以下では、溶岩流、火砕流、火山泥流・土石流等の影響範囲を検討する。ここでは、対象とした9火山のうち、磐梯山、日光白根山、富士山、御嶽山については調査対象地域に影響がないとみなし除外し、蔵王山、吾妻山、安達太良山、那須岳、高原山について検討する。
溶岩流、火砕流は数百℃以上と非常に高温であり、襲来を受けた地域は火災の発生、建物の倒壊など大きな被害を受けることが予想される。また、同様に、火山泥流・土石流は非常に早い速度であり、襲来を受けた地域は建物の倒壊、埋没などの大きな被害を受けることが予想される。
1) 実績の把握
対象とした5火山について、以下の資料を参照して過去の実績を抽出した結果を表9に示す。抽出にあたっては他の評価項目の対象年代が数10万年以内であることを考慮し、溶岩流の噴出年代を数10万年以内に限定した。
火山名 | 文献 | 把握した実績 |
---|---|---|
蔵王山 | 酒寄(1992) | 約30万年前まで(Stage3及び4噴出物) |
吾妻山 | NEDO(1991) | 約10万年前まで(新期火山噴出物) |
安達太良山 | 阪口(1995) | 約40万年前まで(箕輪山−安達太良山噴出物) |
那須岳 | 山元・伴(1997) | 約20万年前まで(南月山、朝日岳、茶臼岳噴出物) |
高原山 | 井上・吉田・藤巻・伴(1994) | 約20万年前まで(釈迦ヶ岳後期噴出物及び富士山溶岩) |
2) 検討方法
溶岩流の過去の実績の範囲を最大の影響範囲とみなすこととし、地質図等の資料から溶岩流の堆積範囲を把握した。