海辺で自然を体験しよう

 人は、さまざまな「体験」によって影響を受けながら成長します。そして、有意義な「体験」が、次のより良い「行動」や「考え」につながります。少子社会を迎えたわが国において、次代を担う子どもたちが、遊びや学びやスポーツなどのバランスのとれた「体験」によって健全に成長し、わが国社会のみならず国際的に活躍できる人材に育っていくことが、活力ある将来社会を築いていく上でたいへん重要です。
 海辺の自然体験活動や環境教育は、地球上で最も生き物が豊かな海辺で自然を体感することにより、海と人との精神的なつながりを回復し、人々の環境を大切に思う心を育みます。
 また、こうした取り組みを通して、のどかで豊かな海辺の自然環境の価値が再認識されるとともに、次代を担う子どもたちの心身両面の健全な成長や、大人たちの活力の回復、高齢者の社会参加、若い世代の雇用の創出などが期待されます。


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 自然体験活動は、いわゆる子どもの遊びとは異なり、予め「目的」を持って「学び」の要素を導入したプログラムに基づき集団で行われるものです。特に、海上の活動では、しっかりとしたりスク・マネジメントのもとに有意義な体験プログラムを提供できる体制が求められます。
 国土交通省港湾局では、海辺の自然体験活動や環境教育を促進するため、自治体やNPO等と連携しながら体制を整備し、これらの活動を専門的に実施する『海辺の自然学校』を全国各地で展開します。



 自然学校の展開

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 海辺の自然学校における自然体験活動や環境教育にあたっては、楽しく安全に活動するための専門的な指導体制が必要となります。しかし、わが国では、海辺で活動するための知識と技量を兼ね備えた指導者が不足しており、海洋国でありながら、山や川と比較すると海での活動機会は少ない状況にあります。
 わが国の海辺には、全人口の4割以上が暮らしています。今後は、総合学習の充実化などと相まって、“身近な自然”としての海辺における体験活動や環境教育の機会が増加するものと考えられます。
 このため、国土交通省港湾局では、海辺の自然学校における指導者の養成セミナーとして、18歳以上の男女を対象とする『海辺の達人養成講座(海辺の自然体験活動指導者養成セミナー)』を、自治体や教育機関、NPO等と連携しながら全国の主要な地域で開講します。



海辺の達人養成講座
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 海辺の環境の形成にあたっては、単に生き物が生息できる自然の環境をつくり出すだけではなく、子どもたちをはじめ人々が安全に海辺と触れ合える親水機能と共に、海辺の自然学校の展開を通して、環境をより良く理解するための「体験学習プログラム」や「指導体制」などが備わった『ソフトとハードが両輪を成す海辺の環境の形成』に努めていきます。
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