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自然的環境に係る検討について

VI .まとめ

1.全体について

(1)今回の検討では、自然環境からみて開発にふさわしくない地域を明らかにすること、また自然環境からみて新都市の良好な環境の形成に有利な点を明らかにすることという2つの視点から、概略的に特性を把握した。

(2)この際、調査対象地域全域について全国統一基準で作成された情報で、標準メッシュによる情報である「国土数値情報」及び「自然環境保全基礎調査結果」等を基本資料とし、補足的に関係府県から得られた情報を用いた。

(3)今回の検討では、生物系を中心とする各分野の特性を府県ごと等の単位で把握した。その結果、自然的環境面から全域が候補地として適当でない地域(府県)はなかった。また、その地域の有する自然的環境を活用しつつ良好な都市環境を形成しようとする際に有利な点は、各地域ともそれぞれに認められた。

(4)自然的環境に関する検討は、別途実施されている地形の良好性、災害等の検討と密接な関連を有していることから、これらの検討が終了した段階で、改めて特性を類型化するなど総合評価に向けた再整理をしていくことが必要である。

2.今後の課題

(1)調査精度の向上の必要性
今回の検討は、広範な調査対象地域の全域を対象とし、標準メッシュ情報等により解析を行ったものであるため、評価項目の中には概略的な検討にとどまった部分もある。
今後、さらに地域を絞って検討を行う場合には、現地調査等に基づく詳細な検討が望まれる。

(例)

  • 現地調査による動植物の分布状況・湿地等の重要な環境の調査
  • 身近な自然の利用状況調査
  • 動物の生息地の連続性についての詳細な検討
  • 自然環境保全に資する土地利用規制の詳細な状況調査

(2)新都市のあり方と関連した検討の必要性
今回は、新都市の具体的な都市像(規模や形態等)が必ずしも明確でない段階で検討を行っているため、これを踏まえた順位付け等の評価は行わず、自然環境の特性をまとめるにとどめた。
今回の検討の成果は、具体的な都市の形態や都市像あるいは二次的自然の取扱方針等を検討する際にも活用が期待される。
今後、具体的な都市づくりのマスタープラン等を検討する段階で、必要に応じ追加的に調査を行うこと等により、地域の自然環境の特性を活かした新都市づくりを行っていく必要がある。

(例)

  • 都市のクラスター配置と環境共生のあり方
  • 移転先新都市の住民による二次的自然の管理体制

(3)自然的環境に関するその他の要素等に関する検討
今回は、現時点での把握可能な分野について検討を行っているが、今後は、水系に着目した検討や気候面の考慮等、他の環境の分野についても検討する必要がある。また、今回は、特性把握の手法が未確立の分野についても検討を行っており、今後調査の手法自体もさらに検討していく必要がある。

(例)

  • 水系に着目した自然環境面の検討
  • 地球温暖化による自然的環境への影響についての考慮
  • 生物多様性に関する地域特性把握のための手法検討 等

(参考文献)
久馬一剛(編) 1997 最新土壌学. 朝倉書店
野上道男・大場秀章 1991 暖かさの指数からみた日本の植生. 科学61巻1号:p40-49
宮脇昭(編) 1977 日本の植生. 学研
由井正敏・石井信夫 1994 林業と野生鳥獣との共存に向けて−森林性鳥獣の生息環境保 護管理−. 日本林業協会
総合的環境指標検討会 1997 総合的環境指標試案.
原科幸爾・恒川篤史・武内和彦 1999 日本列島における森林連続性の評価. 1999年度農 村計画学会学術研究発表会要旨集, 45-46
原科幸爾・恒川篤史・武内和彦・高槻成紀 1999 本州における森林の連続性と陸生哺乳 類の分布. ランドスケープ研究62(5)

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