建設省道発第四一六号
昭和二九年一一月一七日

各都道府県知事・各地方建設局長・北海道開発局長・五大市長あて

道路局長通達


路線認定、区域決定及び供用開始等の取扱について


道路法の規定に基く路線の認定、変更、廃止、道路区域の決定、変更又は道路の供用の開始若しくは廃止等の取扱について、疑義がある向もあるので、今後は左記により適切な運用をはかられたい。
なお、貴管下道路管理者にも周知方お取計らい願いたい。

1 路線の変更と区域の変更について

道路の付け替え等により道路の位置を変更することによって、法第五条第二項若しくは第六条第二項の規定に基いて指定された路線、又は法第九条の規定に基いて公示された路線の起点、終点又は重要な経過地について変更しなければならない場合は路線の変更(又は路線の認定、廃止―「2」参照)として取り扱い、その他の場合は区域の変更として取り扱うべきである。但し、区域を変更した場合でも、路線認定の関係図面に変更を生ずる場合は、必要な訂正を行うこと。
なお、右の趣旨にかんがみ、路線を認定しようとする場合は、当該路線に属する道路の持つべき性格を決定するための要素となるような経過地は、これを重要な経過地として公示すると共に、起終点及び経過地の地名の表示に当っても、必要な限りにおいて詳細に定める等の配慮が必要である。
一方例えば、旧道路法当時認定された路線であって、公示された起終点や経過地が字名又は地番等まで詳細に記載されている場合は、これらがすべて当該路線の性格を決定する要素と考えられたわけではないと思われるので、適当な機会に不必要な字名や地番等は公示の内容から削除することが適当である。

2 路線の変更と路線の認定、廃止について

本第一〇条第二項の規定によって、路線の変更の手続によることができるのは、旧路線の代替的性格をもつ路線を認定する場合に限るのであるから、次の(1)(2)のような場合は、概ね路線の変更の手続によることはできず、旧路線の廃止及び新路線の認定の二重の手続を要するものと解せられたい。但し、都道府県道については法第七条第一項第四号乃至第六号に該当する路線市町村道については右に準ずるような路線で、起終点の何れか又は双方ともに当該路線を認定した目的からみて重要な要素ではない路線の場合は、その起点又は終点の変更は当該路線認定の根本目的を変えるものではないから路線の変更の手続をもって足りる。例えば主要地Aと、これと密接な関係にある一級国道とを連絡するために当該一級国道上のB地を選んで県道AB線を認定していた場合に、終点Bを変更して同じ一級国道上の別の地点Cにする(県道AC線とする)ことは路線の変更の手続でよいわけである。
(1) 起点若しくは終点又はそのいずれもが変更する場合
(2) 二以上の路線を合して一の路線とする場合又は一の路線を分割して二以上の路線とする場合

3 路線の一部の認定、変更又は廃止について

路線の認定は、道路の目的性格を考慮して、これを道路法上の道路とするための行為であるから、道路の目的性格が異なれば、路線もまた異なるわけであって、原則としては路線は一体不可分のもので、道路を延長し、変更し又はその一部を廃止する等により路線の一部に変更を加えることは、その路線を廃止して別個の路線を考えることに外ならない。従って、路線の一部を認定、変更又は廃止することは、左に掲げる例外を除き原則としてできず、旧路線の廃止及び新路線の認定の二重の手続によらなければならない。
(1) 法第一〇条第二項の規定による路線の一部変更(「2」参照)。なお本項は、路線の一部廃止と一部認定が同時に行われ、しかも代替的なものである特殊な場合についてのみ規定されたものであって、路線の一部認定と一部廃止を一般的に認める趣旨と解することはできない。
(2) 路線認定の根本目的を変更しない範囲内において路線の一部を廃止し、又は変更する場合。例えば法第七条第一項第四号乃至第六号に該当する路線(「2」但書参照)等の場合である。
(3) 二以上の都道府県の区域にわたる都道府県道の路線の認定、変更又は廃止に際し、都道府県知事がその統轄する都道府県の区域内の路線の部分を認定、変更又は廃止する場合(「4」参照)。但し、この場合の路線の一部認定、変更又は廃止の効力については「4」記述の通りであるから注意されたい。

4 二以上の都道府県の区域にわたる都道府県道の路線の認定、変更又は廃止について

路線認定の意義にかんがみ、道路が一本ならば路線もまた一本であって、二以上の都道府県の区域にわたる都道府県道の路線を認定する際、各都道府県知事がその統轄する都道府県の区域内の部分について認定した路線は、別々の路線と考えることはできず、知事は一つの路線の一部(各県内の部分)を認定するものと解すべきである。この場合、路線認定の公示に当っては、起点、終点及び重要な経過地のうちその都道府県の区域内に存するもののみを記載することとし、(従って起点又は終点欄或はその両欄とも空白となることがある。)別に備考欄を設けて、当該路線(全体)の起点、終点及び重要な経過地をすべて記載することとされたい。
この場合注意すべきは、このような路線の一部認定は、路線認定のための必要な行為の一部に過ぎず、直ちに路線認定の効力を生じないことである。例えば、AB両県にわたる道路については、A県知事がA県の区域内について道路の部分を認定しても、その部分の道路が都道府県道となることはできず、B県においても路線の部分の認定があって、はじめて路線が認定されたことになり、都道府県道が成立し得るわけである。従って、二以上の都道府県にわたる都道府県道の路線認定に当っては、関係知事において打合せの上、認定期日を一致させるよう措置すべきである。
以上路線の認定について述べたことは、路線の変更又は廃止の場合にも同様であるが(法第一〇条第三項)、路線の一部の変更又は廃止(「3」参照)で、その変更又は廃止が一都道府県の区域内にとどまる場合までも法第七条第四項の規定による手続に準じて協議しなければならないと解する必要はなく、この場合は単独で路線の一部の変更又は廃止を行った上(路線の変更又は廃止の効力はこの時に生ずる。)、遅滞なくその旨を当該路線の関係府県に通知するものとし、通知を受けた都道府県知事は、路線認定の公示中、前述の備考欄記載事項を速やかに変更(訂正)することとされたい。

5 地名の変更等に伴う路線認定の公示内容の変更について

行政区画の変更、地名の変更その他道路の実体に関係のない他の理由により、路線認定の公示に記載された事項を変更することは、路線の変更と考えるべきではなく、単に公示の内容を変更又は訂正すれば足りる。何らかの必要があって、起点を終点に、終点を起点にすること、路線名を変更すること等も同様である。従って、この場合は、議会の議決及び建設大臣の認可を要しないことは勿論であるが、都道府県道の路線に係る事項については、遅滞なく建設大臣に報告することとされたい。

6 路線認定の認可内容が申請の内容と異なる場合について

都道府県道の路線認定について法第七四条第一項の規定による認可申請があった場合において、建設大臣が申請書記載事項を変更して認可したために、認可内容と申請内容とが一致しないことがある。この場合でも認可行為は路線認定の効力補充要件であって、申請内容の範囲をこえ又はその本質に触れることはないのであるから、認可された内容について更に議会の議決を求める必要のないことはいうまでもない。

7 道路の付け替えの場合における路線変更又は区域変更の取扱について

道路(例えば県道)の付け替え工事を行う場合、当該付け替道路の部分が既に認定されている他の種類の道路(例えば村道)であるときは、工事を行う以前に、とりあえずその村道の区域をもって県道の区域とする区域変更を行い、村道に関する法の規定の適用を排除しておく(法第一一条)必要がある。(工事の実施によって、その区域が更に変更する場合の区域変更の手続は、新しい道路区域の供用の開始以前、適当な時期に行えばよい。)道路の付け替え等の場合において右に掲げたような場合その他新道の工事完了前に新道の部分を道路の区域とする必要があるときは、新道の供用を開始することができる時期までは、従来の道路の供用を廃止することはできないので、その間一時的に当該付け替えの区間は、新道(道路予定地)及び従来の道路ともに道路の区域としなければならない。従ってこの場合の路線(又は区域)の変更は、先ず従来の道路の路線(又は区域)を従来の道路プラス新道の路線(又は区域)に変更し、工事完了後これを更に新道の路線(又は区域)に変更することとして、それらの変更を明らかにするよう公示に当っては留意されたい。

8 局部的な区域の変更について

局部的な道路の改良等に伴う局部的な区域の変更といえども、その公示を省略することはできないと解せられるので、道路法施行規則に定める区域変更の様式で十分にその変更を表わし難い場合は、同様式の備考欄に当該変更を明らかにするため必要な事項を記載し、更に詳細は道路管理者の事務所に備えつけた図面による旨を記入する等の方法により、公示することとされたい。

9 路線の変更又は廃止及び区域の変更並びに供用の廃止の取扱について

路線を変更又は廃止すると旧路線の道路区域は自動的に道路の区域ではなくなり、また道路としての供用もあり得ないわけであるから、原則としては、あらためて区域の廃止や供用の廃止の手続をとる必要はない。この場合、道路の区域を表示し、又は供用区間を表示していた備えつけの図面は、同時に整理すべきであるから注意されたい。但し、路線の一部を変更又は廃止する場合(「3」参照)は、これに伴って廃止される道路の区域が明らかでないから、供用廃止の公示を行ってこれを明らかにする必要がある。この場合も、区域廃止の公示は不要であり、関係図面を整理すればよい。
道路区域の変更によって廃止される道路の部分についても、右と同様に、供用廃止の手続をとる必要はなく、関係図面を整理すればよい。
なお路線の変更があった場合、これにより新たに認定された路線については、法第一八条第一項の規定により、区域の決定をすべきであって、区域変更の手続によるべきでないことはいうまでもない。
現在の道路区域はこれを廃止し、将来同一路線に別に道路区域を決定して供用しようとする場合は、路線は廃止せずに残しておく必要があるが、新たな道路区域が未定であるため、区域変更の手続によることができず、又区域の廃止の手続は道路法上規定がないので、この場合は供用の廃止の手続によることとされたい。この場合、道路区域に関する図面は整理すること。但しこのように、路線廃止を行わない場合であって、しかももともと区域の決定があっただけで供用が開始されていない道路区域を廃止しようとするときは、区域の廃止の手続による外はなく、区域決定及び路線廃止の様式を参照して、適当な様式により、法第一八条第一項の規定に基き(類推解釈)、区域廃止の公示をすべきである。

10 供用開始の取扱について

道路法施行規則第三条の規定では、供用開始の公示は、道路の区間について(即ち一定区間に含まれる道路区域の全部について)行うこととされているが、特別の事由により、区域の一部(例えば道路幅員の一部)について供用開始する必要がある場合は、その区域を明らかにするよう公示されたい。

11 二以上の路線が重複する場合の法の規定の適用について

二以上の路線が重複する場合において、その重複する道路の部分については法第一一条第一項乃至第三項の規定の適用があり、同一の道路について相異る多様の法案を適用する矛盾を生じないよう措置されているのであるが、この場合法の規定が適用されている一の路線が廃止されると、自動的に他の路線が浮び上ってきて、その路線に関する法の規定が適用されることとなり(「13」参照)、当該他の路線をも廃止しようとする場合は、あらためて当該路線を廃止しなければならない。このように重用道路の一線について、路線の廃止若しくは変更又は区域の変更をしても、他の路線又は道路区域はこれに伴って廃止又は変更されるわけではない。
このように重用道路といえども、その各々の路線は相互に独立した存在であって、法第一一条の規定は、各々の路線についての道路管理者の権限その他の法の規定が重複して法の適用に矛盾を生ずることを避ける趣旨に外ならないのであるから、道路の重用部分について、同条の規定により適用を排除された路線についても、法の解釈上必要であって、同条の趣旨に反しない限りにおいて、法の規定の適用はあるものと解せざるを得ない。例えば市町村長は、都道府県道を重複する市町村道について、その路線の認定、変更若しくは廃止又は区域の決定若しくは変更を行うことができるものと解する。
なお法第一一条第四項の規定の適用に当っては、路線は具体的な位置を持たず、道路の重複を生ずるには区域の決定がなければならないことにかんがみ、現に路線を認定している者に対する通知は、区域の決定又は変更の際に行うべきであり、ただ路線廃止(路線の変更による廃止を含む。)をしようとする場合(「9」により供用廃止の手続を要する場合を除く。)のみ、当該路線の廃止又は変更の際に通知することとし、又路線の一部を変更又は廃止する場合は「9」により供用廃止の手続を必要とするから、右の通知は、その供用廃止の際に行うこととされたい。

12 他の路線と重複して路線を認定した場合の区域決定等の取扱について

前述の通り、道路の重複を生ずるのは区域が決ったときからであるから、法第一八条第二項但書の規定の適用に当っては、既存の道路に重複するように区域が決定又は変更された場合の規定と解せられたい。従って既存の路線に重複して路線を認定又は変更した場合も区域の決定は必要であり(同一種類の道路である場合も同じ。)、又はその区域が既存の道路の区域をこえる場合は、そのこえる区域については、供用開始の公示が必要である。

13 重複路線の一つが変更又は廃止される場合の取扱について

二以上の路線が重複している場合、法第一一条第一項から第三項までの規定によって法の規定が適用されていた路線が変更又は廃止されたときは、自動的に他の路線の一つに関する法の規定が適用されることとなるか、この新たに浮び上って来る路線の取扱については左の通り処理されたい。
即ち、当該路線に属する道路は、既に供用されていたものを引き継ぐわけであるから、法第一八条第二項但書の規定の趣旨にかんがみ、あらためて供用開始の公示をすることを要しない。一方、例えば都道府県道A路線に重複して都道府県道又は市町村道B路線を認定した場合であっても、B路線について道路区域を決定しておかないと、B路線には道路の区域がないので、A路線が廃止又は変更されると、その道路の区域は自動的に廃止され(「九」により供用廃止の手続を要する場合は、その供用廃止と共に区域も廃止され)不用物件となってしまい、あらためてB路線について道路区域を決定しない限り、B路線がA路線の区域を受けついで引き続き供用されるわけではないから注意されたい。

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