水資源

平成27年度第1回水源地域支援ネットワーク会議

1 日時:平成27年10月6日(火)~7日(水)
2 場所:福井県越前市
3 主催:国土交通省
4 協力:エコグリーンツーリズム【水の里しらやま】、しらやま振興会
5 参加者:(公財)宮ヶ瀬ダム周辺振興財団、さくらおろちを活性化する会、NPO 法人さくらおろち、長野県木祖村、福岡県東
       峰村 等
 

1.概要

 福井県越前市白山地区では、コウノトリをキーワードにした地域振興や環境調和型農業に取り組んでおり、行政や地元関係者が連携して、豊かな自然環境を活かした地域活性化のための取り組みを行っています。
 本会議では、参加者が現地を見学しながら、地元関係者から地域に対する想い、将来に対する展望や不安などを聞き、ヨソモノから見たしらやまの魅力などについて地元関係者を交えた意見交換を行いました。参加者にとっては実地の学びの機会、地元関係者にとっては情報発信と外部視点の導入の機会とすることで、地域を越えて地域活性化の知恵を共有し、水源地域間の連携を深め、水源地域における活性化活動の発展を図りました。
 

2.会議の内容

(1)地域の概要説明(於:越前市福祉健康センター)

 しらやま振興会から、地区の概要、地域で活動する主な団体の活動等を紹介していただきました。
・越前市は福井県のほぼ中央に位置し、そのなかのしらやま地区は標高250~350mの里山に囲まれた小盆地
・「にほんの里100選」に選ばれており、アベサンショウウオやハッチョウトンボなど多くの生き物が生息
 

(2)現地見学

「しらやまいこい館(コウノトリPR館)」

「解雷ヶ清水」

「勝蓮華の滝」

【しらやまいこい館(コウノトリPR館)】
  越前市とコウノトリとの歴史や取組、コウノトリの特徴や暮らし方などがパネルやモニターで紹介されています。屋外のケージで飼育されているコウノトリの様子をライブ映像で確認することもできます。(説明者:コウノトリ呼び戻す農法部会)
 
【冬水田んぼ・コウノトリゲージ】
 冬水田んぼ(冬季湛水。春先にたくさんの微生物を育む。)や土作りなど、農薬や化学肥料を使わない「コウノトリ呼び戻す農法米」の作り方についてご説明いただきました。
また、田んぼの中にはコウノトリの飼育ゲージがあります。コウノトリは臆病なため近づくことはできませんが、農道に設置された双眼鏡で観察することができます。(説明者:コウノトリ呼び戻す農法部会)
 
【解雷ヶ清水(けらがしょうず)】
 百済の伝説の残る清水で、地元の集落の人々が不動明王を祀り、霊水として大事に整備・管理しています。「ふくいのおいしい水」として福井県から認定された水で、周辺の岩肌からも湧水が溢れ出るほど豊かな水量を誇っています。(説明者:千合谷町区長)
 
【段田清水(だんたしょうず)・金華山グリーンランド】
 金華山の山頂付近にある金華山グリーンランドには、キャンプ場やコテージなどがあり、夏場は県内だけでなく県外からの利用者も多いとのことです。場内には段田清水が湧き出しており、その水質の良さは福井県内一とも言われているそうです。こちらも「ふくいのおいしい水」として福井県から認定された水です。(説明者:金華山振興組合)
 
【勝蓮華(しょうれんげ)の滝】
 この滝は地元の方が偶然発見したもので、しらやま振興会が遊歩道や展望スペースを整備しました。しらやまで一番大きな滝が地元にも全く知られていなかったということには参加者一同驚きでした。今後、看板なども設置し地域資源として活用していきたいということです。(説明者:しらやま振興会)
 
【みどりと自然の村 太陽の広場】
 昭和56年に整備された野外活動施設です。レストハウス、キャンプ場、バーベキュー場などを備えています。芝生広場は約6万m2の広さ、夏場は家族連れに人気のスポットとなっています。一方で、冬場はスキーができるほどの降雪があるわけでもなく、冬季の施設活用に課題を抱えているということでした。(説明者:しらやま振興会)
 
【ほたるカフェ】
 廃校になった旧白山小学校第一分校を活用して、期間限定で開店しています。当時のまま残された木造校舎には給食室や音楽室が保存されており、カフェ以外の活用方法も検討されているようです。(説明者:水の里しらやま)
 

(3)講演(於:白山公民館)

「結城講師による講演」

テーマ:「ないものねだり」から「あるもの探し」へ
講 師:結城登美雄氏(民俗研究家)
 
 長年全国各地の農山漁村を訪れてきたが、自分たちの町には「スーパーもない、コンビニもない」と言って、都市化すれば町が良くなるという考え方が地域を支配していることがある。町を歩くと、そこでこれまで生きてきた人たちが大事にしてきたものに出会える。ないものねだりで愚痴ばかりでなく、あるものを受け止めて活かし方について話をしていこうと各地で呼びかけ続けている。人間は自分の身の回りにあるものではなく、遠く隔たっているものに憧れる傾向がある。そうした感情から抜け出し、ここにあるものを活かしていくべきだ。
 現地見学でもみたとおり、白山には様々な資源があるが、もうひとつ、食べ物が具体的にアプローチしてくるといい。「食」には家族の記憶がつまっている。そこには「技」が一緒にある。食べ方、活かし方などまさに「生きる技術」だ。そうした「食」や「技」が失われてしまうのはもったいない。食べ物をアピールするには、食べられる場所がほしい。白山のコウノトリのお米を、白山で食べられる場所があったらいい。
 

(4)意見交換(於:旧白山小学校第一分校)

「意見交換の様子」

「旧白山小学校第一分校」

 会議参加者が2班(コウノトリ班、ほたる班)に分かれ、ヨソモノからみたしらやまの魅力などについて議論しました。議論には地元の活動団体メンバーや講演講師にも参加していただきました。
  
   コウノトリ班では、NPO法人ひろしまね理事長 安藤周治氏の進行のもと、人材の育成・獲得、資金確保、モデルコース等について、以下のような意見が出ました。
・ 地域内の団体のつながりを強くし、地域を元気にする人材の育成を継続的に行える体制づくりが大切。
・ 資金確保策としての適切なガイド料の設定、来訪者にあわせたツアー内容をつくるといい。
・ 周辺市町も巡るコース設定にするなど他地区と連携できるといい。
・ 買い物ができる場所がほしい。
・ 日本らしい風景、スギの木立が美しい。売りになる素晴らしい景色だ。
・ バーベキュー場があるので、ジビエも活用できるだろう。
・ 廃校を活用したほたるカフェは非常に魅力的。夏だけでも土日開催できる体制ができるといい。
 
   ほたる班では、札幌市立大学講師 上田裕文氏の進行のもと、以下のような意見が出ました。
・ 地元の方々がやりたいことをやる、楽しいと思うことをやるのが大事。
・ 地元の楽しみの場(たまり場)をつくることが必要。
・ 地域のおじいちゃん、おばあちゃんの話を聞いて、ツーリズムのネタに。また、知恵と技を引き出して地元の子どもに伝承すべき。
 

(5)その他(「おしえて!しらやま素敵ポイント」)

 会議参加者が現地見学中にしらやまの魅力だと思ったものを写真に撮ってもらい披露し合いました。地元の人には何でもないものが外の人からみると素晴らしいものだという気づきに役立ちました。  

お問い合わせ先

国土交通省水管理・国土保全局水資源部水資源政策課水源地域振興室
電話 :(03)5253-8111(内線31323、31325)
直通 :(03)5253-8392
ファックス :(03)5253-1581

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