砂防

~我が国の歴史的な砂防施設を紹介します~

我が国の発展のために行われてきた山林の過度な伐採などに起因した山地の荒廃と土砂流出等への対策として、我が国における砂防工事は、古くは江戸期から各地で実施され、現在の国土形成の一端を成しています。
このような現在の国土の礎となった歴史的な砂防施設に対する関心と保存・活用する機運が高まっています。
例えば、令和4年9月1日現在、国重要文化財が3施設、有形文化財が200施設以上登録され、他機関に評価されている砂防施設があります。
一方で、これまでに他機関の評価を受けてはいないものの、我が国の砂防において功績を残している偉人が関係している砂防施設などもあります。
ここでは、このような歴史的な価値を有する砂防施設を紹介します。

1.国重要文化財(建築物)について
我が国の砂防施設において、国重要文化財(建築物)に次の3施設が指定されています。
 
  • 常願寺川砂防施設
平成29年10月20日に国の文化審議会文化財分科会が開催され、平成21年に指定された「白岩堰堤砂防施設」に「本宮堰堤」、「泥谷堰堤」を追加指定し、指定名称を「常願寺川砂防施設」に変更して重要文化財に指定することが文部科学大臣へ答申され、平成29年11月28日に指定されました。
常願寺川砂防施設は、常願寺川水系を一体的に治める治水対策の礎となった施設であり、我が国の治水史上、高い価値を有すると評価されました。
 
白岩砂防堰堤 本宮砂防堰堤 泥谷砂防堰堤
白岩砂防堰堤             本宮砂防堰堤             泥谷砂防堰堤
 
  • 牛伏川本流水路(牛伏川階段工)
平成24年5月18日に国の文化審議会文化財分科会が開催され、牛伏川本流水路(以下、牛伏川階段工という。)は、重要文化財に指定することが文部科学大臣へ答申され、平成24年7月9日に指定されました。
牛伏川階段工は、周辺の地形に応じて選択された独特な階段状の形式を、熟練した石積技術を用いて実現しており、技術的に高い価値を有すると評価されました。また、緑化による治山を実現した牛伏川砂防施設の基幹となる施設であり、歴史的に価値が高いと評価されました。
 
牛伏川階段工 牛伏川階段工02
牛伏川本流水路(牛伏川階段工)
 
  • 紅葉谷川庭園砂防施設
令和2年10月16日に国の文化審議会が紅葉谷川庭園を重要文化財に指定するように文部科学大臣へ答申し、令和2年12月23日に指定されました。
昭和20年の枕崎台風で被災した「史跡名勝厳島」の災害復旧事業として、昭和23年着工、25年に竣工しました。土石流により堆積した巨石を利用し、紅葉谷公園の風景や厳島の歴史的風致との調和が図られた砂防施設です。また、戦後直後の混乱の中、国および地方並びに連合国最高司令官総司令部が連携して実現した災害復旧としても大変貴重であることが評価されました。
 
秋第1号堰堤  秋第2号堰堤  秋第3号堰堤
秋第1号堰堤             秋第2号堰堤             秋第3号堰堤

秋第4号堰堤  秋第5号堰堤  秋流路工
秋第4号堰堤             秋第5号堰堤              秋流路工 

  2.有形文化財について
近年の国土開発や都市計画の進展、生活様式の変化等により、社会的評価を受けるまもなく、消滅の危機に晒されている多種多様かつ大量の近代等の文化財建築物を後世に幅広く継承していくため、保存及び活用についての措置が特に必要とされる文化財建築物を、文部科学大臣が文化財登録原簿に登録する「文化財登録制度」が導入され、現在までに200以上もの砂防施設が登録されています。
 ●有形文化財への登録方法等はこちらから(http://www.bunka.go.jp/seisaku/bunkazai/shokai/yukei_kenzobutsu/

3.上記以外の歴史的な砂防施設について(参考)
 明治の初め、我が国の治水対策の指導者として来日したオランダ工師団のうち、ヨハネス・デ・レーケが関係しているとされている砂防施設の一部を紹介します。

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