定されているため、常に上記の2つの観点が多様性保全上最も重要となるものではないが、本検討は、計画の早期段階で広域的な見地に立って行われるものであり、上記のような整理が望ましいと考えた。