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2.首都機能移転による国土構造改編効果

(3)3地域ごとの期待度について

3地域ごとの国土構造改編効果への期待度については、「集中メカニズムの打破」は東海地域に、また、「災害対応力の強化」は北東地域にやや高い期待が寄せられているほか、全体として大きな相違は認められない。
ただし、自由回答の記述からは、それぞれの地域特性に応じて、期待の内容に相違が認められる。

(1)集中メカニズムの打破

3地域それぞれに対して「(ある程度)期待できる」と答えた意見は全体の41.6%〜55.8%で、東海地域、三重・畿央地域、北東地域の順となった。
北東地域で効果が期待できない理由として、「現在の情報発信力、文化的吸引力からみて、東京の吸引力はあまり低下しない」、「北東地域では東京圏と連坦する可能性がある」などが指摘された。
一方、東海地域での効果が期待できるとする理由としては、「人が集まりやすい東海地域に人材が集まり、その結果東京圏への集中メカニズムの弱体化が促進される」などが、また、三重・畿央地域での効果が期待できるとする理由としては、「東京圏への通勤は不可能であり、東京の過密緩和への直接的寄与が大きい」などが指摘されている。

(2)災害対応力の強化

3地域それぞれに対して「(ある程度)期待できる」と答えた意見は全体の50.6%〜74.0%で、北東地域で相対的に期待度が高く、三重・畿央地域がこれに次ぎ、東海地域ではやや低かった。
地域ごとに差が生じると回答した方々の自由回答では、東海地震及びそれによる連携の阻害の可能性が多く指摘された。一方、地域による差はないとする立場からは、災害はどこで起きるか分からない等が指摘された。

(3)複合的な情報通信、交通ネットワークの形成

3地域それぞれに対して「(ある程度)期待できる」と答えた意見は全体で58.4〜62.3%で、地域による差はほとんどなかった。
地域ごとに差が生じるとした場合では、現状の評価のほか、何をもって「複合・重層」したネットワークと見るかによって見解が分かれている。

(4)新たな極となる都市圏の創出と国土構造の再編

3地域それぞれに対して「(ある程度)期待できる」と答えた意見は全体の59.7%〜62.3%で、地域による差はほとんどなかった。
地域ごとに差が生じるとした場合では、既存ストックの状況や大都市との関係、文化的側面について、同じ地域で異なる見解が示されている。
地域による差はないとする場合は、「関東地区以外であれば大いに期待できる」、「各地域とも東京からある程度の距離があり、独自の形成が図られる」等が指摘された。

(5)東京の過密軽減への直接的寄与

3地域それぞれに対して「(ある程度)期待できる」と答えた意見は全体の54.5%〜61.0%となり、地域による有意な差はなかった。
地域ごとに差が生じるとした場合では、地域内の既存インフラ、都市集積等のストックを有利と見るか不利と見るかで意見が分かれる傾向があった。
移転先候補地による差はないと回答した方々の自由回答では、各地域ともそれなりのインフラ投資が必要、移転による東京の過密軽減への直接的寄与の差は前提条件に応じて異なる、関東地区以外であれば大いに期待できる等が指摘された。

(6)新たな一極集中の回避

3地域それぞれに対して「(やや)懸念される」と答えた意見は全体の26.0%〜48.1%、「(あまり)懸念はない」は33.8%〜54.5%で若干の地域差があり、東海地域でやや懸念度が高く、三重・畿央地域がこれに次ぎ、北東地域では低いという結果となった。
自由回答の内容をみると、期待度に関する各地域の評価以前に、長期的な集中が発生するか否かについて見解の相違があり、また、この対策は長期的な課題であることから現段階において問題とすることに否定的な意見もあった。(なお、選定に当たっての重要度については61.0%が否定的である;前頁参照

新しい全総計画において、首都機能移転は国土政策上、東京一極集中への基本的対応として非常に重要なものと位置づけられており、今回のアンケート調査の結果においては、3地域の何処に移転しても首都機能移転がこうした位置づけに応えうるものであることが概ね支持されたと考えることができる。
しかしながら、3地域から移転先候補地を選定するに当たって、調査会報告の6つの側面における国土構造の改編への効果についての期待度は、「集中メカニズムの打破」について東海地域に、また、「災害対応力の強化」について北東地域にやや高い期待が寄せられているほか、全体として国土構造改編の効果の程度への期待に大きな相違は認められなかった。
このように、3地域ごとに見た調査会報告の6つの側面における国土構造の改編効果の違いについては、有識者の意見は様々であり、その一部については大方の見識が把握できたものの、全体的に改編効果の優劣を示すものではなかった。

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