「21世紀の国土のグランドデザイン」 第3部


第3部 地域別整備の基本方向


 多軸型国土構造の形成を目指す「21世紀の国土のグランドデザイン」実現の基礎を築くためには、地域の自立を促進し、人々が自らの暮らす地域に誇りの持てる状況を創出していくことが重要である。これからの地域づくりは、「参加と連携」の下で地域が自らの選択と責任で行うことが基本となり、計画の果たす役割も変わってくるが、地域づくりに参加する様々な主体が、地域整備の基本方向に関する認識を共有し、その実現に際して効果的と考えられる各種施策を総合的かつ計画的に展開していくことは重要である。

 「地域整備の基本方向」においては、各地域の持つ優れた経済、文化、自然等の特性や将来の可能性を明らかにし、それらを生かした長期的な発展方向とその実現に向けた整備の基本方向を示す。「施策の展開方向」においては、現在各地域において数々の地域づくりに関する取組が展開されていることを踏まえ、地域整備の基本方向に沿って第2部で示した分野別施策について、計画の四つの戦略との関連で示す。

 なお、地域間の連携と交流を促すために必要と考えられる交通基盤等の主要な基盤事業については、各地域の意向を尊重しつつ、目標年次2010-2015年までの計画期間を越えて実施が見込まれるもの、あるいは、実施までの間に十分な調査や検討が必要なものも含めて示している。したがって、これらの事業については、経済及び財政状況等を勘案しつつ調整を図っていくとともに、その具体化、実施に当たっては、費用対効果分析及び環境影響評価の実施、一層の技術開発及び構造基準の見直し等コスト縮減の取組、財源の確保、費用負担の調整、地域住民の合意及び協力等を踏まえ、総合的に検討する必要がある。

 もとより、各地域の発展のためには、ここに示したものに限らず、地域が主体となって、本計画の趣旨に沿った構想及び施策をさらに発想、展開していくことが望まれる。

 地域区分については、既存の計画体系を考慮したものであるが、本計画では、多軸型国土構造の形成を踏まえつつ、既存の地域区分を越えた様々な圏域における地域連携軸の展開及び広域国際交流圏の形成などの戦略に関する構想や諸施策を提唱している。これらの構想は、今後の国、地方、民間等多くの主体の参加と連携によって具体化されるものであり、地域において展開される諸施策は、今後の地方分権や行政改革の進展等を踏まえ、広域的な圏域を念頭において進められる必要がある。


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