首都機能移転による直接的な効果の一つとして、東京に大地震が発生した場合でも政治・行政と経済のヘッドクォーターとの同時被災を回避することができる等、我が国の災害への対応力が向上することが挙げられている。
3地域は全て東京と同時に被災する可能性のほとんどない地域に位置していることから、東京が被災した場合の我が国の災害対応力は、移転先地がどこであっても向上すると考えられる。ただし、アンケートによると、3地域への首都機能の移転により防災対応力の強化が「(ある程度)期待できる」と回答した者の比率は、高い順に北東地域74.0%、三重・畿央地域64.9%、東海地域50.6%となり、地域ごとにかなりの差がみられた。災害への対応力の強化について東海地域の評価が相対的に低くなっているのは、東海地震の発生等に対する懸念によるものである。
また、災害時にも首都機能が十分に発揮され、被災地への救援、被災地の復旧等の活動が円滑に行われるためには、新都市と主要都市、とくに東京を結ぶ主要な交通網の被災を最小限に抑えるよう配慮する必要がある。この点について、交通網の多重化、バックアップ体制の整備等の対策を講じていくことが重要であると考えられる。