平成13年2月28日
問い合わせ先
国土交通省 国土計画局 首都機能移転企画課
Tel 03-5253-8365、8366
Fax 03-5253-1573
電子メール itenka@mlit.go.jp
国土交通省では、今年度、首都機能移転先の新都市の環境面から計画に対する適切な配慮を行うために必要な事項等について、戦略的環境アセスメント(計画段階等の早期段階における環境アセスメント)に関する検討を実施している環境省の協力を得ながら、環境及び都市計画分野に関する専門家からなる「首都機能移転の環境に関する研究会」(座長 井手久登東京大学名誉教授)において検討を実施し提言をとりまとめた。
本研究会の提言では、環境面からの新都市の在り方について、環境への影響に配慮するのみならず、よりよい環境の創出に向けて積極的に働きかける都市の実現を目指す「自然環境共生型都市」及び「ゼロエミッション都市」の実現を求めた。
さらに、それらを実現するため、首都機能移転の計画の各段階で、戦略的環境アセスメントの考え方を適用し、計画等の早期段階から適切な環境配慮を行うことが必要とされた。
国会等移転審議会答申(平成11年12月)において環境への配慮が新都市の在り方の一つとして位置づけられていること等から、首都機能移転に際して、環境への配慮を盛り込むことが必要である。
このため、国土交通省では「首都機能移転の環境に関する研究会」を設置し、環境省の協力を得ながら戦略的環境アセスメント、自然との共生、環境負荷の低減などの視点に着目し、環境に配慮した新都市の計画策定に資することを目的して、新都市の環境面から計画に対する適切な配慮を行うために必要な事項等について検討を行い提言をまとめた。
(1) 環境に配慮した新都市の在り方
環境に配慮した新都市の目指すべき姿は「自然と共生し、環境負荷を最小化した循環型の持続的発展可能な都市」とし、都市のコンセプトとする「自然共生型都市」及び「ゼロエミッション都市」の両者を兼ね備えたものである。これは、環境への影響に配慮するのみならず、よりよい環境の創出に向けて積極的に働きかける都市の実現を目指すこととした。
1) 「自然共生型都市」
多様な生き物と共存し、ふれあい、豊かで季節感のある景観の中で、風土に根差したライフスタイルを創造していくことを目指す都市。
2) 「ゼロエミッション都市」
新都市活動に起因する環境負荷全体の最小化及び他地域での環境負荷低減への貢献の2つの手段により、トータルでの環境負荷をゼロとすることを目指す都市。
(2) 首都機能移転における環境に配慮した新都市の計画手法の在り方
1) 新都市基本方針(仮称)段階
主に環境配慮チェックリストを参照して適切な評価を実施。
2) 新都市マスタープラン(仮称)段階
主に概略的な土地利用や機能配置等について、複数案の設定等の環境影響の検討手続きを実施。
3) 新都市事業計画(仮称)及び個別事業計画段階
主に環境影響評価法に基づく環境アセスメントを実施。
図 マスタープラン等策定の各段階における環境配慮の仕組みの考え方
氏名 | 役職 | 主な専門分野 |
---|---|---|
井手 久登 <座長> | 東京大学名誉教授 早稲田大学客員教授 | 緑地生態学 土地利用計画 |
亀山 章 | 東京農工大学農学部教授 | 地域生態システム |
小林 正明 | 環境省総合環境政策局環境影響評価課長 | 環境アセスメント |
細見 正明 | 東京農工大学工学部教授 | 環境工学 |
水口 俊典 | 芝浦工業大学システム工学部教授 | 都市計画 |
森田 恒幸 | 国立環境研究所社会環境システム部長 東京工業大学大学院教授 |
地球環境問題 環境経済学 |
第1回研究会 平成12年6月26日(月曜日)
第2回研究会 平成12年7月19日(水曜日)
第3回研究会 平成12年9月25日(月曜日)
第4回研究会 平成12年12月12日(火曜日)
第5回研究会 平成13年2月2日(金曜日) (最終回)
戦略的環境アセスメントとは
戦略的環境アセスメント( Strategic Environmental Assessment )は、個別の事業計画に枠組みを与えることとなる政策や上位計画の段階で環境への影響を評価・把握し、環境への配慮が十分に行われることを確保するための手続である。我が国でも環境影響評価法案の附帯決議において「国際的動向や我が国での現状を踏まえて、制度化に向けて早急に具体的な検討を進めること」と指摘され、環境庁では、平成10年度から、「戦略的環境アセスメント総合研究会」を設置して、その制度化に向けて、国内外の関連制度の実施状況について総合的な調査研究を行っている。