調査会報告においては、首都機能移転の効果の一つとして「国土構造の改編」をあげ、その具体的な改編効果として、
(1)東京の過密の軽減への直接的寄与
(2)集中が集中を呼ぶメカニズムの打破
(3)新たな極となる都市圏の創出と国土の再編
(4)複合的な情報通信・交通ネットワークの形成
(5)災害への対応力の強化
の5つの側面について指摘し、また、首都機能移転に伴う
(6)新たな一極集中の回避
が肝要であるとしている。
本検討を進めるにあたっては、首都機能が3地域にそれぞれ移転した場合の、前述した6つの側面からみた国土構造等の改編効果の違いを整理する必要がある。
このため、本章では、首都機能移転による国土構造改編について、有識者の意見及び関係地方公共団体等から寄せられた国土構造改編に関する意見の整理を行う。
3地域のそれぞれに首都機能を移転した場合に想定される国土構造等に及ぼす影響について把握するため、平成11年4月から6月にかけて有識者(国土審議会学識経験委員等)を対象にアンケート調査を実施した(調査対象者数176名、回収数78名、回収率43.8%)(参考資料1を参照)。回答に際しては、自由記述の形式でその理由を付してもらった。
アンケート調査結果の概要は以下のとおりである。
国土構造の問題点の緩和や望ましい国土の実現方策として、首都機能移転は「極めて重要」とする回答が全体の46.8%を占め、「重要」とする回答と併せて77.9%が重要性を認識しており、「あまり重要でない」、「重要でない」をあわせた19.5%を大きく上回っている。
なお、「(あまり)重要でない」(「あまり重要でない」と「重要でない」の両方をさす。以下特に断りがない場合は同様に記述する。)とする理由としては、
などの意見が寄せられている。