調査対象地域においては、過去、次のような降下火砕物の事例がある。過去に発生した噴火における降下火砕物の到達範囲が、「火山灰アトラス」(町田・新井(1994))等既存の資料にまとめられている火山は、北東地域周辺では蔵王山、安達太良山、那須岳であり、中央地域周辺では富士山と御嶽山である。これらの降下火砕物到達範囲を図6〜8に示す。ただし、降下火砕物の厚さは、堆積後は年代の経過とともに減少するため、過去の実績を見る際には注意する必要がある。ここに示した実績図は現在の厚さを示しており、表4と見比べる場合は厚さを多少大きめに読み直す必要がある。
図6〜8に示した実績は、表6の通りである。
火山 | 発生年、降下火砕物規模[岩石換算体積] |
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蔵王山 | 約2万数千年〜3万数千年前。 |
安達太良山 | 約12万年前。1×109m3(3×109m3) |
那須岳 | 1410年噴火。2.8×107m3(4.2×107m3) |
富士山 | 1707年宝永噴火。8.5×108m3(8.5×108m3) |
御嶽山 | 約9〜11万年前。2×1010m3(2×1010m3) |
(注)かっこ内は総噴出量[岩石換算体積]
御嶽山については、過去最大級の噴火事例を示しているが、西風が卓越する状況を考えると、調査対象地域に与える影響は小さいと考えられる。