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第61号(平成19年3月) 一緒に考えましょう、国会等の移転

マレーシアにおける首都機能の分散配置

マレーシアでは、首都クアラルンプールに国会(連邦議会)、王宮が置かれ、首相府を含む行政府の殆どと最高裁判所(連邦裁判所)はプトラジャヤに分散して配置されています。

新たに開発されたプトラジャヤは、クアラルンプールから南に25km、クアラルンプール国際空港から北に20kmの所に位置する連邦政府直轄区(旧セランゴール州プランべサール地区)で、開発面積は49km2、人口は5.5万人(2006年2月時点)です。クアラルンプールからプトラジャヤへの所要時間は、車で片道約30分〜45分程度です。首都機能が分散立地している海外の事例として、その概要を紹介します。

1. 分散配置の歴史的経緯

マレーシアの首都クアラルンプールは、イギリス統治時代より地域の中心都市とされ、1957年の独立を経て今日に至るまでこの国の首都であり続けています。1999年の首相官邸、首相府のプトラジャヤへの移転を皮切りに、現在まで、連邦裁判所と、移転対象25府省のうち20府省の移転が完了し、2010年までに政府機関の移転が完了する予定となっています。なお、国防省、国際貿易・産業省、公共事業省の3省は移転せず、クアラルンプールに残る予定です。

政府機関が移転した背景及び理由に関し、代表的な説明としては、(1)クアラルンプールへの一極集中による市内の混雑や交通渋滞を緩和するため、(2)政府機関が市内に点在し非効率であることから、移転により電子政府化を含めて行政効率を向上させるため、(3)政府機関のオフィススペース不足や賃料高騰が問題となっていたため、という理由が挙げられています。

マレーシアの地域構成
マレーシアの地図

2. 統治機構

(1) 立法府
国会は二院制で、定数は上院議員70名、下院議員219名です。
上院は首相の推薦のもと国王が任命する44名と州議会から選出の26名の議員、下院は総選挙で選出された議員により構成されます。

(2) 行政府
行政は国王を長としますが、実際には象徴的な存在です。
議院内閣制となっており、国王は下院において多数の信任を得ている議員から首相を任命すると共に首相の意見に基づいて上下両院から他の大臣を任命します。

(3) 司法府
司法の最高機関は連邦裁判所です。裁判官は統治者会議への諮問後、首相の意見に基づいて国王が任命します。

3. 国会と行政の間の連絡調整と移動

(1) 国会と行政との連絡調整
議員による政府への質問は、会期の冒頭にまとめて国会事務局へ提出する仕組みとなっており、国会事務局はこれらを取りまとめて関係省庁に配布します。1会期分の質問の総数は多くて下院では1,000程度、上院では500程度です。
なお、国会事務局は連絡調整のための出先事務所をプトラジャヤに置いておらず、各省庁もクアラルンプールに置いていません。

(2) 国会会期中のクアラルンプールとプトラジャヤ間の移動
国会は3月、6月、9月の年3回開会され、会期中には毎週月曜日から木曜日までクアラルンプールで本会議が開催されます。また、閣議は毎週水曜日にプトラジャヤで開催されます。
このため、国会会期中は、プトラジャヤ所在官庁の大臣等は必要に応じクアラルンプールの国会に出席するために往来し、クアラルンプール所在官庁の大臣等も閣議等出席のためにプトラジャヤに往来します。なお、プトラジャヤとクアラルンプール間の距離は25kmであり、移動時間はさして問題とされていません。
地方選出の議員の多くは、国会会期中はクアラルンプールのホテルに滞在します。また、主要な政党の本部事務所もクアラルンプールにあります。


国会議事堂(クアラルンプール)


首相官邸(プトラジャヤ)



大通り沿いの政府省庁ビル群(プトラジャヤ)


連邦裁判所(プトラジャヤ)


「オンライン講演会」を開催しています

国土交通省の国会等の移転ホームページでは、これまで、学界、経済界等各界の有識者を講師にお招きして講演会を開催しています。平成19年1月以降、新たに次の講演を追加しましたので是非ご覧下さい。

(ホームページアドレス:http://www.mlit.go.jp/kokudokeikaku/iten/onlinelecture/index.html)

越澤 明氏 (北海道大学大学院教授)

越澤 明氏の写真テーマ:「時代の変化とともに変わる首都機能移転」

要約

  • 国内の地域格差の存在は、地方自身による新たな地域づくりのビジョンや価値観、自信をつくれなかったことに原因がある。
  • 地域の都市政策や産業政策において、首都機能の一部ないし全部の移転を本当に必要としている自治体は存在しないのではないか。
  • 地場の歴史や伝統に根ざした地方の強みを再発見していくことでしか地方都市の活性化と再生はありえないし、これを支援していくことが本来の国家政策である。
  • 地方の活性化には、いわゆる“だんな衆”の末裔に再度、ノーブレス・オブリージュに目覚めて、「頑張って地域を引っ張る」というマインドを持ってもらうことが重要である。
  • 国家の危機管理としては、むしろ重要な国家情報や中枢情報のバックアップデータを分散させておくことが重要である。

鄭還泳(ジョン ハン ヨン)氏 (韓国国立公州大学校人文社会学部地理学科教授)

鄭還泳(ジョン ハン ヨン)氏の写真テーマ:「韓国の行政中心複合都市建設の経緯と日本への提言」

要約

  • 日本においても、韓国のように首都機能移転の論議が政治的なイシューになれば、さまざまな議論や動きが出てくるのではないか。
  • 韓国における現在の大きなテーマである「首都圏と地方の不均衡の是正」は、首都機能移転の推進力となっている。
  • 低密度、環境などをコンセプトとして計画されている行政中心複合都市は、21世紀における世界的な都市モデルになるのではないか。
  • 日本においても、これからは、首都機能移転について、もっと積極的に国民に広報し、国民的議論を盛り上げていく必要があるのではないか。
  • 日本の場合、首都機能を1箇所に移転するよりも、分散型の方が合理的であると思う。

浜田 和幸氏 (国際未来科学研究所代表)

浜田 和幸氏の写真テーマ:「最悪のシナリオを転換させる首都機能移転」

要約

  • 日本が先頭に立って、地球環境に対する取り組み方を変えていくような行動を起こすべきであり、首都機能移転による新都市づくりもこのような発想が重要である。
  • これまで東京が蓄積していた人材やノウハウ、ビジネスモデルなどを開放し、広く日本中で共有できるような方向に持っていくことが必要であり、首都機能移転がその契機となるのではないか。
  • 日本は、自国の首都機能への防衛策をしっかりと講じているか、そして、それを世界に強くアピールできているかということを考える時期に来ている。
  • 首都機能移転は、日本の未来に対する不安感を払拭し、「格差問題」など日本の病気を治す起爆剤となる。
  • 地域の歴史や自然、国際交流そして団塊の世代の人たちのセカンドステージなどへ配慮した街づくりを行うことによって、国内外に開かれた世界に誇れる首都機能都市が誕生するのではないか。

パンフレット「諸外国における首都機能移転」を作成しました

パンフレット表紙○分量 A4版14頁(カラー)
○内容
・ドイツの首都機能移転
・ブラジルの首都機能移転
・オーストラリアの首都機能移転
・マレーシアの首都機能移転
・韓国の行政中心複合都市建設
・海外の代表的な首都機能移転
・各国の首都

トピックス

最近の国会等の移転に関する各地域の主な動き
  • 栃木県国会等移転促進県民会議は、高根沢町で開催された「とちぎ花フェスタ2007 in たかねざわ」(2月16日〜18日)に、国会等移転情報コーナーを出展し、PRパネルの展示やパンフレットの配布等、国会等の移転に関する情報提供を実施

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