1)対象地震の選定
今回の検討では、下表に示した地震について震度予測シミュレーションを行った。ここでは、海溝型地震については、既往地震で最大級のもの及び想定東海地震(大規模地震対策特別措置法で対象としている東海地震)を、内陸活断層に伴う地震については、総理府地震調査研究推進本部が効率的な活断層調査の実施を目的に次の基準により選定した活断層(「地震に関する基盤的調査観測等の計画について」(平成9年))のうち、検討地域に対して社会的、経済的に大きな影響を与えると考えられるものの活動により生ずる地震を対象とした。
海溝型地震 | 内陸活断層に伴う地震 |
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注:太字で示される想定地震は、今後数百年以内に発生する可能性があるとされるもの及び地震発生時に広範囲に影響を及ぼすと考えられるもの。
(注1) 神縄・国府津−松田断層帯及び富士川河口断層帯については、今後数百年以内の近い将来にマグニチュード8程度の規模の地震が発生する可能性があることが総理府地震調査研究推進本部より発表されている。調査の進展によって、今後、同様の危険性を備えた活断層の存在が明らかになることがある。
(注2) 地震防災対策に係る検討対象地震として神奈川県西部地震を扱っている地方公共団体もあるが、M7クラスの神奈川県西部地震が発生した場合の強震度域は、神縄・国府津−松田断層帯のM8クラスの地震の強震度域で覆われるため、本検討では対象としていない。
なお、想定東海地震については、総理府中央防災会議により、大規模な地震が発生するおそれが特に大きいとされている。このため、大規模地震対策特別措置法に基づき、震度6に相当する地震動加速度以上になると予想される地域、及び大津波が発生するおそれがあると考えられる地域である6県 167市町村が東海地震に係る地震防災対策強化地域として指定されている。当該地域については、同法等に基づき、様々な地震防災対策が講じられている。
シミュレーションにおける検討対象地震の規模(マグニチュード)については、海溝型地震にあっては、実際に発生した地震と同じ値(想定東海地震については想定震度)を採用した。内陸活断層に伴う地震にあっては、「新編 日本の活断層」等に記載されている断層の長さをもとに、マグニチュードと断層の長さとの関係を表す経験式を用いて設定した。ここでは、各活断層の全長が活動した場合(最大級の活動が発生した場合)を想定し、地震動の予測を行っている。
なお、内陸活断層については各機関により現在も調査が進められているが、本検討では、現時点での最新の知見を反映した。