水資源

水資源問題に対する取り組み

水資源問題解決に向けた世界の動向

ミレニアム開発目標(MDGs)

 2000年にニューヨークで開催された国連ミレニアムサミット等を受け、2001年に国連事務総長報告としてミレニアム開発目標(MDGs:Millennium Development Goals)が示されました。MDGsには8つのゴールと、その下に21のターゲット、60の指標が定められており、2015年を達成期限としていました。

 このMDGsの1つのゴール「環境の持続可能性確保」の下に、「2015年までに、安全な飲料水及び基礎的な衛生施設を継続的に利用できない人々の割合を半減する」という水に関するターゲットが設定されています。また、水資源問題の解決は、「極度の貧困と飢餓の撲滅」、「ジェンダー平等推進と女性の地位向上」、「乳幼児死亡率の削減」など他のゴールの達成にも関連する重要なものでもあります。
 
 国連の「The Millennium Development Goals Report 2015」によれば、人口に対する安全な飲料水に継続的に利用できる人口の割合は、1990 年には世界全体で76%、開発途上国で70%であったものが、2015 年には、世界全体で91%、開発途上国で89%まで改善し、ターゲットは達成しているものの、未だ約6 億6 千万人が継続的に利用できない状況にないとされています。また、基礎的な衛生施設を継続して利用できない人口の割合は、1990 年は54%、2015 年は68%となっており、ターゲットは達成できておらず、約9億5千万人が改善されていない状況にあるとされています。
 

持続可能な開発目標(SDGs)

 2015年の9月、「国連持続可能な開発サミット」が開催され、その成果文書として、「我々の世界を変革する:持続可能な開発のための2030アジェンダ」が採択されました。MDGsの後継として、このアジェンダにおいて、持続可能な開発目標(SDGs: Sustainable Development Goals)が示されています。SDGsには17のゴールと169のターゲットが定められています。

 SDGsでは、水と衛生に関する単独のゴール(ゴール6. 全ての人々の水と衛生の利用可能性と持続可能な管理を確保する)が設定されています。また、これ以外に、水関連災害(防災)に関するターゲットが設定されています。

 今後も水問題解決・改善に向けて努力が必要です。
 

水資源問題に対する国際的な取組み

水資源問題に関する国際協力の必要性が高まる中、わが国は水資源分野における技術、経験を活用し、積極的に貢献しています。
 

国連水と衛生に関する諮問委員会(UNSGAB:United Nations Secretary-Generals' Advisory Board on Water & Sanitation)
水と衛生問題に関するグローバルアクションを活性化させるために働きかける独立諮問機関として、2004年に設立されました。2015 年11 月に最終会合が行われ、UNSGABの成果と今後の提案が明記された最終報告書が提出され、活動を終えています。
 
国連持続可能な開発委員会(CSD:United Nations Commission on Sustainable Development)
CSDは、1992年、リオデジャネイロで開催された国連環境開発会議(地球サミット)において採択された「アジェンダ21」において、「ハイレベルな『持続可能な開発委員会』を国連憲章第68条に従い設立するべきである」とされ、翌年正式に設立されました。2004年以降、2年を1サイクルとして個別のテーマを設定し、集中的な討議が行われていました。2012 年6月には、地球サミットから20 年目の節目として、「国連持続可能な開発会議」(リオ+20)がリオデジャネイロで開催され、水と衛生、洪水や干ばつ、水不足への脅威への対応などを含む、持続可能な開発の実現に向けた様々な分野における各国の取組みの指針として、成果文書「我々の求める未来(The Future We Want)」が採択されました。その成果文書において、持続可能な開発委員会に代わり、ハイレベル政治フォーラムを創設することが合意されたことから、2013 年に最後のCSD となる第20 回会合が行われた上で、同年以降ハイレベル政治フォーラムが開催されています。
 
国際水文学計画(IHP:International Hydrological Programme)
国際教育科学文化機関(ユネスコ)による政府間の学術協力会議である国際水文学計画(IHP)は、環境保護を含めた合理的な水資源管理に資する手法の開発及び人材の育成を、科学及び技術の面から改善させることを目的に設立された機関で、世界の水収支の解明、人間活動が水資源に与える影響の解明等に関する事業を実施しています。
 
世界水フォーラム(World Water Forum)
世界各国の政府、国際機関、学識者、企業及びNGOにより、包括的な水のシンクタンクとして「世界水会議(WWC:World Water Council)」が1996年に設立されました。このWWCにより運営される「世界水フォーラム」が1997年から3年に1度開催されており、様々な関係者が地球規模で深刻化が懸念される水問題に対しての情報提供や政策提言を行う場となっています。
 
アジア・太平洋水サミット(Asia-Pacific Water Summit)
アジア・太平洋地域諸国における水問題の解決を目的とする非営利のネットワーク組織である「アジア・太平洋水フォーラム」(2006年設立)が、各国政府首脳級及び国際機関代表等を含むハイレベルを招き、幅広い視点から議論を行う国際会議を開催しています。
 
アジア河川流域機関ネットワーク(NARBO:Network of Asian River Basin Organizations)
水資源施設を管理する河川流域機関(RBO:River Basin Organization)及び関連水部門組織との情報や経験の交換と共有を促進しながら、アジアモンスーン地域の統合水資源管理(IWRM)の推進を図ることを目的として、独立行政法人水資源機構、アジア開発銀行及びアジア開発銀行研究所の呼びかけで、アジア河川流域機関ネットワークが2004年に設立され、各種ワークショップ、流域機関同士の交流促進プログラムなどを実施しています。
 

ページの先頭に戻る