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セキュリティの充実から始めるフレキシブルな首都機能移転を

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国崎 信江氏の写真国崎 信江氏 株式会社危機管理教育研究所 代表

横浜生まれ。1991年外資系航空会社の機内通訳を経験した後結婚を機に退職、主婦となる。1997年阪神・淡路大震災のような自然災害から小さな子どもを守るための研究を始める。2001年「災害救援ボランティア推進委員会」セイフティリーダー。2003年こどもの連れ去り、不審者対策の研究、防犯プログラム策定。2004年土木学会「巨大地震災害への対応検討特別委員会」委員。2006年内閣府「中央防災会議首都直下地震避難対策等専門調査会」専門委員。

著書に『地震から子どもを守る50の方法』『犯罪から子どもを守る50の方法』『こども地震サバイバルマニュアル』『じしんのえほん こんなときどうするの?』『狙われない子どもにする!親がすべきこと39』『わが家のチャイルドセキュリティ』『サバイバルブック―大地震発生その時どうする?』他

<要約>

  • イベント的な防災訓練ではなく、幼いうちから、暮らしの中で防災・防犯のための実質的な知識や危機意識を養うことが大切。例えば、クイズ形式で楽しませながら、いざというときに自分で判断して行動する力を身に付けさせたい。
  • 被災は「運」の面もあるが、日頃から十分な備えをして、万一災害にあったときも最後まであきらめずに行動することで、被害を軽減できる。
  • 社会のあちこちで防災対策を行っていけば、それが当たり前になって、危機管理意識を高めることができる。国や自治体は、目に見える形で危機管理対策を示してほしい。
  • 都市公園の設置など、目の前の危険をいったんは避けることができる空間づくりが必要。次に来る災難にどのように対処すべきか、考える猶予を与えることができる。
  • 防災の観点からは、首都機能は一刻も早く移転させたほうがよい。まずは機能を限定して、災害に強く、セキュリティが充実した新都市をつくるべき。また、状況変化に応じて、さらに次の新首都へと軽やかに移転できるような柔軟性も必要。

「トカイナカ」への引っ越し

私は危機管理アドバイザーという立場で多くのお宅を訪ね、防災や防犯のアドバイスをしてきましたが、幾ら安全のためとはいえ、やはり無骨なデザインの防災・防犯設備やグッズには少し違和感を持っていました。ですから自分が家を持つときには、防災・防犯の機能は充実させつつも、見た目ではそれを意識させないものにしたいと思っていました。今の我が家は平成20年6月に竣工したのですが、建物の外観や家の中は、どこにでもある普通の家のような感じになっています。お客様も、「ここはこういう機能になっています」と説明するとお分かりになるのですが、見た目ではどこでどう防災・防犯をしているのか気付かない方が多いですね。 

国崎 信江氏の写真私は横浜生まれの横浜育ちなのですが、私が子供のころにはまだ沼や小川があり、ザリガニなどを捕って遊んでいました。自分が子供を持って今の環境を改めて見ますと、すべてコンクリートなんですね。うちの子供はいまだにカマキリやコオロギを見たことがありません。土に触れる機会が非常に少なく、子供がミミズを見て「気持ち悪い」と言ったとき、これはまずいと思い、もう少し子育ての環境として良さそうな場所を探し始めました。

もう一つの観点は、やはり防災です。私は皆様に防災や防犯について教える立場なのですが、自分だけでは防ぎようのないものがあります。それは、外からもらってしまう災難です。自分の家はしっかりと守っていても、住宅密集地であればあるほどその危険性は高まります。ですから、できる限り広い道路や敷地をおのずと求めるようになりました。

ただ、そうはいっても、交通の便が良くないと仕事面で支障を来します。また、余り縁もゆかりも無い土地では、その土地の文化や習慣に慣れるまでに時間が掛かってしまいます。そういう条件を総合的に検討し、木更津に我が家を建てることにしました。

東京湾アクアラインが走っていて、羽田空港や東京にも結構早く行けますので、仕事上の支障はありません。交通渋滞もほとんどありませんし、電車に乗っても、横浜から東京に行っていたときのようにぎゅうぎゅう詰めの中、ずっと立っているということもありません。また、土地が安いので広い敷地を持つことができます。精神的なゆとりもあり、例えば自分の家の木が隣の家の敷地に掛かっても、横浜だったら文句の一つも言われそうですが、ここでは「ああ、いいですよ」という感じですごくおおらかです。木更津は親戚も友達もいなくて、縁もゆかりも無い土地だったのですが、まさに「トカイナカ」という、都会の文化的な部分と田舎の環境の良さが混在しているところに魅力を感じ、思い切って移ってきました。そういう意味では、首都機能移転と同じような考え方なのかもしれませんね。

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幼いころからの教育で防災・防犯意識を高める

私は危機管理教育ということで、災害や犯罪から身を守るための知識や備えを皆様にお伝えしていますが、そのきっかけとなったのはやはり阪神・淡路大震災です。あの大災害を見て強い衝撃を受けました。それを皆様に訴えても、やはり以前の私のように防災に対する意識は低く、一度は気持ちが高まっても、のど元過ぎればまた意識が低下してしまい、なかなか危機管理が定着しないのが現実です。これは何が原因なのでしょうか。


防災グッズをまとめた子供用ジャケット

日本は、火山はある、土砂災害はある、台風は来る、地震は起きるで、本当に災害の多い国ですよね。でもその割には、どうやってそれらの危機を回避するか、どうすれば安全に暮らせるかということが生活の中に根付いていません。その原因は子供時代の教育の在り方にあるのではないでしょうか。私自身の子供時代を振り返ってみれば、確かに学校では、年に1回ぐらいイベント的な防災訓練がありましたが、それは机の下に潜るという程度のもので、学校の中でのことでしかありませんでした。外にいるときにはどうすればよいのかなど、暮らしの中で直面したときにどう自分の身を守ればよいのかという具体的なものではなかったんですね。これは今も同じでしょう。

「三つ子の魂百まで」という言葉がありますが、いろいろな災害に対応するための実質的な知識や危機意識を幼いうちから養うのは非常に大事です。災害だけでなく、犯罪や生活上の事故など、いろいろなリスクは私たちの身近なところに潜んでいるんですね。自分の身に迫るリスクにいち早く気付き回避するということは、人間本来の生き残るための知恵でもあり、とても大事な部分です。文明が発達し、自分で守らなくても周りが守ってくれるという意識があるのかもしれませんが、やはり自分の身は自分で守るという意識は絶対に必要です。そういう意味でも、子供たちへのしっかりとした防災・防犯教育を確立すべきだと考えています。

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正しく恐れて備えをしっかりと

防災に余り力を入れていない方にその理由を聞きますと、「結局は運でしょう」とおっしゃる方がおられます。どこで災害に遭うかは分からないのだから、自分の家だけが防災の努力をしてもしょうがない、と言われるんですね。確かに最後は運なのかもしれません。しかし私は、日ごろからできる限りの備えをしておき、災害が起きたときも最後まであきらめず、自分の命を守るということに固執して行動すれば、被害は軽減できると考えています。

生死を分ける境は、日ごろの危機意識の積み重ねにあるのではないでしょうか。それは、「いつ来るか」と身構えて生活するということではなく、例えば電車に乗るときには進行方向に向くとか、必ず手すりやつり革につかまるとか、ほんのちょっとしたことなんです。私はいつも子供たちに、エスカレーターに乗るときには、いつ急停止するか分からないから必ず手すりにつかまりなさいと言っていますが、その矢先に東京で大きなエスカレーター事故が起こりました。そういう日ごろのちょっとした意識の積み重ねが被害軽減につながるのです。

今までの防災教育には人を怖がらせるというところがあったと思いますが、確かにそういうショック療法的な部分も必要でしょう。しかし、そればかりでは駄目です。大事なのは、正しく恐れて、しっかりと備えるということです。自分の向き合うべき相手をしっかりと見極めて、それに対してどう立ち向かえばよいのかを具体的に詰めていくことが大事です。そういう意味では、無理なく、しっかりと危機に対する意識や行動を生活の中に定着させていきたいものです。

ただ、来る日も来る日もそんなことばかり考えていては、何となく気分が落ち込んでしまいますよね。そうではなく、皆さんにしっかりと備えて心から安心して暮らしてほしいのです。「これだけやっても駄目だったら、それは運だとあきらめる」というぐらい自分ができる限りのことをやっていれば、心から安心して暮らせるでしょう。

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危機管理教育は楽しみながら真剣に

危機管理教育の観点からは、ふだんの暮らしの中でさりげなく、ちょっと楽しみを持ちながら防災の意識を定着させていくことが大事だと思います。例えば我が家ではふだんの会話の中で、子供たちとクイズ形式で防災の話をしています。それは子供が物心ついたころからやっていて、保育園の登園・降園時に、「もしここで地震が起きたらどうする」と聞いていました。子供は、最初は「ウルトラマンに助けに来てもらう」と言っていましたが、ずっと繰り返しているうちに、小学生や中学生ぐらいのときには「ブロック塀や電柱から離れる」など具体的なことを言うようになってきました。

遊園地に行くときも、高速道路を走っているときや列に並んでいるときに子供にそんな質問をするのですが、「せっかく遊びに来ているのに、そんな気持ちをなえさせるようなことは言わないでよ」とは言わないんですね。子供のころからやっていて、それが普通になっていますから、「ここは広い敷地があるし、駐車場まで行ければ何とかなるんじゃないか」と考えてくれます。いつも親がそばにいるわけではありませんから、いざというときに自分で判断し行動する力を小さいころから身につけておくことはとても大事だと思います。

それは防犯も同じです。昔は「キレやすい子供」と言いましたが、今は「キレやすい大人」が増えているのではないでしょうか。一見普通の人がちょっとしたことでカーッとなり、だれかを傷付けてしまうという事件がたくさん起こっていますね。私は子供たちには幼いうちから、私たちはそういう社会に生きているということを伝え、ちょっと不審そうだなと思った人や危険そうな場所には近づかないようにと教えています。ただ、すべての危険を回避することはできませんから、そういう危険ゾーンを一人で通らなければならないときにはどう対応すればよいのかということもしっかりと伝えています。

そうやって自分で災害や犯罪などに対処する力を養っていくのですが、私は、一人でももう大丈夫と思えるまでは絶対に子供を一人にしません。防災や防犯に対する意識や力が未熟なときに子供を一人にしてしまうと、いざというときにも対応できませんし、こんなはずではなかったということに巻き込まれる危険性が高いと思うんですね。今のお母さんは、子供の自立ということがあいまいになっていて、まだ心の準備や危機への対応力ができていない子供を無防備なまま一人にさせてしまっていることが多いのではないでしょうか。子供によってそのタイミングは違いますから、周りの大人たちがよく見て判断してあげることが大事だと思います。

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危機管理意識の醸成は社会全体の環境づくりから

私の子供が小学生のころ、友達の家に遊びに行ったと思ったら、すぐに帰ってきたんです。「どうしたの」と聞きますと、「あの家、マジでまずい」と言うんです。家具は固定されていないし、棚の上にタンスを置いてあったりして、怖くなったのだそうです。我が家では子供が物心つく前から家具は固定していましたので、それが当たり前で、よその家でもみんなやっているものだと思っていたんですね。ところが、どの家に行ってもそんなことはやっていないし、学校でもやっていないので、「うちが特別だったんだ」と気付いたそうです。でも、そういう環境で育ってきましたので、やはり気になるらしいんですね。

そういう意味では、環境づくりがとても大事です。家はもちろん、幼稚園・保育園や学校、役所や図書館、どこに行っても防災対策が当たり前のようになされているという環境で暮らせば、小さいときには意識しなくても、成長していくうちに、日本は災害の多い国だから、大人は僕たちを守るためにこういうことをやってくれているんだと気付くときが来ると思います。逆に、自分の家はきちんと防災対策をしていても、友達の家でも、学校でもやっていないということになれば、「なーんだ、防災なんて考えなくていいんだ」ということになってしまいますよね。地域や社会全体で危機管理の環境を根付かせていけば、子供たちの危機管理に対する意識が高まり、大人になったときの暮らしぶりも変わってくるのではないでしょうか。

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国や自治体は、目に見える形で危機管理対策を示すべき

国崎 信江氏の写真今、国民の多くが防災対策や危機管理について何をどうしてよいか分からないという状態ですので、国や自治体がその方法を具体的に示してあげることが必要でしょう。自治体や公的機関が出すマニュアルを見ていますと、どうも抽象的な表現が多いのではないでしょうか。例えば「安全に避難しましょう」とだけ書いてあるマニュアルもありますが、具体的にどうすれば安全に避難できるかが知りたい。

私は、具体的な方法をきちんと目に見える形で示すことが大事だと思います。例えば図書館できちんと本棚が固定されているのを見れば、自分の家でもこのようにすればよいのかと分かる。私はある市役所のトイレを見てすばらしいと思ったのですが、個室の一つ一つに水の入ったポリタンクが備えてあるんですよ。つまり、災害時には断水することが多いですから、そんなときにはこの水を使って流してくださいということです。これを市民が見れば、「うちでもやってみよう」と思いますよね。そういう一つ一つの積み重ねが大事ではないでしょうか。

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考えるための猶予を与える空間を

今の日本の大都市を見て私が特に危険を感じるのは、道路です。道路幅の問題もあるのでしょうが、ここを歩いていれば安全というところが探しづらい。特に丸の内などの高層ビル街では、地震のときにガラスが落ちてくるビルと落ちてこないビルを見分けるのは困難です。マニュアルには「丈夫そうなビルに避難しましょう」と書いてあるけれども、どれが「丈夫そうなビル」なのか、一瞬では判断できませんよね。つまり、安全なゾーンが分かりにくいということです。海外を見ますと、大都市には大きな公園があって、ふだんは憩いの場所ですが、いざというときにはすぐに逃げ込めるようになっています。火災の延焼も食い止めることができるでしょう。日本の大都市にも必ずそういう場所を造っておくのがよいと思います。

私は、防災や危機管理に完璧はないと考えています。例えば先ほどのクイズの話にしても、私は子供たちの出してきた答えに対して正しいかどうかという評価はしません。より自分の身を守れる方向に導くことはありますが、答えを否定することはありません。例えば地震のときに机の下に潜るということも、状況によっては正解かもしれませんし、不正解かもしれない。どんなときでも必ず正しいという答えはあり得ません。そのときの状況に応じて自ら判断し行動することが大切です。防災や危機管理の対策で最も重要なのは、その判断するための猶予を与えるということ。とにかくいったんは難を逃れられ、次に来る災難に対してどう行動するかを考えるための猶予を与えてくれる空間を造っておくことが大事だと思います。

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自分の「死」を意識することの大切さ

私は今度、「国境なき技師団」(注1)というNPOの活動でパキスタンに行く予定ですが、そういうときには遺書を書いていくようにしています。日本人は自分の死について考えるのも、相手に考えさせるのも、何となくタブーだと思っているところがありますよね。例えば中央防災会議では首都直下地震の想定死者数などを発表していますが、その数の中に自分が含まれていると考える人は余りいないと思います。私はいつもその中の1名になったときのことを考えて、できるだけ早く家族に身元を知らせられるように、日ごろ身につけておくものにも気を付けています。

また、子供たちにも自分はいつ死ぬか分からないと伝えています。ある日突然「ちょっと座って」という深刻な感じで話すと、聞くほうもドキドキしてしまうと思うのですが、うちではふだんの会話の中でそういう話をしていますので、子供たちも「ああ、知ってるよ。大丈夫、大丈夫」と言ってくれます。とにかく親がいなくても自分で判断するという意識は持ってくれているようです。

人間は、どんな形であれ、いずれは死を迎えます。前面には出さなくても、そのことを頭の隅で意識しながら毎日を暮らすことが大切ではないでしょうか。いざというとき、あれもしていない、これもしていないと後ろ髪を引かれるような思いをしていては、危機に対しても十分に立ち向かえません。これは国政についても同じで、常に危機的な部分を意識し、ありとあらゆるリスクに対応できる柔軟な態勢を取っておくことが大事ではないでしょうか。

(注1)「国境なき技師団」:地震や風水害などの自然災害により被害を受けた人々と地域を、技術者の立場から支援することを目的に、2006年に設立されたNPO。土木学会や日本建築学会などの支援を受け、外務省、JICA、国土交通省などと連携しながら、被災地と被災者の支援・自然災害軽減のための技術の普及や防災教育などを行っている。

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首都機能移転はセキュリティの充実から始めたい

私は首都機能移転には大賛成です。これから迎えるであろう災害の国難を考えれば、やはり一刻も早く移転したほうがよいでしょう。移転先の条件としては、まず災害の起こる可能性が低く、もし仮に戦争が起こったとしても、上陸されにくい場所。それから、近くに空港があればよいと思います。日本は小さい島国で、飛行機に乗れば1時間ぐらいで全国どこにでも行けてしまいますから、地方との交流や情報交換もしやすいですよね。また、災害が起こったときにも避難が容易ですし、被災地に指揮を執りに行くといった動きも取りやすくなります。

首都機能移転先となる新都市の空港は専用空港にして、国際空港とは別にしたほうがよいでしょう。国際空港のように多くの人が様々な目的で入ってきてしまうと、どうしてもセキュリティの面で問題が出てきてしまいます。官公庁の人や外国からの来賓など、明確な目的があって来る人だけが利用する専用空港というイメージです。一般の方が利用する空港は新都市からは少し離して、シャトルバスや鉄道などで一般の人が使う空港と新都市との間を行き来しやすくしておけばよいのではないでしょうか。

また、首都は国のシンボル的な存在であってほしいですね。「これこそ日本の姿」ということで海外にも発信できるような首都であってほしい。そうすれば、そこで働きたいと思う人たちが増えてくると思いますし、その意識も変わってきて、国を担うという高い志を持った人たちが集まって来るのではないでしょうか。そういう魅力ある人たちが集まるようなエリアになればよいですね。それから、フットワークの良い首都にするということ。ドーンと腰を据えてしまうのではなく、「ここが駄目だったら次はあそこ」というように、状況に応じて軽やかに移転できるようにしておく。日本は災害の多い国で、思いも付かないような災難が起こるかもしれません。そういう状況の変化にフレキシブルに対応できる首都機能移転がよいのではないでしょうか。

そういう意味では、最初からすべてがそろった首都、一つの完成された都市をつくろうとするのではなく、首都機能を維持するために重要な危機管理などの機能から優先的に移し、徐々に充実させていくほうがよいと思います。空港と同じように、だれでも自由に行き来できるような首都では、セキュリティが困難です。まずは機能を限定し、セキュリティ面から充実させていくことが大事です。まちづくりや環境などの面に関しては、そういうセキュリティが充実した後、実際にそこに住む人たちの希望を酌み取りつつ、時間を掛けて新しい都市をつくっていけばよいのではないでしょうか。そうしてこそ、本当の意味で地域に根ざした街になっていくのだと思います。

まちづくりは一遍に出来るものではありませんから、筑波研究学園のように、もっと時間を掛けて造っていけばいいと思います。つくばは、今もまだ生きているんですよ。終わっているわけではなくて、現在もいい街になっています。長い目で見れば、「いい街になったね。」という評価になると思いますので、まちづくりに焦って答えを出さなくてもいいのではないでしょうか。

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