各地域共通の特性は以下のとおりである。これらの特性に配慮しつつ、移転先候補地選定後の都市建設を行う必要がある。
(1)大部分の地域は、本州の脊梁山脈につながる山地を含む。
(2)大部分は暖温帯、中間温帯に属し、潜在的には常緑広葉樹林やモミ・ツガ林、イヌブナ林等の成立が可能とみなされる。北東地域の一部のみ冷温帯を含む。
(3)特に優先的に保全する地域として、山地には自然公園や自然林、高標高地域があり、丘陵地から低地にかけては、小面積の自然植生(主に常緑広葉樹林(スダジイ林等)及び湿性草原(オギ群落等))が点在する。
(4)二次林、植林、農耕地が混在する環境が典型的であり、最も優占する植生タイプは二次林(もしくは植林、農耕地)で、その中でもコナラ林(もしくはアカマツ林、スギ・ヒノキ・サワラ植林)が優占する。
(5)植生回復力・土壌生産力は、山地でやや区分の低い場所が多く(傾斜度が大きいことに由来)、平地では区分の高い場所と区分の低い場所が混在する(土壌の肥沃度に由来)。区分の高い場所は主に水田になっている。
(6)森林にすむ動物にとっての好適性や、野生生物の生息地(森林)の連続性の観点からみると、山地が重要である。
(7)里山にすむ動物にとっての好適性や、奥山に住む動物と人間との緩衝帯機能の観点からみると、山麓地や丘陵地が重要である。
(8)自然とのふれあい資源のうち、自然公園等は山地と海岸に集中する。
調査対象地域、各府県の移転先候補地として表明している地域の各範囲ごとに、IIIに示した各項目の自然環境の特性を把握し、別表のとおりとりまとめた。