今回は、首都機能の移転先によって、我が国の災害対応力にどのような差が生じるかについて、大規模災害時の新都市と主要都市間の情報流動及び交通流動の連携可能性の観点から検討したものである。
その結果、情報流動については、首都機能の移転先による大きな差は考えにくいが、交通流動については、移転先による差が生じる可能性があることが分かった。
すなわち、交通流動については、東京に対しては、中央地域よりも北東地域の方が全般的に連携確保性は高い傾向にある。しかし、その他の仙台、名古屋、大阪の3都市に対しては、細かく見れば対象地震や道路・鉄道による違いが散見されるものの、必ずしも一定の傾向は伺えなかった。
第1編でも言及したように、本検討は、地震に係る最新の知見を十分に反映したものであるが、学問的進歩の著しい本分野においては、常に最新知見を用いた点検が必要である。