ホーム >> 政策・仕事 >> 国土計画 >> 国会等の移転ホームページ >> 各種情報提供サービス >> ニューズレター「新時代」 >> ニューズレター「新時代」 第6号(平成11年8月)

国会等の移転ホームページ

ニューズレター「新時代」 第6号(平成11年8月)

国会等移転審議会の最近の審議状況

審議会では、国会等の移転先候補地の選定に向け、16のテーマについて順次調査・検討を進めてきましたが、7月22日に開催された審議会をもって、全テーマについて報告されたことになります。
ここでは、同日審議が行われたテーマについて、その概要をお知らせします。

(1)水害・土砂災害に係る検討

首都機能移転先の新都市づくりに当たっては、市街地連坦(新都市の周辺におけるスプロールや政令指定都市級の大都市の圏域との市街地の連続)を抑制することが必要です。このため、各地域の市街地連坦の可能性を、下図のような4つの観点から検討しました。

市街地連坦の可能性。自然地形(例.産地、傾斜地等があれば連坦を抑制 等)。既存市街地の状況(例.DID(人口集中地区)の分布状況 等)。交通基盤(例.鉄道、道路の分布状況 等)。現況土地利用規制(例.市街化調整区域等の指定状況 等)

一方、新都市は、首都機能都市として、また約60万人が住み働く都市として、魅力ある都市機能を享受できることが必要ですが、全ての都市機能を持つことは困難です。このため、街びらき段階の生活利便性を確保しうる人口20〜30万人規模(県庁所在都市級)の都市に概ね30分程度、多様なニーズを補完しうる人口100万人以上の規模(政令指定都市級)の都市に概ね1時間程度で到達できることが、望ましい母都市と新都市の関係であると考えられます。

(2)地震災害等に係る検討

日本では地震に対して100%安全な場所はないと言っても過言ではありませんが、移転先地の選定に際しては、大規模な地震が発生した場合に著しい被害が生じるおそれが強い地域は避ける必要があります。このため、各地域ごとに地震活動状況や過去に発生した地震被害を整理するとともに、各地域に社会的、経済的に大きな影響を与えると考えられる地震について、現時点での最新の知見をもとに震度を予測しました。

地震。海溝型地震(プレート境界部で発生する地震)(数百年内に発生する可能性がある)プレートの沈み込み帯が陸地から離れている北東地域は相対的に安全性が高い。内陸活断層に伴う地震(発生の可能性は必ずしも明らかではないが、発生した場合は影響大)各地域ともおしなべてかなりの震度が予想される

また、我が国の災害対応力の強化の観点から、各地域と東京を始め仙台、名古屋、大阪の各都市との連携可能性についても検討しました。

(3)環境負荷に係る検討

新都市づくりに当たっては、自然的環境への影響に配慮しつつ、内外のモデルとなりうる環境共生型の都市を目指すことが求められます。このため、新都市における都市活動に伴う環境負荷について以下のような視点から検討を行った上で、あるべき新都市の姿として「ゼロエミッション都市(環境負荷ゼロの都市)」を目指すことを提言しました。

特別な削減方策を導入しない標準ケースにおける環境負荷の規模の把握
(排水量、水質汚濁負荷量、NOx排出量、廃棄物埋立処分量、CO2排出量、一次エネルギー消費量)

先進的な削減方策の導入による環境負荷削減の可能性の把握
(リサイクルの徹底、水の循環利用、低負荷型建築・交通システム導入等を想定)

環境負荷に関する各地域の差異
(負荷発生量の差、負荷が与える影響の度合いの差、負荷削減方策の導入のしやすさの差)

(4)国土構造に係る検討

移転先候補地を選定する上では、移転先の違いにより我が国の国土構造がどのように改編されていくかなど国土構造等に及ぼす影響について検討することも重要です。 本年4〜6月に有識者(国土審議会学識経験委員等)を対象に行ったアンケートやこれまでに示された関係地方自治体等の意見などを踏まえ、新しい全国総合開発計画を前提に検討した結果、それぞれの地域に首都機能が移転することの意味は、以下のように整理されます。

地域に首都機能が移転することの意味
北東地域 東京を母都市としつつ、太平洋ベルト地帯から離れた地域に首都機能を移転
東海地域 東京圏と関西圏の間及び全国の中央部に名古屋を中心とした新しい圏域を形成
三重・畿央地域 我が国の伝統・文化の創造・承継に中心的な役割を担ってきた畿内周辺に首都機能を復帰

国会での活発な議論

衆・参両院の国会等の移転に関する特別委員会(以下「国会等移転特別委員会」といいます。)においては、各界から参考人を招き、様々な観点から活発な議論が行われています。(いずれにつきましても、詳細は衆議院又は参議院の発行する議事録をご覧下さい。)

<6月10日(衆)国会等移転特別委員会>

栃木県商工会議所連合会会長の簗郁夫氏は、移転は21世紀の我が国のビジョンを内外に示す中核的プロジェクトであり、新たな分野で技術開発と多数の雇用を生み出すことを指摘されました。
中部経済連合会副会長の須田寛氏は、行財政改革の契機として移転は不可欠、移転先地の条件として全国からのアクセスの容易性低コスト東京から適切な距離が必要、と指摘されました。
関西経営者協会顧問の金森茂一郎氏は、社会全般の閉塞感を一新するためにも移転は必要であること、東京には様々な機能が集中し危機管理の面からも移転は必要であることを指摘されました。
これらを受け、今後我が国が目指すべき方向、移転に関する国民的合意形成のあり方、現在の社会経済情勢下においての移転の意義等について議論が展開されました。

<6月30日(衆)国会等移転特別委員会>

栃木県知事の渡辺文雄氏は、移転は21世紀の安心で豊かな国づくりに向けて大きな意義を有しており、特に災害対応力の強化の観点からは最も重要かつ緊急な課題であること、移転先は東京と密接な連携がとれる距離関係が必要であることを指摘されました。
静岡県知事の石川嘉延氏は、移転は一極集中是正に資するだけでなく将来の日本を左右する国家的プロジェクトであり、21世紀の国際社会で我が国が果たすべき責任を考え移転を議論すべきであること、移転先の検討と並び土地投機防止等の特別措置の検討が必要であることを指摘されました。
滋賀県知事の國松善次氏は、我が国の様々な仕組みが限界に達し社会経済システムの変革が必要であること、今までの日本は首都機能を移転しながら新しい歴史を刻んできたこと、移転を新たな価値を生み出す契機と位置づけて進めるべきであることを指摘されました。
これらを受け、移転先候補地として望まれる特性、移転の経済再生への効果、内外に対する我が国の首都の役割等について議論が展開されました。

<7月14日(衆)国会等移転特別委員会>

日本青年会議所関東地区茨城ブロック協議会会長の横山和裕氏は、移転は国際的に影響を及ぼすプロジェクトであること、地域エゴにとらわれず将来展望の中で最善の判断をすべきことを指摘されました。
名古屋青年会議所理事長の社本光永氏は、移転は新たな価値観や社会構造を創出するために大きな役割を果たし、地方の自立・活性化など大きな効果があることを指摘されました。
日本青年会議所近畿地区協議会会長の棚橋勝道氏は、移転により地方分権を加速し小さな政府を実現して、地方の活力の向上、将来に渡る持続可能な社会の発展の契機とすべきと指摘されました。
これらを受け、移転の意義、移転に対する国民の関心、将来の我が国の在り方等について議論が展開されました。

国会、政府における最近の主な動向

<国会関連>

平成11年7月14日
衆議院・国会等の移転に関する特別委員会 参考人質疑
(社)日本青年会議所関東地区茨城ブロック協議会会長 横山和裕氏、(社)名古屋青年会議所理事長 社本光永氏、(社)日本青年会議所近畿地区協議会会長 棚橋勝道氏)

平成11年8月4日
衆議院・国会等の移転に関する特別委員会 参考人質疑
(社)日本青年会議所関東地区協議会会長 佐藤栄一氏、連合石川総合生活開発研究センター専務 理事 宮本一二氏、(株)インターアクトジャパン代表取締役 帯野久美子氏、造形作家・アートプロデューサー 夢童由里子氏、東京都立大学名誉教授 石田頼房氏)

<政府関連>

平成11年7月15日 第18回国会等移転審議会調査部会
平成11年7月22日 第20回国会等移転審議会

トピックス

公聴会のとりまとめを公表

国会等移転審議会は、広く国民の意見を聴き、審議会の審議・とりまとめに反映させるとともに、国民的議論の盛り上げに資するため、平成11年1月から6月まで全国9ヶ所(大阪・名古屋・東京・福岡・仙台・広島・札幌・高松・金沢)で公聴会を開催しました。
公聴会は、事前に公募・選定した方に意見を発表していただき、その後、発表された意見や参加者から提出いただいた自由記入シートも踏まえ、審議会委員が感想等を順次発言するという方法で行われました。9会場合計の参加者数及び意見発表者数は、以下のとおりです。

参加者 意見発表者
1,822人 72人(男性55人、女性17人)

意見発表者から頂いた御意見には、「改革の出発点と位置づけられる」「東京中心型システム改革のためのインパクトとなる」等の賛成論や「国民の関心は低く時期尚早」「現下の財政事情で新たな負担は無理」等の慎重論のほか、「東京をそっくり移転すると誤解している人が多く、議論の場を作るべき」「震災の際にボランティア活動をした若者の世代にこのプロジェクトを任せるべき」等の新たな視点からの提案もありました。

グラフ:移転に賛成・反対の理由(公聴会参加者アンケートによる)
→グラフ画像の拡大

公聴会の議事要旨や今回のとりまとめの詳細については、インターネットのホームページ(末尾を参照)で紹介しておりますので、是非ご覧下さい。

ページの先頭へ