建設省住街発第二六号・建設省道企発第三六号・厚生省社援更第八〇号・厚生省老振第三二号
平成七年三月三一日



人にやさしいまちづくり事業の実施について


高齢化、都市化が進展する中で、増大する高齢者及び障害者(以下「高齢者等」という。)が、社会の重要な一員として参画し、交流できるようなまちづくりが強く望まれている。
国土交通省においては、「生活福祉空間づくり大綱」(平成六年六月)を策定し、いきいきとした福祉社会の形成に向け、新たな視点に立った所管行政を総合的かつ計画的に展開しており、「高齢者、身体障害者等が円滑に利用できる特定建築物の建築の促進に関する法律」(平成六年法律第四四号。以下「ハートービル法」という。)に基づく建築物の整備促進等の施策を推進している。また、厚生省においては、平成六年一二月、従来の「高齢者保健福祉推進十か年戦略」(平成元年一二月)を全面的に見直し、拡充した新ゴールドプランを推進している。
国土交通省は、連携を図りつつ、平成三年度から「福祉の街づくりモデル事業」を推進してきたところであるが、これら最近の両省の取り組みを踏まえ、事業の一層の推進を図るため、これを発展的に改組した「人にやさしいまちづくり事業」を創設することとした。従来の福祉街づくりモデル事業と同様、整備計画に基づき実施される「人にやさしいまちづくり事業」については、「交通安全事業等」、「障害者や高齢者にやさしいまちづくり推進事業」、「ふるさと二一健康長寿のまちづくり事業」等との進携を図りつつ、関係機関の協力の下に円滑に実施するものし、その実施方針を定めたので通知する。
なお、本通知に伴い、「福祉の街づくりモデル事業の実施について(平成三年七月四日付け建設省住街発第一〇六号、建設省道企発第四八号、厚生省老振第一号、厚生省社更第一四一号)」については廃止する。

一 人にやさしいまちづくり基本構想の策定について

人にやさしいまちづくり整備計画(人にやさしいまちづくり事業制度要綱(平成六年六月二三日付け建設省住街発第六四―二号)第四に規定する人にやさしいまちづくり整備計画をいう。以下同じ。)を策定しようとする地方公共団体は、あらかじめ次の事項について定める人にやさしいまちづくり基本構想を国土交通省及び厚生省に提出するものとする。この場合において、市町村は、都道府県を経由して提出すること。

1) 人にやさしいまちづくりの取り組みに係る基本的な方針
2) 人にやさしいまちづくり整備計画の整備区域(見込みを含む。)
3) 整備区域における人にやさしいまちづくり事業の実施方針
4) 整備区域における関連する事業の実施方針

二 人にやさしいまちづくり整備計画等の策定について

(一) 高齢者等を含むあらゆる人が快適かつ安全に移動できるよう、市街地空間における移動システム等の整備等に関する人にやさしいまちづくり整備計画を策定すること。
(二) なお、これと一体となって幅の広い歩道、立体横断施設等の整備を実施する場合には、人にやさしいまちづくり歩道網計画をあわせて策定すること。
(三) 建築・住宅部局、道路部局、再開発部局、民生部局その他の関係部局相互の連携を十分に図ること。

三 人にやさしいまちづくり事業等の実施について

地方公共団体は、次の点に留意して、関係機関の協力の下、人にやさしいまちづくり事業等の円滑な実施に努めること。
(一) 移動システム等の整備に係る補助事業を十分に活用すること。
(二) 道路整備に当たっては、「人にやさしいまちづくり歩道網計画」等に基づき、交通安全事業等の重点的な実施を行うこと。また、関係する他の道路管理者と十分な連携を図ること。
(三) 人にやさしいまちづくり事業の実施と、「障害者や高齢者にやさしいまちづくり推進事業」及び「ふるさと二一健康長寿のまちづくり事業」の実施については、相互に十分な連携を図ること。
(四) 地方公共団体の関係部局(建築・住宅部局、道路部局、再開発部局、民生部局その他)、国、学識経験者、社会福祉関係団体、建築士関係団体からなる協議会の設置等事業の円滑な実施のために必要な協力体制の確立に努めること。
なお、「障害者や高齢者にやさしいまちづくり推進事業」による協議会を設置している市町村においては、当該協議会を本事業による協議会とすることができる。

四 その他

地方公共団体は、整備区域及びその周辺区域において、次の点に留意しつつ、高齢者等に配慮したまちづくりの総合的実施に努めること。
(一) ハートビル法の主旨を踏まえ、市街地再開発事業等を実施する施行者その他の建築主に対して必要な啓発及び指導等を行うとともに、認定建築物に対する補助、融資、税制、容積率優遇制度の効果的な活用に努めること。
(二) シルバーハウジング・プロジェクト等高齢者等向けの住宅対策の重点的な実施に努めること。

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