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国会等の移転ホームページ

ニューズレター「新時代」 第66号(平成20年10月) 一緒に考えましょう、国会等の移転

オンライン講演会を開催しています

国土交通省の国会等の移転ホームページでは、これまで、学界、経済界等各界の有識者を講師にお招きして講演会を開催しています。平成19年12月以降、新たに次の講演を追加しましたので是非ご覧ください。

イーデス・ハンソン氏の写真【第120回】
●タレント
イーデス・ハンソン氏
[テーマ]『熊野での田舎暮らしから考えた国会等の移転』

泉 麻人氏の写真【第121回】
●コラムニスト
泉 麻人氏(いずみあさと)
[テーマ]『「なるがまま」の東京でいい』

漆原 美代子氏の写真【第122回】
●環境デザイナー、エッセイスト
漆原 美代子氏(うるしはらみよこ)
[テーマ]『公共心から生まれる安全で美しい都市環境と危機管理の観点からの首都機能のバックアップ』

枝廣 淳子氏の写真【第123回】
●環境ジャーナリスト、翻訳家
枝廣 淳子氏(えだひろじゅんこ)
[テーマ]『環境負荷を減らすために必要な意識改革と都市づくり』

齋藤 寛氏の写真【第124回】
●神奈川県中央交通株式会社 代表取締役会長
齋藤 寛氏(さいとうひろし)
[テーマ]『バス業界の立場からみた一極集中問題と首都機能移転』

C.W.ニコル氏の写真【第125回】
●作家
C.W.ニコル氏
[テーマ]『森の再生から始まる日本の再生』

前田 豪氏の写真【第126回】
●観光プランナー
前田 豪氏(まえだたけし)
[テーマ]『三惚れ(ふるさとに惚れ、観光に惚れ、伴侶・仲間に惚れ)で独自の魅力を磨き上げ、国内外に発信すべき』

浮川 和宣氏の写真【第127回】
●株式会社ジャストシステム 代表取締役社長
浮川 和宣氏(うきがわかずのり)
[テーマ]『日本のグランドマップを描くきっかけとなる国会等の移転』

岩崎 洋一氏の写真【第128回】
●国立大学法人筑波大学 学長
岩崎 洋一氏(いわさきよういち)
[テーマ]『筑波研究学園都市の歴史にみる都市づくりのあり方』

堀場 雅夫氏の写真【第129回】
●株式会社堀場製作所 最高顧問
堀場 雅夫氏(ほりばまさお)
[テーマ]『東京一極集中の是正につながる地場産業の活性化』

福武 總一郎氏の写真【第130回】
●株式会社ベネッセコーポレーション 代表取締役会長兼CEO
福武 總一郎氏(ふくたけそういちろう)
[テーマ]『『国民益』と『地方分権』を考えた国会等移転の議論を』

大島 博氏の写真【第131回】
●株式会社千疋屋総本店 代表取締役社長
大島 博氏(おおしまひろし)
[テーマ]『新都市づくりにあたってはハードとソフトの両面の充実を』


特別寄稿 グローバリゼーションやIT革命がもたらす首都機能移転の新潮流

山口広文氏の写真
国立国会図書館
調査及び立法考査局専門調査員
山口広文

20世紀の首都機能移転

首都は、一国を象徴し国家統合の要となる都市であり、国の興亡や支配体制の変革などに伴って、首都の移転は歴史上枚挙に暇がない。20世紀中にも、第1次世界大戦の前後には、中国、ロシア、トルコなどで国の体制変革に伴って首都の移転がなされ、第2次世界大戦後には、主に旧植民地から独立した諸国で首都移転の動きがあった。後者の場合、植民地時代の統治拠点を引き継いだ旧首都(多くの場合海港都市)から内陸地域への移転であり、旧首都の過密問題への対応もあるが、植民地時代の旧弊からの脱却や国家統合と将来的発展のための中心地を志向していた。ブラジルの新首都ブラジリア、ナイジェリアの新首都アブジャなどはその代表的例といえる。


オーストラリア・首都キャンベラ(連邦議会議事堂)

また、20世紀初頭には、オーストラリア建国後に、連邦首都として新たにキャンベラが建設された。アメリカのワシントンDCやカナダのオタワに類した、連邦国家形成と小規模な政治首都建設の一例となった。南アフリカの場合、3権の所在地が3都市に分かれた。
なお、広く首都機能移転ということでは、イギリスなどのヨーロッパ諸国で、政府機関の首都からの移転・分散が進められた。

20世紀以降の主要な首都機能移転
( )内は、(1)(2)旧首都→新首都、(3)連邦首都、(4)移転先
移転の性格 20世紀 20世紀〜現在
(1)国家の変革に伴う首都移転 ロシア(サンクトペテルブルク→モスクワ)
トルコ(イスタンブール→アンカラ)
中国(北京→南京→北京)
ドイツ(ボン→ベルリン)
(2)新生国家における首都移転 ブラジル(リオデジャネイロ→ブラジリア)
パキスタン(カラチ→イスラマバード)
ナイジェリア(ラゴス→アブジャ)
マラウイ(ゾンバ→リロングウェ)
コートジボワール(アビジャン→ヤムスクロ)
タンザニア(ダルエルサラーム→ドドマ)
カザフスタン(アルマトイ→アスタナ)
ミャンマー(ヤンゴン→ネピドー)
パラオ(コロール→マルキョク)
(3)連邦国家形成での首都選定 オーストラリア(キャンベラ)
南アフリカ(3権が3都市に分散)
旧西ドイツ(ボン)
 
(4)政府機能の部分的な移転・分散 イギリス スウェーデン フランス
(いずれも複数都市)
マレーシア(プトラジャヤ)
韓国(行政中心複合都市・世宗)
アイルランド(複数都市)
近年のトピックはグローバル化対応と分散配置

20世紀末から最近にかけても、世界各地で首都機能移転の動きが展開している。

旧ソ連邦から独立したカザフスタンでは、1997年末に国土の西南端にある旧首都アルマトイから中央部に近い新首都アスタナへ移転した。また、2005年には、ミャンマーで南部の港湾都市ヤンゴンから内陸中央部のネピドーへ首都が遷された。南太平洋のパラオでは、旧首都コロールの過密対策として、2006年にマルキョクへの首都移転がなされた。

このような、国土の中央部への志向や旧首都の過密対策のほかに、経済的なグローバリゼーションへの対応を意識した動きや、首都機能の分散配置となる事例が目を惹く。

マレーシアでは、首都クアラルンプールの20キロ南方に位置する新都市プトラジャヤに、1999年から2006年にかけて首相府以下の中央官庁の大半と最高裁が移転した。議会は首都に置かれたままであるが、実質的にはかなり首都移転に近い。この新都市は、世界最大級の新国際空港と首都との間に、IT基盤の完備した新産業都市サイバージャヤと一体で、1990年代から建設された。首都の過密対策もあるが、むしろ、グローバリゼーションとIT革命への対応を意図して、新国際空港・新都市建設の一環として展開している点が注目される。


マレーシア・プトラジャヤ(正面は首相官邸)

ところで、1990年代以降の首都移転の中で、世界的に耳目を集めたのは、ドイツのベルリンへの遷都である。1990年の東西ドイツ再統一後、白熱した論議の末、暫定首都ボンからベルリンへの首都移転が決定され、1999年夏に移転が実現した。統一ドイツ国家と首都ベルリンとを結び付ける考え方が決定的な要因となったようである。ベルリンは、今日のドイツの中では東に偏しているが、ロシア・東欧方面との交流拠点としては戦略的な位置にあり、国際的なビジネス拠点をめぐる欧州都市間の競争という面でも関心を惹いた。

他方、合意形成に向けた妥協の産物として、半数近くの連邦官庁がボンに置かれ、首都機能の2都市への分散配置となったことが注目される。もともと旧西ドイツでは、連邦官庁の多くの部局(庁・局)がボン以外の多数の都市に分散配置されていた。連邦政府職員の頻繁な出張往来など分散に伴うデメリットもあるが、一応この2都体制が機能しているようである。


韓国・行政中心複合都市(世宗)模型図

お隣の韓国では、2005年に先の(ノ・ムヒョン)政権下で、首都ソウルへの集中抑制と国全体の均衡発展を目的として、財政経済部など12部(部は日本の府省に相当)の忠清南道の公州(コンジュ)市・燕岐(ヨンギ)郡地域への移転が決定した。移転先の新都市は、「行政中心複合都市」として「世宗(セジョン)」と名づけられ、昨年7月には起工式も行われた。国会や大統領府、外交部、国防部などはソウルに残る。もともとは、国会や大統領府も含む全面移転の構想であったが、最高裁の違憲判決が下された結果、現方針となった。韓国では、北の軍事的脅威を懸念して、中央官庁の一部を分散配置してきた経緯もある。

ドイツと韓国では事情は異なるが、ある種の妥協の産物として、結果的に国の中央官庁を二分する分散配置となった。ITの普及が、分散のデメリットをある程度緩和して、分散配置を以前より選択しやすくしているのかもしれない。

首都への海外企業誘致と政府機関の地方分散

分散配置といえば、イギリスでは、政府機関の地方への移転・分散が、近年もなお積極的に進められている。首都ロンドンは、1990年代以降、外国企業特に金融部門の進出により、国際的なビジネス拠点、特に国際金融センターとして活況を呈し、国やロンドン市もその誘致に積極的である。他方では、ブレア政権下の2004年に新たに2万人分のポストの首都圏からの移転を決定している。また、隣国アイルランドにおいても、海外企業の誘致策が図られ、首都ダブリンを中心に金融・IT分野の企業集積が進んで、国全体の高い経済成長を支えている。他方、地域格差是正策として、1990年代以降、政府機関の部分的な移転・分散が積極的に進められ、2003年には、1万人規模の移転計画が示されている。

経済のグローバリゼーションが進展する中で、首都は、海外企業誘致の有力な受皿でもあり、地域格差縮小のために企業立地を規制する類の政策は採りにくく、政府機関の再配置が、行政効率化と地方振興を併せて追求する有力な政策手段とされているようにみえる。

グローバリゼーションやIT革命の進展は、様々な経済活動の立地、そして首都の役割に大きな影響をもたらしつつあり、首都機能の配置のあり方をめぐっても、重要な要素となっているといえよう。

※本文中、見解を示した箇所は、あくまで私見であることをお断りしておく。
各事例について詳しくは、拙著『世界の首都移転』(社会評論社、2008年)をご参照いただきたい。

国土形成計画(全国計画)について ●国土交通省国土計画局総合計画課

  • 量的拡大「開発」基調から「成熟社会型の計画」へ
  • 国主導から二層の計画体系(分権型の計画づくり)へ

これまで国土づくりの指針として策定されてきた全国総合開発計画に代わる新たな計画として、国土形成計画(全国計画)が本年7月4日に閣議決定された。同計画は、平成17年に国土総合開発法を抜本改正した国土形成計画法に基づくものであり、(日)国土の質的向上を図るため、計画対象事項を見直したほか、(月)全国計画のほかに、ブロック単位ごとに、国と都府県等が適切な役割分担の下、相互に連携・協力して策定する広域地方計画を創設する等の措置が講じられている。

全国計画策定の背景として、本格的な人口減少社会の到来や経済のグローバル化の進展、情報通信技術の飛躍的な発達といった新たな時代の潮流に直面し、また、東京を頂点とする太平洋ベルト地帯に人口や諸機能が集中する一極一軸型の国土構造が続いているものの、各広域ブロックは、欧州の中規模国にも相当する人口・産業の集積があり、東アジアとの近隣諸国との競争や連携を通じて地域の国際競争力を高めうる潜在力と地域のアイデンティティを有しているという現状がある。

このため、新しい計画においては、「多様な広域ブロックが自立的に発展する国土を構築するとともに、美しく、暮らしやすい国土の形成を図る」との基本方針の下、ブロックが、東アジアを始めとする諸地域との交流・連携を進めつつ、その有する資源を最大限に活かした特色ある地域戦略を描くことによって、自立的に発展する国土構造への転換を図るとしている。

新しい国土像実現のため、『東アジアとの円滑な交流・連携』、『持続可能な地域の形成』、『災害に強いしなやかな国土の形成』、『美しい国土の管理と継承』という戦略的目標が掲げられている。さらに、これらを実施する上での横断的な視点として、5つ目の目標を『「新たな公」を基軸とする地域づくり』としている。これは、地縁型のコミュニティや企業も含めた多様な民間主体と行政との協働を図るものである。

今後、国は計画のモニタリングを実施することなどを通して、着実に計画を推進することにより、全国計画において示されているような、国民が安心して生活しうる国土の将来像と豊かでゆとりある国民生活を実現していくこととなる。

国土形成計画の枠組みの図

新しい国土像の図

「子ども霞が関見学デー」が開催されました

会場の写真国土交通省では、8月20日(水)及び21日(木)の両日、小中学生を対象とした「子ども霞が関見学デー」を開催しました。今年度は「なぜ?なに?首都機能移転」というテーマのもとに、子どもたちの理解と関心を深めてもらうため、パソコンを使用した仮想都市の体験や首都機能移転のクイズに取り組んでもらいました。また、首都機能移転関係広報用DVDの上映、ポスターの掲示、パンフレット等の配布を行いました。連日の残暑のなか、当課のブースは元気な親子連れ(延べ約280名の方々が参加)で賑わいました。

国会等の移転オンライン講演集(第5集)を作成しました

講演集の表紙平成19年度に国会等の移転オンライン講演会でご講演いただいた17名の有識者の方々の講演を、「国会等の移転オンライン講演集」(第5集)としてとりまとめました。ご希望の方は、下記の連絡先までお問い合わせください。(送料のご負担が必要となります。)

最近の国会等の移転に関する各地域の主な動き

6月7日、8日、栃木県国会等移転促進県民会議は、壬生町(とちぎわんぱく公園)で開催された「栃木県県民の日」のイベントに、国会等移転情報コーナーを出展し、PRのパネルの展示、パンフレットの配布、ビデオの上映等、国会等移転に関する情報提供を実施。

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