平成12年6月23日(金曜日)
国土庁では、今年度、首都機能移転先の新都市について、環境面から計画に対する適切な配慮を行うために必要な事項等についての検討を行う。
検討に当たっては、環境及び都市計画分野に関する専門家からなる「首都機能移転の環境に関する研究会」(座長 井手久登東京大学名誉教授)を設置し、戦略的環境アセスメント(計画段階等の早期段階における環境アセスメント)、自然環境との共生、環境負荷の低減などの視点に着目する。
また、戦略的環境アセスメントに関する検討を実施している環境庁にも協力を得ながら進める予定である。今後、これらの検討結果を踏まえ、首都機能移転先新都市づくりにおける環境面からの配慮の方策や新都市のあり方についてとりまとめを行う。
昨年12月に首都機能の移転先候補地の答申を行った国会等移転審議会では、首都機能の移転先新都市について、人と自然が近接し、環境と共生する先導的な都市として、現状の環境の保全に十分な配慮を払うとともに、良好な環境を積極的に創り出すこと、また、排出される環境負荷を最小化するとともに、他の地域における環境負荷の低減にも貢献し、さらには地球規模の環境問題に対しても積極的に寄与することを求めている。これらの課題に対処するため、できるだけ早い段階で計画に対して適切な配慮を行うための各種の検討を行い、新都市の計画に反映させることが必要となっている。このため、環境庁において総合的な調査研究が進められている「戦略的環境アセスメント」の事例等も参考にして、首都機能移転先の新都市の計画を具体化する際に環境面から必要となる配慮の方策や新都市のあり方についてとりまとめを行い、環境共生型、ゼロエミッション型の先導的都市の計画に資することを目的とする。
検討に当たっては、自然環境、環境アセスメント、都市計画、環境負荷等の分野の専門家からなる「首都機能移転の環境に関する研究会」を設置し、検討を行う。
なお、検討に際しては、戦略的環境アセスメント等に関する最新の知見を計画に適切に反映するため、環境庁の協力を得ながら検討を行うこととする。
また、研究会の検討の過程については、インターネットホームページ等で積極的に公開していくこととする。
研究会では、今年度末に、首都機能移転における環境への配慮の方策や新都市のあり方について取りまとめを行う予定。
首都機能の移転先の新都市において、環境面からの配慮を計画に適切に反映し、新都市を環境共生型のモデル的な都市とするため、以下の検討を行う。
(1) 戦略的環境アセスメントの視点からの検討(環境に配慮した新都市の計画手法)
(2) 環境負荷の低減方策の検討(ゼロエミッション型都市の実現方策)
(3) 自然環境との共生方策の検討
氏名 | 役職 | 主な専門分野 |
---|---|---|
井手 久登(いで ひさと) <座長> | 東京大学名誉教授 早稲田大学客員教授 (国会等移転審議会専門委員) |
緑地生態学 土地利用計画 |
亀山 章(かめやま あきら) | 東京農工大学農学部教授 | 地域生態システム |
寺田 達志(てらだ たつし) | 環境庁企画調整局環境影響評価課長 | 環境アセスメント |
細見 正明(ほそみ まさあき) | 東京農工大学工学部教授 | 環境工学 |
水口 俊典(みずぐち としのり) | 芝浦工業大学システム工学部教授 | 都市計画 |
森田 恒幸(もりた つねゆき) | 国立環境研究所社会環境システム部長 東京工業大学大学院教授 |
地球環境問題 環境経済学 |
戦略的環境アセスメントとは
戦略的環境アセスメント( Strategic Environmental Assessment )は、個別の事業計画に枠組みを与えることとなる政策や上位計画の段階で環境への影響を評価・把握し、環境への配慮が十分に行われることを確保するための手続である。我が国でも環境影響評価法案の附帯決議において「国際的動向や我が国での現状を踏まえて、制度化に向けて早急に具体的な検討を進めること」と指摘され、環境庁では、平成10年度から、「戦略的環境アセスメント総合研究会」を設置して、その制度化に向けて、国内外の関連制度の実施状況について総合的な調査研究を行っている。