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地形の良好性に係る概略的な検討について(概略版) 平成11年1月

5.移転先候補地ごとの特性把握

(1)特性把握の方法

調査対象地域及び府県の表明地域について、全体評価図から見た特性を記述する。この場合、全体評価の評点区分は、表6.1のとおりである。

表5.1全体評価の評点区分
評点(ランク) 考え方
A 優れる
B やや優れる
C 普通
D やや劣る
E 劣る
3つの評価軸から全体的にみたとき、検討対象地域の中では優れた(劣る地域であることを示す。
Y 制限的条件 限界的条件に近いが、他方の因子との重ね合わせにより評価結果が高くなる可能性がある場合。
Z 限界的条件 評価項目から考察し、著しい問題があるため評価の対象外とする。
(2)各地域の特性
関係府県名 評価対象地域区分 地形・地質概要 全体評価
宮城県 調査対象地域 宮城県南部に位置し、地形的には、その西部の奥羽山脈、東部の村田町周辺の丘陵、南部の阿武隈高地、そしてそれらを刻む阿武隈川及びその支流ぞいの谷底低地に区分される。奥羽山脈は第三紀層と第四紀火山岩類、東部丘陵は第三紀層と第三紀火山岩類、阿武隈高地は主として花こう岩類、そして谷底低地の大部分は支谷閉塞低地であり、軟弱地盤でそれぞれ構成される。段丘はほとんど発達しない。 ランクAの地区には既利用地(集約的農耕地及び都市的利用地)も少なくない。ランクBの地区は畑・林地であり、土地造成は可能である。ランクCまたはD以下の地区は奥羽山脈や阿武隈高地の残丘地域の急傾斜地ならびに軟弱地盤の支谷閉塞低地である。
宮城県 表明地域 表明地域のうち、北部は丘陵と谷底低地で構成される。谷底低地には砂礫地盤の扇状地性低地と軟弱地盤の後背低地及び支谷閉塞低地がある。中部は阿武隈高地の北端部であり、主として花こう岩類とそれを囲む第三紀層及びそれらを局所的に被覆する第三紀火山岩で構成されているが、その東部の阿武隈川の支流ぞいには、軟弱地盤を伴う支谷閉塞低地が広がっている。第三紀火山岩類は一段と高い山地を形成している。南部(阿武隈川以南)は、阿武隈高地の北部で、やや起伏に富む丘陵性の山地であり、花こう岩類とそれを被覆する第三紀火山岩類で構成される。後者が一段と高い山地を構成している。 北部はほとんどがランクBであるが、軟弱地盤の分布地ではランクCの地区も存在する中部はほとんどがランクBであるが、その東部の谷底低地にはランクCがみられる。南部は起伏が大きいので、大部分がランクD以下となっている。
福島県 調査対象地域 福島県の中央部(中通り)に位置し、地形的には西部は奥羽山脈、中部は阿武隈川沿岸の郡山盆地及び須賀川盆地東部は阿武隈高地と3地域に大別される。奥羽山脈は第三紀層とそれを被覆する第三紀火山岩及び第四紀火山岩で構成される。中部の盆地は地域によって地質構成が異なるが、一般に白河熔結凝灰岩等を基盤とする丘陵と堆積段丘及び阿武隈川とその支流ぞいの谷底低地で構成される。阿武隈高地は開析された準平原で主として花こう岩類で構成される。 奥羽山脈は急峻な地形であり、大部分がランクD以下である。中部の盆地地域はほとんどがランクAまたはBの地区である。ランクAの地区は既利用地(集約的農耕地及び都市的利用地)となっている部分が多い。東部の阿武隈高地は、ランクBを含むが、ランクC以下の地区も多い。
福島県 表明地域 表明地域は福島県南部に位置し、丘陵及び段丘と阿武隈高地の開析準平原で構成される。段丘は低地からの比高が20ないし30mで、開析谷は少なく段丘面が広く残存する。丘陵及び開析準平原は、開析谷の間隔が一般に1k内外で尾根幅が狭い。谷底低地はその大部分が砂礫地盤であるが後背低地に泥質地盤の存在する地区もある。 丘陵・段丘地区はランクA及びBが多い。阿武隈高地ではランクBがあるものの、ランクC以下の地区が約半数を占める。
栃木県 調査対象地域 栃木県の東半分を占め、北部には那須岳、その南には那須野原の丘陵及び扇状地段丘が広く分布し、東部は八溝山地、南部は宇都宮台地・結城台地によって構成される。北部の那須岳は複輝石安山岩とその砕屑物から成る成層火山であり、那須野原の段丘及び扇状地性段丘、宇都宮台地・結城台地は主に洪積世の火山性岩石から構成され河川ぞいには沖積層が分布する。八溝山地は古成層で構成される。 北部地域は急峻な山地でランクD以下となっている。中部地域はほとんど全域がランクA及びBで占められる。東部地域は急峻な山地のためランクC以下の地区が大部分を占める。
栃木県 表明地域 栃木県の北東部に位置し、地形的には、その西部の山地及び火山地、中央部の丘陵及び段丘、東部の八溝山地に区分される。北部の山地及び火山地は主に中新世安山岩、洪積世〜鮮新世の流紋岩等、中部の丘陵及び段丘では、第四紀の堆積物(主として礫質堆積物で、丘陵斜面及び段丘面に厚い関東ロームが被覆)、東部の八溝山地は、古生層でそれぞれ構成される。 中央部の丘陵及び段丘は、大部分がランクA及びBであり、水田が少なく、畑地及び林地が多いので土地造成は容易である。
茨城県 調査対象地域 茨城県の北部に位置し、大別すると北は阿武隈高地の南側及び八溝山地からなり、南は主要河川ぞいを除き全域が丘陵及び段丘で構成される。北部の八溝山地は古生層からなり、阿武隈高地は主として花こう岩類で構成されている。 北部は、丘陵地にランクA及びBが分布し、山地はランクD以下の地区が広く分布する。南部はランクA及びランクBの地区が多いが一部谷底低地ぞいはランクCとなっている。
茨城県 表明地域 全域が丘陵及び段丘で構成される。丘陵地域は主として第三紀層で構成され一部に古生層地域を伴う。段丘地域は第四紀の海成堆積物で構成され、関東ロームに薄く被覆される。段丘を刻む谷ぞいは、北部では礫質低地、南部では泥質低地(軟弱地盤を含む)が発達する。北部地域は大部分が丘陵地で谷密度が大きく急傾斜地が多い。中部地域は、北部地域に比べて谷密度が小さく、丘陵頂部の平坦性が高いが、谷底と尾根頂との比高が50m以上に及ぶ地区が多い。南部地域は全域が段丘(常総台地)であり、段丘面は広く残存している 北部、中部、南部ともにランクA及びBの地区が多いが、特に中部地域に広い。南部地域では、台地をきざむ谷底低地(軟弱地盤地帯)ぞいはランクCとなっている。ランクD以下の地区は山地、丘陵の頂部に散在するにすぎない。
岐阜県 調査対象地域 岐阜県の南東に位置し、対象地域の北部(木曽川以北)は飛騨高地の南端部に位置し、急峻な山地となっている対象地域の南部は美濃三河高原北部の山地であり、準平原的に侵食小起伏面が分布する穏やかな山容を呈している木曽川及び土岐川ぞいに丘陵、段丘及び盆地が分布する。この地域には多数の活断層が存在しており、川の流路などがその活動で水平方向にずれている。そのため、土岐川と木曽川ぞいに盆地がほぼ一列に並んでいる。木曽川より北側の地域のうち飛騨川より東側の地域は流紋岩類で、また、西側の地域は中・古生層でそれぞれ構成されている。木曽川以南の丘陵は花こう岩類及び第三紀層で構成され、盆地内及び河岸段丘は第四紀層(主に砂礫層)で構成されている。 北部地域の山地は大部分がランクD以下である。南部地域のうち山地はランクD以下であり、丘陵はランクB、段丘はランクAまたはBである。
岐阜県 表明地域 表明地域のうち、北部の山地に接する地域では、新旧の土石流堆積地形が分布する。また、表明地域の内部及び周囲には多数の活断層が分布する。南部の丘陵は緩傾斜な尾根で構成されるが、その面積(幅)は狭い。低地は主要河川ぞいに幅狭く分布するにすぎない。 北部、南部とも山地はランクD以下であり、主要河川ぞいの丘陵はランクBが多いが、東部に行くほどランクC及びD以下の地域が多い。西部の主要河川ぞいの段丘はランクAまたはBである。
愛知県 調査対象地域 県東部の奥三河の山地と西部の濃尾平野に挟まれて、県中央部に位置する。対象地域の大部分は、小起伏山地と丘陵、段丘及び主要河川ぞいの谷底低地に大別される。山地の大部分は花こう岩類及び古生層で構成され、丘陵は花こう岩類及び第三紀層で構成される段丘は海成及び河成の堆積物で構成される。低地は河口部を除けば砂礫地盤で構成される。 小起伏の山地及び丘陵の大部分はランクC以下であるが、丘陵地においてはランクA及びBの地区もある。段丘はほとんどがランクAおよびBである。低地はランクA及びBである。
愛知県 表明地域 北部地域は全体として小起伏の丘陵であるが、谷密度が大きく、尾根幅が狭くなっており、小崩壊地が極めて多い。中部地域は花こう岩で構成される小起伏の山地及び丘陵であり、丘陵地域には尾根頂部に緩傾斜地が多い。しかし、主要河川と尾根頂部の比高は150〜200mに及ぶ。南部地域は天伯原の段丘であり、遠州灘沿岸に比高約70m内外の急峻な海食崖を持ち、段丘面は北方に緩傾斜し、段丘面を浅い谷が刻んでいる。段丘の北縁を西流する梅田川ぞいには軟弱地盤が存在する可能性がある。 小起伏の山地及び丘陵の大部分はランクC以下であるが、丘陵地においてはランクA及びBの地区もある。段丘はほとんどがランクAおよびBである。低地はランクA及びBである。
静岡県 調査対象地域 当地域は静岡県西部の遠江地域の南部に位置し、地形的には北部の山地と標高の高い牧の原台地、中央部の磐田原三方原等の平坦な段丘群、天竜川、太田川などに沿う低地並びに浜名湖周辺の丘陵と谷底低地及び海岸ぞいの砂丘地帯に大別される。北部の山地は先第三系で、牧の原台地は第四紀洪積層世の礫層で構成されている。中央部の磐田原、三方原は、段丘群は第四紀洪積世の礫層から構成され、その他の低地及び砂丘地帯は第四紀沖積世の礫、砂等の未固結堆積物で構成される。 北部地域の山地は大部分がランクD以下である。牧の原台地はランクA及びBであるが、谷底低地ぞいにはランクCの軟弱地盤帯がある。磐田原と三方原はランクA及びBであるが、すべて既利用地(集約的農耕地)となっている。太田川低地はランクBの地区が多いがランクCの地区も散在する。天竜川低地はランクBが大部分を占めるが既利用地(集約的農耕地及び都市的利用地)である。浜名湖周辺地域は、丘陵地はランクBまたはD以下であり、谷底低地は軟弱地盤のためランクCとなっている地区が多い。砂丘地帯はランクBとなっている。
静岡県 表明地域 北部地域の山地は急峻な山地である。牧の原台地は著しく開析され、台地面は分断されている。台地を刻む河川の谷底低地は軟弱地盤で構成される地域が多い。磐田原及び三方原台地は扇状地性の堆積段丘で段丘開析谷は少ない。太田川ぞいの低地は、軟弱地盤で構成される部分が多い。天竜川ぞいの低地は礫質地盤及び砂質地盤である。浜名湖周辺地域では丘陵は四万十層群で構成されるが丘陵を刻む谷は溺れ谷で軟弱地盤で構成されている。海岸の砂丘地帯は浜堤とそれを被覆する砂丘で構成されているが、堤間湿地には軟弱地盤が分布する。 北部地域の山地は大部分がランクD以下である。牧の原台地はランクA及びBであるが、谷底低地ぞいにはランクCの軟弱地盤帯がある。磐田原と三方原はランクA及びBであるが、すべて既利用地(集約的農耕地)となっている。太田川低地はランクBの地区が多いがランクCの地区も散在する。天竜川低地はランクBが大部分を占めるが既利用地(集約的農耕地及び都市的利用地)である。浜名湖周辺地域は、丘陵地はランクBまたはD以下であり、谷底低地は軟弱地盤のためランクCとなっている地区が多い。砂丘地帯はランクBとなっている。
三重県 調査対象地域 三重県北部に位置し、地形的には西部の鈴鹿山脈、中央部の丘陵及び段丘と、それを刻む河川ぞいの谷底低地、ならびに東部の海岸ぞいの低地帯に区分される。鈴鹿山脈は主として花こう岩類と古生層で構成され、その東縁は活断層群で境されている。中央部の丘陵と段丘は第三紀層及び第四紀層で構成されている。これらの丘陵及び段丘を刻む鈴鹿川、安濃川等の河川ぞいの谷底低地と海岸ぞいの低地帯は沖積層(主として砂礫層)で構成されている。 鈴鹿山脈は急峻な地形でランクD以下となっている。中央部の丘陵及び段丘は、主にランクA及びBで占められる。谷底低地と海岸低地は大部分がランクBであるが、ランクCの地域も散在する。
三重県 表明地域 鈴鹿山脈と伊勢湾沿岸の海岸低地の間に広がる丘陵、段丘及び谷底低地で構成され、全体としてなだらかに東方に下っている。これら丘陵、段丘と主要河川ぞいの谷底低地はほぼ東西に櫛の歯状に分布する。丘陵は主として第三紀層、段丘は第四紀層(主として砂礫層)、そして谷底低地は沖積層(主として砂礫層)で構成されている。 鈴鹿山脈は急峻な地形でランクD以下となっている。中央部の丘陵及び段丘は、主にランクA及びBで占められる。谷底低地と海岸低地は大部分がランクBであるが、ランクCの地域も散在する。
幾央地域 調査対象地域、表明地域 三重県、滋賀県、京都府、奈良県にまたがり、地形的には東部の鈴鹿山脈及び布引山地、北西部の水口丘陵と信楽山地、南西部の上野盆地周辺の3地域に大別される。鈴鹿山脈及び布引山地は主として花こう岩類、古生層及び片麻岩類で構成される急峻な山地であり、東西両側は明瞭な活断層群で境されている。水口丘陵は第三紀層及び第四紀層で、信楽山地は主に花こう岩類で構成されている。また、水口丘陵の北には第四紀層からなる低地が広がる。上野盆地は、主に第三紀層及び第四紀層で構成され、その周囲の丘陵と山地は花こう岩類または片麻岩類で構成されている。京都府相楽郡から奈良県北東部にかけて広がる笠置山地(大和高原)は、主として花こう岩類によって構成されている。個々の丘陵、盆地及び山地の境界はそのほとんどが活断層で境されている。 鈴鹿山脈及び布引山地は急峻な地形でランクD以下となっている。水口丘陵は、その東側は主にランクBの地区で占められ、一部にランクAの地区も存在する。また、信楽山地はランクD以下が多い。上野盆地は、大部分がランクBの地区で占められる。笠置山地には、B及びCの地区が散在する。

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